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2016年で一番美味しい非常食が決定!第一回「日本災害食大賞」レポート【防災EXPO2016】

企業向けの防災グッズやサービスが一同に会する、オフィス防災EXPO。東京ビッグサイトで開催されたこのイベント内で、2016年7月13日、年間で最も優れた非常食を決める「日本災害食大賞」の記念すべき第一回が催されました。

災害時の非常食というと、美味しいというよりは、最低限の空腹を満たすものという印象がありますが、今の非常食は美味しさも機能性もこだわり抜かれているのです。今回、優秀賞に選ばれた非常食はどれもそうしたこだわりの食品ばかり。

今回は「美味しさ部門」「機能性部門」「新製品部門」の3つの部門に分かれており、それぞれに秀でていると審査員に判断された商品が優秀賞として選出され、グランプリが決定しました。

授賞式では部門ごとにグランプリの発表と、優秀賞の表彰が行われました。みんなのBCP編集部でも取材に行ったので、その模様をレポートします。

美味しさ部門

美味しさ部門の評価基準は、もちろん味。優秀賞に選出された3つは、災害用だけでなく、通常時に食べても美味しい食品となっています。それでは発表を見てみましょう。

3位:「温めずにおいしいカレー」ハウス食品株式会社


美味しさ部門の3位は、ハウス食品から「温めずにおいしいカレー」です。その名の通り、温めずに食べられるというレトルトカレーで、保存食としてうってつけの食品。賞味期限は3年。避難時でも本格的なカレーを食べることで、元気が湧いてくるのではないでしょうか。

味については審査員の方々も、「辛さが程よく、うまみがある(黒川勇人氏・缶詰博士)」、「スパイスが効いていて美味しい(国崎信江氏・危機管理教育研究所)」と、そのスパイスの味わいが魅力のようです。

2位:「レトルト 軟骨ソーキの煮付」株式会社沖縄ホーメル


美味しさ部門の2位は、沖縄ホーメルより「株式会社沖縄ホーメルの軟骨ソーキの煮付」です。賞味期限は1年。

ソーキとは沖縄の呼び名で、豚肉のあばら肉のことをいいます。伝統的な調理法は長時間煮込み、味を染み込ませたもの。沖縄の料理には欠かせない食べ物です。そんな郷土料理をレトルトにすることで、手軽に美味しく食べることができ、保存食として備蓄できるという優れた食品に仕上がっています。

1位 グランプリ:「IZAMESHI Deli 名古屋コーチン入りつくねと野菜の和風煮」杉田エース株式会社


美味しさ部門のグランプリに輝いたのは、杉田エースより「IZAMESHI Deli 名古屋コーチン入りつくねと野菜の和風煮」。素材本来の味を活かし、栄養バランスにもこだわったIZAMESHI Deliシリーズは、長期保存食IZAMESHIの新シリーズです。賞味期限は3年。

大きめ野菜とつくねを関西風の出汁で上品に味付けした、保存食とは思えない味わい。温めて美味しいのはもちろんですが、保存食なのでそのままでも食べられます。美味しさ部門のグランプリに輝いただけに味への強いこだわりがあるのです。

IZAMESHIのコンセプトは「保存食を、非日常から日常へ」。それだけに平常時の食卓のおかずとしても美味しく食べられるようになっているんです。味と栄養のバランスが取れているので、アウトドアでも活躍する保存食です。

そう。このように沢山の非常食があり、その重要性が分かります。ですが、実は非常時に大切なのは「食」だけではなく、状況を把握するための「コミュニケーション手段」も同様に準備すべきなのです!

機能性部門

すみません、突然宣伝が入りましたが、気を取り直していきましょう。機能性部門とは、保存性や栄養に工夫を凝らし、保存食として優れているかどうかが評価基準です。こう聞くと、乾パンのようにものを想像しがちですが、実際はどうなのでしょうか。

3位:「野菜の保存食セット」カゴメ株式会社


3位に選ばれたのは、カゴメの「野菜の保存食セット」です。こちらは「野菜一日これ一本」の長期保存用が6缶、「野菜たっぷりスープ」2袋のセット商品です。

「野菜一日これ一本 長期保存用」は通常より2年長い、5年6ヶ月保存できるという優れもの。その秘密は缶ぶたに腐食に強いポリエステルフィルムコーティングしていることにあるそう。1日分の野菜が採れる人気の野菜ジュースを保存食として備蓄できるのは嬉しいですね。

