8割を超える企業で効果を実感!BCP観点でも効果が期待される「テレワーク」

8割を超える企業で効果を実感!BCP観点でも効果が期待される「テレワーク」

企業における柔軟な働き方の提供という観点から、「テレワーク」を取り入れる企業が増えてきています。先日、リクルートホールディングスが、2016年1月より、雇用形態にかかわらず全ての従業員を対象に、上限日数のないリモートワーク(テレワーク)の本格導入を発表したことでも話題を集めています。「テレワーク」を導入することで、企業が得られるメリットとは何でしょうか。ここではBCPという観点から「テレワーク」を取り入れた事例をご紹介します。

そもそも「テレワーク」とは?

テレワークとはICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない働き方のことを指します。語源は「tele=離れた場所で」と「work=働く」という2つの言葉を組み合わせた造語であり、遠隔勤務と訳すことができます。

国内における「テレワーク」の現状

テレワーク導入目的
テレワーク導入目的

総務省の「通信利用動向調査」によると、テレワークの導入目的の上位として挙げられているのが、「定型的業務の効率性(生産性)の向上:46.2%」「勤務者の移動時間の短縮:44.3%」に続いて「非常時(地震、新型インフルエンザ等)の事業継続に備えて:23.5%」となっており、テレワークの導入目的として「BCP」を意識した導入が一定数存在しているのがわかります。

テレワークの効果に対する認識割合の推移
テレワークの効果に対する認識割合の推移

また「テレワークの効果に対する認識割合の推移」によれば、導入の結果「非常に効果があった」もしくは「ある程度効果があった」という回答が平成24年末時点では81.0%、平成25年末時点では83.9%となっており、多くの企業でテレワーク導入によって、一定の効果を感じていることがわかります。

BCPを念頭に置いた「テレワーク」の導入

これまでテレワークは育児や介護との両立、ワークライフバランスの文脈で取り上げられることが一般的でしたが、東日本大震災をきっかけにBCP対策としてのテレワークに期待が集まっています。ここではそういった、BCPによる効果を念頭においた2社の「テレワーク」の導入事例をご紹介します。

事例(1)日本オラクル

テレワーク制度導入の課程

日本オラクルでは、2002年以降テレワークを「Work@Home」プログラムとして段階的に導入し、運用を進めてきました。

第一段階(2002年1月以降)では主に「家庭と仕事の両立支援」や「優秀な社員の繋ぎ止め」が目的とされ、育児、介護、生涯など通常の出勤に支障のある技術職社員を対象に、原則週1日の出勤を義務づけた週4日のテレワークが実施されました。

第二段階(2003年10月以降)では、「ワークスタイルの変革」「インターネット技術を活用したショーケースの実践」が目的に加わり、サポートエンジニア約300人を対象とするテレワークが試験運用されました。ここでは、任意のスケジュールでの週2〜3日のテレワークを基本に、連続2週間のテレワークなどといったケースも検証されました。

第三段階(2004年6月以降)では、テレワークの目的に「ワークスタイルの多様化」「社員のベネフィット」「ワークライフバランス」が加わり、全職種を対象に適応理由を問わず、個人単位、任意のスケジュールでテレワークが実践されました。同年9月には「Work@Home」プログラムを拡充し、「Work@Everywhere」として本格的な運用が行われています。

テレワーク運用体制

現在、日本オラクルのテレワークは「タイプA」「タイプB」と呼ばれる2通りの仕組みによって運用されています。「タイプA」は育児、介護、障害などの特殊事情に配慮し、人事本部長の承認を経て各個人に適用されます。個人の事情によって業務分担の調整が行われ、原則週1回の出社が義務づけられた「フル在宅型」のテレワークとなります。

一方、「タイプB」では特殊事情がない社員にも適用され、各部門において社員がテレワークの利用を申請し、上司がそれを承認する形で運用されています。対象は新卒入社3年以上の社員となり、最低週1回の出社が必須とされ業務分担の調整は特に行われません。部門ごとに業務の特性が異なることから、各部門でテレワークの利用頻度やルールが定められています。

テレワークとBCP

BCPの観点では、アメリカのオラクル・コーポレーションがグローバルな危機管理体制、事業継続管理プログラムを展開しており、日本オラクルもそれに従った取り組みが行われています。

