大規模地震や感染症の拡大といった未曾有の事態に直面したとき、企業にとって事業継続できるかどうかが大きな課題となります。さらに建設業界は復旧支援にも関わっていることから、速やかな復興活動開始が望まれます。非常事態発生時に迅速な対応を講じるためには、BCP策定が欠かせません。あらかじめBCPを策定していれば、危機的状況であっても次の策を講じやすくなるでしょう。
この記事では、建設業界におけるBCPの重要性を解説します。策定するメリットや具体的な手順も紹介しているので、併せて参考にしてください。
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目次
BCPとは
BCPとは、自然災害をはじめとする非常事態時における企業の事業継続計画(Business Continuity Planning)のことです。危機的状況に直面した際の損害を最小限に抑えつつ、事業継続や早期復旧を図ることが目的です。日本では、2011年に発生した東日本大震災をきっかけに、多くの企業から注目されるようになりました。
建設業界におけるBCPの重要性
建設業界は非常事態が発生したときにインフラの復旧に努めたり、仮設住宅を建設したりと社会的な使命を担っています。そのため建設業界が非常事態時に事業停止してしまうと、被災者や復興支援に大きな影響を与えるでしょう。
あらかじめBCPを策定していると非常事態時の初動が速やかに行われるため、スピード感を持った対応が可能となります。また非常事態時の対応方法が定められていれば、顧客や取引先などからの信頼も獲得しやすくなるでしょう。
建設業界におけるBCPの策定は自社や従業員を守るだけではなく、被災地の復興にも大きく貢献するものです。通常業務を継続的に行える環境を用意しながら、非常事態への対応も求められます。
建設業界におけるBCP策定の現状
建設業界のBCP策定状況は2021年度時点で52.8%と、約半数に留まっています。BCPの策定が進まない理由として考えられるのは、策定に必要なノウハウの不足や時間を確保する難しさなどが挙げられます。また、BCP策定のメリットや効果があまり感じられないのも一因と言えるでしょう。
■業種別事業継続計画(BCP)策定状況
参照:令和3年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査
建設業界がBCPを策定するメリット
建設業界がBCPを策定するメリットは、主に以下のとおりです。
- 事業を継続しやすくなる
- 災害時の復旧支援活動を開始できる
- 周囲からの信頼を得やすくなる
それぞれのメリットについて解説します。
事業を継続しやすくなる
自然災害をはじめとする非常事態が起きたときは、混乱状況に陥りやすく冷静な判断をしにくくなります。優先すべき事項を見落とす可能性も否定できず、今後の事業継続にも大きな影響を及ぼすこともあり得るでしょう。
BCPを策定していると、非常事態時に発生し得るリスクを把握しているため「今何をすべきか」「次の対策は何が有効か」などが分かりやすくなります。事前に道筋を明確にしておくことで、次の手を講じやすくなるからです。
BCPを策定しておけば事業継続や早期復旧に向けて迅速な行動を開始できるため、企業の損害を最小限に抑えることも可能です。
災害時の復旧支援活動を開始できる
BCPを策定していると、災害時の復旧支援活動にも従事できます。建設業界は防災段階から災害発生後の復旧までを担っていることから、社会全体の復旧支援についても考えていかなければなりません。具体的には、以下のような役割を担っています。
- 施行中の現場で起こり得る2次災害の防止
- 施行中の現場の工事早期再開
- インフラ復旧工事の迅速な対応
災害時を想定したBCPをあらかじめ策定しておくと、迅速な復旧支援活動を開始できます。その結果、社会全体の復旧、復興に向けた動きが早まるのです。
周囲からの信頼を得やすくなる
建設業界がBCPを策定していると「非常事態が起きても事業継続の見込みがある」と評価されるため、周囲からの信頼を得やすくなります。たとえば取引先の企業がBCPを策定していれば、災害が起きた後でも継続的な受注が見込めるため、安心して仕事を任せられると考える企業も多いでしょう。
とくに建設業界は復興支援にも大きく関与していることから、その影響力も大きなものと言えます。社会的な信用を勝ち取るためにも、ぜひBCPを策定してください。
建設業界における具体的なBCP策定方法
建設業界における具体的なBCP策定方法は、以下のとおりです。
- 事業継続の重要性を確認する
