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【オフィスの火災対策】火事が起きたらどうする?防災管理者の選出方法から義務、役割に迫る

突然ですが質問です。もしオフィスで火災が起きたら、まずどんな行動を取るべきか、消化器がどこにあるのか、すぐに答えられますか。

火災といえば、たばこの火や放火などが原因と考えられるかもしれませんが、東京消防庁によると、オフィスでの火災事例には、シュレッダーや束ねたコードから出火し、火災が発生したケースがあります。そんな「まさか」の火災にも適切に対処できるよう、普段から火災訓練を行うことが大切です。

こうしたオフィスの火災対策は、誰が普段から対策を講じておくべきなのか、社内で決めておかないと不明確になりがちです。多数の犠牲者を出した2001年の歌舞伎町ビル火災など、ニュースとなった火災をふりかえると、初動対応の不手際、防災設備の不備や維持管理の不適切などが原因で被害が大きくなり、惨事に至ったケースが多く見られます。そしてこの点を追及され、火災を引き起こした会社の経営者や防災担当者が、裁判で刑事責任を厳しく問われた事例もあります。

そこで、ここでは、企業には防火についてどんなことが義務づけられているのか、違反するとどのような罰則が設けられているのかといった、「防火管理」に関する疑問をわかりやすく紐解きます。

防火管理者とは


防火管理とは、火災の発生を防止し、万が一火災が発生した場合でも、その被害を最小限にくいとめるために、「普段、誰が何をすればよいのか」、「万一火災が発生した場合にはどうすればよいのか」を消防計画に定め、日常の管理や訓練を行うことです。

また、防火管理を考える役割を「防火管理者」といいます。大きさや規模にもよりますが、ビルの所有者、または事務所の経営者・借り手(管理権原者)が、防火管理者を選出しなければなりません。

防火管理者を選任しなければならないのはどんなとき?


防火管理者は、すべての場合に選任しなければならないわけではありません。建物の用途及び建物内に居住・勤務する人や出入りする人の数(収容人員)によって、次のように定められています。

収容人員とは、建物全体での収容人員であって、テナントごとの人数ではありません。

1、非特定防火対象物

非特定防火対象物(共同住宅、学校、工場、図書館、博物館、公衆浴場、事務所、倉庫、駐車場等及び特定用途が入っていない複合用途建物)については、収容人員が50人以上の場合、かつ延べ面積が300m2以上ならば「甲種防火管理者」を選任しなければなりません。300m2未満であれば「乙種防火管理者」を選任することになります。

2、特定防火対象物

不特定多数の人が出入りする特定防火対象物(映画館、演劇場、社交場、飲食店、物品販売店舗、遊技場、病院、ホテル、サウナ施設等及び前記した用途が入っている複合用途建物)については、火災発生の際の危険も大きいため、収容人員が30人以上の場合、かつ延べ面積が500m2以上ならば、「甲種防火管理者」を選任しなければなりません。500m2未満であれば、「乙種防火管理者」を選任することになります。

ただし、複合用途対象物のテナントとして入居し、建物全体が選任義務対象物である場合は、収容人員の多少にかかわらず、それぞれのテナントごとに防火管理者の選任義務が生じます。

建物の用途と、出入りする人がどのような性質なのかによって扱いが異なるのは、たとえばオフィスビルなら特定の人のみが出入りするため、建物内にいる人が建物の構成や避難経路を熟知しており、災害時でも適切な避難・消火活動ができると考えられるからです。

しかし、不特定多数が出入りする飲食店やホテル、病院では、利用者が建物の構造や消火設備の位置を把握していないため、災害時に被害が拡大するおそれがあります。そこで特定の人が出入りする建物と、不特定多数が出入りする建物を区分しているのです。

防火管理者になるために必要な資格


「防火管理者」は、防火管理に関する知識や技能をそなえ、防火管理上必要な業務を適正に行える地位の者*でなければなりません。さらに、防火管理者となるためには次の資格が必要です。

*管理権原者自身が防火管理者を兼ねることもできます。

【防火管理者になるために必要な資格】
・消防機関又は指定講習機関が実施する甲種(2日間)または乙種(1日間)の防火管理講習の課程を終えた者(どちらの講習を受講するかは建物の模や収容人員に応じて決まります)
・防火管理者として必要な学識経験を有する者

