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災害発生時の適切な対応とは?冷静な対応で被害を最小限に抑える

自然災害が頻繁に発生する日本では、災害発生時の冷静かつ迅速な対応が欠かせません。
企業においても、万が一災害が発生した場合に備えて、事業継続のための対策を練っておく必要があります。

そこで本記事では、災害発生時の基本的対応を災害別に確認し、企業が行うべき対策を解説します。社内の災害担当の方、BCP(事業継続計画)を作成中の方は、ぜひ参考にしてください。

災害発生時の対応を予め把握しておこう

災害はいつどこで発生するか分かりません。
地震や水害などの自然災害から人為的な要因による災害まで、人命や財産、社会生活に大きな被害をもたらす恐れがあります。災害の被害を最小限に食い止めるためには、「自助」「共助」「公助」のそれぞれが重要です。

「自助」とは自分自身や家族の身を守ることです。家庭での食料や日用品の備蓄、自宅の耐震化や避難経路確保などが当てはまります。
「共助」とは地域やコミュニティなどで、周囲の人が互いに助け合うことです。日頃の関係づくりや地域の防災訓練、自主防災活動への参加などが挙げられます。
「公助」とは市町村や消防、警察、自衛隊などの公的機関による救助・援助のことです。都市基盤の強化や支援物資の提供などが該当します。

大規模な災害が発生した場合、公助だけでは人手が足りず、支援が遅延する可能性があります。そのため、まずは個々人が自分の身を自分で守るための「自助」を徹底することと、身近な人同士で協力する「共助」が大切です。

企業や自治体、家庭などのコミュニティ単位で、日頃から災害発生時の対応を想定しておくことで、迅速に行動に移し、被害を最小に抑えられるでしょう。

災害発生時の基本的対応とは

では、実際に災害が発生した際、どのような行動を取るべきでしょうか。
以下で災害別に、最優先に取るべき対応を紹介します。

火災

火災の現場に居合わせた場合、通報・初期消火・避難の順に行動することが重要です。
ただし、状況により優先順位は異なるため、慌てずに冷静な判断を心がけましょう。

119番通報

火災を発見したら、まずは大声で「火事だ!」と叫び、周囲に知らせます。
設置されている場合は火災報知器のボタンを押し、非常ベルを鳴らしたり、やかんや鍋など音の出るものを叩いたりして、異常を知らせましょう。
どんなに小さな火災であっても、119番に通報し、正確な所在地を告げます。

初期消火に努める

火が横に広がっているうちは、まだ消化が可能であるため、初期消火に努めましょう。
消火器の火災における使用率は50%と依然と低いものの、初期消火の成功率は70%を超えるほど、有効性が認められています。訓練に積極的に参加したり、事前に調べたりして、消火器の使い方を覚えておくことが重要です。
また、消火器や水の他にも、座布団や毛布などの身近なものを使用して、初期消火を行います。

避難誘導

天井に火が達した場合、消火は困難です。無理せずに早めの避難を優先しましょう。
可能であれば、燃えている部屋のドアや窓を閉め、空気を遮断してから避難します。
放送や大声により避難誘導に努めてください。

地震

大きな地震が発生した場合、まずは身の安全を確保してから、二次災害を防ぐ行動が求められます。いざという時に正しく動けるように、日頃からシミュレーションしておくことが大切です。

まずは身の安全確保

揺れを感じたら、丈夫な机やテーブルの下など、安全な場所に身を隠します。
座布団や枕などが近くにあれば、頭部を保護しましょう。
物が落下したり、倒れてきたりしそうな場所は避けてください。
屋外の場合、看板や割れたガラスが落ちてくる危険があるため、建物には近づかないようにしましょう。

脱出口の確保

揺れが収まったら避難できるように、窓やドアを開けて、脱出口を確保しておきます。
避難する際は、携帯品を最小限にし、ガラス片や破損品から足を守るために靴を履きましょう。慌てて外に飛び出さないよう注意してください。

火元のチェック

地震発生時に火を使っていた場合は、慌てずに速やかに消します。
ガス器具は元栓を締め、電気機器は電源プラグを抜きます。避難する際は、電源復旧時の電気火災を防ぐため、ブレーカーを落としておくことも重要です。
万が一出火した場合は、初期消火活動に努めましょう。

周囲の救援・救護及び安否確認

自分自身の安全を確保できたら、周囲の救援・救護活動を行います。特に、一人暮らしの高齢者や、要配慮者がいる家には積極的に声をかけましょう。
大声で安否を確認し合い、ケガ人がいないか、発見・救出します。軽いケガの場合は応急処置を、深刻なケガの場合は119番に通報し、救急車を呼びましょう。

