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【被災後のこころのケア】災害前に備えるべき!企業を守る危機介入システムの導入方法

人は、災害やテロなど、未曾有の事態に遭遇すると心に大きなストレスがかかり、身体に影響を及ぼすことがあります。

このとき、総務や人事、防災担当者が注意しておきたいのが、こころのケアです。

企業がこころのケアに対して理解を深めておくことは、うつ病などの発症を最低限に抑えることに繋がり、災害後に企業が復活するための大きな助けとなるでしょう。

どのようにして従業員とその家族のケアをするべきか、基本からマニュアルの立て方まで考えてみましょう。

災害時のこころのケアの必要性(トラウマティックストレスとは)

戦争や事故、震災など、心に傷を残すような、通常では体験しない悲惨なストレス障害をトラウマティックストレス(心的外傷ストレス、Post Traumatic Stress Disorder)といいます。

まずはじめに、被災者がどのようなこころのケアが必要となるのか。その判断のもととなる、トラウマティックストレスの症状について見ていきましょう。

災害直後のストレス反応と心の病気
トラウマティックストレスによって、「過覚醒」「フラッシュバック」「精神的な麻痺」を引き起こす可能性があります。さらに「解離症状」を引き起こすこともあるようです。それぞれの症状について、わかりやすく説明します。

1、過覚醒
震災直後、小さな余震に異常に反応する人を見かけたことがありませんか? この反応は「過覚醒」が原因で起きるものです。

過覚醒は、自律神経の中の交感神経*が極度に高ぶり、常に体が緊張し、不眠症やイライラを引き起こすなど、リラックスすることができません。

*交感神経は、自律神経のひとつ。自律神経は交感神経と副交感神経のふたつに分かれます。体を活発に動かしているときに交感神経が活発化し、リラックスしている状態のときに副交感神経が活発化。このふたつの神経がバランスよく働くことで、健康を維持しています


2、フラッシュバック
トラウマになった出来事を繰り返し追体験する症状です。日中、もしくは睡眠中に悪夢として現れます。

3、刺激の回避、精神的な麻痺
なんども傷つきたくない、という感覚から、苦痛な経験を思い出すような場所や人物、話題を避けるようになります。

4、解離症状
「解離症状」という、多重人格や幻覚、ヒステリーなどの精神障害を引き起こすこともあります。

解離とは、自分が周囲の世界から分離している感覚のこと。解離症状により、「いざ動こうと思ったときに体が反応しない」「辛いはずなのに不安や恐怖を感じない」「現実の出来事が夢の中のことに思える」状態に陥ってしまうのです。

周囲からは精神的に安定しているように見えますが、進行してしまうと、体を動かすことや、言葉を交わすことができなくなってしまうこともあります。

こうしたこころの病を持った人たちにどのように接していけばいいのでしょうか。次の章では、企業がトラウマティックストレスを抱えた人々に対して何ができるかを考えていきます。

いますぐ対策できる!危機介入システムを導入してこころを守ろう

心に傷を負った方が震災のショックから立ち直り、日常生活が送れるようになるためには、周囲のサポートが必要不可欠です。

こうした人々に対して、企業ができる対策のひとつが、「危機介入システム」の導入です。

非常事態解決に役立つ危機介入システムを作ろう!

震災や津波災害など、被災者や関係者の心の状態をサポートし、災害以前の状態まで戻していくことを、危機介入といいます。

具体的にどのような働きかけを行っていくのか。【総務・人事・防災担当者がやるべきポイント】を中心に見ていきましょう。

ステップ1:まずは対象者のニーズを把握しよう

心のケアの目的は、心の傷を治すことだけではなく、心に傷を負った人たちを支えることにもあります。一方で、心のケアの押し付けや過度の声かけは、被災者の負担になってしまうことがあるので、十分な注意が必要です。

そこで、対象者のニーズを明確にするために、まずは想定される心理的ショックの大きさに応じて、想定されるニーズのカテゴリー分けをしましょう。

カテゴリーは、上から「高リスク→中リスク→低リスク」の3つに分けられます。
高リスクに分類されるのは、主に「被災者・亡くなった被災者の家族・救援活動に当たった同僚」です。それに続く、中リスクに分類されるのが「被災者の家族・被災者の同僚・人事総務担当」。最後に、「従業員一般」を低リスクに分類します。

対応例
高リスク:災害時、救援チームとして共に動いた人たちをグループにして、お互いの気持ちを共有する機会を提供する
中リスク:突然同僚を失ったショックなどを癒すため、部課内会議等で、災害や家族への考えや思いを話し合う時間を提供
低リスク:テレビなどで見聞きしているニュースがストレスになることがあるため、災害後の心理的影響などを説明したパンフレットの配布する

ステップ1ではまずニーズを把握し、ステップ2では起こりうる状況に対するアクションを定めていきます。

ステップ2:必要に応じて対応できるマニュアルを作成しよう

カテゴリを分け、対応した後は、必要に応じて、これから紹介する7つの対応を組み合わせて実施しましょう。【総務・人事・防災担当者がやるべきポイント】は今できるアクションをまとめているので、できるところから着実に、マニュアルに落とし込むなど準備を整えていくことを推奨します。

【総務や人事、防災担当者が確認すべき7つの項目】
1、管理監督者、人事労務に対する教育
2、適切な人事管理
3、職場、キャリアの保証
4、相談口を設ける
5、従業員の家族への働きかけ
6、被害を受けなかった従業員への働きかけ
7、医療機関、相談機関への提携

