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危機管理能力とは?高め方や低い人の特徴・企業で役立つ知識を解説

危機管理能力とは?高め方や低い人の特徴・企業で役立つ知識を解説

現代のビジネス環境において、危機管理能力は個人と企業の両方にとって極めて重要です。予測不能なリスクや突発的な危機に直面したときに被害を最小限に抑え、迅速かつ効果的な対応を可能にします。

この記事では、危機管理能力の定義や高める方法、そして企業における具体的な活用方法について解説します。

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編集者:坂田健太(さかた けんた)

トヨクモ株式会社 マーケティング本部 プロモーショングループに所属。防災士。
2021年、トヨクモ株式会社に入社し、災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案やサポートに従事。現在は、BCP関連のセミナー講師やトヨクモが運営するメディア『みんなのBCP』運営を通して、BCPの重要性や災害対策、企業防災を啓蒙する。

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危機管理能力とは

危機管理能力とは、個人や組織が予測不能な危機に対処するための能力です。緊急事態や非常時に迅速かつ適切な対応を行い、被害を最小限に抑えるために役立ちます。

2020年に発生した新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックで、企業は急速な変化に対応するための柔軟性と迅速な意思決定能力が求められました。見直されたのは、体温チェックや健康状態の報告などの健康管理策、リモートワークの導入、サプライチェーンの安定化などの危機管理と緊急対応のスキルの重要性です。

「Crisis Management Skills」「Emergency Response Skills」と表現されるこれらのスキルは、グローバルなビジネス環境でも非常に重要視されています。

企業における危機管理能力の重要性

従業員やステークホルダーの安全を守る観点からも、危機管理は重要です。適切な危機管理体制を整えることで、企業は突如として起こる災害や問題に対して迅速かつ効果的に対処でき、事業の持続性を確保することができます。

危機管理が不十分な企業は、事態をコントロールできずに結果として大きな損失を被るリスクがあります。法的な規制遵守も含めて、危機管理が適切に行われているかどうかが業界での評価や信頼にも大きく影響します。

新型コロナウイルス禍での企業の対応

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、全世界の企業活動に甚大な影響を及ぼしました。1つはサプライチェーンの脆弱性を露呈したことです。パンデミックによる国境封鎖や移動制限によって物流が停滞し、国際的な供給網に依存していた企業は被害を受けました。

例えば、EUからの医療関連物資の供給が途絶え、中国からの自動車部品や電子部品の供給もストップしました。そのため、企業は単一の供給元という依存度の高い状況からの脱却を図り、複数の供給先を確保することでリスクを分散しました。また、部品供給のバックアップとして、地理的に異なる地域のサプライヤーと契約を結ぶなどの戦略を採用しました。

一部の企業は国内または近隣地域のサプライヤーを活用することで、国際物流の遅延リスクを軽減しました。結果、供給の安定性が向上して、緊急時にも迅速に対応できる体制となりました。

(参考:コロナ禍における企業活動の変化|総務省

危機管理能力とリスク管理能力の違い

危機管理能力リスク管理能力
定義突発的で予期しない事象への反応的アプローチ予測可能なリスクや潜在的な脅威への予防的アプローチ
時間軸直近の脅威に対する短期的対応長期的な戦略によるリスクの特定と軽減
実践例緊急対応計画・危機時のコミュニケーション戦略リスク評価・リスク軽減計画
目的被害の最小化・安全確保・業務の回復効果的なリスクの特定・評価・管理

「危機管理能力」と「リスク管理能力」はしばしば混同されがちですが、時間軸が異なります。発生後の危機に対して対応する危機管理能力に対して、将来の潜在的なリスクを予測して予防するのがリスク管理能力です。長期的な視点でのリスク評価と予防策の実施が中心となります。

危機管理能力とリスク管理能力は、どちらも企業の安全性と持続可能性を確保するために重要なスキルです。企業はこれら両方の能力をバランスよく向上させることで、より強固なリスク管理体制を築けます。

