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災害時の被害削減にも重要!医療機関に必要とされるBCP

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突然の災害時には、医療機関も被災して医療を提供する機能が低下するおそれがあります。しかし医療機関は、被災地でこうした機能低下から素早い復旧を行い、災害により負傷した多くの人々に医療を提供することが求められます。

そのため、医療機関では災害時にも医療を継続するために、「BCP(事業継続計画)」を策定してリスクに備える必要があります。ここでは、いざというときに重要となる医療機関のBCPについてご紹介します。

医療機関がBCPを策定する重要性


災害には、地震や津波、台風、洪水などの自然災害や大規模な交通災害、火災などさまざまな種類があります。いつどのような災害が発生するかを予測することはできないため、普段から災害が発生したときに備えて医療業務を継続できるシステムを構築しておくことが大変重要です。

平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災では、マグニチュード7.2の都市直下型地震により、震度7が計測された神戸や洲本のほか、京都、大阪から九州まで、広い範囲で大きな被害が発生しました。この震災によって、震災関連死を含めた死者は6,432余名、そして負傷者は43,700余名と、かつてない甚大な被害がもたらされました。

阪神・淡路大震災が発生した当時には、前例がないほどの災害が生じたことで人員や物資の不足などさまざまな障害が起きています。この震災によって多くの患者に対応しきれなかったなどの反省すべき点があがったことを受けて、翌年には厚生省健康政策局が災害マニュアルとして「災害時における初期救急医療体制の充実強化について」を示しています。

この災害マニュアルは「被災した際の緊急体制」ですが、被災直後の一時的な対応に関するマニュアルとして、BCPとは区別されています。災害発生後の被災地では、ライフラインの遮断や人員、医薬品などの不足から医療行為に支障がでる場合が想定されます。

被災による多くの患者の治療を続けるためには、一時的な災害対応だけでなく事業継続計画(BCP)で日頃から非常時に必要なものを備えておかなければなりません。BCPで万全の備えがされていれば、治療が必要な患者をより多く受け入れられる可能性が高くなり、被災地の人的被害の拡大を抑えることにつながるでしょう。

阪神・淡路大震災のあとには、全国に災害拠点病院が設置されることも決まったため、現在では各都道府県に基幹災害拠点病院と地域災害拠点病院が指定されています。災害拠点病院とは、以下の要件を満たして都道府県に指定されている病院です。

  • 24時間救急医療体制が整っている
  • 災害派遣医療チームを保有している
  • 災害時には通常の2倍の入院患者と5倍の外来患者に対応可能なスペースを有する
  • 広域災害救急医療情報システムを整備しているなど

大災害が発生した場合には、被災地で災害拠点病院を中心に医療機関が連携して被災者を救援するための医療が行われます。災害発生時の医療機関は、災害拠点病院を中心に通常の医療業務のほかに医療救護班の派遣や多数の傷病者の受け入れなど、緊急かつ重要な業務への対応が迫られます。そのため、BCPで災害の状況への対応や、災害タイムラインに応じて変化する業務内容まで計画されていることが人的被害を抑えることにつながるといえるでしょう。

参考:
厚生労働省医政局 災害拠点病院指定要件の一部改正について
内閣府 防災情報のページ 阪神・淡路大震災の概要と被害状況
厚生労働省 東日本大震災への医療面での対応について
厚生省健康政策局 災害時における初期救急医療体制の充実強化について
防災テック 災害拠点病院と一般医療機関におけるBCP策定方法について
国際医療リスクマネジメント学会 島崎修次氏 災害時の病院BCP (事業継続計画)のあり方
厚生労働省医政局 病院におけるBCPの考え方に基づいた災害対策マニュアルについて
横浜市立市民病院 堀内義仁氏 病院 BCP 作成の手引き(平成29年3月版) 【災害拠点病院用】
東京都福祉保健局 BCPガイドラインの目的と使用方法

想定される災害の影響とは


BCPは、主に大地震などによる広域災害への対策にすることが望ましいと厚生労働省により発表されています。震災による被害が発生しても医療業務を中断させないために、また、停止した状態から速やかに医療業務を行うために、想定される災害の影響に備えるべくBCPを策定します。想定される災害の影響が事前に詳しくイメージできていれば、BCPで具体的な計画を立てられるでしょう。

大震災などの災害の際、医療機関では主に以下の問題が生じることが想定されます。

1.指揮命令系統の混乱

通常時とは異なり、震災で大量の業務が発生してしまうと、人員が不足するなか、誰がどの業務を行うかの判断が難しくなります。業務量の多さに通常の指揮命令者だけでは管理、判断しきれず、担当者がそれぞれ自己判断してしまう状態になる心配もあるでしょう。そうならないよう、事前に指揮命令系統を決定しておき、重要な判断に迷う事態をなくしましょう。

2.水や電力、ガスなどのライフラインが停止

災害によりライフラインが停止すると、医療機関では備蓄された水を使用し、非常用発電機で電力を維持するなど、復旧するまでは限りあるなかで医療対応をしなければなりません。

