自分が被災することはないと、思っている方いませんか。
2016年4月14日に発生した熊本地震。4月14日と16日、連続して気象庁の震度階級で最も高い震度7の揺れが熊本県益城町を襲い、県内では20万棟近い住宅が被災するなど大きな被害を出しました。観測史上初めて、同一の地域で28時間のうちに2度の震度7を記録したそうです。
当時の熊本市の今後30年以内に震度6弱以上の揺れが起きる確率は7.7%と言われており、地盤も硬かったため企業誘致が推進されていたと聞いたこともあります。
つまり、地震発生確率は低く、安全な地域と言われている地域で大災害が発生したのです。
いつどこで自然災害が発生して自分が被災するかを予測することは非常に難しいです。日頃から自然災害にどのように対策するか防災・減災の視点から考えられる防災のプロフェッショナルになりませんか?
今回は、みんなのBCP編集部 坂田健太さんの防災士養成研修と資格取得試験の様子をレポートにします。
防災士資格取得試験に合格できたのでしょうか?
目次
防災士会場研修 2日間の研修と試験
防災士の研修と試験、お疲れ様でした!
試験まで約2週間、日々の業務と家族サービスをこなしつつ、防災士資格取得のために学習を進めていましたよね。試験には合格しましたか?
防災士資格取得試験、無事合格しました!!
こちらが試験結果の通知です。
おめでとうございます!
試験結果の通知に「貴殿は全問正解の結果を収められました」と記載がありますね。
試験までに計画立てて勉強をされた賜物ですね!
はい。
ただ、正直試験直後は不安な気持ちでいっぱいでした。(笑)
問題用紙・回答用紙どちらも回収されたので自己採点できていなかったんですよ…
そうなんですね!
ところで、2日間の研修はどのような内容でしたか?またその研修の内容が試験の問題に出たのか教えてもらえますか?
はい!防災士養成研修講座と図上訓練、防災士資格取得試験について、私が体験したすべてを紹介します。(笑)
防災士養成研修講座と図上訓練
まず、防災士養成研修講座と図上訓練などの会場研修は2日間にわたってプログラムが組まれています。
会場研修のプログラムは、コースによって時間及びカリキュラムが異なるようです。
わたしが参加した東京7月(土日)コースを例に紹介します!
まずは1日目です。受付が8:55から開始されます。受付に受験番号と氏名を伝えて、履修確認レポートを提出します。会場は自由席だったので、窓際の席を取りました。
席に座って会場研修のプログラムを見ると、9:30から18:20まで研修講座の予定がぎっしり組まれていて、学生時代を思い出しワクワクしたのを覚えています。(笑)
こちらが会場ですね!
これから研修講座が始まるという雰囲気がひしひし伝わってきますね。
妙な緊張感が会場全体を包んでいました…
その1日目のプログラムがこちらです!
研修講座に関しては、講座内容に該当する参考サイトを紹介します。
1日目 防災士養成研修講座と図上訓練
▼受付(8:55〜9:10)
会場にて受付を行います。受付の際には課題の履修確認レーポートを提出します。
▼オリエンテーション(9:15〜9:30)
防災士養成研修講座の流れや資格取得試験・防災士認証登録に関する説明があります。
▼1時限目(9:30〜10:30) 地震・津波による災害
地震発生のメカニズムを理論的に学べます。
日本は、北米プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレート、太平洋プレートの4つのプレートの上にのっており地震の発生が起きやすいです。地震と津波の発生メカニズムを理論的に学ぶことで、今後起こりうる災害とその対策について理解が深まります。
▼2時限目(10:40〜11:40)地震・津波への備え
地震や津波の対策は、事前の備えが重要です。家具固定や備蓄のポイント、発災時の場所別の身の守り方を学び、防災対策の基本的な心得を学べます。
▼3時限目(11:50〜12:50)企業・団体の事業継続
企業が緊急事態に直面した時、損害を最小限に食い止めつつ、中核となる事業を復旧・継続させるために、どのような対策を行えば良いのか事業継続計画(BCP)の視点から考えます。防災とBCPの関係やBCP策定の意義、策定手順を学べます。
▼4時限目(13:50〜14:50)防災士に期待される活動
防災士に期待される活動について、実際の活動実績などから何をすべきであるかを学べます。
▼5時限目(15:00〜16:00)土砂災害
全国に52万か所を超える土砂災害危険個所があります。土砂災害の種類や、発生しやすい地盤・地質、誘因となる地震や豪雨との関連を学びます。
▼6時限目・7時限目(16:10〜18:20)防災士が行う各種訓練 自主防災活動と地区防災計画
防災・減災において災害をイメージすることはとても重要です。地震や豪雨が発生した場合、どこでどのような被害が起こるのか、どんな対策が必要か、地形図と被害想定図を用いて災害図上訓練の方法を学びます。
地震や津波、土砂災害の発生のメカニズム、さらには企業や団体の事業継続について、そして防災士に期待されていることは何かなど広く学びました。
とくに印象に残ったのが3時限目を担当された講師の方が話された、企業は個人を守り、地域復興の手助けとなる行動を取るべきだという考え方「事業の継続又は事業の速やかな再会による雇用の確保、事業を継続して、被災者支援に協力を!」です。
つまり、事業継続計画(BCP)策定は自社だけではなく、地域や社会を守ることにもつながる。企業防災に関連する業務を担当される方には自信を持って業務いただけるように、こういった考え方や情報を発信していきたいと強く思いました。
BCP策定が自社だけではなく、地域や社会を守ることにもつながる。まさにその通りだなと感じました。
『安否確認サービス2』の導入を検討される企業の中には、BCP策定から進めているという企業もあるので「なぜBCP策定が必要であるのか」など、策定の目的をトヨクモとしても発信していきたいですね。
はい。「BCP策定業務の優先度が低くて、対応が進まない」といった相談もあるので、BCP策定の重要性に気づいてもらうために、何ができるか一緒に考えましょう!
