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「乱雑なオフィス」は危険でいっぱい?!災害に強いオフィス作りは整理整頓から

在庫などのダンボールが乱雑に放置されている、天井にまで届くかのように積み上げられた書類、使い道がなく、どんなデータが記録されているかもわからないディスクの山。

乱雑なオフィスは、働く人の効率が悪くなるだけではなく、地震発生時の落下物・書類の崩落や、出火など、防災上も大きなリスクがあります。従業員・そして大事な商品や情報を守るためにも、常日頃から整理整頓はかかせません。

しかし、片付かないどころか、どんどん物が増えて「乱雑」になっていく。そんなオフィスも多いのではないでしょうか。今回は、乱雑なオフィスに潜む危険性と、「防災」の観点から見た「整理整頓」をお届けします。

落下物の危険性

乱雑なオフィスでは、収納しきれずに棚の上にたくさんダンボールが置かれている光景がよく見られます。しかし、大きな地震で揺れが生じた場合、それらが落下する危険も。

落下物による事故・怪我を防ぐために、「収納部分に入りきらない物は持たない」のが大前提ですが、「棚の上など、落下の危険性がある場所に物を置かない」というルールを定めておく必要があるでしょう。

落下物の危険性は、棚の上の物だけとは限りません。照明や天井の材質などが落下してくる場合もあります。地震による大きな揺れに見舞われた際、机の下に隠れるという行動は、多くの人がとる行動でしょう。

しかし、書類や荷物がデスクの下にまで溢れ出していては、いざというときに隠れることができません。
そもそも、書類が引き出しなどに収納されていないという状態は、紛失・覗き見などのセキュリティ面から見てもリスクが伴います。

そうしたデスクで仕事をしている本人は、「紛失しても問題ない資料」、「覗き見されても大した情報はない」というかもしれませんが、そうした資料は机の下に置かずに、廃棄。不必要な物を処分し、欲しい物がいつでも取り出せるように心がける必要があります。

トヨタ自動車の大野耐一氏は、トヨタ式の「整理整頓」について、こう語っています。

「いらないものを処分することが整理であり、ほしいものがいつでも取り出せることを整頓という」

まずは心がけとして、書類の処理が終わったらスキャンをし、データで残した上で紙は廃棄する、といった工夫を日頃から実践すれば、「溜め込む癖」はなくなります。

また、企業としてオフィスの「乱雑さ」を解消する第一のステップとして、「与えられた収納以上の荷物・資料を溜め込まない」というルールを全員が徹底して遵守するように求めると、少しずつ物は減っていくでしょう。

避難経路の確保

建築物の多くは、火災や、災害が発生した際に速やかに避難できるように、緑色のサインによって避難経路が記されています。

乱雑なオフィス・事業所では、避難経路になる廊下や階段にまで在庫のダンボールや、不要になったPCなどの備品が置かれているケースも。

地震の揺れによって積み上がっていた備品が倒れて、廊下をふさいでしまったり、火災がダンボールに引火して延焼するなどの危険もあります。

実際、2001年に発生した新宿歌舞伎町雑居ビル火災では、避難経路となる階段に置かれていた荷物に火の手が周り、多くの人が避難できずに亡くなりました。

同様の事態にならないためにも、緑色のサインを見て避難経路を把握し、避難の妨げになる場所には物を置かないというルールを徹底してください。

同じく、災害時には窓などの開口部も重要な役割を持ちます。万が一他の避難経路が塞がった場合、窓からの脱出が命を守る最後の選択肢となる場合があります。また、窓は消防隊の進入口としても使われます。災害時だけでなく、窓が塞がれているオフィスは太陽光が入らず、働く人の生産性も低下するでしょう。窓を塞ぐように置かれている物は、配置転換してください。

廊下や階段、窓の近くにまで物が無造作に置かれているのは、「物を置く場所が定まっていない」ということも原因の一つとなっているかもしれません。

「在庫を置く場所」、「使用頻度の低い備品を置く場所」、「何も置いてはならない場所」と、置き場所を細かく決めることで廊下や階段の乱雑さは解消されていくでしょう。

漏電・出火対策

パソコンの充電ケーブルや、LANケーブルなどにも危険が潜んでいます。コード類がまとめられておらず、乱雑に配線されている場合、見た目に悪いのはもちろん、漏電や出火の危険性が・・・

無造作な配線や、ケーブルが机やキャビネットなどに踏まれている状況を放置していると、被覆の損傷・導線露出によって漏電が引き起こされ、出火・感電など重大な事故につながる恐れもあります。

また、通称「たこ足配線」と呼ばれる電源タップも、使用方法を誤ると事故につながる可能性があります。

電源タップは、一度に使用できる容量が決まっています。説明書・または本体に、「1,500ワットまで」などと、容量が記されています。

デスクトップパソコンの消費電力は、50〜100ワット、ノートPCの場合は16〜30ワットとされていますので、パソコンを数台繋げる程度であればただちに危険はありません。しかし、コピー機、加湿器や照明など、消費電力が大きい機器を繋げてしまうと、容量を超えてしまいます。

容量を超えた場合にブレーカーが作動する電源タップもありますが、ブレーカーが内蔵されていない電源タップの場合は発熱・発煙を引き起こし、最悪の場合、火災が発生してしまうかもしれません。

また、コンセントに正しく刺さっていない場合、静電気によって付着した埃が水分を含んでショートし、発火する「トラッキング現象」を引き起こす危険も考えられます。

電源タップなどの備品も乱暴に扱わず、使用方法を守って正しい使い方をすることが求められます。

乱雑なオフィスは、見た目にも悪く、防災上も危険

乱雑なオフィスは、業務効率を下げるだけでなく、防災上も高いリスクがあります。

「与えられた収納以上にものを溜め込まない」
「決められた場所に物を置く」
「備品は正しい使い方をする」

今回ご紹介した3つのルールを守ると、オフィスは乱雑さから解放され、防災上のリスクも減少していくはずです。

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