また、「野菜たっぷりスープ」は3年6ヶ月保存できます。味はトマト、かぼちゃ、豆の3種類が用意され、常温でも食べられるようになっています。

2位:「やさしくラクケア 黒蜜きなこプリン」ハウス食品株式会社


2位はハウス食品より「やさしくラクケア 黒蜜きなこプリン」。賞味期限は1年。このプリンのポイントは、1個当たり、エネルギー150kcal、たんぱく質5.0gを含み、舌でつぶせるほどの柔らかさになっているというところ。高齢者の方にぴったりの保存食です。さらに、味も黒蜜きなこというお年寄りの方好みになっている点も魅力的です。

高齢者とっては、食べ物が限られる避難生活で固いものなどしかなく、栄養素が十分に摂れないという事態になりかねません。そんなときにこのプリンがあると便利。

審査員の評価でも、「高齢者や要介護者の方に不足しがちな栄養素が配慮されている(奥田和子氏・甲南女子大学名誉教授)」とされており、備蓄しておきたい一品です。

1位 グランプリ:「超長期12年保存水」株式会社ユニーク総合防災


機能性部門、栄えあるグランプリを受賞したのはユニーク総合防災より「超長期12年保存水」。12年も保存できるということは、2016年現在から数えると2028年まで保存できるということになります。

こちらの保存水は元々、現在と同じ工程で製造していた海洋深層水で、13年10ヶ月保存した状態で検査したところ、問題なしということが認定され、それがきっかけで12年保存可能な水としてパッケージ化して販売したのだといいます。

企業で備蓄水として導入する場合、12年持つので備蓄の交換サイクルが長くなり、その分コストと資源が削減できるため、検討してみる価値は十分にあるはずです。

新製品部門

新製品武門は、その名称通り、新しい食品の中から優れたものを評価する部門です。どんな新製品が選ばれているのでしょうか。

3位:「そのまま美食ご飯シリーズ やわらか五目ご飯」日本フードマテリアル株式会社


第3位に選ばれたのは、調理や水不要で、開けてそのまま食べられる、日本フードマテリアルの「やわらか五目ご飯」。5年間美味しさを保つという長期保存可能なのも嬉しいポイントです。

審査員の方も、「レトルトはおかゆが多い中、ご飯としてしっかりと食べれれる(奥田和子氏・甲南女子大学名誉教授)」と評していて、食べごたえのある点も魅力的です。

2位:「非常食Aセット」石井食品株式会社


2位に選ばれたのは、玄米がゆ、きのこの佃煮、甘辛豚肉がセットになった石井食品の「非常食Aセット」。こちらも調理と水不要で、そのまま食べられる商品です。常温で5年間保存が可能。

非常食らしいパッケージではありますが、その味は「レトルト臭がせず、化学調味料も使わずに美味しく仕上がっている(黒川勇人氏・缶詰博士)」とされており、普通の非常食とは一線を画しています。

1位 グランプリ:「しっかり、まんぞく。非常食セット3日分」ファシル株式会社


新製品部門のグランプリは、ファシルより「しっかり、まんぞく。非常食セット3日分」。内容は、野菜一日これ一本、レトルトのおかずやごはんが入ったIZAMESHI、デニッシュが入った缶deボローニャ、かつお節専門店にんべんのだしがゆ、えいようかん、脳はぶどう糖というラインナップになっています。

栄養を摂ることと食事を楽しむことが考慮された、3日分のセットになっている点が評価されました。

1日1800kcalの摂取ができるだけの食料が入っているので、1日に必要なカロリー、成人男性1500kcal、成人女性1200kcalを満たしており、これがあるだけで栄養をしっかりと摂ることができます。

必要な栄養を摂ることで、避難生活でのストレスを軽減させることができるので、1人1セット準備しておけば、安心できるはずです。

美味しい非常食だから普段の食卓にも備蓄にもOK!

3部門、9種類の非常食はどれもバリエーションに富んでいて、非常食として優れたものです。非常食はただ保存していればいい、というわけではなく、入れ替えていく必要があります。これはローリングストックという方法ですが、実践するためには、日常的に美味しく食べられる食品でなければなりません。

その点、今回の災害食大賞を受賞した非常食は、平常時の食卓に並べても美味しく食べられるものが多く、ローリングストックに向いているといえるでしょう。

ぜひ、家庭とオフィスの保存食を選ぶ際の参考にしてみてください。

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