それでは、次に2日目のプログラムを紹介します!
2日目 防災士養成研修講座と資格取得試験
▼1時限目(9:30〜10:30)気象災害・風水害
多くの自然災害が予測困難で、突然発生するのに対し、台風や大雨は天気予報などを通じて情報を得ることで、事前に備えることが出来ます。風水害が発生しやすい状況を知り、災害への備えや避難の方法について学びます。
▼2時限目(10:40〜11:40)被害想定・ハザードマップと避難
過去に発生した海溝型地震を例に南海トラフ地震で想定される地震や津波の被害について学びます。
▼3時限目(11:50〜12:50)災害ボランティア活動
災害ボランティア活動の目的や考え方を防災士のボランティア活動を例に学びます。
▼4時限目(13:50〜14:50)災害情報の活用と発信
災害情報の受け取り方から、活用、発信の方法を学びます。
気象庁の緊急地震速報やNHKの災害報道の仕組みも知ることができます。
▼5時限目(15:00〜16:00)耐震診断と補強
大事だとわかっている方が多い中、なかなか浸透しない耐震補強の重要性を学びます。
2日間の研修、かなりのボリュームですね!
自然災害が発生する仕組みを理論的に捉えて、防災士としてどのように防災・減災に努めれば良いのか、など幅広く学んだことがわかりました。
防災業務を担当されている方はとくに、防災・減災という視点から会社を守るために必要な知識を獲得できるので魅力的な研修講座と言えますね。
防災士資格取得試験についても教えてもらえますか?
防災士資格取得試験
はい!防災士資格取得試験について、試験の形式や流れなどを解説します!
防災士資格取得試験の制限時間は50分間で全30問出題されます。
出題形式は三者択一形式で、正しい解答を数字で選択します。2022年7月時点の合格基準は正解率8割以上で、24問以上正解すると合格のようです。
「誤っている回答はどれか」や「正しい解答を複数選択しなさい」などの解答はないようですね!
そうですね。正しい解答を選択すれば良いので試験の難易度はやさしいと感じました。
防災士養成研修講座で学んだ内容は試験に出ましたか?
5問から8問程度は、防災士養成研修講座で学んだ内容であった印象があります。
防災士教本から満遍なく問題が出されていましたね!
防災士教本の内容は、日本防災士機構のサイトで確認ができます。
なるほど、防災士養成研修講座をただ単に受講するだけでは、合格できなそうですね。
防災士資格取得試験を受験される方は、履修確認レポートや試験対策をしっかり行いましょう!
改めて、防災士資格取得試験の合格おめでとうございます。
最後に防災士としての今後の展望があれば教えてください。
防災士として 今後の活動と展望
防災士としての展望を職場、自宅、地域、仕事の4つの視点からお伝えします。
まず防災士は民間資格のため、資格取得によって特定の権利を得たり、義務的な行動が求められるなどはありません。しかし、自助・共助・協働を原則として、さまざまな場面で防災力を高める活動が期待されている資格です。そのため、災害時・平常時それぞれにおける防災の対応を考えた活動ができればと考えています。
職場を守る
わたしが勤めているトヨクモでは、『安否確認サービス2』の開発・提供を行なっていることもあり、企業防災の模倣となるような仕組みが整っています。
事業継続計画書(BCP)の策定や防災備蓄など、すでに整備されているため防災という視点から新しく対応すべきことはないと考えています。そのため「今をよくするための活動」に注力して、BCPのブラッシュアップや防災備蓄の管理、従業員の防災リテラシーの向上など、現在の防災対策をより良くするための活動を行なっていきたいです。
家族を守る
「自分の身は自分で守る」この考えを家庭に根付かせるための活動を定期的に実施したいと考えています。
9月1日(防災の日)を目安に「家庭防災会議」と題し、家族で防災について話し合う時間を確保したいですね。
地域を守る
いざという時に防災士としてリーダーシップを発揮することが地域貢献になると考えています。
平常時から消防団、自主防災組織、ボランティア組織など、地域に密着した組織に参加して、近隣住民とコミュニケーションを図り、災害時などスムーズに連携できる関係を構築したいです。
安否確認サービス2に携わる、だから防災の知識が必要なんです
わたしは、現在『安否確認サービス2』の導入を検討するお客様のサポートやセミナー、企業防災や事業継続計画(BCP)のお役立ち情報を発信する「みんなのBCP」の運営を担当しています。企業防災に関連するサービスを取り扱っているからこそ、お客様に正しい防災の情報を伝えることが必要だと考えています。
防災対策や事業継続計画(BCP)策定の重要性、さらに『安否確認サービス2』のような、経営資源の「人」を守る製品の必要性を継続して発信していきたいです。
ありがとうございます。防災士としての展望や活動への考え方がわかりました。
東日本大震災や熊本地震においては、防災士のリーダシップによって住民の命が救われたことや避難所開設がスムーズに運んだという事例を聞いたことがあります。
今後防災士として活躍される坂田さんが楽しみです。