【首都直下型地震に備える】帰宅困難者対応マニュアルをリアルに考える

【首都直下型地震に備える】帰宅困難者対応マニュアルをリアルに考える

あなたの会社では、突然の震災の備えはできていますか。

2011年3月11日、午後2時46分。東日本大震災が発災し、鉄道やバス、タクシーなど、公共交通機関の多くが運行を停止。平日の昼間の発災だったこともあり、通勤・通学している人々の帰宅手段が閉ざされてしまいます。そんな中、早期帰宅を促した企業もあり、結果、首都圏で515万人の帰宅困難者が発生しました。

実は、首都直下型地震では、東日本大震災当時の帰宅困難者数と近い、517万人の帰宅困難者の発生が想定されています。当時の様子から学び、帰宅困難者対策マニュアルを製作し、自社の従業員はもちろん、来社中の顧客や取引先、そして未来の顧客になるかもしれない観光客などの滞留者*も守りましょう。

*滞留者とは、通勤・通学している人々や商用・観光をしている人々のこと

ここでは、担当者がマニュアルを策定する際に役立つ情報を、事前の対策といざという時の帰宅困難者対応に分けて、自助・共助の観点から解説します。

平常時に準備できる5つの帰宅困難者対策

帰宅困難者対応マニュアルといっても、どんなことを想定し、準備しておけばいいのでしょうか。まずは、必要となる対策について確認してみましょう。

平成24年9月10日、首都直下地震 帰宅困難者等対策協議会の最終報告が発表されました。この報告書によると、下記の5つの取り組みを行うことが求められています。

(1)施設内待機方針の策定と従業員への周知
事業所防災計画を参考に、施設内待機に関する計画を定めておきましょう。
*複合ビルの場合は、ビルの管理施設者や他の入居者と、役割分担を確認しましょう。
*いざ被災したときの行動計画について、冊子を配布するなど、従業員に周知しましょう。

(2) 施設内待機のための備蓄について

■施設内に備蓄を用意します。オフィスが広い場合は、エレベーターが停止した場合に備え、備蓄品を分散させておきましょう。
*避難通路を防ぐと、消防法令に違反します。場所に気をつけて保管しましょう。
*備蓄量の目安は3日分とされます。共に助け合うことで、まちに訪れた人たちをまもるという、共助の観点から、外部の帰宅困難者(来社中の顧客など)のため、10%程度余分に備蓄することを推奨します。具体的な量の目安は下記のとおりです。

・水については1人あたり1日3リットル(ペットボトル入り飲料水など)
・主食については1人あたり1日3食(アルファ化米、クラッカー、乾パン、カップ麺など)
・毛布(保温シード)については1人あたり1枚
・その他、簡易トイレ、衛生用品、敷物、救急医療薬品類

その他の必要なものに関しては、以下の記事を参考に揃えてみてください。

(3)施設の安全確保
■東日本大震災では都内のオフィスの20%で、家具の転倒・落下・移動があったといわれます。これらの防止対策、ガラス飛散防止対策に努めましょう。
災害発生時の建物内の点検個所をあらかじめ定め、自社の環境に合わせたチェックリストを作成しておくことも大切です。
*停電時の対応、また高層ビルについては揺れの大きい地震への対策を講じておきましょう。

「もっと整頓しておけば」を防ぐためのオフィス防災の基本

(4)従業員等との安否確認手段の確保、従業員等とその家族の安否確認手段の情報周知

■従業員との連絡の手段をあらかじめ定めておくとともに、その家族との安否確認手段を周知する必要があります。安否確認をするには、下記のような災害伝言板サービスを複数用いることをおすすめします。

災害伝言板サービスとは、通信の混雑の影響を避けながら、家族や知人との間で安否確認や避難場所の連絡などをスムーズに行えるサービスのこと。災害時に、固定電話、携帯電話、PHSなどの電話番号宛に安否確認(伝言)を音声で録音することで、全国どこでもその音声を確認することができます。

・災害用伝言ダイヤル171(音声ネットワークを利用)
・災害用伝言板、SNS、web171(パケット通信ネットワークを利用)
・安否確認システムの導入

安否確認システムとは?28サービスの比較からメリットまで徹底紹介!

毎月1日・15日は災害用伝言板サービスの体験利用が可能です。

(5) 訓練等による定期的な手順の確認
■従業員の居住地などを把握し、帰宅の順序をあらかじめ定めておきましょう。
*年1回以上の訓練を定期的に実施しましょう。

発災時の帰宅困難者対応


では、実際に発災したとき、どのような状況が考えられるのでしょうか。災害発生時の支援活動の範囲は、自助と共助の観点から下記のように分けられます。

対象 主体 災害時の対応
自社
従業員など
事業者 【自助の徹底】
事業所内での待機、宿泊
東京都帰宅困難者対策ハンドブックを活用した対応
滞留者 駅周辺滞留者対策推進協議会 【共助による支援】
・地域における一時滞在施設の案内/誘導
・情報提供
・支援物資の搬送、提供
・一時滞在施設への運営協力 等
■各地域の「滞留者支援ルール」に基づく対応
滞留者 事業所保施設 【共助による支援】
・滞留者の事業所内への受入、案内
・施設滞在者への飲食料や情報の提供 等
「一時滞在施設運営マニュアル」を活用した対応

