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【Zoomウェビナー最速導入術】2時間で比較▶︎導入した方法とは

Zoom最速導入術

2020年2月25日 午前10時30分ーー

みんなのBCPを運営するトヨクモ株式会社で、衝撃的な決断が下されました。

「対面での商談・打ち合せ・セミナーの全面禁止」

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大対策として、これまでは電車での通勤者のみがリモートワークの奨励されたり時差出勤を行っていただけで、大きな混乱や変化はなかったのですが、この時ばかりは違いました。

【トヨクモ株式会社の新型コロナウイルス対策】

2月14日(金)
希望した者のみ、リモートワークを開始。

2月18日(火)
1週間後に予定していた、トヨクモ主催の300名規模のイベントの延期を決定。

2月19日(水)
電車通勤者は全員時差出社を開始。

2月25日(火)
対面での商談・打ち合せ・セミナーの全面禁止。電車通勤者は全員リモートワークを開始。

どうする、セミナー

トヨクモでは、2018年頃から「Whereby(ウェアバイ)」というツールを使って、商談のオンライン化を進めてきました。
その為、既に予定されている個別の商談に関しては、1件1件電話やメールをして切り替えていくことで、大きな混乱は起きませんでした。

しかし、既に開催が決定している「安否確認サービス2」のセミナーは別です。

商談で利用しているWherebyは、同時に接続できる人数が最大で12人なのです。
セミナーは、1回の参加者が20名〜40名程度になるので、Wherebyでは到底まかなうことができません。

セミナーを中止するという選択肢もありましたが、予定している「安否確認サービス2 まるわかりセミナー」は、毎月のように定員まで申し込みのある人気のセミナーです。
心待ちにしている方も大勢いるため、トヨクモではこれを機に、以前から計画していた「ウェビナー(オンラインセミナー)」に挑戦することに決めました。

約1週間後にあたる3月3日には、最初のセミナーがあります。
開催方法変更の案内などを考えると、どんなに遅くとも今日中には選定しなければいけません。

ここからは時間との戦いです。

まず決めたのは、必須の条件

ツールを選定するにあたって、まずは必須の条件をハッキリ決める必要があります。

今回は自社でシステムを開発するのではなく、パッケージとして販売されているツールを利用するので、トヨクモの希望に100%当てはまるツールを見つけるというのは難しいためです。
中には求める以上の機能を備えているツールもあるかもしれませんが、使いもしないのに「とにかく高機能のもの!」というのを求めすぎると、利用料金とのバランスが取れなくなってしまいます。

そこでトヨクモでは、下記の4つを必須条件として設定しました。

最低でも50人が同時に参加できる

参加者は登録不要で、URLにアクセスするだけで利用できる

アプリのインストールが不要で、ブラウザだけでも利用できる

音声や画面共有時の品質が良い

最初の2つをクリアするツールは多いのですが、3つ目の「アプリのインストールが不要で、ブラウザだけでも利用できる」ツールを探すのに苦労しました。

セミナーを受講する方の中には、セキュリティの関係で新たなアプリをインストールすることが難しかったり、そうでなくともインストール自体が心理的ハードルになる方もいます。
そのためトヨクモでは、主要なブラウザである「InternetExplorer」「edge」「Chrome」のブラウザさえあれば利用できるシステムを選定することになりました。

4つ目の「音声や画面共有時の品質が良い」に関しては、ある程度絞り込んだ後、無料お試しなどで実際に試すしかないと考えたので、検討の初期段階では考えないことにしました。
ですが、セミナーでは資料や実際のサービスの画面操作を共有する時間が非常に長いので、最終的には「アプリのインストールが不要で、ブラウザだけでも利用できる」にも勝る優先度となります。

そして実際に、最終的にはここが選定の大きな分かれ目となりました。

まず最初に検討した「GigaCast(ギガキャスト)」

まず最初に検討したのは、ウェビナーに特化したオンラインセミナーシステム「GigaCast(ギガキャスト)」

月額固定の料金プランだけでなく、利用した分だけ費用のかかるプリペイド制の料金プランがあるため、ウェビナーを実施したことがなく、継続して利用するかどうかわからないトヨクモにとっては魅力的だと感じ、前々から候補に挙がっていました。

ただ、その時点では3つ目の条件である「ブラウザだけでも利用できる」を実現するには、Adobe社の「FlashPlayer」をインストールする必要がありました。
非フラッシュ化の予定があるようですが、今回の検討時点でもまだ非フラッシュ化されておらず、トヨクモのセキュリティーポリシー上「FlashPlayer」のインストールが難しかった為、断念することとなりました。

