BCPとは? 便利なテンプレ集3選と、管理手法であるBCMまでを一挙解説

BCPとは? 便利なテンプレ集3選と、管理手法であるBCMまでを一挙解説

自然災害や事故など緊急事態が生じたときに、製品やサービスを供給し続けることである「事業継続」は、企業の命運を左右する重要問題です。だからこそ、事業継続を確実にするための事業継続計画(BCP)策定や、円滑な運用(BCM)は、近年の東日本大震災や新型インフルエンザ流行ともあいまって、社会的に大きな注目を集めています。
内閣府調査によれば、平成23年時点で大企業の約45%がBCP策定済み。中堅企業でもBCPを「知らない」企業はわずか15%と、関心が急激に高まっていることがわかります。

とはいえ当調査結果で、中堅企業でのBCP策定率はまだ20%強にとどまっているのが現状。そこでここでは、「そもそもBCPとは何か」という原点に立ち返った上で、BCPの必要性について、管理手法であるBCMの意義と合わせて解説します。そしてまだBCPを策定していない企業のために、役に立つテンプレートを3点ピックアップし、それぞれの特長を説明します。

BCPとは何か?

BCPとは、「Business Continuity Plan」の略で、日本語では「事業継続計画」と呼ばれます。これは、企業が緊急事態に直面した場合に、損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするため、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。

これを一言で表現するならば、BCPとは、有事の際の行動計画を表した文書です。一般的に具体的対策としては、装置や設備、施設など代替手段の確保や、そのための人員確保などが挙げられますが、これらを実行可能とするために作成される文書がBCPです。

なおここで挙げる「緊急事態」にはさまざまな状況があります。最も分かりやすいのが自然災害であり、地震や台風、集中豪雨による水害、新型インフルエンザによるパンデミックなどが代表例です。
また停電、原子力事故、テロの発生といった外的リスクもBCPの対象となります。自社を狙った恐喝や営業妨害、自社に対するサイバー攻撃など、さらに重要な取引先や不可欠な部品を製造している仕入れ先の倒産なども考えられます。
その他、内的リスクも対象となります。一例として、食中毒、製品のリコール、異物混入などの問題が発生した場合、また従業員による個人情報の持ち出しや流出、コンプライアンス違反、粉飾決算など、組織に問題があるケースも含まれます。

なぜBCPは必要なのか?

BCPとは2
上述した「緊急事態」は前ぶれなく、突如として企業を襲います。アクシデントによる損失の度合いが企業体力以上に膨れたとき、企業は事業継続不可能な事態に陥ります。最悪の状況を回避するためには、生産、営業、流通といった事業活動をいかに早く再開し、企業体力を損失が上回る前に収支のバランスを正常に戻すかが重要です。このため企業は、短期的には「重要な事業活動に絞って」事業を復旧させ、長期的には「目標とする期間で災害発生前の水準に戻すべく」事業を再構築します。
これらを行う際に、どれが収益に深く関係する重要事業か、また、重要事業を復旧させるために必要な要素は何か、あらかじめ定義しておかないと、緊急時に順序を間違えたり、必要な措置を取らなかったりすることにより、体力の少ない災害直後の時期に重大な危機に陥ります。緊急時の被害や操業停止期間を最小限にすることがBCPの役割です。
またBCPの策定により、顧客の信用を維持し、市場関係者から高い評価を受けることとなり、企業価値の維持・向上につながるといったメリットもあります。

BCP策定にあたってのテンプレート集3選

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BCPには大きく分けると「自由に作る」か「ISO22301を取得する」
という、二つの作り方がありますが、現在策定されているBCPの大多数は前者によるものです。書籍やガイドラインを参考に自社のBCP担当者が自力で作成する方法、行政や各種団体が用意しているテンプレートを用いて作成する方法、専門家やコンサルタントに依頼する方法などがありますが、ここでは策定にあたっておすすめのテンプレートをご紹介します。

ここで挙げるテンプレートには、BCPで作成する文書(例:従業員連絡リスト、供給品目・供給業者情報など)のテンプレートに加え、BCPのガイドラインも付いており、他のテキストや書籍を参考書代わりにそろえる必要がないというメリットもあります。