企業全体で危機管理能力を高める方法

危機管理能力の向上には、組織全体の協力と取り組みが必要です。ここでは、具体的な取り組みを通じて、危機発生時に効果的に対応できるよう準備する方法を解説します。

  • 企業の危機管理体制の構築危機管理マニュアルの整備
  • 危機管理能力を高める取り組みの導入

企業の危機管理体制の構築

企業が危機に直面した際に迅速かつ的確に対応するためには、統一された危機対応マニュアルを作成し、危機発生時のステップや責任分担を明確化します。マニュアルは定期的に更新し、全社員がアクセスできるように管理することが重要です。

また、専門的な知識や経験を持つ緊急対応チームを組織内に設置し、迅速かつ適切な判断を下す役割を担います。定期的に危機シミュレーションを実施して危機への備えと対応能力を向上させましょう。

危機管理においては正確で迅速な情報共有が不可欠なため、明確なコミュニケーションラインを確立します。情報の透明性を保つことで、組織全体が同じ方向で行動できる環境を作ります。

危機管理能力を高める取り組みの導入

効果的な取り組みの1つ目は、従業員に対して危機管理に関する研修を定期的に実施し、全員が必要なスキルを身につけられる環境を作ることです。

2つ目は、日常的に危機管理意識を高めるための啓発活動を行うことです。例えば、社内報やメールマガジンで危機管理に関する情報を定期的に発信するなどの方法があります。

危機管理能力が低い人の特徴3つ

危機管理能力が低い人の特徴を理解することは、リスク管理と危機対応の強化につながります。この項目では、危機管理能力が低い人の特徴を3つ解説します。

  • スケジュール管理が苦手
  • 情報収集を行わない
  • 観察力不足

1.スケジュール管理が苦手

事前に計画を立てることが苦手な人は危機管理能力が低い傾向があるといえます。複雑なシナリオや異なる展開に対応するためには、詳細な戦略を構築する能力が必要になるためです。

例えば、プロジェクトではメンバー間での役割分担や作業スケジュールの調整が進行の鍵を握ります。不十分であれば、タスクの遅延やミスコミュニケーションが生じる可能性があります。

2.情報収集が苦手

事前に状況を把握しておかなければ、いざという時の対処が難しいため、情報収集は重要です。しかし、情報収集できていなければ危機の本質や影響を正しく評価できずに対処が難しくなります。

重要な業界動向や法律の変更に関する情報収集を怠った結果、新たな規制が施行されたことに気づかず、企業のサービスが法的な適合性を欠いたり、市場での競争力が低下したりするリスクもあります。

3.観察力の不足

観察力が低いと、早期の問題発見、解決が難しくなり、事態の悪化を引き起こす可能性があります。また、類似のパターンや過去の事例から学ぶ能力が制限されるため、適切な対応策の立案が難しくなるでしょう。

分析が困難になり、意思決定の遅れや対応の遅延を招く可能性があるため、観察力を高めることで的確な行動計画を立案することが重要です。

危機管理能力が高い人の特徴3つ

危機管理能力の高い人には以下3つの特徴があります。

  • フォワードルッキング
  • 準備に余念がない
  • 高いコミュニケーション能力を持つ

フォワードルッキング

危機管理能力が高い人は、未来に起こりうる出来事を予測し、その準備を怠らない傾向があります。次に何が起こるかを想定することで、突発的な事態にも動じず、冷静に対応できます。

準備に余念がない

リスクに対して万全の準備をすることが重要です。例えば、震災時の避難グッズの用意や、ネットで炎上した際の対応マニュアルの作成など、あらゆる事態を想定した準備をすることで、いざという時に迅速かつ効果的に対応できます。

高いコミュニケーション能力を持つ

危機に直面した際には、正確で迅速な情報共有が必要不可欠です。コミュニケーション能力が高ければ、いざという時に周囲と円滑に連携し、適切な指示を出せます。結果、チーム全体で効果的な対応が可能になるでしょう。

危機管理能力を高める方法

危機管理能力を強化することで、インシデントに迅速かつ効果的に対応できます。この項目では、危機管理能力を高める方法を3つ解説します。

  • 定期的な訓練
  • 最新情報の収集と学習
  • リーダーの育成

定期的な訓練

従業員全員が緊急事態に備えた訓練を定期的に受けることが重要です。シミュレーションやロールプレイを通じて、実際の危機に近い状況を体験し、適切な対応力を身につけます。