水害

近年、台風や暴風雨、豪雨などによる洪水、高潮、土砂崩れなどによる水害が全国的に増えています。水害発生時には、リアルタイムでの情報収集と迅速な避難が欠かせません。

まずは情報収集

テレビ・ラジオ・インターネットの気象警報や河川水位・雨量情報など、様々な媒体から情報を集めます。自治体のハザードマップを見て、避難場所や避難ルートを確認しておくことも重要です。
また、事前に大きな被害が予想される場合は、非常持ち出し品を準備したり、排水溝の点検や窓ガラス・屋根の強化など、家屋を守るための自衛策を実施したりしましょう。

水害予測をもとに避難する

氾濫警戒情報が出た場合は、本格的に避難の準備をします。移動が不自由な要介護者や高齢者などは、この時点で早めの避難を開始します。さらに水位が上がり、氾濫危険情報が出た場合は、全員避難しましょう。
非常持ち出し品を持ち、マンションや建物の上階、浸水想定区域外へ移動します。

企業が行うべき災害発生時に備える対応

災害が発生した際、企業には従業員の安全を確保すべき法的責任があります。
労働契約法第5条の「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」という一文は、企業の安全配慮義務を定めたものです。

従業員の人命を守る「防災」と、事業活動の継続・早期復旧を目指す「事業継続」の観点から、企業防災について心得ておく必要があります。

防災マニュアルの策定・周知

平時から、災害発生時にどのような行動を取るべきか、社内で統一された防災マニュアルを策定・周知することが重要です。防災マニュアルには、避難誘導や応急手当、安否確認方法などについての内容が盛り込まれます。

防災マニュアルの目的は、企業資産の保護や事業継続などですが、中でも人命の安全確保が最優先であることを明確にしておかなくてはなりません。また、災害発生時は混乱が予想されるため、簡潔で分かりやすい文言が望ましいです。

防災マニュアルは作成して終わりではなく、いざという時に活用できるよう、避難訓練や事前研修を実施することも欠かせません。

備蓄品の用意

災害発生時に安全な場所へ避難した後、生命を守るための最低限の備蓄品が必要です。備蓄品の種類や保有量を抑えると、災害対応や事業継続に影響が生じる恐れがあります。
ペットボトル飲料やクラッカー、乾パン、カップ麺などの食料、毛布、保温シート、簡易トイレ、衛生用品、医薬品、敷物、懐中電灯、乾電池など、企業の規模に合わせて必要量を算定し、すぐに持ち出せる場所に保管しておきましょう。

定期的な防災訓練の実施

実際に災害が発生した場合、想定外の状況に混乱してしまい、冷静な判断が難しくなるケースがあります。策定した防災マニュアルを現場で実行するためには、日頃からの訓練が不可欠です。

企業が行うべき防災訓練は、避難訓練や消火訓練、応急救護訓練、情報収集訓練などです。
定期的な防災訓練を実施し、従業員の防災意識を高めておきましょう。

BCPの策定

BCP(Business Community Plan)とは、自然災害や感染症などの緊急事態発生時に、事業を停止することなく続けるための事業継続計画です。
BCPは社内だけでなく、関係会社や取引先、顧客への被害を最小限に抑え、中核事業を継続させたり、復旧までの時間を短縮したりする目的があります。
BCPを策定する際は、被害発生時の流れを想定し、重要な業務とリスクを洗い出し、優先順位に従って実現可能な具体策を定めることが重要です。

また、BCPは策定するだけでなく、従業員に内容を理解してもらい、組織全体の危機管理意識を高めるムード作りも欠かせません。時間とともに社内外の状況は変化するため、定期的な内容の見直しも必要です。

安否確認システムの導入

いざ災害が起きると、防災担当者が被災したり、回線の混雑によって連絡が取りにくくなったりと、スムーズな安否確認行動が取れない可能性もあります。

そこで、災害発生時に従業員の迅速な安否確認をサポートするのが、「安否確認システム」です。システムに事前に登録された従業員に対し、自動で安否確認メールを送信し、回答内容も自動で集計します。全従業員とその家族まで、安否確認漏れを防止し、スピーディな状況把握に役立ちます。

事前の対策で災害発生時も冷静な対応を

今回は災害別に発生時の基本的対応と、企業が行うべき対策を解説しました。
自然災害はいつ発生するか分からないからこそ、日頃からの知識の取得とシミュレーションが欠かせません。あらかじめ万全の対策をとっておくことで、災害発生時も冷静な判断・行動がしやすくなるでしょう。

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