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簡易トイレの作り方とは?災害時にトイレが使えない場合の対応方法などもご紹介

災害時に自宅や会社が被災して、トイレが使用できない場合があります。そのようなときに簡易トイレの作り方を知っていると、排泄時のストレスを軽減できるでしょう。

この記事では簡易トイレの作り方や、災害時にトイレが使えない場合の対応について解説します。企業では、感染症や衛生面の対策の観点から、BCP(事業継続計画)にトイレ対策を盛り込むことが重要です。

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編集者:坂田健太(さかた けんた)

トヨクモ株式会社 マーケティング本部 プロモーショングループに所属。防災士。
2021年、トヨクモ株式会社に入社し、災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案やサポートに従事。現在は、BCP関連のセミナー講師やトヨクモが運営するメディア『みんなのBCP』運営を通して、BCPの重要性や災害対策、企業防災を啓蒙する。

簡易トイレの作り方①|既存の便器が活用できる場合

断水や停電、排水管の損傷などで自宅や会社のトイレが使えない場合、既存の便器を使用して簡易トイレを作成できます。

ここでは、既存の便器・便座を使用した簡易トイレの作り方を解説します。必要なものはわずかで、すぐにできる方法のためぜひ覚えておきましょう。

必要なもの

必要なものは、ビニール袋2枚とちぎった新聞紙です。

ポイントは「大便・小便の水分を吸収させる」ことです。排泄物の水分を新聞紙に吸わせることで、用を足したあとは生ゴミとして処分できます。

できれば、紙おむつや吸水パット、凝固剤など水分を吸収するための素材があるとベストです。

ほかにも、保冷材は吸水性ポリマーから作られているため、その中身を使う方法があります。ペットシートや猫砂はにおい成分を吸収する性質があるため、これらを使うことも有効です。

ビニール袋を二重にする

まず、便座を上げて、1枚目のビニール袋を便器にセットします。便器の開口部をすべて覆うようにすることがポイントです。

次に便座を下げ、2枚目のビニール袋をセットします。こちらは1枚目の中に入れ、便座自体を覆うようにしましょう。これでビニール袋が2重にセットされた状態になります。

2枚目のビニール袋は使用するごとに取り替えるため、外しやすくしておくとよいでしょう。

もしビニール袋が1枚だけだと、取り替える際に便器に溜まった水で濡れることがあります。そのため袋を二重にセットして、水に濡れない2枚目を取り替えるようにするのです。

なお、便器に溜まっている水はにおい防止の効果があるため掻き出さず、溜めたままにしておきましょう。

新聞紙などを敷く

セットしたビニール袋の中に、ちぎった新聞紙を敷き詰めます。新聞紙は軽く丸めておいても構いません。

新聞紙の役割は、排泄時の水分を吸収することです。量が少なくて十分に吸収しない場合は、トイレットペーパーも一緒に入れて調整するとよいでしょう。

猫を飼っている人はペットシートや猫砂でも代用できます。吸水パットや紙おむつを使って水分を吸収させる方法も有効です。

市販されている簡易トイレには凝固剤が付いているものがあります。また凝固剤は単独でも購入可能なため、上記の材料がすぐに手に入らない場合は購入してストックしておくこともおすすめです。

ゴミの捨て方

排泄物を捨てる場合、1枚目のビニール袋を便座から外して、口を縛ります。

そのままでも可燃ゴミとして処分できますが、さらにゴミ出し用の袋に入れて排出したほうが、破れたときのことを気にしなくて済むでしょう。

中身が見られると困る場合は、黒や不透明のビニール袋を使用します。

自治体次第では可燃ゴミ専用の袋が決められているケースもあるため、規定にしたがって排出します。

ゴミ収集が停止している場合は、フタ付きのゴミ箱などに貯めておくとよいでしょう。ビニール袋は長く置いていると中身が染み出すことがあります。2重にすることや、異常がないかを定期的に確認することで、清潔に管理可能です。

