災害時や緊急事態発生時などが起こったとき、従業員やその家族の安否を迅速に確認できる安否確認システムが注目されています。今回は、さまざまな安否確認システムのなかで、特にGoogleと簡単に連携できるシステムについて紹介します。それぞれのシステムごとに特徴が異なるため、安否確認システムについて検討されている方は、参考にしてください。
監修者:木村 玲欧(きむら れお)
兵庫県立大学 環境人間学部・大学院環境人間学研究科 教授
早稲田大学卒業、京都大学大学院修了 博士(情報学)(京都大学)。名古屋大学大学院環境学研究科助手・助教等を経て現職。主な研究として、災害時の人間心理・行動、復旧・復興過程、歴史災害教訓、効果的な被災者支援、防災教育・地域防災力向上手法など「安全・安心な社会環境を実現するための心理・行動、社会システム研究」を行っている。
著書に『災害・防災の心理学-教訓を未来につなぐ防災教育の最前線』(北樹出版)、『超巨大地震がやってきた スマトラ沖地震津波に学べ』(時事通信社)、『戦争に隠された「震度7」-1944東南海地震・1945三河地震』(吉川弘文館)などがある。
目次
安否確認システムとは
安否確認システムとは、災害や緊急事態が起こったときに従業員やその家族の安否を迅速に確認できるシステムです。災害などが発生したときに自動で安否確認のメールを配信し、従業員や家族の安否や居場所、出勤可能性などを回答してもらいます。
従来は、電話の連絡網で安否確認を行っている企業も多くありました。しかし、たとえば災害時には通話制限や通信制限で連絡がつかないことも考えられるため、安否確認システムの導入が注目されています。
従業員や家族の状況を自動で収集/集計し、管理職は手間をかけずに状況を確認/共有できる点も特徴です。
Googleと連携できる安否確認システム
さまざまな企業が、安否確認システムを開発しています。
ここでは、Googleと簡単に連携ができるサービスを6つご紹介します。
安否確認サービス2
トヨクモ株式会社が提供している『安否確認サービス2』は、「ITreview カテゴリーレポート安否確認部門」において6期連続で顧客満足度1位を獲得しているシステムです。2023年6月以降、Google Workspaceと連携を開始し、1クリックで従業員情報が自動同期化できるようになりました。
気象庁が発表するような災害情報とも連携させることができ、LINE・アプリ・メールのいずれかを介して安否確認を自動一斉送信します。
初期費用・解約費用はかかりません。50ユーザー利用時の料金プランは以下の通りです。
ライトプラン | 6800円 |
プレミアプラン | 8800円 |
ファミリープラン | 10800円 |
エンタープライズプラン | 14800円 |
『安否確認サービス2』の導入をご検討の方は、一度お問い合わせください。
Google パーソンファインダー
「Google パーソンファインダー」は、Googleが提供している安否確認情報の登録・検索ができるシステムです。
Google パーソンファインダーのページを開いて、「人を探している」をクリックすると安否情報を確認でき、「安否情報を提供する」を選択すると自分や家族の安否情報を登録できます。
名前さえ分かれば、被災地でもその場で登録が可能です。利用に料金はかかりません。
このシステムは、自社従業員の安否確認ではなく、その災害やこれまでの災害で安否確認をしたい人全員を対象としています。
サテライトオフィス・安否確認for Google Workspace
「サテライトオフィス・安否確認for Google Workspace」は、Google Workspaceを連携して活用するシステムです。気象庁が発表する緊急地震速報に連動して、対象地域の従業員に安否確認フォームがついたメールを送信します。フォームの内容は、自社独自の設定が可能です。
フォームの回答はスマートフォンやPC、フューチャーフォンからも可能なため、多くの人が利用できます。GPS情報の活用もできるため、より正確な位置情報が共有できるでしょう。
料金は、以下の2通りです。
機能制限あり・10ユーザーまで | 無料 |
1人当たり | 100円(割引あり) |
ALSOK安否確認サービス
「ALSOK安否確認サービス」は、歴史の長い安否確認システムです。アプリ版を導入していれば災害時の回答フォームがプッシュ通知で届くため、迅速に確認が可能です。
Googleパーソンファインダーと連携しておくことで、自分の安否情報が自動で更新されます。連携することで、従業員同士の安否確認だけでなく遠方に離れている家族や友人への連絡も容易です。初期費用は55000円かかり、45日間の無料トライアルを実施しています。毎月の料金プランは以下の通りです。
100名まで | 19800円 |
500名まで | 37400円 |
1000名まで | 48400円 |
オクレンジャー
「オクレンジャー」は、スマホやPCで簡単に情報収集ができるシステムです。国内で大規模な災害が発生した場合でも円滑にシステムが利用できるように、国内外にサーバーが設置されています。
災害時、従業員はGPS機能を利用した位置情報付きのメッセージで返信でき、管理者はそれらの位置情報をGoogleマップで表示できます。また、災害時以外にも、日常の諸連絡や配信予約も可能です。