大本命「Zoom」!! のはずが・・・

さて、いよいよこの記事の本題であるZoomです。

ただ、先に書いておきますと、Zoomを無料トライアルで利用してみた後、ある問題があったことから「V-CUBE(ブイキューブ)」の無料トライアルを申し込みました。
その理由は後述します。

話しを戻しますが、Zoomは以前から知っており、実はこの検討を始める1週間ほど前に、他社との共催セミナーで利用させてもらっていました。
その時は、ウェビナーの共催先企業のアカウントや機材でセミナーを行った為、設定方法や操作方法について分からないことは多くありましたが、出来ることについてはある程度分かっていました。

Zoomのホームページに訪れた後、まずは料金プランを確認しました。

1対1であれば無料プランでも無制限に利用可能なようですが、ウェビナーのように複数人で利用する場合は1回40分の時間制限があった為、有料プランを前提に検討しました。
無料プランの1つ上のプロプランであれば、最大100人/24時間まで同時接続が可能で、参加者はZoomに登録する必要もないため、2つ目までの条件はこれでクリアです。

3つ目の条件であるブラウザで利用できるかについても、動作環境を確認したところ問題なさそうです。
ということで早速トライアルを申し込んで、4つ目の条件である「音声や画面共有時の品質が良い」かどうかの、確認を行うことになりました。

実際に試してみると、以下のようなことが分かりました。

1アカウントで同時に行えるウェビナーは1つまで

Zoomでの1アカウント(ライセンス)というのは、どういう単位なのか。
まず最初に、ここを理解するのに少し時間がかかりました。

Zoomのプロプラン以上を利用した場合、参加している人は大きく分けて下記の3つに別れます。

【ホスト】

いわゆる主催者です。
マイクやカメラを使ったビデオ通話はもちろん、画面共有を開始したり、参加者のマイクやカメラを強制的にオフにしたりできます。

【共同ホスト】

ホストとほぼ同等の権限が与えられ、画面共有や参加者の操作が行えます。
一緒にセミナーを行う社内のメンバーや共催先の方には、まず「参加者」として参加してもらいます。
その後、ホストが「共同ホスト」にしたい参加者を選択して操作を行うと「共同ホスト」に昇格させることができます。

最初は一般の参加者として参加してもらうため、Zoomのアカウント情報を共有したりする必要はありません。
ちなみに、無料プランではこの共同ホスト機能は利用できません。

【参加者】

一般のセミナー参加者です。
参加者もマイクやカメラを使ってビデオ通話をしたり、ホストに許可されていれば画面共有や参加者全員に向けてチャットができます。

プロプランでは、以上の3つの役割の合計人数が100人まで、同時に利用できます。
ただし、50人と50人に分けて、2つのウェビナー(ミーティング)を同時に、といった使いかたはできません。

1ライセンス契約すると、100人の会議室が1つ持てると考えてもらうと、分かりやすいと思います。

では、誰がホストになるのか。
それはそのウェビナー(ミーティング)をスタートさせた人です。

もちろん、誰でもスタートさせられるわけではありません。
Zoomを利用する際は、まずこのようにミーティングをスケジュールします。

ミーティングスケジュール

そして、その横の「開始」ボタンを押してスタートさせた人がホストとなります。
もちろん上記の管理画面は、Zoomを契約しているユーザーしかアクセスできないので、一般の参加者が「開始」ボタンを押して、ホストになるようなことはありません。

そして、ここには終了時間の記載がありませんが、これらのミーティングは、すべて時間が被らないようにスケジューリングされています。
これは「1アカウントで同時に行えるウェビナー(ミーティング)は1つまで」となる為です。

次のミーティングスケジュールの時間になっても、強制的にミーティングが終了することはありませんが、進行中のミーティングがある状態で次のミーティングの開始を行うと、前のミーティングの参加者は、ホストを含めて全員強制退室となります。

そのため、セミナーや会議のスケジュールがダブルブッキングしないよう、トヨクモではグループウェアの「サイボウズ Office」で管理しています。

サイボウズOffice

このように施設として登録しておけば、同時刻に利用登録しようとすると、エラーが表示されて予約できないようになります。

 

アカウントの考え方や、大まかな利用方法も分かったので、早速社内でテストしてみることにしました。
ミーティングをスケジュールすると、このように専用のURLが発行されます。

