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災害関連死のリスクを減らすためにできる企業の取り組み10選

災害関連死のリスクを減らすためにできる企業の取り組み10選

近年、東日本大震災や能登半島地震といった大規模な地震、毎年の豪雨被害など、自然災害が増加しています。災害の直接的な被害ではなく避難生活や復旧活動などにより健康状態やけがが悪化して人が亡くなることを「災害関連死」といいます。

災害関連死は予防可能なリスクであるため従業員の安全確保は、企業の社会的責任として重要です。日常業務に災害対策を組み込み、災害に強い企業体制を整えることは、企業の社会的責任を果たすだけでなく、長期的な企業価値の向上にも寄与します。

この記事では、企業が災害関連死でのリスクを最小限におさえるために取り組みたい10の対策を紹介します。災害に強い企業体制の構築に向けて、ぜひ活用してください。

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編集者:坂田健太(さかた けんた)

トヨクモ株式会社 マーケティング本部 プロモーショングループに所属。防災士。
2021年、トヨクモ株式会社に入社し、災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案やサポートに従事。現在は、BCP関連のセミナー講師やトヨクモが運営するメディア『みんなのBCP』運営を通して、BCPの重要性や災害対策、企業防災を啓蒙する。

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災害関連死とは

災害関連死とは、地震や台風などの自然災害による直接的な被害ではなく、その後の避難生活や生活環境の変化に起因して発生する死亡をいいます。

具体的には、以下のような例が挙げられます。

  • 避難所での生活環境の悪化による持病の悪化
  • 必要な医療サービスの中断
  • 過度なストレスによる健康状態の悪化
  • 見えない将来に悲観した自死

能登半島地震での災害関連死の死因としては、多い順に呼吸器疾患、心疾患、脳疾患です。しかし、ほかにも幅広い症例で災害関連死が認められています。とくに高血圧や糖尿病などの持病がある場合は、災害関連死のリスクが高くなるため注意が必要となります。

企業にとって災害関連死のリスク管理が必要な理由

企業は、労働契約法第5条の安全配慮義務に基づき、従業員が心身の健康と安全を確保しながら働けるよう配慮する義務があります。これは自然災害やそれに関連する災害関連死が派生した場合でも、免除されるわけではありません。つまり災害であっても企業は従業員の安全に対する配慮が必要なのです。

そのため、企業は災害関連死のリスクを十分に認識し、適切な予防策と対応策を講じることが求められます。企業において災害関連死のリスク管理が必要とされる具体的な理由は以下のとおりです。

  • 事業継続
  • 法的責任の回避
  • 企業評価の維持

それぞれについて解説していきます。

事業継続

企業の最も重要な資産は人材です。災害関連死による従業員の喪失は、事業の中断につながります。欠員補充には時間とコストがかかり、企業の生産性に直接的な影響を与えます。従業員の安全を確保することは、企業の社会的責任であり、また事業継続の基盤といえるのです。

法的責任の回避

適切な対策を講じていない場合、災害時の従業員の死亡や健康被害に対して、企業が法的責任を問われる可能性があります。実際に東日本大震災後、被災した従業員や遺族から企業に対し安全配慮義務違反として訴訟が複数起こっているので注意が必要です。

企業評判の維持

災害時の企業の対応は社会的に注目されやすくなります。企業が災害に対して適切な対策を講じることによって、従業員からの信頼が得られるだけでなく、社会的な企業イメージの向上にもつながり、企業の評判を維持できます。

企業における災害関連死のリスク対策10選

企業における災害関連死のリスク対策は、災害時の従業員の安全確保と企業の持続可能な経営に直結します。そこで、企業が災害に備えて取り組みたい対策として10選を紹介していきます。

  • 従業員の安全確保と健康管理
  • 包括的なBCP(事業継続計画)の強化
  • 非常用物資の備蓄と定期的な更新
  • テレワークの導入
  • 地域社会や行政との連携強化
  • 災害関連死に関する教育・啓蒙活動
  • 災害時の財務対策
  • 災害時の特別休暇制度の導入
  • 定期的な対策の見直しと改善
  • 災害時の情報管理の体制整備