(港区民間事業者向け一時滞在施設運営マニュアルより)

(1)自助:自社の従業員を守る(上図の青色部分)
自社にいる従業員を守るためのチェック方法、帰宅困難者対応例は以下の通りです。自社の状況に合わせて考えましょう。

①安全点検のためのチェックリストに基づき、施設の安全を確認しましょう。
②周辺の火災状況等を確認し、安全な場所に従業員および来社者を待機させます。安全でない場合は、行政機関からの一時滞在施設や避難場所の情報を基に、案内または誘導。その際、エレベーターに閉じ込められてしまう事故などを防ぐため、危険な場所についても周知しましょう。
③備蓄場所から備蓄品を運びだし、従業員等に配布します。
④帰宅しなければならない従業員(要介護者が在宅している・乳幼児を抱える家族など)に対しては、帰宅経路の被害状況や代替輸送手段についての情報提供を行います。
⑤事業継続のための要員を除き、可能な範囲の人員で、被災者支援・復旧活動に努めます。これは共助の意味を持ちます。特に災害時要援護者*の保護等は重要です。

*災害時要援護者とは、高齢者、障害者、乳幼児、妊婦、外国人及び通学の小中学生など

*外部から災害時要援護者を受け入れる場合は、可能な限り優先的に待機スペースへ誘導するといった配慮を心がけましょう。
*障害者が必要な支援や配慮を受けるためのヘルプカードを使用する場合があることを知っておきましょう。

(2)共助:顧客・取引先など(上図の赤色部分)
勤務先にいるときに大地震に遭った場合は、その施設で安全にとどまることが基本です。移動中など屋外で被災した帰宅困難者は、帰宅が可能になるまで待機できる一時滞在施設(最終更新日:平成27年12月1日)を利用することになります。

東京都では、都立施設のほかにも、民間事業者等の協力により、一時滞在施設の確保を進めています。都内で想定される事業者従業員を除く帰宅困難者*の数を92万人と試算していますが、現状は施設が不足しています。

*事業者従業員を除く帰宅困難者とは、通勤・通学している人々や商用・観光をしている人々のこと。「滞留者」と定義

施設の不足により、民間事業者の協力が不可欠な状況となっています。企業が東京都と帰宅困難者の受入の締結をする事で、補助金が交付される制度があります。チェックしてみてはいかがでしょうか。

滞留者の受入で必要な支援活動は以下の6つです。

①滞留者を事業所内へ受入れ、該当するスペースに誘導する。(受付、誘導)
②施設滞在者へ施設使用時のルールを説明する。(説明)
③施設滞在者へ物資(水・食料・毛布等)を提供する。(物資提供)
④電話やトイレ等のインフラ施設を開放する。(インフラ提供)
⑤運行情報やリスク情報等、継続的に施設滞在者へ情報を提供する。(情報提供)
⑥社外状況に応じて施設滞在者の帰宅支援を行う。(帰宅支援)

社内マニュアル作成と参考資料

これまで、帰宅困難者対応マニュアルにはどんな準備が必要で、発災後はどのような支援が必要になるのかをご説明してきました。この章では、実際に帰宅困難者対応マニュアルの制作の手順をご紹介します。

【自助の観点から】
東京都総務局による防災ホームページからダウンロード可能な、帰宅困難者対策ハンドブックを参照するとよいでしょう。30項目からなる帰宅対応者対策チェックリストも用意されているので、マニュアル制作後の確認に活用しましょう。

【共助の観点から】
■自社が一時滞在施設に該当している場合、港区が発表している、民間事業者向け一時滞在施設運営マニュアルを参照するとよいでしょう。

■一時滞在施設に該当していない企業の場合でも、上記東京都帰宅困難者対策ハンドブックに記載されている以下の項目を重視しましょう。
○備蓄の10%ルール等、共助の推進
○地域の防災活動への参加

■東日本大震災の被災地では、女性専用のトイレや更衣室設置など、女性特有のニーズに対応していくという傾向が高まりました。これは、帰宅困難者の対策を実施する上でも、参考にしたいポイントです。事業所の女性従業員だけではなく、来訪者や受け入れた帰宅困難者の女性への配慮を念頭に置いておく必要があります。

女性のニーズは一見繊細だったりしますが、緊急時において入手しづらい場合もあります。女性特有の備蓄品目や環境の例として下記が挙げられます。

○暖が取れるものを多めに(毛布・ブランケット、靴下等)
○メイク落とし(ふき取りシートタイプ等)
○保湿するもの(化粧水、オールインワンクリーム等)
○生理用品
○ウエットティッシュ
○女性専用の部屋

マニュアル策定段階で女性も参画し積極的に声をあげることにより、女性視点での意見や要望を取り入れることも重要です。

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まとめ

備蓄もマニュアル策定も、日常の業務に忙殺される担当者としてはつい手薄になりがちな作業です。しかし「災害に強い企業」であることは、従業員から信頼を寄せられるだけでなく、顧客や取引先、地域住民からの信用にもつながります。企業イメージを高めるためにも、万が一に備え早めの対策を講じたいものです。

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