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”東日本大震災から学ぶ” どうする?災害時の状況把握

災害時の状況把握手段(タイトル)

いつどこで発生するか予測できない大災害。災害が発生した時、状況把握をより早く行うことは、全ての人にとって重要なポイントとなるでしょう。安全確保はもちろんのこと、企業は事業継続についても考える必要があるという点は、前項で解説した通りです。

では、例えば真夜中に災害が発生した場合、社員の状況が掴めない中で、どのように状況把握をすれば良いのでしょうか。或いは業務時間中に災害が発生した場合、会社としてどのような指示を出すべきなのでしょうか。

本ページでは、東日本大震災時の情報をもとに、BCP(事業継続計画)を考える上で確実に知っておきたい状況把握のポイントを解説します。

東日本大震災時の通信手段別の疎通度

東日本大震災時の音声通信、パケット通信の規制率

上の図は、総務省が発表した東日本大震災時の通信規制率です。

ドコモ・au・ソフトバンクの音声通信(電話)は、最大70〜95%制限されています。
一方、パケット通信はドコモが一時30%の規制がされたものの、auとソフトバンクにおいては、
規制は実施されませんでした。

参考:トヨクモ「安否確認サービス2:特徴と必要性」

東日本大震災時の通信の混雑具合

東日本大震災時の通信の混雑状況グラフ

上の図は、東日本大震災時の通信トラフィック状況をグラフ化したものです。
災害が発生すると30分から1時間ほどでピークを迎えます。
音声通話の発信ピーク時では、通常時と比較し、最大で50~60倍の発信が行われたと推定されています。
災害時、音声通話を使って状況把握を行うことは、この輻輳を更に助長させる危険性があります。

電話が繋がらない理由

音声通信とパケット通信の違い

電話回線やインターネット回線において利用者のアクセスが特定の宛先あるいは特定のルートに集中した結果、回線容量を超えることにより、通常行えるはずの通話・通信ができなくなる状態を輻輳(ふくそう)といいます。

輻輳が継続・悪化すると通信ネットワーク全体に影響を与え、結果として例えば警察などに割り当てられている重要通信も使用できなくなります。
このような障害を防ぐため、通信事業者は通信規制を実施して一般電話等による通話を制限し、重要通信の疎通の確保や通信ネットワーク全体の維持を図っています。

音声通信は、1対1で回線を使い切るため、最も輻輳の影響が大きいと言えます。電話回線と異なり、パケット通信は1本の回線をみんなで利用するので、回線が足りず、接続すらできず、はじかれてしまうという事が少なくなるのです。

参考:トヨクモ「安否確認サービス2:特徴と必要性」

メールが届かない理由

平常時、音声通話ができない時、活躍するのがメールです。
従業員に「会社メールアドレス」を付与している企業も増えている近年は、メーリングリストを活用して状況把握を行ったり指示を出す企業も増えています。

携帯メールのパケット通信では、通信規制が行われなかったため、音声通話と比べると、つながりやすい状況にありました。

しかし、東日本大震災時、各キャリアによって事情は異なるものの、各キャリアのサーバーで処理件数の急増による滞留が発生し、メールの受信に遅延が発生していました。

また、NTTドコモの場合、端末がどの基地局と接続しているかを管理する「位置登録」が正常に動作しなくなり、位置登録に失敗した端末は圏外になるなどの現象が発生しました。auの場合は、メール受信に音声チャネルを使うショートメッセージを利用しているため、通信規制の影響を受けてメール受信ができない状態も発生しました。

最も有効だった”インターネットサービス”

津波被災地など被害が大きかった地域を除き、インターネット網は比較的健全に機能していました。
特にTwitterは災害時に利用できたと話題になりました。
この事は、Twitterと同様にインターネット接続のみで利用可能なLINEが開発されるきっかけにもなったそうです。

停電の影響と対策

前章で解説した通り、日常的なコミュニケーションツールとして利用される「電話」「メール」「インターネット」の中で、災害時の状況把握に最も有効なものはインターネットであったと言えます。

ただ、インターネット環境もキャリアの基地局が動かなければ動作しません。

東日本大震災時、津波被災地で通信設備そのものが流される被害が出た地域では、長期にわたって通信が途絶する事態になりました。しかし、全体として見ると、通信インフラの機能停止は、「地震・津波」によるものより、「停電」によるものでした。

NTTドコモでは、停波した基地局のうち、実に85%が停電によるもので、設備そのものには被害が無くても、そこへの電力供給が途絶えたことで機能が停止していました。携帯電話基地局には非常用バックアップとして「バッテリー」が装備されていましたが、3〜5時間程度で切れるとともに電波を送受信できなくなって機能が停止していきました。
これにより、「徐々に不通エリアが広がっていく」という事態になりました。それが、震災発生当日の3月11日より翌12日のほうが、不通エリアが広いという結果につながりました。

当時の状況を踏まえて現在では、各キャリアの基地局は原則として全てに予備電源が設置されています。
大手3大キャリアの情報によると、都道府県庁・役場等の重要拠点をカバーする基地局においては、予備電源の長時間対応化が進められています。

また、NTTドコモは2011年の東日本大震災以降、都道府県単位で「大ゾーン基地局」の整備を行っています。主に人口密集地を対象として展開されており、2018年3月時点では全国で106局が整備済みとされています。
大ゾーン基地局は、通常の基地局よりも広い範囲(半径約7km)をカバーするもので、通常時に比べて通信速度が低下するものの、大規模な停電時でも広範囲で通信サービスを維持することが可能になります。2018年9月の北海道胆振東部地震で発生した大規模停電に際し、釧路市で初の運用が行われました。

また、給電停止が長期に渡り、予備電源による電力が確保できない場合の対策として、携帯電話会社は移動電源車を保有し、対策が進められています。

災害用統一SSID「00000JAPAN」

世界で初めての災害対策として構想されたのが、大手wi-fi回線業者が自分たちの回線を開放する00000JAPANです。

00000JAPANは、東日本大震災の際に、通信回線の復旧が遅れたことをきっかけとして立ち上げられたプロジェクトで、携帯回線の大手3社に加え、NTT東日本、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム、ワイヤ・アンド・ワイヤレスが主導しています。
通常は契約者のみしか使えない各社のネットワークが開放され、皆が自由に使えるようになる仕組みです。

災害時のインターネット環境について

2016年4月に起きた熊本地震で初めて運用され、震源地を中心に約5万5千箇所におよぶ各社のwifi アクセスポイントが提供されました。令和元年の台風15号で大規模停電が発生した千葉県でも解放されています。

名称の先頭に「00000」が付くのは、wifi ネットワークに繋ぐときに表示される一覧の先頭へ出すため、続く「JAPAN」は、外国人の方にもわかりやすくするためです。00000JAPANへの接続はとても簡単で、モバイル機器のwifi 接続画面から「00000JAPAN」を選択するだけ。利用にあたってメールアドレスの用意や会員登録は必要なく、パスワードの入力作業も不要です。

また一般の無線LANでも、文化施設や学校などで導入している場合、緊急時には無制限に開放できる機能をもつ機器が販売されています。

参考:災害時のインターネット環境確保に役立つ無線LAN(wifi)の活用法と注意点

まとめ

災害時に必要とされる事業継続と、事業継続のために不可欠な状況把握

企業の担当者は災害発生後、速やかに状況把握を行い、BCP(事業継続計画)に沿って指示を出すことが求められます。

次の章からは、災害時の状況把握をスムーズに行い、その後の円滑な事業継続を手助けする企業のための「安否確認システム」について解説します。

➡︎「企業に【安否確認システム】がある場合とない場合」へ

 

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