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事業者のための水害保険・異常気象による大規模災害に備える

災害大国である日本で事業を営む者にとって、災害への備えは必要不可欠です。近年は、地球温暖化の影響もあり、本国でも集中豪雨による土砂崩れや洪水が多発しています。大水害に見舞われれば事業が途端に継続できなくなり、人的な被害が生じることも考えられます。水害への備えとして保険を利用することが考えられますが、そもそも企業向けの「水害保険」という商品はあるのでしょうか。この記事では、水害が事業に与える影響と水害保険について説明していきます。

水害が事業に及ぼす影響

水害が及ぼす影響
水害の原因はさまざまです。集中豪雨による洪水や鉄砲水、台風による高潮などは、度々日本を襲います。水害により社屋や工場が浸水してしまうと、事業にはどのような影響が出るのでしょうか。

工場を例に挙げると、浸水により設備や機器が故障してしまうことが考えられます。とくに繊細な精密機械がダメージを受けると稼働はストップして製品を作ることもできず、最悪の場合、工場を閉鎖しなければならなくなる可能性も……。

壊れた設備や機器はそのままでは使えないため、修理や買い替えの必要性が生じて、多くの場合莫大なコストがかかります。また、修理や交換が完了するまでは、当然ながら生産がストップしてしまうため、損失が発生し続けることになります。

水害の多い日本では、誰もが突然リスクに身をさらされる危険と隣り合わせです。それは企業も同様。実際、日本を代表する大企業が、水害により甚大な被害を受けた例も少なくありません。

例えば、2004年に福島県や新潟県で発生した集中豪雨では、大手暖房機器・住設機器メーカーの株式会社コロナが多大な被害を受けています。同社は新潟県三条市に本社を構えていますが、近隣を流れる一級河川・五十嵐川の堤防が決壊したことで社屋の1階部分がほぼ水没。変電器がショートして停電が発生し、工場1階に設置されていた機械類は、浸水により壊滅しました。

2018年7月の西日本豪雨では、岡山県倉敷市内を流れる一級河川・小田川の堤防が決壊。真備町地区だけで51人が命を落とす悲惨な被害となりました。岡山市の被害も大きく、パナソニック株式会社の岡山工場では、浸水による電気系統に故障が発生して休業を余儀なくされました。同社では水害対策として、浸水を防ぐための止水板設置を進めていましたが、その対応はあくまで水害の発生が予想される地域の工場限定のものでした。ところが、岡山工場は対象外だったため、予想外の大水害になす術がなかったのです。

水害が発生すると、被害を受けた企業は「経済的損失」「信頼の失墜」「人的被害」などで事業の継続が困難になる可能性があります。このような事態に陥らぬよう、事業者は災害への備えを怠ることができません。

水害への備えとしては、2つのパターンが考えられます。まず、水害が発生したときに被害を受けない、もしくは軽減するための対策。止水板の設置や避難経路の確認、避難場所の確保などがこれに該当します。

もう1つは被害を受けてしまった際の対策で、水害保険がこれに該当します。ただ、一般家庭向けの水害保険についてはよく耳にしますが、企業向けの水害保険についてはあまり知られていません。そもそも企業向けの水害保険は存在するのでしょうか。

参考:
産経新聞「【西日本豪雨】企業の事業継続計画、洪水被害は想定外の多さ…水害への備えの必要性浮かぶ」
リスク対策.com「スーパー豪雨にどう備える?企業の水害対策事例」
国土交通省 自衛水防(企業防災)について(工場・事業所等の浸水対策)「自衛水防(企業防災)について工場・事業所等の浸水対策」

水害に備えられる保険はあるのか

水害に備えられる保険
企業向けの保険商品の中には、水害をカバーしているものもあります。たとえば、東京海上日動の「企業総合保険」では、“偶発的な事故により生じた損害”が補償内容に含まれています。

企業総合保険では、建物や機械、商品、什器などに被害が生じたときに補償が受けられます。保険期間は1~5年で設定が可能ですが、地震危険補償特約を付帯した場合は、1年を越す長期の契約ができないため注意が必要です。

保険金の支払方式は、実損払方式と比例支払方式の2タイプが用意されています。前者は保険対象物の価額に約定付保割合を加えて金額を設定するのが特徴。後者は保険対象物の価額評価および約定付保割合を設定しません。