2009年の新型インフルエンザへの対応では、グローバルの事業継続管理プログラムに即した全世界共通の基本方針が出され、そこに厚生労働省指針など日本独自の方針が追加されています。具体的には「Work@Home」「時差通勤」「出張規則」「予防法周知」「連絡体制の確保」が実施されています。

同社では、日常的にテレワークを運用していたという背景もあり、新型インフルエンザへの対応として改めてテレワークに関する説明や指示が不要だったとされています。

一方、新型インフルエンザの場合、社員の申請によるテレワークというよりも、社員本人と同居している家族の感染状況によって、テレワーク実施の必要性を検討しなければならないという側面がありました。例えば、社員本人には感染が認められていないものの、同居家族に感染が見られた場合には出勤の規制がしかれ、週5日間のテレワークが適用されました。

その後、ウイルスの潜伏期間が2日間ということがわかると出勤規制が緩和され、現在では「セルフチェック(検温、マスク着用、少しでも不調であれば休暇)による出社」「上司認定によるテレワーク」「休暇」のいずれかの対応となっています。実際、2009年の新型インフルエンザ対応でテレワークを行ったのは30〜40件ほどだったといわれ、出勤規制やテレワークの活用がなければ、企業内での感染被害が拡大し、企業における生産性が著しく低下していた恐れがあったとされています。

BCPにおけるテレワークの導入事例(2)日本ユニシス

テレワーク制度導入の課程

日本ユニシスグループでは、社員の働きやすさ向上を目的に、2006年9月に仕事と育児の両立支援制度が大幅に改訂されました。その中の取り組みの一つとして「テレワーク」の導入の検討、および試行が開始されました。

その後、2008年2月に本格導入に向けたプロジェクトが立ち上がり、業績管理や労務管理についての議論を重ね、同年6月にテレワークの本格導入に至り、現在、同制度の利用者は50名ほどとなっています。

テレワーク運用体制

日本ユニシスにおけるテレワークは、原則勤務期間が1年以上の社員が対象となっており、業務の成果を明確に提示することが可能、かつ「週3日以上」を前提に申請登録した社員が在宅勤務者としてテレワークを行っています。

業務の管理方法については、始業時間・就業時間こそ連絡が必要となりますが、基本的には日々の時間管理は行わずに「みなし勤務」が適応されます。事前に提出した項目に従い「成果管理シート」を作成し、日時・月次の成果をレビューするといった管理体制がとられています。

テレワークとBCP

BCPの観点では、日本ユニシスは2006年に首都直下型地震を想定した「BCPプロジェクト」が設置されています。また、2007年4月からは新型インフルエンザ対策が開始、翌年4月には新型インフルエンザ対策の諸規定が制定され、5月には新型インフルエンザ対策本部の机上訓練、11月には新型インフルエンザ向け安否確認訓練が実施されています。

日本ユニシスではCDC(米国疾病予防管理センター)が定義する5つのカテゴリーを参考に、新型インフルエンザによる日本国内の被害規模を「重度被害」「中度被害」「軽度被害」の3段階に設定しています。

2009年に流行した新型インフルエンザの際には、その被害規模を「軽度被害」に位置づけ、通常通りに業務を継続するという方針がとられました。

その際、社員本人が感染してしまった例だけでなく、社員の家族が感染してしまった場合や、子どもの託児施設が休業になってしまったという事態も発生しました。また、社員によっては出向先の企業の規定によって出社が禁止されるという例もありました。

当時、こういった状況においては、社員に休暇を認めるか、通常の勤務扱いとした自宅待機という対応を取るのが通例でした。しかし、日本ユニシスでは、それ以前に簡易版テレワーク(自社の製品である「SASTIK」と呼ばれるUSB型の認証キーを使って自宅やモバイルPCから社内イントラに接続できる仕組み)を全社員に適用していたことで、新型インフルエンザによる被害を最小限に留めることを実現しました。

まとめ

今回はテレワークをBCPの一環として取り入れている企業の事例を紹介しました。今回の事例を通してわかるのは、新型インフルエンザなどの感染が拡大した際にテレワークを用いることで、「感染経路を断つ」感染した際にも「家族の側にいられるという心理的な効果」など、様々な効果が得られるということが挙げられます。

また、日頃から定期的にテレワークを利用し、いかに社内で浸透させるかが重要なポイントです。今後も大規模な感染症や災害などの緊急時に備え、「テレワーク」を導入する企業は増えていくのではないでしょうか。

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