【病院の防災対策】災害時医療のあり方と理想的な避難訓練、BCPとは

【病院の防災対策】災害時医療のあり方と理想的な避難訓練、BCPとは

深夜の病院にて、大震災が発生。救急棟が全域停電し、ガス、水道などインフラが止まった中での、けが人の受け入れ……。

このとき病院関係者は「まず何を行うべきか」、突然尋ねられて答えられる方はいるでしょうか。自分の役割がはっきりせず、適切な初動対応がわからない方もいるかもしれません。

緊急時に対応できるようにするためにある避難訓練も、形骸化してしまえばただのイベントにすぎません。では、どのような形で行うべきか。避難訓練の仕方、およびマニュアルの作り方を、今一度確認してみましょう。

【事例紹介】熊本地震で感じた災害訓練の重要性

病院で避難訓練をしているとしても、決まりきったシナリオばかりでは、緊急事態に対応できません。

2016年4月14日の熊本地震のとき、冒頭でお話したような事態に陥った病院がありました。その病院は“東日本大震災に200名以上の要員を派遣した経験から、2012年に災害対策作業部会を設置、マニュアル・初動ポスター・アクションカードを整備し、年6回も災害訓練を進めていた”そうです。だからこそ、救急棟の停電が起きるなど、想定外の事態に陥ったとき、職員が一丸となって臨機応変に対応できました。

また、あらゆる自体を想定した災害訓練は、当時研修医だった方が現場で動ける要因になり、自信が得られる経験だったとも書いてあります。このように、現場で機能する訓練を行うには、どうしたらいいのでしょうか。

病院の防災対策に必要な3つのポイント

ここでは、避難訓練にはどんな要素が必要なのか、どんな課題が多いのかを確認しましょう。東日本大震災のとき、実際にあった状況からご説明します。

・けが人など患者は医療救護所*に集まると思われていたが、実際は医療機関に集まったこと。
・医療救護所には点滴台や薬がないが、医療機関は医療器具が揃っていて、医療活動を行いやすいこと。
・津波の被害に遭ったことで、災害拠点病院が医療活動を行えない事態に陥ったこと。そのため稼働していた他の災害拠点病院に患者が集中してしまう結果となった。

*医療救護所は、応急手当を中心とした医療救護活動を行う場のこと。

この状態を受けて、公益社団法人の全日本病院協会は、東日本大震災から学べる、病院の防災対策に必要な要素が3つあると言います。

1、混乱期の自立・自立的活動から秩序ある組織活動へ、”フェーズ”をふまえた計画が必要
2、医療需要が激増するのに反し、医療資源は激減するなか、“総力戦”で対応
3、想定外に対応できる意思決定部署が必要

この3つの要素を元に、避難訓練マニュアルを考えることが大切です。

避難訓練のありがちな課題と参考マニュアル

次に、避難訓練にありがちな課題について考えてみましょう。あなたの勤める病院に当てはまる項目がひとつでもある場合は、訓練の内容を見直すことをおすすめします。

訓練でありがちな問題点は以下の5つです。

1、高層階の会議室で災害対策本部の訓練を開始している
高層階の会議室での訓練は、震災を前提としている場合現実的ではありません。余震がきたときにエレベーターが動かない、また揺れが激しい場合があり、その場所にいられない可能性があります。なるべく低層階で災害対策本部を立てる訓練を行いましょう。2、安否確認システムやテレビ電話会議システムを導入しているが、操作方法を周知できていない
システムを導入するだけでは被災したときに活用できません。訓練のときは、実際に使用してみることが重要です。

3、マニュアルや図面、緊急連絡先リストの確認だけで訓練を終わりにしている
マニュアルをただ「確認」するだけでは十分ではありません。机上訓練として、確認および「改善」し、訓練対象者の防災意識を高められるといいでしょう。

4、失敗しない訓練。同じようなシナリオを使い続けている
いつも同じような想定シナリオで訓練を行うと、大規模災害発生時における病院の対応として十分なパフォーマンスは見込めません。

5、年中行事になっている。参加者が固定している
4と同じく、避難訓練がただの年中行事になったり、参加者が固定してしまうと、実際に被災した場合とはまったく違うただのイベント状態になってしまいます。

では、一体どのように考えるべきなのか。すでにマニュアルを制定している場合の見直し方法を考えながら、今までの内容がすべて網羅されている避難訓練のマニュアルとチェックリストを紹介します。

ここでは災害マニュアルの捉え方と、避難訓練のマニュアルをどうやってアップデートするべきなのか、考えてみます。

【病院の避難訓練マニュアルはあくまでも一部】
まずもっとも意識してほしいのは、避難訓練のマニュアルはあくまでも「マニュアル」であること。マニュアルでの訓練に加えて、研修会や先ほど説明した関係機関との連携、自治体との連携などたくさんのやるべきことがあります。

あくまで初動対応のための解説書というだけで、状況に合わせた行動が大切です。念頭に置きましょう。

【病院における防災訓練マニュアルとチェックシート】
ここでは、東京都福祉保健局が策定している「病院における防災訓練マニュアル」と「病院の施設・設備自己点検チェックシート」をご紹介します。

病院における防災訓練マニュアル
より実用的で実践に即した防災訓練の実施を支援するための、病院のとるべき処置、留意点などを提示した防災訓練マニュアル。
57ページにもおよぶ資料で、それぞれ以下の項目に関して説明されています。
・事前準備について
・本部の設置に関する訓練
・病院スタッフに関する訓練
・病棟の安全確保に関する訓練
・殺到する傷病者の受け入れに関する訓練
・建物・ライフライン設備等に関する訓練
・医薬品・医薬資器材に関する訓練
・反省会の設置■病院の施設・設備自己点検チェックシート
災害時において、病院は医療救護活動の重要な拠点であることは明白です。電気、通信機器、上下水道などライフラインに大きな被害が生じた場合も、限られた医療機能を最大限に活用し、負傷者への医療救護活動を行うことが求められます。

そこで、日頃から施設・設備の自己点検ができるようなマニュアルになっています。「水」「電気」「エネルギー・燃料」「通信設備」「医療機器等」「備蓄」「防災対策」「院内各部門」などの項目に分かれています。勤めている病院に合わせて改定し、チェックリストとして活用することをおすすめします。

まとめ

地域における病院の役割、また院内における個々人の役割がはっきりすると、大震災などの災害時に「何を行うべきか」がはっきりし、より的確な対応ができるようになります。事例からも、いつ起こるかわからない災害だからこそ、日頃の対策を重ねることが重要だということがわかりました。

マニュアルはあくまでも初動対応のための解説書です。マニュアルをベースにしつつ、地域と個々の病院に合わせた対応をすることが大切です。また、避難訓練もイベント化せず、常に参加するだけではなく、考えて訓練することが必要です。そうして、職員の防災意識を高めていきましょう。

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