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社員が危惧する『企業の災害対策』、ここが不十分

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地震・台風などの自然現象や火事・伝染病などによって受ける思わぬわざわい-「災害」。現代の日本社会に生きている誰もが避けて通れない問題です。

だからこそビジネスパーソンにとって、1日の多くの時間を過ごす勤務先がどのような災害対策を講じているかは、重要な関心事です。見方を変えれば、総務部等の災害対策担当者は、全ての社員の生命や安全を託された責任ある立場。でも、実際に社員たちが自社の防災対策をどう思っているかについては、なかなか推測が難しいのではないでしょうか。

ここでは社員が勤務先の災害対策に対し特に不安を感じている、「ルール化の徹底」や「具体的な防災対策に対する説明が不十分で分からない」部分などに焦点を当て、それぞれの改善策を提案します。

総務部必読。社員が思う、勤務先企業の災害対策が不十分と感じる点・不安な点とは

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引用:財団法人 労務行政研究所 資料

財団法人 労務行政研究所は2012年1月に「3.11大震災以降の職場と個人の実情に関するアンケート」を実施しました。これによれば、勤務先の企業・団体で行われている震災対策の現状を、6割が「不十分」と評価しています。

不十分と感じる理由は「(対策を)実施していない」「分からない・知らされていない」。これらの回答が最も多かったのは、『災害で出社困難な場合の対応ルールの周知(61.5%)』、次いで『オフィス家具・備品の固定など防震・転倒対策を実施(59.3%)』『災害時の行動マニュアルの整備(55.7%)』『飲料水・非常食などの備蓄(53.2%)』などが挙げられました。

次章では、ここで挙げた項目それぞれについて、不十分な原因を検討した上で、具体的にどうするべきかや見直し・注意点について解説します。

企業が実施していない・社員が不明瞭であると感じる防災対策の強化を

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1.災害で出社困難な場合の対応ルールの周知

この項目は、上記アンケートにおいて、最も不十分と評価されました。理由としては、『そもそも対応ルールがつくられていない』ことと、『対応ルールはあるが、社員への周知が徹底していない』の2点が考えられます。それではどのように改善すればよいのか、順次見ていきましょう。

●そもそも対応ルールがつくられていない

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巨大地震といった想定を超える事態が発生した場合、ビジネスパーソンなら誰でも、出社と欠勤の狭間で迷いを覚えるでしょう。
このような場面に社員が求めるのは、「出社が可能かどうかの明確な判断基準」です。この判断基準の一例を、東京海上日動リスクコンサルティング株式会社が示しています。
これによれば、出社の基準として次の3点が挙げられます。

・安全に出社可能な交通手段、徒歩経路がある
・職務可能な健康状態である
・家族の安全等に関し、重大な懸念事項がない

ただし、「所属部署、配置等の職務を考慮した上で」との注意書きが付けられておいます。上記を参考にしつつ、各企業で、よりきめ細かな基準を策定することが求められています。

●対応ルールはあるが、社員への周知が徹底していないことへの解決策

作成した対応ルールについては、会社への連絡方法の記載とともに、下記を実施することをおすすめします。

・行動マニュアルと一体化して配布
・独立した携帯カードとして常時所持(もしくは自宅に保管)させることによって、周知かつ、社員の不安の払拭につながります。

2.災害時の行動マニュアルの整備

この項目について社員が不安感を持つ理由としては、『行動マニュアルの内容が理解しきれていない』『携帯しづらく、普段手にとる機会がない』といった2点が考えられます。これらの問題を解消するにはどうすればよいか考えてみましょう。

●行動マニュアルの内容が理解しきれていない

マニュアル作成にあたっては、読者である社員が容易にその骨子を理解できることが重要です。愛知県防災局は1995年の阪神・淡路大震災の教訓を基にし、東海地震に備えて事業所のための「防災マニュアル」を作成しました。これは分かりやすく実用的と高い評価を受けています。企業の防災対策ポイントが簡潔明瞭に紹介されており、マニュアル整備の際のテキストとして活用に値するでしょう。これによれば、事業所がマニュアルを作成するに際しては、以下を明確にすることが求められます。

1.目的
防災マニュアルの目的は、人命や施設等資産の保護・業務や施設の回復、などに大別されますが、何よりも人命の安全確保が最優先されることを明示しましょう。
2.書式
防災マニュアルは、いざという時に役立つものでなければ意味がありません。マニュアルの方針を明確にするとともに、できるだけ文書を短くし、要点を簡潔、明瞭に整理することが必要です。
3.視点
余力があれば近隣の事業所や一時的に避難所等へ来ている人々を助けるといった視点も忘れてはならないでしょう。災害が大規模になればなるほど協働が必要になります。

 