- 中核事業と復旧優先事業の洗い出しを行う
- 重要業務を特定する
- 事前対策を検討する
- 実際にBCPを策定する
- BCPの運用を開始する
それぞれのステップについて解説します。
1.事業継続の重要性を確認する
まず、事業継続の重要性を再確認しましょう。改めて振り返ることで、BCPの必要性を再認識できます。同時にBCP策定に関する基本方針や体制を決めていき、運用に向けた準備を行います。BCPの対象範囲やそのリスクを特定しておくと、今後の事業計画を決めやすいでしょう。
2.中核事業と復旧優先事業の洗い出しを行う
次に、企業の存続にも関わる重要な事業(中核事業)と復旧優先事業の洗い出しを行います。「企業にとって欠かせない事業はどれか」「自社ができる復旧支援はなにか」などを明らかにしていくことで、関連業務や必要な資源も明確になります。
3.重要業務を特定する
非常事態の想定状況に応じて、重要業務の特定を行います。非常事態が起きたとき、すぐにすべての業務を再開するのは困難です。活用できる資源には限りがあるため、すぐに再開すべき重要業務を定めておきます。
建設業界においては、早急な復旧工事が必要な災害と、復旧工事を必要としない災害とに分けて考えておくと、迅速な対応を行いやすくなるでしょう。
併せて重要業務ごとの目標復旧時間を設定しておき、復旧までの道筋をつけやすくします。
4.事前対策を検討する
重要業務の復旧に向けて必要となる事前対策を検討しましょう。「どのような事前対策が必要か」「かかる資源はどれぐらいか」などをあらかじめ整理します。すると実際に非常事態が起きたときに速やかに行動しやすくなり、重要業務の復旧に役立てられます。
5.実際にBCPを策定する
これまでのステップを考慮しつつ、具体的なBCPを策定しましょう。BCPの様式や内容を決めたり、従業員に対する周知や教育などを行ったりします。非常事態が発生するまでにすべての従業員がBCPを理解できるように、事前に準備しておく必要があります。
6.BCPの運用を開始する
実際にBCPを策定したら、運用を開始しましょう。定期的に訓練を行っていれば、社内全体に浸透させることも可能です。また状況に応じて最適なBCPにするためにも、定期的に見直しを行ってください。
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建設業界でBCPを策定した事例
熊本県にあるハウスメーカー・新産住拓株式会社は、1999年の大型台風被害や2016年の熊本地震をきっかけにBCPを策定しています。同社は2011年の東日本大震災を経験した工務店から課題を事前に聞いていたため、以下のような課題と解決方法を考えていました。
課題 | 解決方法 |
---|---|
顧客から屋根のブルーシート掛けを要望される | 従業員の命を最優先にするため、余震が収まるまで実施しないことにした |
災害後の復旧工事の負担が大きい | 既存顧客の復旧工事を最優先に取り組む |
同社では、今後の災害に備えて安否確認や指示伝達を行える安否確認アプリを活用しています。迅速な初動対応が行えるように、ブルーシートや使い捨てつなぎなどの必要な物資を常備するようになりました。また、常に従業員の健康状態をチェックできるように、災害対応時はストレスチェックの実施も予定しています。
BCPを策定した結果、優先的に被災物件の補修や顧客対応に尽力できたため、顧客や周辺住民から「困ったことがあれば新産住拓株式会社に頼ろう」という信頼を勝ち取ることができたといいます。迅速な初動対応も可能となり、熊本地震では3,000件以上に及ぶ電話や点検依頼にも対応しています。
建設業界のBCP対策には『トヨクモ 安否確認サービス2』がおすすめ
建設業界のBCP対策には、トヨクモ『安否確認サービス2』の導入がおすすめです。安否確認サービス2は、気象庁の情報と連動して安否確認メールを自動で送信するサービスです。
回答結果を自動で分析してくれるため、従業員の安否確認を迅速に行えます。2024年9月時点で契約数は4,000社を超えており、あらゆる企業や団体が活用しています。
安否確認サービス2にはさまざまな魅力があるものの、建設業界におけるBCP策定には以下の2つがとくにおすすめです。
- BCPに必須の機能を搭載している
- サービス品質保証制度を導入している
それぞれのポイントについて解説します。
BCPに必須の機能を搭載している
安否確認サービス2は、BCPに必須の機能を搭載しています。具体的には、以下の3つです。
概要 | 利用例 | |
---|---|---|
