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新年度だから策定したい!災害マニュアル作成のポイント4点

地震、津波、台風など、しばしば大きな自然災害に見舞われる日本。あなたの会社では、そうした災害に備えてしっかりと対策ができていますか?

予期せぬ大地震の際、誰が対応を指揮するのか、被害状況についての情報をどのように得るのか、非常用備品はどこにあるのか等、会社としての対処の仕方を、きちんと把握できているでしょうか。
もし対応が遅れて被害が拡大したり、従業員が危険にさらされたりすれば、会社として責任を問われることになります。

こうした事態を防ぐために必要になるのが「災害マニュアル」

災害時の対応を事細かに示したマニュアルを作成しておくことで、従業員に対し、落ち着いた行動を促すことができます。

という訳で今回は、基本的な災害マニュアル作成のポイントを4点ご紹介します!

災害マニュアル作成のポイント4点

災害マニュアルに盛りこむポイントには、「災害発生時の組織体制」「従業員の安否確認方法」「情報の収集と提供」「非常用備品の管理」の4点が挙げられます。

1、災害発生時の組織体制

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速やかに災害本部を設置して、対応にあたるため、対策本部の設置基準、設置場所、そして各対応業務の責任者を明確に定めておきましょう。迅速な意思決定が求められるため、陣頭指揮は組織のトップである社長が取ることが必要です。具体的な作成例は以下をご覧下さい。

作成例:

・設置時期
震度5強以上の地震、大型台風など、自然災害について、気象庁が当地域に警報を発令した時点。その他の災害および事故・事件では社長等が判断。

・設置場所
(1)第一設置場所:◯◯ビル(◯◯町◯◯丁目◯番)
(2)第二設置場所:△△ビル(△△町△△丁目△番)

・責任者一覧
災害地、社内、周辺の被災情報の収集、記録、報告 (責任者:⬜︎⬜︎⬜︎)
他事業所、関係会社との情報交換、支援の要請 (責任者:⬜︎⬜︎⬜︎)

災害本部を設置するタイミングや責任者をはっきりさせておけば、従業員がとまどうことはありません。また、本部の設置場所を2カ所決めておくことで、第一設置場所が使えなくなってしまった時に対応しやすくなります。

2、従業員の安否確認方法

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災害本部を起点に、会社業務の復旧や被害状況の情報収集を行うのはもちろん、従業員の安否確認をすることも大切です。社外にいても安否確認ができるように、連絡体制を作っておきましょう。

この時気をつけたいのが、複数の連絡手段を用意しておくことです。2011年の東日本大震災の際は、多くの人が一斉に連絡をしたことで回線が混み合い、通話ができない、Eメールが届かないという状況に陥りました。

従業員の電話番号、Eメールアドレスを控えて緊急連絡網を作った上で、もし通じない場合は別の手段で連絡を取れるようにしておきましょう。伝言板にメッセージを残すことができるNTTの「災害伝言ダイヤル」や、Facebookのグループ機能を使うなど、SNS上で連絡を取り合える体制を作っておくことも効果的です。

個人のSNSアカウントを全社で共有するのは難しいかと思いますが、部署ごとなど、小さな単位でSNSグループを作ることはさほど難しくないでしょう。

3、情報の収集と提供

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災害時にもっとも大切になるのが情報。正確な情報をすばやく集め、共有していくことで、各人が次にどういう行動をとれば良いか、明確になっていきます。

災害の種類や会社の実情に応じて、どのような情報を誰が収集し、提供するのかを明確にしておきましょう。収集する情報の項目例としては以下が挙げられます。

情報収集の項目:

・建物の被害状況
・周辺環境の被害状況
・交通機関や道路の被害状況
・病院やライフラインの被害状況
・顧客、サプライヤーとの連絡
・被災した従業員の生活サポートについて
・行政機関等との連絡

情報収集、提供は複数人で連携して行うのがベスト。個人が手一杯にならないように、情報受信者、情報整理者、情報発信者という形で役割を決めて、スムーズに情報を集めて発信できるような体制を作りましょう。

4、非常用備品の管理

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「入ってきた情報によれば、交通機関が全てストップしてしまい、どうにも会社から出られそうにない…。」

そんな状況で力を発揮してくれるのが、非常用備品。具体的には、最低限の食料、急病人を介抱するための医療セット、ヘルメット等の身を守るための装備などが挙げられます。

マニュアル内で設置場所や内容物を決めておくことはもちろん、食料が期限切れになっていないかどうか等、定期的なチェック体制についても確認しておくべきでしょう。毎年◯月◯日には管理担当者が現在の数量、保存状態を確認し、関係者に周知すると決めておけば、災害時に備品が利用できない、という不足の事態を避けることができます。

非常用備品規定の例:

・食料
飲料水、食品(カンパン、カップ麺、缶詰など)

・生活用品
毛布・タオル、炊き出し道具、食器セット、ポリタンク、ティッシュ、軍手、防塵マスク

・各種機材
防水シート、土嚢、ロープ、救急箱、懐中電灯、ヘルメット、はしご

・感染症対策
消毒液、体温計、感染防止の手袋、感染症対策用マスク

食料、生活必需品に加えて、身を守るために必要なヘルメットなどの防護用品、感染症防止用品など、幅広く揃えておきましょう。

すべては従業員、会社を守るため。シミュレーションも忘れずに!

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各項目について会社内できちんと精査し、災害マニュアルが完成したとしても、それだけで安心してはいけません。

マニュアルを作るのは、従業員の安全を守ること、そして事業をより速やかに立て直すことが目的です。その目的を達成するためには、いざという時に従業員全員が、マニュアルを元に行動を起こせなければ意味がありません。

定期的な防災訓練を実施したり、電話やメール、SNSによる連絡のシミュレーションを行ったりすることで、緊急時の行動を具体的にイメージできる状態にしておくことが重要です。

地震、台風…..いつどのような大災害に見舞われても不思議ではありません。災害が起きてから慌てふためくことのないよう、以上の4つのポイントをもとに、今一度、災害マニュアルを見直してみてはいかがでしょうか。

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