忘れてませんか?水害を想定したBCPの策定のコツ

忘れてませんか?水害を想定したBCPの策定のコツ

近年、日本全国で増加している水害。集落一帯が水に浸かってしまったり、自動車や家屋の一部が濁流に流されているのをテレビや新聞で見た方も多いと思います。

今や水害は、地震と同様に企業が警戒するべき災害の一つ。水害が起きたときに事業の再開をどのようなフローで行うのか、取引先への対応はどうするのか、BCPを策定し、非常時に備えておきましょう。

今回は、企業の防災担当や総務担当の方向けに、過去の水害事例やBCP策定のポイントを紹介します。

水害を想定したBCP策定の現状


内閣府により平成29年に発表された、企業のBCP策定についての調査によると、大企業ではその8割、中堅企業でも半数近くは、BCP策定に取り組んでいます。

ただし、災害のうち水害を重要視している企業は、割合としてあまり多くないとみられます。

帝国データバンクにより発表された調査結果によると、地震は全体の半分を超えている一方、水害は7%台で、1割にも達していません。

「意識している=重要である」という考え方をすれば、水害は企業にとって対策の必要性を感じづらい災害であることがわかります。

東日本大震災がきっかけとなり、多くの企業がBCPを策定したため、地震については対策したが水害については何も策定していない、という企業が多いのが現状です。

近年の水害による企業への被害


ここからは、過去に起こった水害の概要と企業への被害について紹介します。

平成26年8月の西日本豪雨

西日本の広い範囲で豪雨が起こり、土石流、浸水といった関連する災害も深刻でした。京都では、土嚢を積む作業中、濁流にのまれた男性が死亡。兵庫では、治山工事中、大雨に備えるため点検をしているときに濁流にのまれた男性が死亡するといったように、業務中に災害に巻き込まれて命を失った人もいました。

また、農業用施設の被害は6,000箇所以上、木材加工・流通施設の被害は20箇所以上、漁船や漁具、養殖施設などの被害は100箇所以上で発生しました。

平成30年7月の西日本豪雨

西日本を中心に、台風や梅雨前線などの影響で集中豪雨が発生しました。死者は200人以上、負傷者は400人以上、建物の被害は数万という大規模な被害が発生したこの災害では、企業への被害も著しいものでした。

被災地域には17万社以上の企業があり、その業種はサービス業・小売業を中心に、建設業や製造業など、多岐にわたっていました。

各業種では、休業することになったり、お中元などの配送が遅れたりといった影響が発生したほか、従業員の自宅への被害も見られました。店舗休業については、浸水の他、商業施設の断水が原因となりました。

大企業の被害は次の通りです。

IHI…設備には影響がなかったものの、従業員の住居への被害や断水が原因となり広島の呉にある工場の稼働を停止。

マツダ…従業員への被害とや物流のトラブルが原因となり、広島にある工場の稼働を見合わせ。

三菱重工…断水が原因で複数の工場が稼働停止。

パナソニック…浸水、電力供給のストップにより、岡山の工場の操業を停止。

その他、NTT西日本では、通信サービスの利用が一部地域でできなくなったり、昭和シェル石油でも、広島にある油槽所からの供給が土砂崩れによる通行止めのために見合わせられたりと、各企業がさまざまな被害を受けました。

このように、水害による企業への被害は深刻であることがわかります。

水害における企業の業務停止の原因

・工場やオフィスといった企業の設備への被害 例:浸水など
・従業員への被害 例:住宅や通勤手段の喪失
・インフラへの被害 例:停電、断水など

水害における企業の業務停止の原因は、もはや企業の自己努力だけで解決できるものではありません。だからこそ、地震や火災など他の災害と同じように、水害を想定したBCPを策定する必要性は高まっていると言えるでしょう。

参考URL:水害レポート2017
「数百年以上に1回の豪雨」砂防学会緊急調査団が分析
8月15日からの大雨による被害状況等について
西日本豪雨 産地は浸水被害 小売りはほぼ通常営業(繊研新聞)
西日本豪雨の死者89人、安否不明者58人 企業活動に幅広い影響
平成30年7月豪雨」 被災地域に企業は17万2,128社
西日本豪雨で企業の生産停止相次ぐーマツダや三菱重、IHIなど影響
企業の事業継続計画、洪水被害は想定外の多さ…水害への備えの必要性浮かぶ
中小企業被害、494億円 愛媛県

水害を想定したBCP策定のポイント


実際に水害を想定したBCPを策定する際、どのようなことに気をつけるべきでしょうか。以下にポイントをいくつか紹介します。

立地についての事前対策

究極は、今後オフィスや工場、倉庫などの立地を検討する際ハザードマップを確認し、危険性の高い土地には施設を建設しないことです。

たとえば、国土交通省が公開しているハザードマップポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)では、洪水や土砂災害といった災害種別で、各地域のリスクを調べることができます。

工場や倉庫は、どうしても安価で広大な土地が必要になり、危険性の高い土地に建設せざるをえないこともあるかもしれません。その際は、次のポイントを参考にしてみましょう。

既存の建物が危険区域にある場合のリスクヘッジ

過去に建てたオフィスや各種設備の立地が浸水などの危険区域である場合は、今後の水害発生を考えてリスクヘッジを行いましょう。社内で災害情報連絡や避難の体制をつくるほか、止水版・土嚢の設置や設備の移動などについて取り決めておき、被害にあった際の影響をできる限り小さくできるようにします。

従業員や取引先への対応

水害が発生すると、従業員や取引先にも影響します。従業員の安否確認や、緊急時の出動体制を明確にしておきましょう。

また、災害からの一早い事業再開が理由で、従業員を時間外や休日に働かせる場合には、労働基準法33条にあるように、労働基準監督署長の許可を取得する必要があります。

取引先とは、

・災害発生時の情報共有の手段
・自社及び取引先が被災した場合、部品や製品を代理で製造、出荷できる企業との連携

について、詳細に決めておくことが大切です。

参考URL:国土交通省ハザードマップポータルサイト ~身のまわりの災害リスクを調べる~
大規模工場等に係る浸水防止計画作成の手引き (洪水・内水・高潮編)

まとめ

今回ご紹介したように、水害もほかの災害と同様に企業の事業継続に影響を与えることがあります。

ハザードマップを確認してみる、取引先への対応マニュアルに水害にあうことを想定した項目を作成する、と小さなことから着実に対策をしていくことが、BCP策定では重要です。

まずは、できることから対策を始めてみませんか?

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