新型コロナウイルス感染拡大や大規模地震、ランサム攻撃による主要なサービスの一時停止など、企業にとって事業継続が難しい事態が頻発しています。緊急時に速やかな初動を可能にし、事業の早期復旧・継続を迅速化するためにはBCPの策定が欠かせません。緊急時を想定したBCPを策定していれば、混乱した状況下であっても次の一手が出しやすくなるでしょう。
とはいえ「BCPの策定方法などよく分からない」という企業担当者もいるかもしれません。本記事では、BCP策定に役立つ研修やセミナーを利用するメリットや学べる内容を紹介します。
監修者:木村 玲欧(きむら れお)
兵庫県立大学 環境人間学部・大学院環境人間学研究科 教授
早稲田大学卒業、京都大学大学院修了 博士(情報学)(京都大学)。名古屋大学大学院環境学研究科助手・助教等を経て現職。主な研究として、災害時の人間心理・行動、復旧・復興過程、歴史災害教訓、効果的な被災者支援、防災教育・地域防災力向上手法など「安全・安心な社会環境を実現するための心理・行動、社会システム研究」を行っている。
著書に『災害・防災の心理学-教訓を未来につなぐ防災教育の最前線』(北樹出版)、『超巨大地震がやってきた スマトラ沖地震津波に学べ』(時事通信社)、『戦争に隠された「震度7」-1944東南海地震・1945三河地震』(吉川弘文館)などがある。
BCPを策定できていないなら、トヨクモの『BCP策定支援サービス(ライト版)』の活用をご検討ください!
早ければ1ヵ月でBCP策定ができるため「仕事が忙しくて時間がない」や「策定方法がわからない」といった危機管理担当者にもおすすめです。下記のページから資料をダウンロードして、ぜひご検討ください。
BCP策定支援サービス(ライト版)の資料をダウンロードする
※BCP策定支援サービス(ライト版)は株式会社大塚商会が代理店として販売しています。
目次
BCP研修とは
BCP研修・セミナーとは、BCPに関する情報を学べる研修です。BCPの理解を深めたり、緊急時の対応を見直したりでき、より実用性の高いBCPを策定できます。
また、BCP研修はその内容により対象が異なります。たとえばBCPの策定方法を学べる研修であれば危機管理担当者が受講し、緊急時の対応方法は従業員も受けるべきといえるでしょう。BCP研修を通じてBCPへの理解を深めることが緊急時の備えともなるでしょう。
BCP研修やセミナーで学べる主な内容
BCP研修やセミナーで学べる主な内容は、以下のとおりです。
- BCPを策定する目的や必要性
- BCP全体の枠組み
- BCPの策定手順
- BCPの運用方法
それぞれについて解説します。
BCPを策定する目的や必要性
BCPの策定目的や必要性を理解することは大変重要です。「なぜBCPを策定しなければいけないのか」を理解できると、策定する際のポイントが明確になるからです。BCPへの理解を深め、従業員1人ひとりが関心を持てるようにしましょう。
BCP全体の枠組み
BCP全体の枠組みを理解することも大切です。「BCPにはどのようなことが書かれているのか」などを理解すると、BCPの全体像を把握しやすくなります。また、多くの企業では事業計画や中長期経営計画と連動させてBCPを策定しています。BCPの枠組みを理解できると、事業継続への必要性も分かりやすいでしょう。
BCPの策定手順
BCPの策定目的や必要性が理解できても、具体的な策定手順が分からないと活用できません。そのため、研修やセミナーで策定手順を学び、自社に合ったBCPを策定します。研修やセミナーによって学べる内容は異なるものの、自社の事業計画や経営計画を参考にしながら演習できる場合もあります。研修やセミナーを通してBCP策定への理解を深め、実際に策定しましょう。
BCPの運用方法
研修やセミナーによっては、BCPの運用方法を学べます。BCPは策定して終わりではなく、実際に運用しながらより有効なものに改善していくことが重要です。たとえば、実際に災害が起きたとき、どのような手順でBCPを運用していくかを学べる研修もあるでしょう。運用方法を学ぶと、緊急時の組織体制を整える際にも役立ちます。
BCP研修やセミナーを利用するメリット
BCP研修やセミナーを利用するメリットは、主に以下の2つです。
- BCPへの理解を深められる
- 有効なBCPを策定できる
それぞれについて解説します。
BCPへの理解を深められる
BCP研修やセミナーを受けると、BCPへの理解を深められます。
トヨクモが運営する防災総研が実施した「自社のBCPに対する認識調査」によると、実際にBCPについて把握できている新入社員は17.5%しかいませんでした。
