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【環境に優しく、災害に強い】環境と危機管理を一体に捉える「エコBCP」の取り組みとは?

2011年3月11日の東日本大震災では、最大震度7の大きな揺れ、10メートルを超える巨大な津波、そして福島第一原子力発電所事故、その後の計画停電や燃料供給不足など、様々な災害が立て続けに発生して被害が拡大する「複合災害」となりました。

この経験から、甚大な被害がもたらされる大災害に備える「防災」と、限りあるエネルギーを効率的に使用する、「エコ」とを一体のものとして考える「エコBCP」という概念が登場しました。

「エコBCP」は平常時も災害時も等しく利点がある?

「エコ」、そして「防災」という二つの概念は共に新しいものではありません。

「防災」という概念の登場は、日本において古くは1923年の「関東大震災」にまで遡ります。関東大震災をきっかけに、「災害への備え」の重要性が認識され、「防災の日」などが制定されたほか、注意喚起・啓蒙活動が盛んに行われてきました。

一方の、「エコロジー」という概念は、1970年代に「自然保護」や「反核」などを訴える市民運動が政治化した後、地球温暖化の影響が顕著になり始めると、世界中で認知される概念になりました。

「エコ」でエネルギーコストを削減するだけでなく、「防災」にまで取り組められれば、「一石二鳥」です。今回は、そんな「エコBCP」の取り組みを紐解いていきます。

徹底した省エネ技術と災害時のBCP機能

ビル エコ

はじめに、大手総合建設会社、清水建設株式会社の取り組みをご紹介します。

日本の多くの建設会社は、当然のことながら、「環境」と「防災」双方において優れた技術と実績を有しています。しかし、「環境とBCP」を一体のものとして捉えたビルや複合施設の建設に一歩先んじているのは清水建設と言えます。

清水建設が「環境とBCP」への取り組みを強めたきっかけも、東日本大震災でした。

これまでは、LED照明の活用や太陽光発電などの「環境対策」と、非常用電源設備・耐震構造といった「防災対策」はそれぞれ別のものとして考えられていました。しかし、震災直後の計画停電・ピーク時の節電要請などを通して、「エネルギーの自立的確保」への要望が高まったことなどから、あらかじめ「環境」と「BCP」を組み込んだ施設の重要性を認識したそうです。

清水建設が定義する「ECO-BCP」は、「快適な省エネ」・「確実な節電」と、「巨大地震/津波対策」・「エネルギーの自立性確保」という4つの柱からなります。

そんな清水建設の新本社ビルは、「ECO-BCP」のショールームとして公開されています。

新本社ビルの設計にあたっては、耐震・免震構造はもちろん、太陽光発電、LED照明、マイクログリッドシステムまで、あらゆる省エネ技術を導入し、「徹底的で確実な節電設備」が特徴です。

清水建設の公式ホームページによると、これらの徹底した省エネ技術によって、CO2排出量は東京都に所在するオフィス平均の62パーセント(年間3000トン)の削減に繋がっているそうです。

そして、災害発生によって停電が生じた場合は、これら「省エネ」の設備や蓄電池等を組み合わせることで、「エネルギーの自立的な確保」に役立てます。さらに、非常食・飲料水は約4,000名分が備蓄されており、交通網の混乱・寸断などが発生した際には清水建設の従業員以外にも、京橋周辺で被災した帰宅困難者も収容・一時退避が可能な対策を講じています。

あらゆる「省エネ技術」と、万が一の際の「エネルギーの自立性確保」を備えており、平常時は「節電」、災害時は「BCP」の機能を果たす計画がビル全体に行き届いているといえます。

化石燃料への依存を減らし、「環境」と「危機管理」を両立させる

エコ 燃料

運送事業者である佐川急便株式会社は、災害対策基本法に基づく「指定公共機関」に指定されています。災害などの緊急事態が発生した際に、国や地方公共団体と協力し、車両の提供などを通して対処することが義務付けられています。