●携帯しづらく、普段手にとる機会がない

企業の地震対策の手引き(日本経済団体連合会)によれば、マニュアルは使用する階層に合わせて使いやすい形式が望まれます。企業の行動全般を記述したものの他に、下記が大切とされています。

・危機管理キーパーソン用マニュアル
・一般社員用マニュアル(就業時間外についての規定も含めた24 時間の行動指針)
・ポケットマニュアル(初動期に実施すべき項目を抜粋。カード型など携帯可能なもの)などの形式があります。また、紙ベースのマニュアルで各自が保持することが大切です。

飲料水・非常食などの備蓄

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この対策について社員が不安感を持つ理由としては、『どの位の量の、そしてどんな備蓄品があるのか知らない』『そもそもどこに備蓄されているのか、普段目にする機会がない』といった2点が考えられます。これらの問題を解消するにはどうすればよいか考えてみましょう。
まず、「どの位の量の、そしてどんな備蓄品があるのか知らない」不安については、次の2つの策が有効です。

1.備蓄品の内容の明確化

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災害時役に立たないものを大量に備蓄することは、初期投資やその後の維持にあたり無駄な経費につながりますが、だからといって備蓄品の種類や保有量を抑えると、災害発生時に不足品が発生し、災害対応や事業継続に重大な影響を与えることになります。
下記を参考に備蓄品をそろえ、社内報などで情報開示に努めることも大事でしょう。
『【自宅と会社で比較!】災害時に備える防災グッズチェックリスト』
『巨大地震に備えよ!次の震災までに必要な「企業」の防災対策』

2.備蓄品に関する教育訓練の実施

備品については、定期的な使用方法の訓練や説明会を行う必要があります。そのとき同時に、非常食、飲料水等の期限切れ等の点検と対処を行うのが効率的です。非常食は、教育訓練時、実際の災害発生時と同じ状況下で(火が使えないなど)試食させることも良い訓練ですし、社員の安心感にもつながります。

「どこに備蓄されているのか、普段目にする機会がない」場合は、ワークスペースで少し見せる工夫を

こちらに関しては、倉庫で一括管理している等の説明ももちろん大事ですが、社員としては、緊急時用の備蓄品が、日々のオフィス環境に組み込まれていれば安心感を抱けるというものです。具体的な方法の一例として、社内に従業員用の自動販売機やウォーターサーバー、菓子類の販売コーナーを導入したり、自由に使える救急箱を常備するのが良いでしょう。オフィスグリコ、(富山の)置き薬など、常に補充されるようなサービスを利用すれば、期間を意識せずにストックでき有効です。

災害に対する動きや危機意識を社内で風化させないようにする対策の重要性

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前述した労務行政研究所のアンケートによれば、東日本大震災発生から1年足らずでの調査実施の結果、約6割のビジネスパーソンが「自分の周囲で震災の教訓に対する意識は薄らいでいる」と回答しました。「緊張感が薄れてきた」「地震に慣れてきた」という回答も見られ、時間とともに震災の教訓が風化しつつある実態が見てとれます。

風化は、必ず来る震災への備えの甘さを招きます。せっかく非常用の備品があっても使いこなし方が分からなかったり、備蓄用の食料の賞味期限が切れていたり、といった事態をもたらしかねません。マニュアルにしても、用意したものの、緊急時に対応できる社員がいないのでは無意味です。こんな事態を防ぐためにも、これまでの災害の記憶を教訓として心に焼き付けておくことは重要です。ここでは風化を防ぐための手段の一例を紹介します。

●社内の取り組みを、イントラネットで配信(武田薬品工業株式会社)

社内イントラネットに「タケダ東日本大震災サイト」を立ち上げ、ボランティア活動などに関する情報を継続して発信しています。

●カレンダーに、災害関連の日を掲載(特定非営利活動法人 土砂災害防止広報センター)

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風化しがちな災害の記憶を新たにするため、災害の日付を記した「砂防カレンダー」を作成しています。一般的に、オフィスには共有の壁掛けカレンダーがあるもの。見習って、そこに災害にまつわる日を書き込む、といった手段も有効です。

●社内報の活用

過去の災害で何が起こったか、教訓とすることは何か、それが自社の防災に活かされているかを社内報で発信することは、注意喚起と啓発につながります。

事業継続計画というと、災害下で事業を継続するための手順の記載に終始し、社員に対し一方通行の内容になりがちです。
しかし現実にそれを読んで現場で作業を担うのは、生身の人間である社員たち。だからこそ総務部等担当者は、「社員の目線で」マニュアル等作成にあたることが求められます。担当者の方は、今回参照したアンケート結果を基に、社員の生の声に耳を傾けつつ、もう一度、自社の災害対策を見直してみてはいかがでしょうか。

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