1.管理監督者・人事労務に対する教育
災害直後のストレスにより、過覚醒や解離症状に陥っている人には、本人の自覚がない場合がほとんどです。

その影響により、仕事に集中できなくなってしまうこともあります。過覚醒、解離症状のどちらも一過性のものですが、こうした知識のない管理監督者は、災害のストレスをかかえて集中力に欠ける部下に対してきつい言葉を投げてしまいかねません。その結果、症状はさらに悪化し、うつ病などの長期的なケアが必要な病気に転じてしまう可能性があります。被災した人への対応方法を理解できるように、対応方法の教育を実施しましょう。

従業員への対応ポイントと、管理監督者・人事労務のセルフケアについて簡単にまとめているので、参考にしてください。

【従業員へ対応するときの3つのポイント】
①相手のペースに合わせて、ひたすら話を聴くこと
②怒っている人や、感情を八つ当たりする人に対して、避難や否定をせず、感情を受け止めること
③深い悲しみを感じている人に対しては、感情に巻き込まれすぎないよう、一定の距離を保ちながら、そばに寄り添うこと【管理監督者・人事労務の5つのセルフケア】
①全力で頑張らず、自分なりにホッとする時間を作ること
②気持ちを言葉にして、自然な感情を押さえ込まないこと
③規則正しい生活を送ること
④お酒やギャンブルなど、依存性のあるものに走らないこと
⑤心の回復の早さは人それぞれなので、急かさず、自分も焦らずに一人ひとりを尊重すること

参考:損保ジャパン・ヘルスケアサービス 職場における災害時のこころのケア

【総務・人事・防災担当者がやるべきポイント】
トラウマティックストレスへの理解を深め、被災した人への対応方法の教育を実施しましょう。

2.適切な人事管理
人事労務担当者は、産業保健スタッフ*からの評価をもとに、管理監督者とコミュニケーションをとり、適切な人事管理をしましょう。

怪我等の外傷がない場合でも、通常では起こり得ない危機を体験しているので、心には負担がかかっています。通常業務に戻るまでは、1〜4週間の休暇の付与が理想とされているので、一定期間は業務量、働き方の柔軟性が必要になります。

*産業保険スタッフとは、産業医や衛生管理者、労働安全衛生担当職員を含めた、産業保険にかかわるスタッフの総称

【総務・人事・防災担当者がやるべきポイント】
有事の際、従業員の業務量や、働き方に柔軟性を持たせられるよう、今のうちに対策を考えましょう。

3.職場、キャリアの保証
職員は、職場がどうなるのか、自分のキャリアはどうなるのかと不安を強く抱いています。そのため、職場・本人のキャリアの保証を文書等で交わし、不安要因をなるべく取り除けるよう心がけましょう。

【総務・人事・防災担当者がやるべきポイント】
被災直後、職場と、本人のキャリアの保証ができる文書を渡せるよう、あらかじめ用意しておきましょう。

4.相談口を設ける

社内にホットライン(電話相談口)を設けましょう。

災害直後などは人事に直接相談に行けるように窓口を設けるのもひとつの手段。管理監督者を介さずに直接相談ができる場を設けることで、職員が気軽に相談に行ける環境を提供することが大切です。

【総務・人事・防災担当者がやるべきポイント】
電話相談口を設けるのであれば、誰が相談を受けるのか、実際のフローがどうなるのか、対策を考えて、必要であれば教育を進めましょう。

5.従業員の家族への働きかけ
亡くなった被災者の家族へのケアは、災害現場で直接やりとりした会社のスタッフによる援助から始まります。

同じスタッフが現場で家族を案内したり、医療機関とのやりとりを行ったりすることで、彼あるいは彼女は家族との何かしらの人間関係を構築しているはず。企業と家族の間で何らかのやりとりの必要性が発生した場合、そのスタッフを家族との窓口にすることで、家族は安心感を得られるだけでなく、新たに誰かが介入するよりも混乱を招かないで済みます。

場合によっては、手続きが終わったあと、遺族に対するカウンセラーの紹介や、子供をひとりで育てて行くための子育てガイダンスなどのサポートをすることも、事業者の役割のひとつです。

【総務・人事・防災担当者がやるべきポイント】
亡くなった被災者の家族ケアについて、企業として何ができるのか、発生しうる状況を考えながら対策を練っておくと安心です。

6.被害を受けなかった従業員への働きかけ
直接被害を受けなかった従業員も、テレビなどの災害に関するニュースを通じて強いストレスを受けることがあります。

災害後の心理的影響やセルフケア方法などを説明したパンフレットを作成し、こころのケアサポートを整えましょう。

【総務・人事・防災担当者がやるべきポイント】
災害後、自分でできるケア方法などをまとめたパンフレットを作成し、社内で研修を開くなど認知を高めましょう。

7、医療機関・相談機関との連携
カウンセリングや治療が必要な労働者や家族には、労災病院など、外部の医療機関等を紹介しましょう。こうしたケースでは、専門的治療が求められるので、本人のニーズをヒアリングし、適切だと思われる機関を選ぶことが必要です。

【総務・人事・防災担当者がやるべきポイント】
必要に応じて、専門家に依頼できるよう、あらかじめリストアップし、準備をしておくと安心です。

まとめ

災害や事故後に事業者がやるべきことは、従業員の心のケアに限らず、その家族に対するサポートにまで及びます。心の病気やストレス反応は、目に見えづらいため、ついつい見落とされがちですが、人の命に関わる重要なもの。平常時にこそ対応策をきちんと確認しておき、もしもの時に備えましょう。

企業ごとに危機介入システムのマニュアルをまとめて、必要であれば研修を開くことで、いざというときに具体的なアクションをとることができるようになります。こうした災害時のこころのケアを、企業としてマニュアル化した危機介入システムを持っておくことで、被災後の企業の再起も早くなるのです。

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