【愛知県のBCP】自治体は、東海地震・南海地震にどう備えている?ハザードマップの情報も

【愛知県のBCP】自治体は、東海地震・南海地震にどう備えている?ハザードマップの情報も

“世界のトヨタ”のある豊田市をそのお膝元に置き、日本一の交通量を誇る愛知県。しかし、その愛知県はいま、3つの地震の危険性に脅かされています。南海トラフを震源域とする東南海地震と南海地震、そして駿河トラフを震源域音する東海地震です。

それぞれの地震の規模はマグニチュード8クラス。もし3つ同時発生した場合はマグニチュード8.7にもなると言われています。

このような地震のリスクは、愛知県の企業の方はもちろんご存じのことでしょう。実際に、東海地震や南海地震に備えてBCP策定をしようと考えている企業もあるかもしれません。

ですが、大災害に向けて一企業だけで対策するだけでは足りません。災害時、地域がどのように動くか把握する必要もあるのです。そこで今回は愛知県の各市町村が出しているハザードマップをはじめとするその取り組みについて説明しましょう。

愛知県のハザードマップはどこで見られる?

まずは愛知県の各市町村が出しているハザードマップ(被害想定区域や避難場所について記した地図)について説明しましょう。

もうすでにご覧になったことがあるかもしれませんが、愛知県は「愛知県防災学習システム 防災マップ」をインターネット上で公開しています。

これは、「愛知県 東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査(平成23-25年度)」の「過去地震最大モデル」(震度、液状化危険度)、「理論上最大想定モデル」(津波到達時間、津波波高、浸水深、浸水深が30cmに到達する時間)をもとに作られたシステムです。利用者は“シナリオ型マップ”“自由選択型マップ”の2種類の方法でハザードマップを見ることができます。

“シナリオマップ”はハザードマップを初めて読む人にオススメのシステムで、住所を選べば、以下のような条件のマップを見れます。現在会社のある地域がどのような被害を受けるか手早く見たいときには非常に便利です。

• <地震>
1. 震度マップを見る
2. 液状化マップを見る
3. 現在と過去を比較する
4. 土地条件図を見る
5. 土地条件と震度を比較する
6. 土地条件と液状化を比較する
7. 建物倒壊シミュレータへ進む

• <津波・浸水>
1. 津波到達時間マップを見る
2. 津波波高マップを見る
3. 浸水深マップを見る
4. 浸水深が30cmに到達する時間マップを見る

一方で“自由選択型”は、地震ハザードや土砂災害情報など、様々な情報を組み合わせて見ることのできるハザードマップシステムです。複合的な要素を見て総合的に判断したい方はこちらを見るとよいでしょう。ただし、地図のデータシステムに慣れていないと、使いこなすには時間がかかるかもしれません。

また、多くの各市町村は自治体に住んでいる人間に向けてハザードマップを提供しています。

例えば、庄内川、矢田川、木曽川という河川が流れる名古屋市においては、各区ごとに洪水・内水ハザードマップを作成しており、住民は印刷して活用できます。このハザードマップには、避難所の情報のほかに、避難行動の指針や防災情報の伝わり方、非常持ち出し品のリストなども記載されているので、社内に貼って社員の防災意識を高めるために使うこともできるでしょう。

東海地震などではどのような被害が想定されるか

ではここからは、東海地震・南海地震・東南海地震が起きたときにどのような被害が起こるか、「平成23年度〜25年度 愛知県東海地震・東南海地震・南海地震等以外予測調査結果」の過去地震最大モデルを参考に見ていきましょう。

過去地震最大モデルとは、南海トラフで発生した地震の中でも大規模な5地震(宝永・安政東海・安政南海・昭和東南海・昭和南海)の結果を重ね合わせたモデルのことを指します。この過去のデータをもとに、これから先の大地震を予測するということです。

この過去地震最大モデルによる被害想定のポイントをまとめると、以下のようになります。

(1)震度分布、浸水想定域等
①平野部や半島部において、広い範囲にわたり震度6強以上の強い揺れ
②尾張西部、西三河南部、東三河を中心に、液状化危険度が高い地域あり。
③渥美半島の外海では、最短で約9分後に津波(30m)が到達