掲示板 | すべてのユーザーが書き込めるため、情報共有に活かせる | ・被災状況の伝達 ・災害時のマニュアル掲載 |
メッセージ | 宛先を指定したユーザーのみが閲覧・書き込みができる | ・一部の従業員との議論 ・部署単位での情報共有 |
一斉送信メール | 情報を一斉送信できる | ・被害状況の回答 ・災害時の対応 |
非常事態が発生したときは従業員の安否確認だけではなく、今後についても議論しなければいけません。しかし混乱状況下の中では電話やメールなどで連絡を取り合うのは難しく、うまく他の従業員と連携できないケースも少なくありません。
安否確認サービス2はクラウド上でのやり取りが可能なため、混乱状況下でもスムーズに連携できます。一部の人のみが閲覧・書き込みできるメッセージ機能を使えば、役員同士の会議もできるでしょう。
サービス品質保証制度を導入している
安否確認サービス2は、サービス品質保証制度を導入しています。サービス品質保証制度とは、サービス提供者が提供するサービスの品質について一定の水準を保証する制度のことです。保証された水準を下回った場合には、ユーザーへの返金などの措置を行います。
安否確認サービス2では、プレミアプラン以上を利用している企業に適用され、保証基準値に応じて利用料の一部を返金しています。しかし現在までに保証基準を下回ったことは一度もないことから、安心してサービスを利用できるでしょう。
【建設業界】トヨクモ 安否確認サービス2の導入事例
ここでは、建設業界で 安否確認サービス2を導入した事例を紹介します。活用を迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
株式会社上田組
▲出典:株式会社上田組HP
土木工事などを行う株式会社上田組は、季節雇用の従業員が多く、迅速な情報共有や安否確認ができずにいました。また、BCP策定をきっかけに始めた安否確認訓練は年1回しか行えず、回答率も50%と防災意識の低さが課題となっていました。
そこでトヨクモ 安否確認サービス2を導入したところ、スムーズな情報共有が可能となりました。災害時のみの活用に留まらず、熱中症や転倒などの注意喚起や周知したい連絡事項の伝達にも応用していま
す。また、年1回だった安否確認訓練を月1回開催でき、回答率も75~90%ほどにまで上昇しています。
高橋カーテンウォール工業株式会社
高橋カーテンウォール工業株式会社は、従来の安否確認方法の仕組みが複雑で管理に苦労していました。また安否確認方法として、従業員のプライベートな電話番号を管理していたものの、災害時は遅延が発生して、なかなか連絡が取れない状況でした。従業員から安否確認方法の見直しを求める声があり、システム導入の検討を開始しました。
そこで同社は安否確認サービス2を関係会社から紹介してもらい、導入を決定しています。決め手となったのは安否確認サービス2に登録する連絡先を、管理者でも閲覧できないプライバシー性の高さです。
災害時に安否確認メールを受信した際、パスワードなしで簡単にログインできるのも高く評価しています。災害時の指示伝達のほか、緊急事態における指示出しにも活用しています。
株式会社興建社
▲出典:株式会社興建社HP
建築工事を行う株式会社興建社は、これまで災害が起きたときは担当者が従業員一人ひとりに電話連絡をしていました。しかし、電話がなかなかつながらず、従業員の安否確認に手間取っていました。中小企業診断士会からBCP策定の提案を受けたことをきっかけに、安否確認システムの導入を検討を開始し、トヨクモ 安否確認サービス2の活用を決めました。
ほかにも導入を検討したサービスがあったものの、使いやすさやアレンジ性の高さ、稼働実績などを考慮してトヨクモ 安否確認サービス2に決定しました。従業員の安否確認だけではなく、協力会社との通信確保にも使用する予定です。
建設業界におけるBCPの重要性を理解しよう!
建設業界は非常事態が発生したときの社会的な使命が大きいことから、BCPの策定が必須です。自然災害をはじめとする非常事態時の行動をあらかじめ想定しておくと、冷静な判断ができやすくなり、企業の損失を最小限に抑えられるでしょう。
災害時の復旧支援活動を速やかに行えるため、社会全体に及ぼす影響も大きなものになるはずです。今後も大規模な自然災害が想定されているため、今のうちにBCP策定に力を注いでください。
BCPを策定できていないなら、トヨクモの『BCP策定支援サービス(ライト版)』の活用をご検討ください!
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