また、法令に基づく貢献の他にも、平常時から化石燃料への依存度を減らし、かつ、災害時においても確実な事業継続可能な仕組みを取り入れています。

その一端を担うのは天然ガストラック・電気自動車の活用です。

天然ガスを利用した自動車は、もともとは1970年代のオイルショックから始まり、自動車燃料が石油由来燃料に過度に依存しているという、自動車会社の危機感から開発が進められていた自動車です。

ガソリンエンジン・ディーゼルエンジンが主流を占める中、佐川急便では1997年から積極的に天然ガストラックを導入しているそうです。

天然ガストラックの特徴は、従来のディーゼルエンジンで駆動するトラックと比較してCO2はもちろん、黒煙、NOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)の排出量が圧倒的に少ないクリーンな排気にあります。

また、天然ガスはディーゼル燃料(軽油)よりも安価なことも強みです。東京23区内の平均燃料価格は、ディーゼル燃料(軽油)価格が106.6円/リットル(2016年1月12日)に対し、天然ガス(オートガス)価格は81.9円/リットル(2016年1月平均)となっています。原油価格の下落が続いた2016年1月の価格であることを念頭においても、天然ガス価格は安価であるといえるでしょう。出典:石油情報センター

クリーンな排気による「エコ」と、安価な燃料で「コストの削減」に役立っているほか、通常時から化石燃料への依存を減らし、東日本大震災直後に発生した燃料不足を想定した備えにも繋がっていると言ってよいでしょう。

さらに、2015年2月からは、大手町・丸の内・有楽町エリアで日産自動車製の電気自動車を導入。電気自動車のため、走行中にCO2は排出されません。稼働する配送地域を、「大丸有エリア(大手町・丸の内・有楽町)」に絞ることで、電気自動車特有の「航続距離が短い」という弱点をクリアしています。

万が一地震などの災害によって停電が発生した場合は、普段の配送エリアにおいて電源供給車として運用され、地域のBCPに役立てるそうです。

普段からの取り組みが、非常時に役立つ

都市 手 地球

清水建設と佐川急便の取り組みを参考に、今から取り掛かれる、「環境と防災」一体の取り組みはあるでしょうか?

清水建設のように、通常時からの節電で、電力コストを下げることで「環境負荷」と「事業コスト」双方の縮減につながることは間違いありません。

とはいえ、やみくもに電気を消したり、PCなど機械を減らしても意味はありません。業務に支障を出さないだけでなく、「快適」である必要があります。

また、「防災」に関しても、計画や想定がないまま非常食や飲料水を備蓄したとしても、万が一の時に役立つものではありません。あらかじめ、どんな状況に陥る可能性があるのかという想定と、事業を継続するための計画が必要です。

佐川急便の取り組みからは、「普段からの化石燃料への依存度を減らす」という施策が見えました。しかし、業務で車を使用する会社の場合でも、いきなり全ての社用車を電気自動車に更新することは難しいと思います。

そこで、社用車をハイブリットに更新するのも一つの方法といえるでしょう。

ハイブリット車の燃料は通常のガソリン、またはディーゼル燃料(軽油)です。電気自動車のように自社内に給電スタンドを設置する必要もありませんし、通常のガソリン車などをはるかに超える航続距離も特徴で、通常時には燃料コストの削減につながります。

また、乗用車・ワゴン車・トラックなど、バリエーションも豊富で、業種や用途にあった車両を導入できます。

車内に電気コンセントを装備している車両では、停電時の電源として利用することも可能。複数台導入すれば、1台は電源供給車、1台は人員・物資移動に用いるなど、柔軟に使い分けることでBCPに役立ちます。(車種・グレードによっては電源コンセントが装備されていない場合があります)

「エコ」は、もはや一部の企業が取り組んでイメージアップを図る施策ではありません。すべての企業が取り組むべき社会的要請といえるでしょう。そして、東日本大震災のような大規模な災害・地震の発生を想定し、「エコ」と、「防災」双方への対策が求められています。

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