一方、BCPを担当する企業内での防災教育担当者へ向けたアンケートでは、全体の75.7%が自社のBCPについて「新入社員教育をした」と答えました。これらの結果からみると、BCPについての社内研修を実施しているにもかかわらず、受けた従業員には浸透していないということが分かります。
BCP研修やセミナーを利用すると、目的や構造といった枠組みから学べます。すると従業員のBCPに対する理解が深まりやすくなり、緊急時に備えられるでしょう。
有効なBCPを策定できる
研修やセミナーを受けると、有効なBCPを策定できます。先ほどの「自社のBCPに対する認識調査」では、「訓練の形骸化」や「災害を想定しきれているのか」という教育担当者の回答が目立ちました。東日本大震災以降もさまざまな大災害が発生しており、災害下においても事業を継続していくBCPの重要性が高まっている証拠です。しかし、他のプロジェクトのようにPDCAサイクルなどで見直すことができないため、BCP策定ではより実践的なものを作る必要があります。
BCP研修やセミナーを受けると、適切な運用ができているかどうかを判断できるようになります。こうした能力を身につけることで、日常業務に戻るまでのサービスの復旧過程や災害管理を網羅したBCPを策定できるようになるのです。
とくに研修やセミナーでは体系的にBCPについて学べるため、自社のBCPの問題点を解消したり、新しいBCPを策定したりする際の役に立つでしょう。
BCP研修・セミナーの事例
ここではBCPの研修やセミナーの事例について紹介します。
BCP策定研修・セミナーの事例
BCP策定研修・セミナーは、以下のような流れで開催されることが多いです。
【日程の参考例】
9:00〜9:10 イントロダクション
9:10〜9:30 BCPの概要・枠組みに関する座学
9:30〜12:00 ワークショップ(活動ルールの策定・ステークホルダー分析など)
12:00〜13:00 昼休憩
13:00〜15:30 ワークショップ(BCPの演習計画の策定など)
15:30〜16:30 BCPの策定
16:30〜17:00 クロージング
一般的なBCP研修ではイントロダクションがあり、BCPの必要性やBCPとは具体的にどういうものかについての説明をします。BCP策定研修・セミナーでは枠組みを解説することが多く、緊急時対応の計画や安全確保のための初動、危機管理計画などBCPに必要な行動計画の種類や、事業の継続計画の概要などを取り上げます。
ワークショップ形式のセミナーでは災害発生直後の活動ルールを決め、ステークホルダー分析を行って災害時の組織編成について整理、実際の状況を想定した模擬研修・セミナーが展開されます。
また、災害時は企業内に対策本部を設置しBCPを進めていくことになりますが、その際の活動を決定するという研修もあります。
BCP策定をゴールとする研修では、ワークショップでBCPに関する感覚や経験をもとにBCPの演習計画を立ててみるなど、自発的な活動の練習をさせてくれる傾向があります。そして、最後に自社のBCPを策定して研修は終了になります。
BCP訓練手法に関する研修・セミナーの事例
BCP訓練手法に関する研修・セミナーは、以下のような流れで開催されることが多いです。
【日程の参考例】
14:00〜14:10 イントロダクション
14:10〜15:20 訓練の必要性や実効性についての座学
15:20〜15:50 簡易評価についての座学
15:50〜16:40 ワークショップ(図上訓練・意思決定訓練など)
16:40〜17:20 訓練の評価と課題の改善手法の解説
17:20〜18:00 自社訓練計画の設計
訓練が形骸化している企業の場合、BCP訓練や評価を適切に行うことを目的とした研修・セミナーを選ぶのがおすすめです。
一般的なBCP訓練手法に関する研修・セミナーはイントロダクションから始まり、訓練の必要性についての座学があります。実効性について学んだ後、評価手法について学びます。BCP訓練に関する一連の知識を身につけた後で、ワークショップへと進むのが一般的です。
ワークショップでは図上訓練や意思決定訓練といった、災害時を想定した訓練手法などを実践します。ワークショップによって実際の訓練手法について体験したら、訓練の評価と課題の改善手法について学びます。
最後に、ワークショップの体験を生かして自社訓練計画の設計をすることが多いです。
なお、BCPに関する研修・セミナーは目的やカリキュラムによって千差万別です。ここで挙げたBCPの研修やセミナーの事例も一例でしかありません。より実践的なBCPの研修やセミナーを受けたいのであれば、ワークショップの時間が設けられているものを選ぶとよいでしょう。
