BCPのための助成金に含まれるものと申請の流れについて

BCPのための助成金に含まれるものと申請の流れについて

2018年もさまざまな災害が相次ぎました。最近では想定外の災害に見舞われることも多くなってきています。災害はどんな場所、どんな時でも起こりうるものとして捉え、しっかりとBCP(ビジネス・コンティニュティ・プラニング=事業継続計画)を策定する必要があります。

BCPのための物品やシステム導入にはまとまった資金が必要ですが、国や自治体が助成金、補助金を負担してくれる場合があります。ここではそれらの条件や申請の流れなどを説明します。

BCPの助成金・補助金とは


BCPのために、国や地方自治体は助成金制度を設けています。緊急事態が生じた時に、BCPを作成している場合とそうでない場合とでは事業の回復に大きな差が出ます。実際に東日本大震災の時に、車の部品製造企業の生産がストップし、その部品を使用している車の製造がすべて止まってしまったことがありました。このように、一つの企業が関連企業に重大な影響を与え、ひいてはそれが国全体の経済状況に影響を与えてしまうこともあります。

そこで、国や各自治体がBCPを作成している企業に対し、対象となる物品やシステムの導入に関して助成金・補助金制度を確立しています。そうすることで万が一の時にも国や自治体が弱体化するのを防ぐことができるからです。

BCPのための助成金・補助金を受けるには、審査に通る必要があります。この募集は予算の都合上、募集期間内でも締め切られてしまう可能性があるので、申請する場合は、審査基準を満たせるようなプランをあらかじめ立て、募集期間がスタートしたらすぐに申請できるように準備をしておきましょう。

どのくらいの助成金や補助金が出るかは国や各自治体によって異なりますが、多くの場合、かかった費用の2分の1から3分の2を負担してもらうことができます。
ただし、BCPの助成金・補助金はかかった費用に対して支払われるため、後払いとなります。そのため、BCPの資金はあらかじめ全額準備しておく必要があるので注意が必要です。

災害やテロに遭っても慌てずBCPで決められた優先事項に沿って行動し、事業が滞るのを防いで迅速な復旧作業を開始するのは非常に大切なことです。政府や自治体もこの重要性を認識しているからこそ、助成金制度を作っているのです。

BCPの策定は、信頼できる企業であるとの評判を築くうえでも役立ちます。「この企業は万が一の事態になっても、稼働できるよう準備を整えている」と思ってもらえれば、安心して取引に応じてもらえることでしょう。

参考:
一般社団法人 日本自動車部品工業会 BCPガイドライン
東京都中小企業振興公社 BCP実践促進助成金募集要項

助成金・補助金の例


それでは具体的に、BCPのための助成金はどのようなものが対象で、どれくらいの金額を負担してもらえるのかを見ていきましょう。ここでは東京都と品川区の2つの例をご紹介します。

東京都

東京都中小企業振興公社が主催するBCPのための助成金の対象は、下記のような物品の購入やシステムの導入です。

【対象となる物品】

自家発電装置や蓄電池、飛散防止フィルムや転倒防止装置などの設置、水や食料などの従業員のための備蓄品、毛布、浄水器、簡易トイレ、水害対策のための土嚢や止水板

【対象となるシステムの導入】

データ管理用システム、データバックアップシステム、従業員の安否確認のためのシステム

耐震診断にも助成金が出ますが、あくまでも診断に限り、改修工事費などは対象外です。都内に本社があるなら、BCPのための設備を設置するのが支社であっても、神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、茨城県、栃木県、山梨県の事業所に限り有効です。

【助成額】

限度額は1,500万円まで、かかった費用の2分の1まで助成

品川区

品川区のBCPのための助成金制度については、以下のように決められています。

【対象となる物品】

BCPにかかる内容のコンサルティング費用、耐震診断費用

【助成額】

100万円を上限とし、費用の3分の2まで助成

こうした助成金、補助金の制度は、企業にとって大きな助けになることでしょう。
BCPのための費用は非常に重要性が高いものの、会社の利益に直結するわけではありません。BCPのためにどれだけお金をかけたとしても、企業のイメージアップにつながるとはいえ、事業利益が出るということでもありません。そのため、これらの必要経費に対して助成金が用意されるのは、企業にとっては大きな支援といえるでしょう。