例えば、火災避難訓練や地震対策訓練を実施することで、従業員は緊急事態における避難経路や集合場所を確認し、迅速な行動が取れるようになります。また、サイバーセキュリティ訓練を行うことで、フィッシング攻撃やランサムウェア攻撃への対応方法を学び、情報漏洩リスクを最小限に抑えられます。

最新情報の収集と学習

危機管理に関する最新の情報や技術を学ぶことが不可欠です。業界のトレンドや過去の事例を分析し、リスクを予測し対策を練る能力を養いましょう。

例えば、危機管理の専門家やコンサルタントに依頼して研修を行うほか、講演会やセミナーに参加することで、最新の情報やトレンドを把握できます。オンラインで提供される危機管理に関する教材やコースを受講して、自分のペースで学ぶこともできます。

リーダーの育成

危機管理ではリーダーシップが重要です。研修や実践的なリーダーシップ経験を通じて、緊急時にチームを率いる力を高めます。それにより企業全体の危機管理能力を強化し、迅速かつ効果的に対応できるようになるでしょう。

リーダーを育成するには、リーダーシップ理論や実践的なスキルを学ぶことができる研修に参加するほか、経験豊富なリーダーから指導を受けるメンターを利用するのも1つです。リーダーについてインプットしたあとは、定期的な訓練など、危機管理の場面でリーダーとして経験を積むといいでしょう。

危機管理能力向上のために企業が今すぐできること

企業が危機管理能力を高めるために、まずは危機管理体制を見直します。  改善点を特定し、緊急対応マニュアルの整備や定期的な訓練の実施など、具体的な行動を計画します。従業員に対して危機管理に関する教育や訓練を実施し、全員が必要なスキルを身につけさせましょう。

その際は、危機管理に関する専門書籍やオンラインコースを利用して、最新の知識を習得するのも1つの方法です。例えば「危機管理の基本」や「緊急対応スキル向上セミナー」などが役立ちます。

また、シミュレーションソフトウェアを導入するのもいいでしょう。実際の危機を想定した訓練を行うことで実践的なスキルを身につけられます。

BCP策定の重要性

BCP(事業継続計画)の策定は、企業が災害や緊急事態に対応し、事業を継続するために不可欠です。リスクを特定し、影響を最小限に抑えるための計画と手順を明示することで、従業員の安全を確保できます。

トヨクモの安否確認サービスを利用することで、災害時に従業員の安否を迅速に確認し、BCPの実行を円滑に進められます。リアルタイムで従業員の状況を把握でき、迅速な対応が可能です。

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よくある質問と回答

ここでは、危機管理能力についてよくある質問と回答を紹介します。

Q: 危機管理能力を高めるための最初のステップは何ですか?  

A: 最初のステップは、現在の危機管理体制を見直し、改善点を特定することです。その上で、従業員の教育や訓練、定期的なシミュレーションの実施など、具体的な行動を計画します。

Q: どのような訓練が効果的ですか?  

A: 実際の危機を想定したシミュレーション訓練や定期的な避難訓練が効果的です。加えて、危機管理に関する専門セミナーや講習会に参加することもおすすめします。

Q: 企業全体で危機管理能力を高めるためにはどうすれば良いですか?  

A: 企業全体で危機管理能力を高めるためには、統一された危機管理マニュアルを整備し、全員が共通の認識を持つことが重要です。また、定期的な訓練や啓発活動を通じて、全従業員の意識を高めます。

企業全体で危機管理能力を高めよう

危機管理能力は、突発的な危機に対処するための重要なスキルです。定期的な訓練や情報収集、コミュニケーションを促進することで危機管理能力を高めましょう。この記事のまとめは以下の通りです。

  • 危機管理能力は予測不能な危機に迅速対応するスキル
  • 企業の持続性確保に重要な役割を果たす
  • リスク管理能力とは異なり、即応性が重視される
  • 定期的な訓練や最新情報の収集が重要
  • 統一された危機管理マニュアルの整備が必須

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編集者:坂田健太(さかた けんた)

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