BCPの研修やセミナーを選ぶ際のポイント
BCP研修やセミナーを選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。
- 研修の目的を明確にする
- 研修期間や日程を確認する
- 企業の規模に合ったものを選ぶ
- どのようなスタイルで勉強したいかを検討する
それぞれについて解説します。
研修の目的を明確にする
まず、BCP研修の目的を明らかにしたうえで学ぶようにしましょう。研修やセミナーによっては目的が異なるため、自社が必要とする内容かどうかを調べる必要があります。「今何を知りたいか」「どうして研修を受けようと思ったのか」などを明確にしたうえで、受ける研修を選んでください。
研修期間や日程を確認する
研修やセミナーによって日程はさまざまで、1日に3〜4時間程度の内容を数日に分けて行うものや、前期・後期の2回に分けているものもあります。そのため、業務に支障が出ない範囲で受けられる研修・セミナーを選ぶといいでしょう。
しかし、研修期間が空きすぎると内容を忘れてしまうため、心配な方は1日で基礎からBCP策定まで行える研修がおすすめです。1日だけであれば、通常の業務への支障も少ないでしょう。
企業の規模に合ったものを選ぶ
企業の規模に合わせて、研修やセミナーを選ぶのもひとつです。たとえば商工会議所や商工会、中小企業組合などを主催者とする中小企業の集合研修を利用すると、中小企業に合った内容を学びやすいでしょう。
公的な機関が主催する研修やセミナーは多くの企業から担当者が出席するため、コストを抑えながら効率的なBCP策定ができます。
どのようなスタイルで勉強したいかを検討する
BCP研修・セミナーを受ける際は、どのようなスタイルで勉強したいかを検討しましょう。BCP研修・セミナーといっても実施方法はさまざまあり、代表的な例は以下のとおりです。
- 座学
- ワークショップ
- 動画学習
- オンライン講習
研修やセミナー会場に行くことが難しい場合は、オンラインを活用するのもひとつです。従業員それぞれが自分のペースで学べるのも魅力といえるでしょう。
BCPの策定にはトヨクモの『BCP策定支援サービス(ライト版)』がおすすめ
「自社に合ったBCPを策定したい」「自社内でBCPを策定できる自信がない」などとお考えの方には、トヨクモが提供する『BCP策定支援サービス(ライト版)』の活用がおすすめです。
通常、BCPコンサルティングは数十〜数百万円ほどしますが、『BCP策定支援サービス(ライト版)』であれば1ヵ月15万円(税抜)で策定できます。また、最短1ヵ月で策定できるため、できるだけ手間をかけずにBCPを策定したい方にも向いています。
金銭的な負担を軽減ながら手軽にBCPを策定したい方は、ぜひトヨクモの『BCP策定支援サービス(ライト版)』の利用をご検討ください。
BCP策定支援サービス(ライト版)の資料をダウンロードする
※BCP策定支援サービス(ライト版)は株式会社大塚商会が代理店として販売しています。
BCP研修・セミナーを受けて理解を深めよう
災害は突発的に発生し、事業に多大な影響を及ぼす可能性があります。そうした際にBCPを策定していれば、円滑に通常業務に戻ることができ、事業への影響を最小限に抑えられます。しかし、実践的なBCPの策定や評価は難しく、企業担当者も頭を悩ませていることが少なくありません。
このような状況に置かれている企業担当者は外部で実施されている研修やセミナーを活用し、自社を災害や緊急事態から守る準備を進める必要があるでしょう。
なお、BCPの策定が難しいと感じる場合は、トヨクモの『BCP策定支援サービス(ライト版)』を活用するのがおすすめです。費用や手間を抑えながら策定できるため、BCPに多くの時間を割けない企業でも取り組みやすいでしょう。
監修者:木村 玲欧(きむら れお)
兵庫県立大学 環境人間学部・大学院環境人間学研究科 教授
早稲田大学卒業、京都大学大学院修了 博士(情報学)(京都大学)。名古屋大学大学院環境学研究科助手・助教等を経て現職。主な研究として、災害時の人間心理・行動、復旧・復興過程、歴史災害教訓、効果的な被災者支援、防災教育・地域防災力向上手法など「安全・安心な社会環境を実現するための心理・行動、社会システム研究」を行っている。
著書に『災害・防災の心理学-教訓を未来につなぐ防災教育の最前線』(北樹出版)、『超巨大地震がやってきた スマトラ沖地震津波に学べ』(時事通信社)、『戦争に隠された「震度7」-1944東南海地震・1945三河地震』(吉川弘文館)などがある。