危険予知活動(KYK)導入のヒントに!6つの活用事例を一挙解説

危険予知活動(KYK)導入のヒントに!6つの活用事例を一挙解説

製造業や運輸など、とくに重機を使う現場において、従業員は常に危険と隣り合わせ。ちょっとした不注意が、即、死につながります。

このような労働災害のリスクを少しでも削減するため、多くの企業は、職場で「ヒヤリ」としたことや「ハッ!」とした事例をまとめたヒヤリ・ハット体験集を作ったり、普段の作業から考えられる危険要因の話し合いをおこなっています。

実際、このような「危険予知活動(KYK)」(現場での日常業務にひそんでいる危険を洗い出して、改善策や対策を確認すること)を実際に取り入れている方も多いことでしょう。

しかしこの危険予知活動、形だけのものにはなっていませんか?危険予知活動は種類がいくつもあるため、「これをしていれば正解」というものはありません。実際の現場に則したものを取り入れなければ、単なる流れ作業になってしまいます。

この記事では、危険予知活動について簡単に説明したうえで、自社の活動と比較・検討するための6つの方法について説明します。

危険予知活動とは

危険予知活動とは、医療・工事といった現場での日常業務に含まれている危険の可能性を洗い出して検討し、注意すべきポイントを確認する活動です。作業前のミーティングなどを利用し、その作業に潜む危険を作業者間で「これは危ない」「危険を伴う作業である」と話し合い、対策と行動目標を立て、一人ひとりが実践します。この危険予知活動は労働安全衛生法の改正により、平成18年4月から事業者の努力義務とされています。

危険予知活動でヒューマンエラーを防ぐ

まず、なぜ危険予知活動が必要かということについて、簡単に説明しましょう。

厚生労働省が平成25年度におこなった調査によると、、製造業における労働災害のほとんど(89.2%)がヒューマンエラーから来る不安全行動が原因となっています。したがって労災事故を防止するためには、このヒューマンエラーをなくすことが不可欠だと言えます。

そのためには、危険予知活動を通して、作業員1人ひとりが危険に対する感受性を鋭くして集中力を高めることが重要なのです。危険予知活動はヒヤリ・ハット事例の共有化、5S運動(整理・整頓・清潔・掃除・しつけ)などと並んで、自主的な安全衛生活動の一例としての役割を担っています。

では、危険予知活動を比較・検討するうえで、どのようなものがあるのでしょう。ここからは実際に製造業などの現場を中心におこなわれている6つの取り組みを紹介します。

危険予知活動の6事例

1.KYT4ラウンド法

KYT4ラウンド法とは、イラストにかかれた作業の中にどんな危険がひそんでいるかを、チームメンバーで話し合い、4R(ラウンド)を通して進めていくものです。具体的には、イラストなどを用いつつ下記の手順を踏みます。

第1R(現状把握)「イラストシートの状況中にひそむ危険を発見し、危険要因とその要因がひきおこす現象を想定して出し合い、チームのみんなで共有」、
第2R(本質追究)「発見した危険のうち、重要と思われる危険を「危険のポイント」として○、◎印をつけ、指差し唱和で確認」
第3R(対策樹立)「危険のポイントを解決するにはどうしたらよいか、具体的な対策を提案」、
第4R(目標設定)「対策の中から合意で絞り込み「重点実施項目」とし、それを実践するための「チーム行動目標」を設定し、指差し唱和で確認。
参照:http://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo40_1.html

この手法は全国的に広く用いられており、使っている企業も多いです。ただ、話し合いがマンネリ化したりイラストシートが不足したりといった問題点も挙げられています。

2.MRM(Maintenance Resource Management)訓練

MRM訓練は、航空機事故には80%の確率でヒューマンエラーが関与していることから生まれた訓練です。

航空機整備に関連する「人間の発揮する能力を低下させるヒューマンファクター上の問題点」12項目(コミュニケーションの欠如、疲労など)を、Dirty Dozen<12の要因>として指摘。これらのDirty Dozenを知り、それを解決するための4つのスキル(状況確認、リーダーシップ、チームワーク、コミュニケーション)を身につけるための体験的教育訓練のことを指します。