3.院内外の電話、通信機器が使えなくなる

電力の供給が止まった場合には院内や外部と連絡を取り合うことが難しくなります。衛星電話の導入や広域災害救急医療情報システムが整備してあれば連絡が可能です。

4.施設・設備や院内の破損

物品の転倒や散乱などによる医療機器の破損や、施設の破損による危険な場所の発生などがあります。これに対しては耐震補強など、地震に対する事前対策を行いましょう。

5.傷病者の増加

被災直後には一時的に傷病者数が増加します。災害では特に緊急性の高い患者を優先する必要があるため、災害拠点病院では基本的に重傷者を中心に患者を受け入れるとされています。一般医療機関においては軽症の患者を受け入れるなど、連携した災害トリアージの実施により各医療機関の負担を分散することができます。

6.医療従事者が災害時の対応に慣れていない、人員が不足する

医療従事者全員が災害時の対応を理解していないと、実際に被災したときの動きがわからないため、適した対応をすることは難しいといえます。災害により通勤ができなくなる場合もあるため、災害対応の周知徹底や人員が不足しないよう備える必要があります。

7.医薬品の不足

病院で備蓄されている医薬品の数には限りがあります。不足することがないよう、他院との連携を取るなど綿密な対策を立てておきましょう。

参考:
防災テック 災害拠点病院と一般医療機関におけるBCP策定方法について
国際医療リスクマネジメント学会 島崎修次氏 災害時の病院BCP (事業継続計画)のあり方
厚生労働省医政局 病院におけるBCPの考え方に基づいた災害対策マニュアルについて
横浜市立市民病院 堀内義仁氏 病院 BCP 作成の手引き(平成29年3月版) 【災害拠点病院用】
東京都福祉保健局 BCPガイドラインの目的と使用方法

医療機関のBCP策定のポイント


厚生労働省による医療機関のBCP策定の手引きに示されているマニュアルは、以下の形が基本とされています。病院の特性や環境などによって必要なBCPは異なるため、基本的な必要項目を考慮しながら、自院に必要な項目があれば追加して策定しましょう。

BCPの構成例

・はじめに:(病院の立地や規模、特性などを明記し、BCP策定の目的や備える内容などを記載します。)

  1. 目次:(項目とページ)
  2. 第1章:災害対応基本方針
    想定される災害状況と自院が求められる役割について、災害レベルや病院の被災状況別に方針を立てます。
  3. 第2章:BCPに基づいた災害対応のためのチェック項目
    自院の特性などから、必要な項目のみを選択し、できている項目とやらなければならない項目を評価できるように作成します。
  4. 第3章:災害対応のための事前準備:組織
    委員会、対策本部、職員の研修や訓練、物品、衛生電話、EMISなどの情報伝達手段、情報収集・管理体制など
  5. 第4章:急性期災害対応
    災害対応マニュアルはこの部分だけに当てはまります。災害対策本部の設置やトリアージ、各部門の対応計画などを時間帯別に策定します。
  6. 第5章:フェーズ、ニーズの動向への対応(亜急性期・慢性期対応)
    インフラの復旧により医療支援者や物資の確保などの対応が必要になります。徐々に病院の機能復旧が進む状況での動きを決めます。
  7. 第6章:帳票類、各種記録・報告用紙、付表など
    災害時に必要となる情報を明記します。

BCP策定時には、まず医療機関の方針を決定し、院内で権限のある院長などが責任者となり病院内の各部門長などがそれぞれ検討組織に参加することが重要とされています。できるだけ幅広い部門からメンバーを集めることにより、各部門との連携が取りやすくなるというメリットが得られるでしょう。

次に、指揮命令系統や人員、資器材など、災害時に必要なものがどれだけ揃っているかなど病院の現状を把握します。そして想定される災害が発生したときにどれくらい耐えられるのか分析します。時間が経つにつれ、状況がどう変化していくかを予測し、時系列で必要な対応をまとめる点もポイントといえます。

BCPは一度策定すれば終わりというものではなく、常に変化していく病院や環境に対応するために改善を続ける必要があります。PDCAサイクルの流れを取り入れ、「方針の決定」「BCPの策定」「教育・訓練の実施」「実践」「実践・訓練の検証」「見直し」を繰り返すことで、いつでも災害に対応できるBCPを備えることができるでしょう。

参考:
防災テック 災害拠点病院と一般医療機関におけるBCP策定方法について
国際医療リスクマネジメント学会 島崎修次氏 災害時の病院BCP (事業継続計画)のあり方
厚生労働省医政局 病院におけるBCPの考え方に基づいた災害対策マニュアルについて
横浜市立市民病院 堀内義仁氏 病院 BCP 作成の手引き(平成29年3月版) 【災害拠点病院用】

東京都福祉保健局 BCPガイドラインの目的と使用方法

まとめ

医療機関におけるBCPの重要性や策定のポイントについてご紹介しました。被災時に重要な役割を持つ医療機関には、特にBCPの策定が必要です。突然大きな災害に見舞われたときに、的確なBCPにより事前に対策が講じられていれば、災害による被害を抑えることに役立つでしょう。

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