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大雪で交通が麻痺。非効率な通勤時間を業務に当てるリモートワークの利点とは?

近年注目を浴びている、「リモートワーク(=在宅勤務)」という働き方。

リモートワークとは、働く人が「いつ、どこで仕事をするか」を自由に決められる働き方です。スキルがあり、環境さえ整っていればオフィス以外の場所で、好きな時間帯に仕事をすることができます。さらに、働き方に自由度が加わるだけでなく、大雪や台風など災害により交通麻痺が懸念される状況下でも、出社する必要がなくなり時間を効率的に業務へ充てることが可能です。

今回は、企業側にとっての「リモートワーク」の利点に迫ります。

大雪時の出勤は危険かつ非効率

自然災害のなかでも、大雪は「注意されない災害」に分類されます。そのため、現状では大雪だからといって自宅待機を促す企業は少なく、多くの場合は通常通りの出勤を求められます。
しかし、大雪時の出勤はいくつもの危険があり、かつ非効率であることを認識しなければなりません。以下は、大雪時の出勤が抱えている問題点の一例です。

大雪時に出勤を促すことの問題点
交通機関が麻痺しており、無事に出勤できるか否か分からない
駅や道路など、多くの場所が凍結しており、転倒の危険がある
帰宅時に大雪が激化していた場合、帰宅が困難になる

大雪時は電車が止まりやすく、道路が凍結していれば高確率で自動車道も渋滞します。これにより、従業員が出勤できるか否か分からないといった状況を招き、当日に何人分のリソースを業務に充てられるのか不透明なまま仕事を進めなければなりません。
また、あらゆる場所が滑りやすくなっており、自動車の運転だけでなく歩行中であってもスリップによる大怪我が懸念されます。

平成31年冬季の雪による被害状況

下記資料は、総務省消防庁が公表している冬季の被害状況のうち、人的被害をピックアップしたものです。

都道府県死者重傷軽傷
北海道12人93人179人
青森県2人33人58人
岩手県1人6人16人
秋田県6人50人39人
山形県10人34人23人
福島県 4人4人
茨城県  3人
群馬県1人3人4人
新潟県4人29人22人
富山県  6人
石川県 1人 
福井県1人 1人
山梨県 1人1人
長野県1人9人9人
岐阜県 4人 
三重県  1人

出所:総務省消防庁「今冬の雪による被害状況等(~平成31年2月28日)」を抜粋・改編

東北地方を中心に多くの被害者が出ており、大雪による被害がいかに侮れないものか分かります。資料では個別具体的な原因は示されていませんが、一部には出退勤時に怪我をした事例もあるはずです。
災害時の対応へ世間が敏感になりつつある昨今、これほどの危険を強いてまで出勤を促し、業務を行わせる必要性について再考すべき局面だといえます。
そして、これは決して東北地方だけの問題ではありません。

東京都を含む首都圏でも大雪は十分懸念すべき

2018年1月、東京では4年ぶりに20cmを超える大雪となりました。Weathernewsのニュース記事「1月22日、南岸低気圧に伴う関東地方の大雪」によれば、スマホアプリをもちいたアンケートに回答した4割のユーザーが「普段通りに帰宅した」と報告しています。
普段通り帰宅したユーザーからは、他の自動車のタイヤをスタック(空転)解消まで高速道路で9時間待機したり、電車の混雑により帰宅に倍近くの時間を要したりといった、大雪による被害を受けた情報が多数寄せられたようです。
従業員が、こういった状況に直面することを考慮し、リモートワークを導入することは有効な選択肢だといえます。

リモートワークは事業継続の観点からメリットが多い

企業にとってリモートワークを取り入れることは、大雪を始めとする災害発生時の事業継続につながります。
オフィス以外で仕事ができる環境を整えておけば、大災害が発生して通勤が困難になった場合も、事業を継続できる可能性を高められるからです。
前述した大雪のほか、あらゆる自然災害を理由に交通機関が混乱するなか、あえて出勤を促す必要はなくなるため「従業員の安全」を確保しつつ事業停止を回避できます。
また、ケースに応じてリモートワークを積極的に導入すれば、以下のようなメリットを期待できます。

  • 従業員のストレス軽減につながる
  • 従業員に最適な場所・時間で働いてもらえる
  • 企業側は多様な人材を確保できる

それぞれ、どういったものか解説していきます。

通勤ラッシュというストレスから解放される

満員電車

大都市で働く人にとって避けられないのが、通勤ラッシュ。国土交通省による混雑率調査では、利用者が多い路線・区間・時間帯の混雑率はなんと200%にも達します。

日本民営鉄道協会による定義では、混雑率200%は、「座席に座れず、立っている場合も相当の圧迫感があり、どうにか両腕を動かせる」ほどの混雑。ただし、この数値は該当時間帯の「平均混雑率」のため、乗る車両によっては「全く身動きができない」ほどの混雑が発生することも考えられます。
働く人にとってみれば、毎日混雑率200%の電車に乗るというだけでかなりのストレスを感じてしまうでしょう。「リモートワーク」によって在宅での勤務が可能であれば、混雑した電車に乗るというストレスから解放されるというメリットがあります。

従業員に最適な場所・時間で仕事をしてもらえる

会社のデスクには、机、椅子、照明と、仕事に集中するための環境が整えられています。しかし、「環境を変えて集中力を高めたい」と思っても簡単に席を移動したり、社外に出ることが難しい場合が多いと思います。

一方、「リモートワーク」の場合は、自宅はもちろんのこと、カフェや公園で仕事をすることが可能です。

働く人自らが集中できて、仕事をしやすい環境を作ることができるのです。

また、「好きな場所」で仕事ができるだけでなく、「好きな時間」に仕事ができるのも働く人にとってのメリットです。

採用対象の拡大により多様な人材を確保できる

多様性

企業がリモートワークという働き方を取り入れることで、遠方にいる人材も積極的に登用できるようになります。

これまでは、優秀な人だとわかっていても住んでいる地域や、家族の状況によって、採用・雇用関係の継続ができないという場合もあったでしょう。

しかし、PCとインターネット環境が整っていれば、どこにいても会社の仕事ができるようになりました。

また、「勤務時間」を自由に設定できるため、子供の世話や、親の介護に追われているなどの家庭の事情がある方も仕事を続けることが可能です。

このように、多様な人材を確保できることも、企業にとっての「リモートワーク」のメリットと言えるでしょう。

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