防火管理者の役割は「消防計画の作成」「日常的な点検と訓練」


これまで説明してきた防火管理者ですが、役割は大きく分けて2つあります。

【防火管理者の役割】
1、消防計画の作成
2、日常的な点検と訓練

具体的には、以下の通りに業務を進めていきます。

【消防計画の作成の具体的な内容】
①火災予防
火災の予防として、火元の管理や、燃焼しやすいものを管理する。必要な場合は個別に管理者を選任する
②現場担当者の専任
万が一火災が起きた場合、消防の活動ができる者を選定し、担当を決め、日常的に訓練を行うこと
③設備点検
消防設備や避難通路を点検。消化器の位置や不具合の確認、業者による消防点検や電気点検などの立会いをして、それぞれの点検を記録すること
④避難場所の決定および周知
火災が燃え広がってしまった場合などに備え、避難場所を定めておくこと。また、社内の安全確保や避難時の人員管理を行うこと
【日常的な点検と訓練の具体的な内容】
消防計画に沿って、日常的な点検を行う。また、オフィスだけでなく、ビル全体の避難訓練に参加を試みたり、消化訓練を行う。

消防計画を作成する部署は、基本的には法務部で行います。法務部が設置されていない企業の場合は、総務部が消防計画を作成しましょう。

どちらもとても重要なことなので、「わかっていたけれどやらなかった」では済まされません。いつ火災が発生しても大丈夫なように、日常的に点検し、確認して、記録しておくことが大切です。

義務違反したときの罰則とは


防火管理者を選任していない場合、または防火管理業務を適正に行っていない場合には、消防法違反となり、処罰されることがあります。

【義務違反の罰則の具体的な内容】

<消防署の指示に従わない場合>
・消防署の立入検査を拒否したり、資料提出命令に従わなかった場合(消防法第4条)⇒罰金30万円又は拘留
・防火対象物全体に対する使用停止命令に違反した場合(消防法第5条の2)⇒懲役3年以下又は罰金300万円以下、法人に対しては罰金1億円以下
・防火対象物の障害を除去するようにとの命令に違反した場合(消防法第5条の3)⇒懲役1年以下又は罰金100万円以下、法人に対しては罰金100万円以下

<防火管理者の選任についての怠りの場合>
・防火管理者を選任、あるいは解任したにもかかわらず、届出を怠った場合(消防法第8条第2項)⇒罰金30万円以下又は拘留
・防火管理者を選任しておらず、当該命令に違反して防火管理者を定めない場合(消防法第8条第3項)⇒懲役6ヶ月以下又は罰金50万円以下、法人に対しては罰金50万円以下

2002年10月の消防法改正により、上記した事業所区分にかかわらず、消防署は、抜き打ちで、立入検査(査察)を行うことができます。そのときに見られるのは主に以下の5つです。

【消防署の立入検査(査定)のポイント】

①消防関係の書類の整備状況(防火管理者の選任関係・消防計画など)
②避難通路や避難口の確保状況
③消防用設備等の維持管理や点検状況
④誘導灯や消火器が適切に設置されているか
⑤防火扉や屋内消火栓の開閉に障害がないか

この結果、不備があったり、悪質であると認定されたりすると、営業停止などの行政処分を受ける場合があります。

また消防法では「両罰規定」を設けています。これは、従業者(法人の代表者、法人の代理人、法人の使用人など)が、事業主(法人又は人)の業務について違反行為を行った場合、違反行為をした従業者を罰するとともに、事業主も罰することを定める規定です。

たとえば、貸したビルの中の1つの店舗で火災が発生したとします。その店舗では火災報知器が作動しなかったり、消火器の使用期限も切れていたりと、防火活動できず、他の店舗にまで被害が及んでしまったとします。そのとき、店舗のオーナーだけでなく、貸しビルのオーナーも罰せられるのです。

直接の行為者ではない事業主が罰せられる理由は、事業主に従業者の選任、監督などについての過失があったと推定されるためです。なお、事業主は、必要な注意を尽くしていたことを証明できないかぎり罰せられることになります。

まとめ

普段は特に意識することもなく、名前だけの肩書と思いこみがちな“防火管理者”。厳しい罰則規定などや実際の裁判で問われる責任の重さを知ると、担当したくないと思った方も多いのではないでしょうか。

しかし、防火管理者がきちんと存在し、普段からきちんと対策を講じていれば、火災自体起こりにくく、万が一の場合でも避難誘導がスムーズに進むため、被害を最小限に食い止められるはず。防火管理者の役割をもう一度見直し、自社の消防計画など、見逃している点がないかどうか、もしものときに備えることが重要です。

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