地震や台風などの大災害がたびたび発生している近年、企業の防災意識は向上していると言われています。しかし一方で、「会社の防災事情についてあまり良くわからない」という声があるのも、また事実。果たして、実情はどうなっているのでしょうか。
という訳で今回は、企業の防災がどれほど徹底されているかを調べるため、製造業・管理職の40代男性150人に、会社の防災事情についてアンケートを実施しました。
目次
全体の6割が防災の取り組みをしていない?!
まずは、全体のどのくらいの人が災害に対して準備を整えられているかを調べるため、もしもの災害に備え、社内で準備していることはありますか?という質問をしました。

なんと150人中90人が、「いいえ」と回答しています。災害が頻繁に発生している状況であるにも関わらず、災害に対する危機意識がこれだけ低いというのは驚きです。
続いて、先ほどの質問で「はい」と回答した60人の方に、具体的にどのような準備をしているのか、聞いてみました。

社員全員の連絡先を控えている、ヘルメット等の防災グッズを用意しているの2項目は50%を超えていますが、その他、災害マニュアルの作成や定期的な避難訓練の実施などは30%ほどと、かなり低い割合にとどまっています。
飲料水、非常食がない?建物の耐震に不安があるという企業も
企業の防災意識があまり高くないということがわかったところで、具体的に、どの点で準備が不足しているかも尋ねてみました。わかってはいるけど、まだ手をつけられていない…という防災対策、皆さんも思いつくことがあるのではないでしょうか。
Q3.もしも災害が起きた際、自分の会社で事前に対策を考えられていない点や、準備ができていない物があれば教えて下さい。
この質問に対しては、非常食が準備されていない、災害マニュアルがないという回答が目立ちました。中には、建物の耐震に不安があるという回答も。いち早く修繕に取り掛かってほしいところです。
・飲料水、非常食を準備していない
災害時に社員の命をつなぐ飲料水・食糧が準備できていないのは、重大な問題です。最低でも数日分を備蓄しておきましょう。
・発電機や非常電源がない
停電になった際に、電気を供給する非常用電源。電気が止まれば、ストップした仕事を速やかに復旧するためにPCを使いたくても使えない、冬場で寒いのに空調が効かないなど、重大な問題を起こしかねません。
・建物の耐震強度実験や修繕を行っていない
大地震の際に倒壊する危険がありながら、放置しているという回答も。社員の命を守るためにも最優先で行って欲しいです。
・避難指示系統ができていない、マニュアルがない
災害マニュアルの作成は、防災の基本中の基本。マニュアルを定めた上で災害時の対応や指示責任者を会社全体に周知しておかねばなりません。
電気が使えない…災害時に困ったこととは
災害が起きた時に困った経験は、その後の防災対策を考える上で重要です。皆さんはこれまでどのような経験をされているのでしょうか。
Q4.勤務中に災害が起きて困った経験があれば、どういった点で困ったのか教えて下さい。
この質問では、2011年の東日本大震災で、大規模停電が起こった際の対応に苦労したという回答が目立ちました。非常用電源の確保は多くの企業にとって課題となっているようです。また、避難場所、避難経路が不明確でとまどいがあったという意見も数多く見られました。
・停電で電子機器が使えず、電動シャッターも下りず戸締りもままならなかった。パソコンも見られないので、情報が入ってこなかった
会社に非常用電源がなかったケースです。災害時に情報が仕入れられなければ、次の行動に移ることが難しくなるので、これは避けたいところです。
・避難場所を決めていなかったため、どこに避難すれば良いか分からずパニックに
避難場所はマニュアルで決めておくのがベスト。指示を出す人も避難場所もわからなければ、パニックになってしまっても仕方ありません。
・災害の程度が判断できず、避難すれば良いかどうかでとまどった
災害時の避難指揮系統が決まっていなかった時に起こりうるトラブルです。誰が何を指示するのかが決まっていれば、未然に防ぐことができるでしょう。
災害が起きる前に、会社の中で決めておくべきこととは

最後に、災害が起きる前に、会社内で決めておくべきルールや、準備しておく道具についてご意見をお聞きしました。
Q5.災害の際、会社で予め決めておいたら便利な決まりや、用意しておいた方が良いと思う備品等あれば教えてください。
役割分担表やコミュニケーションツールが必要と考えている方が多いです。SNSに関しては、普段から使い慣れている若手社員に仕組みを作ってもらうとスムーズでしょう。
・役割分担表
顧客への連絡や、災害情報の収集といった役割は、事前に割り振っておくことで、いざという時に各自がスムーズに行動することができます。
・避難経路
避難場所はもちろんですが、避難経路を決めておくことも重要。経路がわからないまま、我先にと外に出ようとすれば、大パニックになりかねません。責任者を中心として、事前に決めておいた避難経路から脱出することで災害が起きた後の事故を未然に防げます。
・安否確認のためのコミュニケーションツール
緊急連絡網を作成することも大事ですが、災害時は電話が通じなくなることもあります。そんな場合に役立つのが、FacebookやLINEといったSNS。部署ごとにグループを作成しておけば、回線が混み合っていて電話やメールができない場合にも、速やかに安否確認ができます。
油断は大敵。改めて防災事情を確認してみよう
アンケートの結果、企業における防災があまり進んでいない現状が浮き彫りになりました。
災害マニュアルがない、非常食の準備をしていない、災害時の避難場所がわからない、など基本的な防災への取り組みすらなされていない、というのはとても危機的な状況です。
「まさか、大災害なんて起こらないだろう」という油断は禁物です。災害時に従業員の安全を確保し、事業の復旧に取り組むのは、他でもない企業自身。誰かが代わりにやってくれるものではありません。
備えあれば憂いなしです。うちの会社は大丈夫だと思っている方も、改めて防災への取り組みが徹底されているかどうか、確認してみましょう。
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