●中小企業庁 中小企業BCP策定運用指針
国内企業の99%を占める中小企業にBCP策定を促すことを目的として、中小企業庁が作成したものです。指針には、中小企業の特性や実状に基づいたBCPの策定方法が、わかりやすく説明されています。
中小企業がBCP策定に投入できる時間と労力に応じ、「入門コース」(所要時間は、経営者1人で1~2時間程度)」「基本コース(略)」「中級コース(略)」「上級コース(所要時間は、経営者含め数人で延べ1週間程度)」の4パターンが用意されています。
帳票印刷のための「財務診断シート」に加え、アウトプットイメージとして各業種のサンプルも用意されており、このサイトのみでBCP策定作業が完結するよう、配慮されています。
また「従業員携帯カード」「避難計画シート」等の雛形もダウンロードできるようになっています。

●特定非営利活動法人 事業継続推進機構
事業継続初級管理者試験や事業継続准主任管理者試験の実施団体である事業継続推進機構(BCAO)が作成しているテンプレートです。簡略版と本格版、2パターンが用意されています。ガイドラインとテンプレートが一体化しており、ガイドラインを読み進めながら同時に並行してテンプレートを穴埋めして完成させていくことができるメリットがあります。

●東京商工会議所
「本編」で東日本大震災での教訓、BCPの重要性などが事例豊富にわかりやすく解説されており、別添の「様式」がテンプレートとなっています。東商ではBCP策定のセミナーやワークショップも開催しているため、活用してもよいでしょう。

※その他、下記資料もBCP作成にあたり役立ちます。
●各都道府県発行のガイドライン
各都道府県が発行しているガイドライン等が一覧形式で示されています。想定している災害など特性が顕著なサイトもあるため、企業の立地に応じて参照するとよいでしょう。
●業界・経済団体等が発行しているガイドライン
(社)不動産協会、日本証券業協会、(社)全国建設業協会など、業種ごとに加盟企業向けのガイドラインが示されています。
●省庁別リスク別ガイドライン
国土交通省からは突発的に被害が発生するリスク(地震、水害、テロなど)に関するガイドライン、厚生労働省からは新型インフルエンザを含む感染症、水不足、電力不足などに関するガイドラインといった、個別リスクに関するガイドラインが示されています。
●事業継続計画書(BCP)を1時間で作成しよう!
本サイト内の過去記事です。こちらも是非参考にしてみて下さい。

BCPを改善し続けるBCMの考え方

せっかく策定したBCPも、「陳列するような立派な形式のBCP文書を作成した。バインダに綴じこんでしまい、所在が分からない」、「文書作成にこだわりすぎ、テストや演習、訓練をしていない」などといったことがあると、いざというときにうまく機能しません。
机上で作られただけのBCPでは、実際に動こうとしても、必要な物がない、想定した手段・方法が機能しないなどのトラブルにより、なかなか計画通りにいかないものです。
そのような事態を防ぐためには、常日頃から、いざという時に必要となるモノや情報を管理しておき、決められた手段・方法が実際に機能するかどうか実際に行うなどの確認をし、メンテナンスが重要となってきます。
このように、有事の際に適切な行動を行えるようにするための管理のしくみを「事業継続マネジメント(Business Continuity Management)」略してBCMといいます。BCPはその具体的な手続きを記載した文書、いわば成果物です。
BCMは一般的に下記の5つのPDCAサイクルによって運用されています。

1、事業の理解
2、BCPサイクル運用方針の作成
3、BCPの構築
4、BCP文化の定着
5、BCPの訓練、BCPサイクルの維持・更新、監査

社内でBCPを風化させずに機能させるためにも、適宜社内告知やメンテナンスを怠らないようにしていきましょう。

まとめ

東京商工会議所が平成27年に実施した調査によれば、BCPを策定していない理由は「ノウハウ・スキルがない」が約6割と最多でした。たしかにBCPを一から作成することは労力・時間の面でも、また外部に依頼する場合はコストの面でも負担が大きいもの。しかしご紹介したテンプレートに沿って欄を埋めていけば、短時間で要領よくまとめあげることが可能です。
その他、「社内調整や意思決定が進まない」という声もよく聞かれるところ。総務部門など、社内業務に詳しく全社に顔の利く社員を担当者に起用することで、各部署とのコミュニケーションが活発化し全社的な協力関係が生まれることが期待されます。緊急事態に迅速に対応できるためには、地道な努力が不可欠。ご紹介したサイトには様々な課題解決の事例が取り上げられているのでこれらも参考にしつつ、有事への備えを万全としたいものです。

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