簡易トイレの作り方②|既存の便器が使えない場合

ここでは、自宅や会社が被災して便器が損傷したときのように、既存の便器が使用できない場合の簡易トイレの作り方を解説します。

別途、段ボール箱などの容器を使用して便器の代わりにする方法です。

段ボール箱やバケツが代替品になる

便器の代わりに段ボール箱やバケツなど、容器になるものを使用して代替します。その場合は便座がないため、便座にあたるものを作ると、より利便性が高まるでしょう。

便座部分が作れない場合は、和式便所のようにすればそのまま使えます。

段ボール箱は濡れると柔らかくなったり汚れが付いたりするため、ビニール袋で覆って水分を避けることで長く使用できます。

簡易トイレは市販されているため、会社などで大量に必要な場合、購入して備蓄するとよいでしょう。

ビニール袋を二重に

ビニール袋を2枚用意し、1枚目で段ボール箱の全体を覆うようにしてテープなどで固定します。

その上から2枚目のビニール袋を被せて、そこに新聞紙などをセットします。

トイレを使用するごとに2枚目のビニール袋を取り替えるようにすると、段ボールを比較的きれいな状態に保てるでしょう。

ビニール袋によっては破れやすいものや、中身が浸透するタイプのものもあるため、数に余裕があればさらに袋を重ねて使用すると、清潔に使用できます。

簡易トイレの作り方③|屋外に設置する場合

ここでは、簡易トイレを屋外に作る場合のポイントについて解説します。

屋外は風雨にさらされる環境で、どこからも見えてしまうため、相応の工夫が必要です。屋外にあるものを利用してトイレにする方法も考えられます。

簡易のテントなどでプライバシー保護を

屋外にトイレを作るときには、プライバシーを確保することが重要です。しかし、避難所などのように段ボールを使用した場合、水に弱いダンボールは風雨に耐えられません。

アウトドア用品で着替えやシャワー用として売られているテントがあれば、簡単に設置できます。このタイプのテントは占有面積が1㎡程度のため、たとえばマンション・アパートのベランダにも設置できて使い勝手がよいことが特徴です。

縦長の形状のため風に強いとはいえませんが、通常のテント同様にペグで固定したり、コンクリートブロックやレンガなどにロープを結びつけて固定すれば風対策は十分でしょう。

災害時以外の日常でも使用できるため、1つ持っているとさまざまな用途で利用可能です。

マンホールを活用する

災害時の排泄物は、すぐに処分できないため溜まって行きます。ゴミの回収まではどこかに集めておくしかありません。

排泄物を溜めておかないために、マンホールを利用する方法があります。車が来る心配のない通路などに設置されているマンホールの蓋を開けて、中身だけを捨てる方法です。

排泄物はそのまま下水に流れて行くため、溜まったままにはなりません。

マンホールは日常では触ることがないため、使用する際は安全に十分配慮しましょう。使用後は忘れずにしっかり蓋をします。

マンホールを使用する方法は、従来の大地震の際にも行われた例があります。蓋を外して、マンホールそのものを簡易トイレとして使用するということも行われていました。
ただし、落下の危険があるため最終的な手段として捉えたほうがよいでしょう。

災害時のトイレ使用におけるケース別の注意点

災害時に自宅などのトイレを使用する際には注意すべき点があります。

地震のような災害で断水が発生したり、設備が損傷していたりすると、いつものようにトイレが使用できないケースがあるためです。

ここでは、ケース毎のトイレを使用する際の注意点について紹介します。トイレを使用する前に損傷などがないかの確認を欠かさないようにしましょう。

断水している場合

日頃からお風呂の浴槽に水を溜めておくと、断水の際に排水や洗濯のために使用できるため便利です。これは一般的によく行われている方法です。

トイレに水を流す場合、単に断水しただけの場合なら、バケツに水を入れて勢いよくトイレに流せば排水できます。2回から3回の使用につき一度は、バケツ2杯程度の水を流すと排水の通りがよくなるでしょう。

和式トイレの場合は、排水レバーを押しながらバケツの水を流すようにします。

通常時より水量が少ないと排水が十分にされない状態になるため、排水管が詰まる可能性があります。トイレットペーパーなどは流さないようにして、別途ゴミとして処分するほうがトラブルを避けられるでしょう。

排水管が壊れている場合

排水管が壊れている場合は、水洗トイレを使うと汚水が逆流してあふれる危険があります。排水管が壊れていると考えられる場合は、無理にトイレを使用せず、簡易トイレを使うようにしましょう。

排水管を修理して復旧したあとや、断水後に水が流れるようになった際には、給水管内に空気が溜まっている場合があります。復帰後に空気が水圧で圧縮されて衝撃が発生する危険もあるのです。