会社のある地域の自治体がBCPの助成金制度を打ち出しているか、まずは確認してみることをおすすめします。毎年応募期間が決められていますが、助成枠が埋まってしまった時点で応募期間内であっても締め切られることがあるので、早めに準備・応募することが大切です。

参考:
東京都中小企業振興公社 平成30年度 BCP実践促進助成金の申請案内
品川区 BCP策定費用助成企業の募集について

申請までの流れ


次に、BCPの助成金の申請の流れについて見ていきましょう。

東京都

東京都中小企業振興公社によるBCP助成金申請の流れは、次のようになります。

  1. BCP策定
    下記のいずれかに該当する必要があります。
    ●平成28年度以前の、東京都または公社が定めたBCP策定事業に基づいて策定したBCP策定であること。
    ●平成29年度以降に、公社が実施したBCP策定講座を受講し、その内容に沿って作られたBCPであること。
  2. 申請
    東京都や公社に対する支払い義務のあるものを延滞していないなどの条件を満たしている必要があります。
  3. 審査会
    書類を確認し、その企業が助成金を受ける資格があるかどうかを審査します。
  4. 交付決定
    企業が都や公社の基準を満たしていると見なされれば交付が決定されます。
  5. 事業実施
    企業がBCPに必要な品物を購入したり、システムを導入したりします。
  6. 完了報告
    BCPの策定に基づいたすべての作業が終了したら、公社に完了報告をします。
  7. 完了検査
    企業がきちんとプランどおりにBCPを実施したか、検査します。
    ※申請後、必要に応じ現地調査が行われる場合があります。
  8. 額の確定
    かかった費用に対する助成金の額が確定されます。
  9. 助成金の請求
    企業側から、必要書類を提出し助成金の請求を行います。
  10. 助成金支払い
    公社から助成金が支給されます。
    ※企業側は、助成事業完了後5年間、設備の稼働状況等について報告義務があります。

品川区

品川区のBCP助成金制度の申請の流れは、次のようになっています。

用意するもの

  1. 品川区BCP策定費用助成金交付申請書
  2. コンサルティング等受講内容計画書また経費内訳書
  3. 発効から3ケ月以内の履歴事項全部証明書
  4. 法人事業税納税証明書また法人都民税納税証明書
  5. BCP策定助成費用申請提出書類チェックシート

準備が整ったら品川区立中小企業センターに来所し、書類の提出とともに会社・事業所の状況や助成後の成果物などについての説明を行います。その後内部審査を経て助成金の決定がなされます。助成金が交付されることが決まったら、かかった費用のわかる領収書や策定したBCPを添付した実績報告書を提出します。

それによって助成金額が決定され、企業側からの請求書発行を経て、1ケ月以内に助成金が企業に振り込まれる、という流れになっています。東京都と品川区の例からわかるように、助成金の申請から実際に給付されるまでには、ある程度の日数がかかります。普段からBCP策定をしっかりと定めておき、余裕を持ったスケジュールで申請をしましょう。

参考:
東京都中小企業振興公社 BCP実践促進助成金募集要項
東京都中小企業振興公社 平成30年度 BCP実践促進助成金の申請案内
品川区 平成30年度BCP策定費用助成企業の募集要項

まとめ

近年、世界中で多発する大災害や大火災、テロ攻撃による被害などを考えると、日本においても企業はBCP策定を真剣に取り組むべき優先事項であるといわざるを得ません。もしBCPについて、考えてはいるが会社として方針が定まっていない、以前から懸案事項として存在しているがまだ手をつけていないという場合、まずは会社としての防災意識を高めるところからはじめてみてはいかがでしょうか。

緊急事態が発生した時に少しでも早く通常に近い状態で業務を稼働できることが、顧客からの信頼の存続や従業員の雇用保守につながっていくことでしょう。

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