ウェビナーURL

これを参加者や共同ホストにお知らせすることで、ウェビナーへの参加が可能になります。

トヨクモでは、業務アプリを自由に作成できる「kintone(キントーン)」というサービスで、セミナー参加者アプリを作成しています。
フォームブリッジ」というサービスで作成したWebフォームから参加申し込みが送信されると、セミナー参加者アプリに参加者情報が登録されるので、そのリストに対して「セミナー開催方法の変更」の案内をメール送信することにしました。

ウェビナー参加者管理

メール送信には「kMailer(ケーメーラー)」というサービスを利用することで、簡単にウェビナー用のURLも案内することができます。

ブラウザからの参加で、問題発生

ウェビナーへの切り替え案内のイメージまで出来たので、契約まであと一歩!というところまできたところで、問題が発生しました。

ZoomはURLにアクセスすれば、登録不要で簡単に参加できるというのが最大の利点でもあります。
加えて弊社では、セキュリティの関係上、Zoomのアプリがダウンロードできない方の為に「InternetExplorer」「edge」「chrome」のブラウザだけでも利用できるツールを探していました。

しかし、Zoomで発行されたURLにアクセスすると、アプリのダウンロードが促され、アプリをインストールせずにブラウザだけで利用するといった選択肢がないのです。

ウェビナー参加画面

少し調べてみると、ブラウザだけで利用するには表示された画面で「キャンセル」をクリックしたあと、さらに「ブラウザが何も表示しない場合、ここをクリックし…」の「ここをクリック」を押さなければいけないことが分かりました。

ブラウザからの参加方法1

そこまでして初めて、一番下に小さくブラウザでアクセスできるリンクが表示されます。

ブラウザからの参加方法2

これは正直、初めて利用するウェビナー参加者には、ハードルが高く難しいと感じました。
対面で案内や操作補助ができるのであればいいのですが、メールで案内を記載していても、必ずしも全員がすべて読むとは限りません。

ウェビナー直前になって「アプリはインストールできない」「ブラウザだけで利用する方法が分からない」となると、開始時間が遅れたりするなど混乱を生じさせる可能性が高いと感じたため、ここまできて振り出しに戻し、再度ほかのツールを探すことになりました。

V-CUBE(ブイキューブ)、開始5分で検討断念・・・

そこで候補に挙がったのは「V-CUBE(ブイキューブ)」です。

V-CUBEもZoomと同じく「InternetExplorer」「edge」「chrome」など、主要なブラウザを動作環境として保証しています。
早速お試しを申し込みんでログインしてみたところ「アプリで入室」と「ブラウザで入室」が分かりやすく表示されていて、これであれば迷うことなくウェビナーに参加していただけるかなと感じました。

V-CUBE

ひとまず、アプリで入室してビデオ通話や画面共有を試しましたが、結果としてはここで検討を断念し、Zoomを導入することとなりました。

その最大の理由が「画質とレスポンス」です。
下記の画像は、V-CUBEとZoomの比較です。

V-CUBEの画面共有

V-CUBEの画面共有

Zoom画面共有

Zoomの画面共有

トヨクモの「安否確認サービス2」のサイトでは、トップページで動画を流しているのですが、V-CUBEでは上の画像のように画質が落ち、動きもカクカクと動いていました。
ブラウザのタブや資料を切り替える時も、相手側に反映されるまでに10秒ほど待つシーンが発生し、実際のサービス画面をお見せしながら説明するトヨクモのウェビナーで利用するのは、難しいと感じました。

念のためアプリだけでなくブラウザからも試しましたが同様だった為、お試し開始からわずか5分であえなく検討を断念しました。
見た目や操作性はシンプルに感じましたし、ブラウザのみでの参加方法も分かりやすかっただけに残念です。

ただ、これは最終的にZoomを導入して使い始めてから分かったことなのですが、Zoomは外資の企業ということもあり、ところどころ英語表記のままだったり、日本語でのヘルプページ等はあまり充実していません。
そのため、分からない点があった際はサポートに問い合わせるのですが、Zoomのチャットサポートを利用したところ、テキストの自動翻訳機能を使って海外の方とやり取りをするような形となっているため、問い合わせ内容を正確に伝えたり、得たい回答を得るのに工夫が必要でした。