2000年に国土交通省(航空局)から通達が出され、航空会社の整備部門を対象に実施されています。そのほかにも、自衛隊、海上保安庁、電力会社、原子力燃料関係企業など共同で仕事をする業界で幅広く採用されています。

3.安楽正短法

労働災害が起こる場合、その前の一連の作業すべてが不安全や非効率など問題のある作業であるとは限りません。そこで、改善を実施する場合は、一連の作業の、どの工程に、どのような内容で、どの程度のレベルの問題があるのかを総合診断・抽出して、作業に改善の優先順位をつけなければなりません

そのために考案されたのが、安楽正短法。これは、「安:安全に」「楽:楽に」「正:正確に」「短:短時間で」「法:法に忠実に」というキーワードに基づくチェックシートで具体的に作業を診断することから、そう呼ばれています。

また、より簡潔かつリスクレベルがシビアに出るよう、危険・問題要因の項目を約50%削減した新手法も近年では開発されています。

4.ワースト10活動

毎年決められた時期に、作業者が感じている3K(きつい、汚い、危険)作業を作業者自身から提出してもらい、投票結果を集計してその年のワースト10項目を決定。その項目をもとに、 作業方法・設備の両面から対策、改善することで安全化を推進する活動です。

自分たちが困っている身近な問題が自らの投票により解決されるため、「現場の生の声が反映され、ハード対策がメインで進む」というメリットがあります。マンネリ化がなく、作業者に非常に好評とされています。

5.KYサイクル活動

作業者の不安全行動から起こる災害の防止には、作業前の潜在的な危険の予知と適切な防止対策の樹立が有効です。

このKYサイクル活動は、危険予知を実作業のPDCAサイクルに組み込む方法です。

具体的には、従来から実施していた作業前の危険予知を“Plan”と位置づけ、実作業(Do)終了後に、危険予知(Plan)で使用した帳票で当該作業のCheck(作業の反省)やAction(安全作業指導書の見直し等)を行うKYサイクルを構築するものです。

危険予知(P)実作業(D)危険予知で使用した帳票で作業の反省(C)安全作業指導書の見直し等(A)

6.リスクアセス型ヒヤリ・ハット活動

リスクアセス型ヒヤリ・ハット活動地は、従来から使用されてきたトータルヒヤリメモ(安全・衛生に加えて品質、設備、環境を対象に、ヒヤリとした瞬間をメモしたもの)に、リスクアセスメント評価(点数付け→リスクレベル評価)の要素を追加するものです。

定性的評価にとどまりがちなヒヤリ・ハット情報をリスク点数によって定量化し、対策の優先順位付けや職場の総合リスクの評価などに活かせるというメリットがあります。

危険予知活動の導入にあたっては、まず現場をよく知ること

危険予知活動の導入にあたって重要なのは、自分の企業に適した方法を検討することです。企業によって、従業員数、仕事内容、設備、取り扱い物質などは千差万別ですから、他社の事例をそのまま導入してもめざましい効果が得られるとは限りません。

ここでご紹介できたのは6事例にとどまりますが、中央労働災害防止協会によれば20以上の手法が既に開発されており、どれも現場の声を吸い上げつつ改良されてきたものです。

言葉をかえれば、危険予知活動の導入にあたっては、現場をよく知ることが不可欠です。作業者の声に耳を傾けつつ、効果を検証しながら工夫を重ね、その企業に最適な危険予知活動を編み出すよう努めていきましょう。


参考文献
「活き活き職場の安全活動事例集(危険予知活動の工夫・改善等)」(中央労働災害防止協会)
「職場のリスクアセスメント事例集」(中央労働災害防止協会)

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