【危機管理士】危機管理関連資格を3種紹介!費用・開催頻度・メリットなど
遠藤 香大(えんどう こうだい)
「自社の危機管理を担当することになった」「将来のキャリアのために危機管理の知識を身につけたい」という方は、危機管理資格の取得を検討するよい機会です。この記事では、危機管理に関連した民間資格3種を紹介します。取得方法やメリット、受験料について解説しているため、比較する際の参考にしてください。
目次
危機管理に関連する資格3選
危機管理とは、事件や事故で生じる被害に対して素早く対処し、被害の拡大を防ぐことです。企業の活動にはさまざまな経営上のリスクを始め、財務やコンプライアンス、事前災害などがあり、被害の規模によっては事業の継続が困難になるおそれがあります。
そのため、企業では危機管理に精通する人材が求められます。危機管理のスキルを示すには、資格の取得が有効です。ここでは、危機管理に関連する資格を3つ紹介します。身につけられる能力や試験の概要を確認しましょう。
危機管理士
▲出典:日本危機管理士機構
主催 | 日本危機管理士機構 |
費用 | 講座料40,000円、試験料10,000円 【 計50,000円】 |
実施頻度 | 年3回 |
合格率 | 非公表 |
危機管理士は、日本危機管理士機構が認定する資格です。危機管理士に認定されると、危機に関する知識と問題処理能力を培っているとされ、非常時にリーダーとして迅速で的確な対応ができる人材として証明されます。危機管理士には、危機が発生していない状態でも、未然に防げる能力が求められます。
資格の種類は、危機管理の分野に応じて分かれる「危機管理士(社会リスク)」と「危機管理士(自然災害)」の2種類です。また、上位資格にあたる「一級危機管理士」も存在します。
資格を取得するには、日本危機管理士機構に入会し、危機管理士講座の受講を申し込む必要があります。
講座は、対面とWebの2種類です。対面講座では、3日間の受講と最終日の試験合格で資格が得られます。Web講座では講義動画を1ヶ月間にわたって視聴します。最終日に演習参加とWeb試験の合格を果たせば、資格の取得が可能です。社会リスクと自然災害の両方を取得したあと、2年間が経過すると、一級危機管理士の受験資格を得られます。
危機管理士の資格があれば、緊急時に的確な対応を迅速に実行できる危機管理の実務担当者として活躍できます。さらに一級危機管理士は、組織の危機管理をマネジメントする仕事にも対応可能です。企業や団体の危機管理を担当する方には、おすすめの資格です。
企業危機・コンプライアンス管理士認定試験
▲出典:全日本情報学習振興協会|企業危機・コンプライアンス管理士認定試験
主催 | 全日本情報学習振興協会 |
費用 | 受験料11,000円(一般)、8,000円(学生) ※10名以上で団体割引あり |
実施頻度 | 年3回 |
合格率 | 非公表 |
全日本情報学習振興協会が提供する企業危機・コンプライアンス管理士認定試験は、リスクに対する予防策を重視した資格試験です。企業の各部門におけるリーダーや管理職を対象に、危機管理能力の習得と向上を目指します。
出題範囲は、第1課題から第6課題が存在し、企業の危機管理で求められる行動を包括的にまとめています。具体例は、コンプライアンス対応や広報活動です。また、第5課題で扱う企業危機は範囲が幅広く、直面するおそれのあるリスクに対する適切な対応を学べます。
公開試験会場と会場パソコンでのCBT受験に加えて、オンラインでの受験も可能です。合格水準は80問中の70%で、56問以上の正解が求められます。また、情報やセキュリティ関連資格保有者を対象として、4点あるいは6点の加点制度が用意されています。
この資格は、広報や法務などの管理部門だけでなく、営業部門や技術部門、カスタマーサービスの部門まで幅広く活用できる点がメリットです。緊急事態の対応能力を養ったうえで、組織の危機管理をマネジメントできる能力が身につきます。
危機管理診断士
▲出典:日本危機管理協会|危機管理診断士
主催 | 日本危機管理協会 |
費用 | 講座の受講費用として100,000円 |
実施頻度 | 日程調整のうえ決定 |
合格率 | 非公開 |
危機管理診断士の資格は、日本危機管理協会が認定しています。危機管理診断士の資格所有者は、緊急事態に企業の危機管理を担当する実務スキルに加えて、企業の危機管理体制を診断する役割も担います。
資格の取得条件は、『危機管理診断士育成講座』を2日間受講したうえで、認定試験に合格することです。株式会社国際危機管理機構(IEMO)が推進する『危機管理普及啓発事業』の代理店が、講座の開催を担当します。受講によって、危機管理マニュアルの作成や診断チェックリストの活用など、危機管理診断士の実務に則したスキルの習得が可能です。
資格試験の合否は、講座を担当する危機管理診断士育成トレーナーが判定します。合格の判定を受けると、日本危機管理協会への推薦を経て、認定証や認定カードなどが送付されます。
危機管理診断士の資格があれば、自社の状況を自ら診断し、良好な危機管理体制づくりや現状改善が可能です。また、日本危機管理協会によって危機管理体制を高く評価された企業が取得できる『優良危機管理認定マーク』は、危機管理診断士が所属する企業のみ取得の申請ができます。そのため、危機管理診断士の資格を持っていれば勤務先から重宝されるメリットもあります。
BCP関連資格もおすすめ
危機管理関係の資格に加えて、BCPに関連する資格の取得もおすすめです。BCPとは、「事業継続計画」の略称です。事業の停止につながりかねない緊急事態が生じたときに、迅速な復旧を果たすために策定します。