(2)建物被害(全壊・焼失)
冬の18時に地震が起きたとすると、全県で94,000棟が全壊・焼失。その内訳は、揺れによる全壊が約50%、火災による焼失が24%。

(3)人的被害(死者)
冬の午前5時に地震が起きたとすると、死者数は全県で6,400人。浸水・津波による死者数が全体の約61%、建物倒壊等による死者数が約38%

(4)ライフライン被害
①上水道:給水人口の約9割が断水し、復旧までに約6週間を要する
②下水道:1日後、処理人口の約6割が利用困難となり、復旧までに約3週間を要する
③電力:需要軒数の約9割が停電すると想定され、復旧までに約1週間を要する
④通信:固定電話は、需要回線数の約9割の通話支障」。携帯電話は、基地局の非常用電源による電力供給が停止した翌日に最大約8割の基地局が停波する。どちらも、復旧までに約1週間を要する
⑤ガス、都市ガスは需要戸数の約1割が供給停止になると想定され、復旧までに約2週間を要する。LPガスは、需要世帯数の約2割で機能支障が生じ、復旧までに約1週間を要する

(5)交通施設被害
①道路:海部郡では長期的な湛水による通行支障が起きる。沿岸部では主に津波、内陸部では主に橋梁損傷による通行支障が起こる
②鉄道:概ね1週間以上の運行支障が起こる
③港湾・漁港:多くの港湾において、揺れ・液状化による岸壁に大きな被害。また、津波による港湾施設の被害、船舶・コンテナの被害、航路障害等も起こる
④空港:中部国際空港は空港島東側・南側で一部津波により浸水。滑走路や保安施設点検などのため一時閉鎖されるが、3日以内に救急などの輸送受入可能となる見込み。県営名古屋空港は、津波による浸水はない

(6)その他の主な被害
①.生活への影響
・避難者:避難所への避難者は1時間後に約80万人に。断水の影響を受けて1週間後には約155万人の避難者が発生
・帰宅困難者:平日の12時に地震が発生した場合、帰宅困難者は約86万人~約93万人
・物資(備蓄を考慮した上での不足量):飲料水の不足量は、1週間の合計で最大約25万8千トンと想定。食料の不足量は、1週間の合計が最大で約1,005万食。毛布の不足数は最大で約45万枚
②医療機能
被災市町村では、入院で約6,300人、外来で約5,100人への対応が難しくなる

(7)経済被害額
損傷した施設の復旧に要する直接的経済被害額は約13.86兆円、被災後の県内の生産額の低下である間接的経済被害額は約3兆円

もし、いま愛知で大地震が起こったら、大まかに見ていくだけでも、これだけの被害が生じることがわかります。

愛知県が大地震に対して取り組んでいる対策

では、このような大地震に備え、県はどのような取り組みをしているのでしょうか。

愛知県は平成27年度から35年度までの「第3次あいち地震対策アクションプラン」に取り組んでいます。「地震から県民の生命・財産を守る強靱な県土づくり」を理念とし、減災目標として①想定死者数6400人の約8割減、②建物全壊・焼失棟数94,000棟の半減を掲げているのです。

上で説明した「過去地震最大モデル」を想定の軸として、とくに大事にする視点が以下の4つです。

1 被害予測調査の結果を踏まえ、減災効果を高める
2 東日本大震災における課題等への対応を充実する
3 日本の成長をリードするあいちの産業を守る
4 防災・減災の主流化・日常化を進め、防災協働社会を構築する

このなかでもとくに企業のBCPとかかわりの深い“3 日本の成長をリードするあいちの産業を守る”について、愛知県が具体的にどのようなアクションをしているか、簡単に説明します。

産業活動の維持・継続の確保

平常時から、大学などと連携をとりながら企業で防災講演を実施したり、県が主導する「あいちBCP」モデルを普及したりといった活動をおこなっています。また、毎年度、防災局では被災後の産業活動の早期復旧を話し合うワーキンググループも開催しています。

迅速な復旧・復興のための事前準備の推進

震災後の復興体制やビジョンを策定。さらに、東日本大震災の教訓を踏まえたうえで震災後復旧マニュアルの見直しも現在おこなわれています。

地域継続マネジメントの推進

大学や研究機関と連携して防災体制を強化するための共同研究をおこなったり、基礎データを収集・分析したりします。また、県・市町村・防災関係機関・事業者などが協力して被災後の対応に当たれるようなマネジメント体制を整えます。

自治体と連動して地震対策を

愛知県は、南海・東海・東南海と3つの大地震の脅威を抱えています。そのため県民の防災への意識は高く、平成25年に実施された愛知県民対象の防災(地震)に関する意識調査では、「関心がある」が92%を占めました。

そんな防災意識の高い愛知県の取り組みは、全国の企業・自治体が地震対策に取り組むうえでの良い見本となることでしょう。

愛知県の企業は、県や自治体の動きと連動して防災に当たっていくことが求められています。企業の担当者の方は、来たるべき大地震に備えるためにもこの記事を参考にBCPを策定してください。

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