そういった点では、安心してサポートが受けられるV-CUBEのほうが合っている方もいらっしゃると思うので、ぜひ検討してみてください。

再びZoomに戻って、最終検証

その後、別のツールも探しましたが、中々全ての必須条件に合致するツールが見つからなかったため、最終的にブラウザでのアクセス方法については「案内方法を工夫する」という形で、Zoomの導入を決定しました。

実際は、セミナー当日に懸念していたアクセストラブルなどは起こらず、みなさんスムーズにウェビナーに参加することができました。

その際、工夫として行ったことが3点あります。

工夫①

まず1つ目の工夫は、開始の30分前からアクセスできるようにしておいたことです。
早すぎると思う方もいるかもしれませんが、実際に30分前からアクセスした参加者も数名おり、次の2点目の工夫を繰り返し行うことができました。

工夫②

2つ目の工夫は、音声が聞こえない参加者に、複数回にわたって呼びかけたことです。
声が聞こえないという参加者は、必ずと言っていいほどいます。
そこでトヨクモでは、ウェビナー開始前にカメラとマイクをオンにして複数回呼びかけを行っています。

もちろん、音声が聞こえない参加者がいた場合、マイクに向かって「聞こえない方は教えてください」と呼びかけても反応がないのは当然なので、チャットで「いま音声が聞こえていなかった方は、パソコンの音量設定の確認をお願いします。それでも聞こえない方は、下の「反応」ボタンで、なにかリアクションをお願いします」と書き込みます。

音声が聞こえない場合のほとんどは、参加者のパソコンの音量設定が原因なので、これまではこの方法で100%解消してきました。

工夫③

Zoomを用いたウェビナーの初開催は、他社との共催セミナーだったのですが、新型コロナウイルス対策で急遽初挑戦したということもあり、終了後に「誰が参加したのかわからない」という事態に陥りました。

参加者はウェビナーにアクセスした際、任意で名前が入力できるため、各々が自由な形式で名前を入力していたのです。
ただ、これを「本名や会社名を入力してください」と案内すると、ウェビナーの参加者同士で名前などが見えてしまうため、それはそれで弊害があります。

そこでトヨクモでは、ウェビナー参加申込みフォームから申し込んだ際に、自動的に割り振られるされるユニークの番号を案内メールに差し込み、その番号を名前として入力してもらうようお願いしました。
そうすることで、あとはウェビナー中に参加者リストのスクリーンショットを撮影しておくだけで、ウェビナーに申し込んだ人の内の誰がウェビナーに参加してくれたのか、チェックすることが可能になりました。

【まとめ】ウェビナー後に、参加者の方からいただいた感想

特に大きなトラブルもなく、スムーズに終えることのできた初の単独主催ウェビナー。
終了後には参加者の方からトヨクモへ、意外な感想が寄せられました。

今後もオンラインセミナーでも良いと思います。

人物1

オンラインセミナーでしたので分かりづらいかと思いましたが、説明のされかたが良く、内容は分かりました。

人物2

オンラインセミナーという事で接続エラーや聞こえない等懸念がありましたが、実際のセミナーは多少エラー等ありましたが、そこまで気にならない程度で、説明と資料の移動もスムーズでしたので分かりやすかったです。

人物3

 

急遽オンラインでのウェビナーに開催方法を変更したにも関わらず、ネガティブな意見や感想はゼロだったのです。
やってみないと分からないものですね。

 

さて、如何でしたでしょうか。
新型コロナウイルスの蔓延は、さまざまな会社の事業に深刻なダメージを与え、世界の経済が混乱に陥りました。

東京商工リサーチの調査では、国内で初の感染者が確認されてから僅か2ヶ月あまりで業績予想の下方修正が相次ぎ、その総額は4,500億円を突破しました。

トヨクモの場合、従来より商談のオンライン化を進めていただことで、ウェビナーでの説明もスムーズに抵抗なく行うことができましたが、いざ非常時になって未経験のことを行うとなると、たくさんのハードルがあります。

新型コロナウイルスのような感染症だけでなく、日本では地震や大雨などの自然災害でのリスクも潜んでいます。
いざという時、事業へのマイナスインパクトを少しでも減らすため、さまざまな視点での事業継続計画(BCP)は欠かせません。

みんなのBCPでは、今回の新型コロナウイルス対策として、普段は有料のツールを無償提供している会社をまとめた記事を紹介しています。

【新型コロナ対策 】有料サービスを無料提供 -47種のシステム特集-

非常時のことは非常時に行うのではなく、平時に備えることが重要です。
みなさんも是非この機会にさまざまなツールを試して、BCPにお役立てください。