BCPと危機管理は、どちらも企業が緊急事態に向けて講じる対応策です。ただし、両者は実行するタイミングに違いがあります。BCPは、事業の停止を想定して緊急事態が発生する前にあらかじめ策定する計画です。一方で、危機管理は、想定外あるいは想定以上の緊急事態が発生したあとに、復旧を目指して対応する行動です。つまり、緊急時は事前に策定したBCPをもとに、危機管理の実務に取り組む体制が求められます。
BCP、危機管理、リスクマネジメントの詳細をまとめた記事として、以下の内容も参考にしてください。
BCPにも、関連資格が数多く存在します。資格の取得を通じて、BCPの策定スキルが身につき、企業の防災対策を一貫してマネジメントする能力の習得が可能です。BCPと危機管理の資格を両方取得すると、企業と従業員の安全を守れる人材として活躍できるでしょう。
BCPの関連資格については、以下の記事を参考にしてください。6つの資格について、試験の詳細を解説しています。
効果的な危機管理体制を構築するためには
危機管理に関する資格の取得過程で、緊急事態が発生したときの対応スキルが身につくことを解説しました。そのスキルを最大限に発揮するには、社内の危機管理体制をあらかじめ構築することが重要です。
ここでは、危機管理体制の構築に役立つ方法として、2つのサービスを紹介します。危機管理に特化した外部サービスを活用すると、資格で習得した能力をより発揮しやすい環境が作れます。特徴を知り、導入する際の参考にしてください。
ITサービスを活用する
ITサービスを取り入れると、危機管理体制の構築が進みます。とくに、安否確認システムの導入はおすすめです。安否確認システムは、災害の発生時にメッセージを自動で発信し、対象者からの回答も自動で集計できるサービスです。
トヨクモは、便利な安否確認システムである『安否確認サービス2』を提供しています。気象庁の災害情報と連動し自動で安否確認メッセージを送信することで、危機管理が必要な災害時で素早い初動が可能です。メールや専用アプリ、LINEとそれぞれ異なる送信先からの回答を自動で集計できるため、管理者の集計にかかる手間を大幅に減らせます。
被害の状況が把握できた後、危機管理の対策を決定し、社内で共有する工程が重要です。
安否確認サービス2には、掲示板や個別メッセージの機能も搭載されているため、上層部と担当者の方針に関する議論や策定、全従業員への情報共有にも活用できます。
安否確認サービス2を活用することで、危機管理の資格で習得した方針決定のスキルやマネジメント能力を、スムーズに発揮できます。緊急事態をあらかじめ想定し、避難計画や事業復旧の方針を定めることで、企業の充実した危機管理体制が構築可能です。
災害時の対応に課題や不安を抱えている企業には、安否確認サービス2の導入をおすすめします。災害が起こる前に、危機管理の準備を進めましょう。
BCPコンサルティングサービスを活用する
危機管理体制の構築には、BCPコンサルティングサービスの活用も効果があります。前述のとおり、BCPは災害で事業が停止した際の、迅速な復旧を目指すための計画です。BCPコンサルティングサービスは、専門家のアドバイスを活用してBCPの策定に役立てられるサービスで、初めてBCPを策定する企業におすすめできます。
BCPコンサルティングサービスとして、トヨクモは『BCP策定支援サービス(ライト版)』を提供しています。月額15万円(税抜)で、BCPの策定が可能です。早ければ1ヶ月ほどで、コンサルティング内容を盛り込んだBCPの策定が完了します。危機管理に割く時間を確保できない企業や、人手不足の企業にはおすすめのサービスです。
BCP策定支援サービス(ライト版)を活用して、緊急事態への対応をあらかじめ決めておくと、危機管理の実務にも大きく役立ちます。BCPコンサルティングサービスと安否確認システムを組み合わせることで、盤石な危機管理体制が構築できます。
危機管理の担当者が、資格取得を通してマネジメントスキルを身につけ、企業内の危機管理体制をBCP策定によって整えることで、災害に強い企業の体制づくりが可能です。トヨクモが提供する各サービスの導入をぜひご検討ください。
比較して、自分に合った資格を受験しよう
この記事では、危機管理の業務に役立つ資格を紹介しました。
危機管理士は2種類の試験があり、上級試験も用意されているため、危機管理の深い知識を習得できる資格です。企業危機・コンプライアンス管理士は、試験範囲の広さを特徴とし、幅広い業務に関する危機管理を包括的に学習できます。また、危機管理診断士が在籍する企業は『優良危機管理認定マーク』を取得でき、非常に重宝される資格です。
自身の知識や企業の危機管理体制を踏まえて、自分にとって適した資格を受験しましょう。資格を取得し危機管理の担当者として活躍できると、企業や従業員の安全を守れます。さらに、危機管理の分野で高い評価を得られ、キャリア形成につながるでしょう。
資格の取得とあわせて、社内の危機管理体制を強化するツールの導入もおすすめです。
トヨクモの『安否確認サービス2』は、緊急時に従業員の安否確認を素早く自動で実行できるサービスです。安否確認の送信や回答の集計など、手作業では時間がかかる作業を自動化することで、危機管理業務の効率を上げられます。
緊急事態への対策を事前に作成したいときは、『BCP策定支援サービス(ライト版)』の利用がおすすめです。検討事項が多く複雑なBCPでも、専門家のサポートを受けながらスムーズに策定が進められます。