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企業におけるBCP(事業継続計画)の必要性

企業におけるBCPの必要性(タイトル)

企業におけるBCP(事業継続計画)の必要性

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は、企業が緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。

災害時、家庭や個人であれば、いざという時「無事かどうか」が分かるだけで安心かもしれません。
しかし、企業はそれに加えて可能な限りの事業継続が必要です。
事業継続は、信頼を維持し、倒産から会社を守ります。会社を守ることは、従業員を守ることにも繋がります。

いざという時に求められる迅速な対応のためには日頃からの対策が必要ですが、
「大災害」と聞いた時、どこか他人事に感じる人は少なくないのではないでしょうか。

しかしながら、実際は災害大国である日本。
4つの大陸プレートに囲まれ、全世界で発生するマグニチュード6以上の地震の内、実に20%が集中する地震大国です。
地震だけで見ても、平成で発生した震度5弱以上の地震はなんと300件以上を記録しています。

本ページでは、今後の日本の災害リスクと、BCP(事業継続計画)の必要性についてを解説します。

今後30年の大地震の確率

今後30年の地震発生確率分布

上の図は、地震調査研究推進本部が2018年に発表した、「全国地震動予測地図」の一部を抜粋したものです。
太平洋側の発生確率が高く、南海トラフ地震や首都直下型地震への懸念が強く示された数値となっています。

過去の地震発生から東海地震発生のリスクを示しています

こちらの図は、過去に南海トラフで発生した地震頻度に着目したものです。
南海トラフ地震は大津波を伴う危険性が高く、最悪の場合、約32万3000人の死者が出ると想定されています。これは東日本大震災の約17倍の規模であることから、非常に恐ろしい規模の災害であることがわかります。

特に駿河湾から静岡県の内陸部を震源域とする東海地震は、過去の地震発生から150年以上が経過しており、発生の切迫性が指摘されています。

政府の地震調査委員会は、今後30年以内に南海トラフ地震が起きる確率はなんと80%にものぼると公表しています。

被災地だけの問題ではない「企業の倒産」

30年以内に8割の確率で発生する「大災害」
それでも尚、「実際に自分が被災するかもしれない」と具体的な意識をもと対策を練ることは難しいのが現状かもしれません。

この章では、「災害」と「企業の倒産」について見ていきます。

東日本大震災 関連倒産企業累計1,933
震災から105カ月連続で発生

(2019年11月29日現在:東京商工リサーチ調べ)

私たちは、この数字をどう捉えるべきでしょうか。

東日本大震災による関連倒産件数の全国分布図です

倒産企業の全国分布を見ると、大災害による倒産は被災地のみの問題でないことが読み取れます。
東日本大震災の関連倒産企業は、取引先・仕入先の被災による販路縮小などが影響したことによる「間接型」倒産が約9割を占めているのです。
BCP(事業継続計画)があれば、回避可能な倒産もあったことでしょう。

従業員被害者数は、2019年2月時点で2万9,142人にもなり、これは正社員のみのデータであることから、実際の被害人数はさらに上回ると考えられます。
災害が発生した時、いかに被害を軽減し、事業継続を行うかは、BCP(事業継続計画)の有無に大きく左右されます。
倒産を回避したい全ての企業にとって、BCP(事業継続計画)策定の必要性は自明であり、共通の課題であると言っても過言ではありません。

まとめ

災害時に必要とされる事業継続。
「大災害」も「倒産」も、平和な日常がある中で自分ごととして考えるのはどうしても難しくなりがちです。
しかしながら、企業の担当者は、近い将来”日本のどこかで”大災害が発生する確率について考え、速やかにBCP(事業継続計画)の策定を行う必要があると言えます。

次の章では、BCP(事業継続計画)の策定手順を解説します。

➡︎「BCP(事業継続計画)策定方法」へ

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