三井住友海上にも水害に備えられる保険があります。「ビジネスキーパー」と呼ばれる商品がこれに該当し、補償内容の異なる3種類のプラン(スタンダードプラン、スリムⅡプラン、スリムⅠプラン)から、ビジネスの規模に合わせてプランを選ぶことができます。たとえば、スタンダードプランなら水災は100%補償されますが、ほかのプランでは最大70%の補償となっています。ビジネスキーパーでは、休業損害や財物損害、もしくはその両方の補償を、事業形態に合わせて選ぶことができます。また、建物の保険料割引が可能な「築年数割引」や「長期契約割引」など、さまざまな割引制度を利用することで保険料を抑えることが可能です。

損保ジャパン日本興亜の「店舗総合保険」は、火災や台風などによる風災のほか、洪水による水害も補償内容に含まれている保険です。「給排水設備の事故などによる水漏れ」「持ち出し中の家財の損害」「盗難による被害」なども、守備範囲広く補償されます。

楽天グループの楽天損保がリリースしている「企業総合保険」も、企業をとりまくさまざまなリスクをまとめて補償してくれる保険です。財物の損害はもちろん、さまざまな喪失利益も補償内容に含まれていて、社屋や店舗・工場など、物件の種類を問わず、包括的にカバーしてくれます。保険の期間中に新たな物件を手に入れた場合、その物件は自動的に補償の対象になります。新規で契約を行う必要がないため、手続きの簡略化が可能。また、多彩な割引制度を導入しているため、リーズナブルな保険料も魅力的です。

このように企業を対象にした水害保険は、いくつかの保険会社から販売されています。このあとは、それぞれの保険の具体的な補償内容についてチェックしていきます。

参考:
三井住友海上「ビジネスキーパー(一般物件用)補償内容」
東京海上日動「企業総合保険(財産補償条項)商品概要」
損保ジャパン日本興亜「店舗総合保険」
楽天損保「企業総合保険」
楽天損保「企業総合保険 企業が保有する財物の損害や喪失利益をまとめて補償することができます」

どのような補償内容になっているか

水害保険の補填内容
それでは、具体的な補償内容について、順に確認していきましょう。

東京海上日動の企業総合保険の場合、補償内容の異なる6種類のプラン(プラン1~6)が用意されています。なかでも、企業総合保険において水災をカバーしてくれるのはプラン3~6となるため、水害への備えとする場合はこれらから選ぶことになります。

水災で生じた損害への保険金支払方式は「浸水条件有型実損払方式」と「浸水条件無型実損払方式」の2種類です。前者では、建物に保険価額の30%以上の損害が起きた場合や、地盤から45cmを超える高さまで浸水して損害が発生した場合に保険金が支払われます。また、同様の条件の浸水で、建物内の設備や商品などが損害を受けた場合も保険金が支払われます。

三井住友海上のビジネスキーパーの基本補償では、財物損害と休業損害のどちらか、もしくは両方を選べます。また、財物損害については、補償内容の異なるスリムⅠ、スリムⅡ、スタンダードの各プランから選択しますが、水害による損害を100%補償してくれるのはスタンダードプランだけなので、加入の際には注意が必要です。

損保ジャパン日本興亜の店舗総合保険では、台風や暴風雨などによる洪水や落石などの被害が補償されます。設備や什器、商品に被害が出た場合は、地盤面からの高さが45cmを超える浸水に対し、保険金額×5%の保険金が支払われます。1事故・1敷地内の限度額は100万円までとなり、建物家財の補償は、損害割合が15%以上30%未満のケースで保険金額の10%が、さらに30%以上のケースになると保険金額の70%、もしくは損害額×70%のどちらか低い額が、保険金として支払われます。

楽天損保の企業総合保険では、財物補償と費用・利益補償が基本です。水災における財物補償では、自己負担額(免責金)として10万円が標準で設定され、支払われる保険金は、実際の損害額から、この免責金額を差し引いた額となります。支払われる保険金の種類は、臨時費用保険や残存物取片づけ費用保険金、修理付帯費用保険金など、さまざまな名目に分けられています。

参考:
三井住友海上「ビジネスキーパー(一般物件用)補償内容」
東京海上日動「企業総合保険(財産補償条項)商品概要」
損保ジャパン日本興亜「店舗総合保険」
楽天損保「企業総合保険」
楽天損保「企業総合保険 企業が保有する財物の損害や喪失利益をまとめて補償することができます」

まとめ

水害の多い日本では、体力のある大企業であっても大きな被害を受け、ビジネスが危機に陥ってしまう可能性があります。しかし、普段から適切に準備をしておけば、たとえ大きな被害に見舞われたとしても、その影響を最小限に食い止めることができます。もちろん、水害に見舞われないことが理想ですが、ビジネスを守るために、水害保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。

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