上記の対策を実施することにより、企業は災害関連死のリスクを大幅に軽減し、従業員の安全確保と事業継続性の向上を図れます。それぞれについて具体的に解説していきます。

1.従業員の安全確保と健康管理 

従業員の安全確保と健康管理は、災害関連死のリスクを減らすための基本です。災害時やその後の混乱においても、従業員の命と健康を守ることは最優先となります。具体的な安全確保と健康管理の方法は次のようなものが挙げられます。

  • 定期的な健康診断と結果に基づくフォローアップ
  • メンタルヘルスケアの充実
  • 従業員教育
  • 職場環境の耐震対策
  • 避難経路の明確化

健康診断により従業員の健康状態や慢性疾患を事前に把握できます。診断結果に基づいて予防的措置を講じれば、災害時の健康リスクの軽減が可能になります。

また、メンタルヘルスケアの充実は、心身両面での健康な身体の維持につながり、災害時のストレス耐性を向上させます。具体的には定期的なストレスチェックを行い、従業員へのカウンセリングを提供し、ストレスを溜め込まない体制を普段から整えておきましょう。

従業員に対する安全教育も重要です。日頃から災害時の安全確保の意識向上をするためには「基本方針を策定する」「トップが率先して現場に赴く」などの行動をおこしてみましょう。

加えて、職場環境の安全確保も欠かせません。地震に備え耐震対策をしたり、避難経路を明確にして周知しておくべきです。安全でスムーズな避難ができると、その後の避難生活に伴う健康リスクも低減できます。

2.包括的な事業継続計画(BCP)の強化 

包括的な事業継続計画(BCP)の強化は、災害関連死のリスクを減らすために重要な施策です。

BCPは災害時に業務を迅速に再開し継続するための計画で、従業員の安全確保と企業の持続可能性を両立させます。BCPが確立されていると、災害発生時に従業員が適切に対応しやすくなり、災害関連死のリスクが減少します。

たとえば、備蓄の準備や、設備の点検、避難訓練情報共有体制の整備、ライフラインが途絶えた場合の対応策の明確化が挙げられます。これにより、災害時の混乱を最小限に抑え、従業員の迅速な避難と業務の再開が可能です。また、データのバックアップや代替オフィスの確保なども、事業の早期再開に貢献します。

災害関連死のリスクを減らし、事業に与える損失を最小限にするために、企業は定期的にBCPを見直し、最新の状況に合わせて更新しましょう。

3.非常用物資の備蓄と定期的な更新

非常用物資の備蓄と定期的な更新も欠かせない対策です。物資不足による体調不良や精神的ストレスを少なくすれば、災害関連死のリスクを低減できます。

東京都帰宅困難者対策ハンドブック』によると、「災害直後から従業員の基本的な生活や健康を支えるために、できれば3日分の水や食料、医薬品、簡易トイレ、防寒具などを備蓄するのが安心」とのことです。また、物資が古くなったり不足したりしないよう、定期的に有効期限を確認し、定期的な更新が必要です。

とくに疾患のある従業員には、処方薬の備蓄も促します。これにより、災害時の体調不良や精神的ストレスを抑えることができます。

非常用物資の備蓄と更新を計画的に実施すれば、災害時に必要な支援の迅速な提供につながります。

4.テレワークの導入 

災害が発生した際、柔軟な働き方を構築しておくことは災害関連死のリスクを軽減するために極めて有効です。

災害時には、通勤が困難になったりオフィスの安全確保が難しくなったりするケースがあります。在宅勤務やテレワークを導入していると、従業員は無理な通勤や二次被害のリスクを回避しながら働けます。

災害時には全従業員が自宅から業務を行える体制を整え、通信手段の確保とVPNの使用方法の普及を進めておきましょう。また、柔軟な働き方の体制構築により、家族のケアが必要な従業員も安心して自宅で業務を続けられます。これは従業員の災害関連死を防ぐだけではなく、従業員の家族の安全と健康を守ることにもなります。

5.地域社会や行政との連携強化 

災害対策基本法第7条2条によると、地域との連携強化は企業の責務として重要です。企業単独では対応が困難な災害時の状況でも、地域社会や行政も含めて協力体制をとれば、より効果的な対応が可能となります。