初期費用は12000円で、スタンダードプランとエントリープランが用意されています。それぞれの利用料金については、お問い合わせください。
Safetylink24
「Safetylink24」は、災害時の安否確認について従業員だけでなく家族の安否確認も行えるシステムです。ユーザー1人に対して6人まで家族登録ができ、家族間のチャット欄でコミュニケーションも取れます。また、Googleパーソンファインダーと連携が可能です。
緊急時以外でも、社内メッセージや社内アンケート調査などでシステムを活用できます。
利用料金は、ユーザー数によって初期費用・月額費用ともに変動するため、公式Webサイトを確認してください。
安否確認システムを選ぶ基準
自社に合った安否確認システムを選ぶための基準について、代表的なものを紹介します。
以下を参考に、自社で活用できるシステムを選びましょう。
緊急時に一斉送信ができること
災害時や緊急時には、担当者もすぐに対応できないおそれがあります。そのため、従業員へ自動で一斉に安否確認が送られる機能は重宝します。
システムによっては、以下のような機能もあります。
- 一斉送信で送る地震の震度をあらかじめ決めておける
- エリア別に一斉送信ができる
また、送信するだけでなく従業員の回答を自動集計し、返信がない従業員へ再度メールを送る機能が備わっているシステムもあります。
迅速に連絡を取るために、自動で一斉送信ができるシステムを選びましょう。
家族の安否確認もできること
災害時は、従業員だけでなく従業員それぞれの家族もバラバラに被災しているおそれがあります。
そこで、家族の安否確認や、家族の居場所を共有できる掲示板が備わっているシステムを導入しておくことで、緊急事態にも対応できるでしょう。
家族間のメッセージが他の従業員に見られないよう、セキュリティについても確認しましょう。
システムの設計がシンプルで使いやすい
システムの設計は、できる限りシンプルで直感的に使用できるデザインのものを選びましょう。いざ使用するときに「どのボタンで回答すればよいか分からない」「ページが重くて接続に時間がかかる」などの懸念点があるシステムは、情報共有までに時間を要します。
シンプルな設計とは以下の様な要素が挙げられます。
- 通知が来ているか
- どこを見ればよいか
- 会社からの指示があるか
できる限り簡潔に、上記のような内容が確認できるシステムがおすすめです。
システムの使用料金を比較する
導入を考えているシステムについて、初期費用と月額費用を比較しましょう。
システムによっては、サービスを無料で使用できるものもあります。また、無料版と有料版でユーザーが使用できる機能に違いがあるシステムもあります。
価格だけでシステムを選ぶと機能が物足りないと感じるおそれがあるため、使いたい機能はよく調べることをおすすめします。会社の規模や、使用する人数、必要な機能性を事前に分析し、予算にあったサービスを選びましょう。
システムのセキュリティについて
安否確認システムには社内の個人情報が集まります。また、システムの機能によっては従業員の家族の安否確認もできるため、その家族の個人情報もシステムに共有されます。
利用を考えているシステムのセキュリティ保護について、信頼がおけるものを導入しましょう。一例として、以下のような機能を備えているかが目安になります。
- 個人情報を暗号化して管理する
- システム内の家族間メッセージにはロックがかけられる
導入するシステムが決まった後の流れ
会社に導入するシステムが決まった後の流れを紹介します。
まず、システムの操作方法・閲覧方法について全従業員に共有します。このとき、正規・非正規雇用にかかわらず全従業員の登録を済ませましょう。緊急事態が起こる前に全従業員の登録を済ませておくことで、連絡が行き渡ります。
つぎに、緊急時にすぐに使用できるように、日頃訓練を行います。とくに管理者/担当者は、安否確認について結果の集計頻度や共有のタイミングを把握しておきましょう。
会社システムと連携できる安否確認システムを検討し、無料お試しを始めよう!
本記事では、Googleと連携できる安否確認システムを紹介しました。また、システムの選び方について基準を知っておくことで、自社に合ったシステムを導入できます。
万が一の事態に備えて、従業員やその家族の状況が把握できる安否確認システムの導入を進めましょう。
監修者:木村 玲欧(きむら れお)
兵庫県立大学 環境人間学部・大学院環境人間学研究科 教授
早稲田大学卒業、京都大学大学院修了 博士(情報学)(京都大学)。名古屋大学大学院環境学研究科助手・助教等を経て現職。主な研究として、災害時の人間心理・行動、復旧・復興過程、歴史災害教訓、効果的な被災者支援、防災教育・地域防災力向上手法など「安全・安心な社会環境を実現するための心理・行動、社会システム研究」を行っている。
著書に『災害・防災の心理学-教訓を未来につなぐ防災教育の最前線』(北樹出版)、『超巨大地震がやってきた スマトラ沖地震津波に学べ』(時事通信社)、『戦争に隠された「震度7」-1944東南海地震・1945三河地震』(吉川弘文館)などがある。