災害に向けた携帯キャリアの基地局対策は?大震災から得た教訓で改善も着々

災害に向けた携帯キャリアの基地局対策は?大震災から得た教訓で改善も着々

災害時、従業員の安否の確認や避難指示などを即座に行うには通信インフラが整備されている必要があります。

最大震度7が記録された東日本大震災では、3万近くある基地局がサービスを停止し、通信設備に甚大な被害が及びました。以降、災害直後でもスムーズに通信が行えるように各キャリアは様々な対策を講じてきました。

今回は、災害によるキャリア基地局への影響と各キャリアが取り組んでいる対策を紹介します。

参考:東日本大震災における 情報通信の状況(総務省)

携帯キャリアの基地局が持つ役割は通信の仲介


携帯電話の通話は、キャリア(電気通信事業者)が設置している「基地局」を介して行われます。

基地局は無線で携帯電話と電波をやり取りするアンテナ装置のこと。基地局が稼働しているから、私たちは当たり前のように携帯で電話やメールのやり取りを行うことができるのです。

1つの基地局が電波を送受信できる量には限りがあるので、人口密度の高いエリアほど多くの基地局が設置されています。

基地局の通信範囲は半径数キロメートルですが、通信が途切れないように設置してあるため、携帯電話が移動しても他の基地局との電波のやり取りが可能です。基地局はキャリアと契約しているすべての携帯の位置情報を把握しています。

■各キャリアの基地局数とエリア
現在、日本全国の基地局は約59万局設置されています。三大キャリアのおおよその設置数は以下のとおりです。

NTTドコモ  約20万局
ソフトバンク 約17万局
au      約22万局その他、Wireless City Planning、UQコミュニケーションズ、イー・モバイルなどのキャリア基地局が存在しています。

各キャリアがエリアに占める割合は異なります。例えば、北海道ではauの基地局の数を1とすると、ソフトバンクは2倍以上、NTTドコモも約1.5倍あります。それに対し東京都ではauが圧倒的に上回っています。

各キャリアでは、関連の施設など利用しやすい施設に基地局を設置しているケースもたくさんあります。NTTドコモでは電話局などNTT関連の施設に、auはKDDIの鉄塔、東京電力、トヨタ自動車などの施設に、ソフトバンクはJR関連の施設に多く設置されています。

参考:タイプ別基地局数(ケータイニュース.net)

災害による基地局への影響


災害時に携帯電話で通信ができない理由は主に2つです。
・自分がいるエリアの基地局が機能を停止している。
・通信相手がいるエリアの基地局が機能を停止している。

基地局の機能停止は、基地局が設置してある建物の倒壊や損壊、基地局をつなぐケーブルの損傷などが原因で引き起こされます。基地局同士をつなぐ設備のどこかに一箇所でも支障が出れば通話はできなくなるのです。

■東日本大震災における通信障害の事例
2011年3月に起きた東日本大震災では、約2万9,000局の基地局が機能停止となりました。
主な原因は次の3つです。

1. 長時間の停電により、電気が供給されなかった
2.大勢の人間が一斉に通話機能を使用したことで、通信回線の許容量を超える輻輳(ふくそう)が発生した。
3.通信回線の混乱を防ぐためにキャリアが通信規制を行った

こういった事情から全く電話が繋がらないと言っても過言ではない状況が数時間続きました。通話だけでなく、携帯メールの送受信もかなり遅れたことで、数時間後に大量のメールをまとめて受信するという状況でした。

■通信障害の原因と対策
東日本大震災発生後、各キャリアは、即座にネットワーク設備復旧に向けてさまざまな緊急処置を行いました。自動車に移動基地局を載せて衛星回線を使ったり、無線の伝送路を使ったりして通信を可能にしましたが、道路が遮断された中で被災地への到着に時間がかかり、復旧に遅れが出る結果となりました。

こうした状況の中、FacebookやLINEなどSNSでメッセージのやりとりができたことが注目されました。携帯電話のインターネット接続は、ゲートウェイとよばれるネットワークシステムにより異なるネットワーク同士を繋げており、通話とは異なるシステムであることが幸いしました。
参考:東日本大震災における 情報通信の状況(総務省)

各キャリアの災害対策


どのキャリアも東日本大震災以前より災害への対策はしていたものの、当時の設備では対処が難しいこともあり、想定を越える被害を受けました。これを教訓として、各キャリアでは新たな災害対策が進められています。三大キャリアに絞って紹介します。

■NTTドコモ
1.大ゾーン基地局を全国106カ所に配置し、基地局の無停電化、バッテリーの24時間化など、通信確保のための対策を推進。迂回可能な伝送路も確保。
2.衛星エントランス基地局を増設し、さらに避難所などで衛星携帯電話をすぐに提供できる準備。
3.災害用音声お届けサービスの開発、復旧エリアマップの拡充など、被災者やその関係者に役立つ情報サービスの開始。
■au
1.安定した通信を確保するため、ルートの二重化を図るほか、陸上のルートに代わる海底ケーブルも使用するなど、多くのルートを確保。
2.通信局舎や設備の耐災害性の強化。3時間以上の蓄電池を設置。通信局舎は自家発電機を設置。
3.車載型無線基地局や可搬型無線基地局を配備し、被災地での通話やメールサービスを可能にする。
4.au災害対策アプリを使用し、録音した音声をパケット通信で届ける。
■ソフトバンク
1.衛星対応の移動基地局車を100台、可搬型基地局も200台配備。さらに、小型の可搬型基地局も10台追加。
2.ガソリン不足の状況に備え、電気自動車の技術を生かした蓄電池型のポータブルAC電源を配備し、電源確保の体制を確立。
3.基地局の早期復旧のため、社内公募で救援隊を結成。可搬型基地局の設置や携帯電話貸出・充電などの被災地支援を図る。

いずれも基地局自体の損傷や基地局への電源供給ができなかったという経験を活かそうとしています。さらに防災訓練を始め、定期的に設備の再チェックなどが行われています。

まとめ

これまで、災害直後の通信障害は、企業の活動や従業員の安否確認にも影響を及ぼしてきました。しかし、各キャリアが震災から得た教訓や原因の分析を基に新たな通信対策に取り組んでいるおかげで、今後災害直後の通信障害は解消される方向に向かうでしょう。

一方で、最近は未曾有の災害が全国各地で多発しており、キャリアの通信対策だけに頼るのは危険とも言えます。安否確認サービスやSNSなど、災害時の通信に強いツールも社内で導入して、災害に強い企業を目指しましょう。

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