たとえば企業が地域の防災計画に参加し、避難訓練や救援活動の支援を行えば、地域全体の防災力を高めるだけでなく、企業のイメージアップにもつながります。また地域や行政と連携をとれば、災害時に行政からの最新情報を受け取りやすくなり、社内で共有すれば現場の状況に応じて迅速な意思決定もできます。

地域社会や行政との連携を強化することによって、企業の災害対応力が向上し、従業員の安全確保が容易になります。そのため、企業は地域とのつながりを深め、災害時の協力体制を日常から構築しておくとよいでしょう。

6.災害関連死に関する教育・啓発活動 

従業員に対する災害関連死に関する教育・啓発活動は、災害関連死を防ぐために重要です。

災害関連死の多くは、災害に関する知識不足や誤った判断が原因となります。災害のリスクや対処法を教育し、啓発することによって、従業員が災害時に適切な対応をとれるようになります。

具体的には、災害時の初期対応、避難方法、救急処置の基本についての定期的な講習を行うとよいです。さらに、シミュレーション訓練やeラーニングを取り入れ、実際の状況をイメージしながら学べる機会を提供します。これにより、従業員の災害への対応力が向上し、冷静な対応が可能になります。

教育・啓発活動は、災害発生時に従業員が適切に対応するための基盤を築きます。従業員の防災意識を高め、実際の災害時にも迅速かつ適切な行動がとれると、災害関連死のリスクを効果的に減少させられるでしょう。

7.災害時の財務対策

災害関連死のリスクを低減するためには、災害時の財務対策を見直す必要があります。中小企業庁によると災害発生後1カ月分の支出を補うだけの現金か預金を確保しておくと安心とのことです。

財務的に安定している企業は、災害発生時に従業員の安全と健康の確保に必要な物資をすぐに提供できます。

災害時に備えて緊急対応のための資金を積み立て、損害保険や災害保険に加入しておけば、避難や医療費、生活支援に必要な経費をカバーできます。さらに事前に財務リスクを評価し、リスクに応じた資金計画を策定することによって、災害時の迅速な対応が可能になります。

財務的な準備を整えることは、災害後の迅速かつ効果的な対応と従業員の安全と健康を守る基盤につながります。

8.災害時の特別休暇制度の導入 

災害関連死のリスクを軽減するために、災害時の特別休暇制度の導入をしましょう。

災害後の混乱時に従業員が安心して休息をとれる環境を整えれば、過労や精神的ストレスによる健康被害を防げます。災害直後は家の復旧活動や家族の支援、精神的なリカバリーが必要となるケースがあります。そのため、災害時の特別休暇を設け、従業員の健康状態を保つことで災害関連死のリスクの低減が可能です。

従業員に災害後も安心して必要なケアを行える環境を提供するで、心身の健康を維持し、企業全体の災害対応力が磨かれます。災害関連死の予防は、事業の復旧作業の効率向上にも関わってきます。

9.災害後のメンタルヘルス支援

災害後のメンタルヘルス支援は、災害関連死のリスクを軽減するために必要な対策です。

災害は従業員に多大なストレスや心理的負担をかけるため、心のケアが必要になります。企業は、既存の健康管理体制を活用して、電話や面談、メールなどで災害後のカウンセリングや心理的サポートを提供し、メンタルヘルスを専門とする医師などによるアドバイスを受ける機会を設けましょう。

また、災害時におけるストレスの対処法についての教育やワークショップを開催し、従業員が適切に対処できるよう支援します。メンタルヘルス支援の充実により、災害後の心理的な負担を軽減し、従業員が早期に職場復帰できるようになるでしょう。

災害後のメンタルヘルス支援は、従業員の健康と業務継続の両方を支えるための重要な施策になります。

10.災害時の安否確認の体制整備 

災害関連死のリスクを軽減するためには、緊急連絡システムを構築し、災害時の迅速な安否確認体制を整備することが不可欠です。

企業にとって、災害時にどのようにして事業を継続するかが課題となります。そのときの最優先事項として確認すべきは従業員の安否です。従業員とその家族の生存・健康状態、居場所などの情報を把握できれば、事業継続や再開のめどについての計画が立てられます。

災害時の従業員との連絡に便利なのが、安否確認システムの導入になります。携帯メールや災害伝言ダイヤルでのやり取りは回線が混み合ってつながりにくい、連絡漏れがあるといったデメリットが多く、さらに自動集計ができません。

安否確認システムであれば、災害時に従業員に安否確認を一斉送信でき、従業員の情報を集計できる点が優れています。緊急事態が起こっても揺るがない組織体制の構築のために、安否確認システムの導入を検討するとよいでしょう。

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災害時の安否確認で検討していただきたいのが、トヨクモ安否確認サービス2』です。地震、津波、特別警報の発生・発令がでると従業員にメールが自動で一斉送信され、安否確認を行えるシステムです。メールだけでなく、専用アプリやLINEとの連携もできるので、連絡漏れの防止になります。

どの年代にも使いやすく設計されているため、安否確認が送られてきた従業員が簡単な操作で回答が行えます。また、どのプランにも掲示板機能がついており、緊急時の周知や議論はもちろん、普段から社内での連絡ツールとしても活用可能です。

また一斉送信の回答状況や健康状態などを集計でき、各部署ごとに振り分ける機能も備えています。管理者は集計の手間が省け、緊急対応可能な従業員の確保ができ、事業再開がスムーズに行えるでしょう。

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次にトヨクモ『安否確認サービス2』を導入し、活用している企業を紹介します。気になる方は30日間無料お試しもできるので、まずは資料請求をしてみてください。

野原グループ株式会社の導入事例

建設資材を主に取り扱う野原グループは、安否確認サービス2の導入以前は電話による緊急連絡網で安否確認を行いEXCELで集計していました。しかし、電話での緊急連絡網では回答率が低く、管理者も時間と手間がかかり負担が大きいため連絡漏れがでるなどの不備もありました。

上記課題を解決するべく、安否確認サービス2を導入し、それ以降10年以上継続して活用されています。導入後、能登半島地震では安否確認の回答率が100%だったといいます。安否確認サービス2を選んだ理由は、操作性やカスタマイズのしやすさ、セキュリティの信頼性、集計のしやすさ、コスト面などからだそうです。

使用感については「災害時でも従業員との連絡手段が確立されており安心感が得られる」との嬉しい声をいただいております。

(参考:安否確認サービス2事例一覧「野原グループ株式会社」

北海道旅客鉄道株式会社(JR北海道)の導入事例

JR北海道は、旅行鉄道事業を行う企業です。同社は2018年の胆振(いぶり)東部地震が起きた際に、社員全員の確認が取れるまでにかなりの時間がかかったことから、安否確認サービス2の導入に至りました。

安否確認に時間がかかった理由として、北海道内の各地に事業所があり範囲が広かったことが挙げられます。安否確認サービス2なら、シンプルな操作性で、メール送信エリアが細分化されているため、事業エリアの広い企業でも社員の安否を確認しやすいため導入を決定したそうです。

導入後に実際に発生した地震で、従業員の安否確認を行ったところ、しっかり地震発生地の従業員の安否が確認できたとのことです。

JR北海道は公共交通機関で、有事の際は利用者のためにも復旧作業に従業員の力を結集する必要があります。有事の際の従業員の安否確認は最優先で行う業務であり、今後も有効活用していくとのことです。

(参考:安否確認サービス2事例一覧「北海道旅客鉄道株式会社」

災害関連死リスク低減への継続的な取り組みの重要性

災害関連死を防ぐためには、企業が従業員の安全確保を最優先とし、継続的な対策と改善を行うことが重要です。従業員の健康管理やBCP強化、柔軟な働き方、メンタルヘルス支援、安否確認の体制構築など多面的な取り組みを通じて、災害時の迅速な対応と従業員の安全確保が可能となります。

災害後の従業員の状況を迅速に把握し、二次災害や災害関連死を防ぐために、安否確認サービス2の導入をおすすめします。災害発生時に従業員の安否を確認でき、企業は迅速に必要な支援を提供できます。ぜひ安否確認サービス2を災害に強い企業体制の構築に役立ててください。

安否確認サービス2の製品サイトに遷移します。
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編集者:坂田健太(さかた けんた)

トヨクモ株式会社 マーケティング本部 プロモーショングループに所属。防災士。
2021年、トヨクモ株式会社に入社し、災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案やサポートに従事。現在は、BCP関連のセミナー講師やトヨクモが運営するメディア『みんなのBCP』運営を通して、BCPの重要性や災害対策、企業防災を啓蒙する。