給水管にエアー抜きバルブが設けられている場合は、器具を傷めないために念のため、使用前にエアー抜きを行うのがベストです。トイレの給水管の構造を事前に確認しておきましょう。

簡易トイレを使用すべきケース

ここでは、水洗トイレが使用できず、簡易トイレを使用する必要のあるケースについてまとめます。

  • 下水が使えない
  • 断水していて流す水が確保できない
  • 停電でトイレの設備が動かない

このような場合はトイレを使用することを諦めて、簡易トイレを作りましょう。便器が壊れていなければ、便器や便座を活用して簡易トイレを作成可能です。

便器にビニール袋を被せ、さらに便座にビニール袋を被せた上に、新聞紙など水分を吸収するものを敷きます。用を足したあとは便座のビニール袋を外して縛り、ゴミとして捨てましょう。

東日本大震災では、仮設トイレが設置されるまでに4日以上かかったところが半数以上という例もありました。それまでの間は、各自が簡易トイレを作るなどして対応しなければなりません。

使用する材料や簡易トイレセットなどを、普段から準備しておくことが大切です。

企業や会社が災害に備える場合

企業のBCP(事業継続計画)においても、衛生面や感染症予防の観点から、トイレの問題には対策を決めておく必要があります。

トイレ設備が利用できなくなった際の代替手段として、どのような用品をどの程度の数量用意しておくかを定めておきましょう。

簡易トイレは防災用品に必須

社内に備えておく防災用品として、簡易トイレは必須です。

簡易トイレに使用する資材として、一般家庭の緊急用としては新聞紙などの準備が挙げられますが、企業が用意する簡易トイレでは凝固剤が挙げられます。

企業の場合、簡易トイレは市販されているものをまとめて購入するほうが配布や管理の面で都合がよいでしょう。

凝固剤やビニール袋は使用頻度が高いため、トイレットペーパーとあわせて十分な量を確保しておくことがおすすめです。想定される使用日数を考慮して備蓄量を設定しましょう。

被災生活が長期にわたる可能性も考慮する

災害時にはインフラの被災などによって、業務や従業員の生活の面で停滞が発生します。

  • 会社や職場が業務を中断せざるを得なくなる
  • 従業員の生活が脅かされる

被災してから仮設トイレが設置されるまで3日ないし4日以上かかると想定し、その間に従業員の生活に支障が出ないよう考慮して、簡易トイレを含めて必要な防災用品を備蓄しておく必要があります。

食事は我慢しようと思えば我慢できますが、排泄はそうはいきません。食料の確保以上にトイレの整備は重要な課題です。

たとえば阪神淡路大震災では、トイレがあふれたことによって衛生問題が発生しました。

簡易トイレを作るために必要な消耗品であるビニール袋や凝固剤などは、多めに備蓄しておくことがBCP(事業継続計画)の観点でも重要な備えといえるでしょう。

備蓄用にもおすすめの簡易トイレ

備蓄用として勧められる簡易トイレや携帯トイレについて、市販品を対象として解説します。「簡易トイレ」と「携帯トイレ」は名前が似ており間違えやすいため、この機会に違いをしっかりと認識しましょう。

被災の状況にあわせて選択できるよう、両方の備蓄をしておくこともおすすめです。

簡易トイレと携帯トイレの違い

簡易トイレと携帯トイレは次のような違いがあります。

簡易トイレと携帯トイレの相違点

簡易トイレ携帯トイレ
便器・便座ありなし
ビニール袋・なしのタイプ
・セットのタイプ
あり
凝固剤・なしのタイプ
・セットのタイプ
あり
使用頻度複数回使う使い切り

決定的に異なる点は、簡易トイレは便器・便座のあるもので、携帯トイレにはそれらがなく、袋と凝固剤のみがセットになったものだという点です。

簡易トイレは、種類によってはビニール袋や凝固剤とセット(携帯トイレとのセット)になっているものがあります。

ビニール袋と凝固剤については、凝固剤が最初からセットされていてすぐ使えるものや、簡単な段ボール枠が付いているもの、凝固剤が別のものなどの商品があります。

また、便座がないにも関わらず「簡易トイレ」と表示している場合もあるため、商品を購入する際には内容物をよく確認しましょう。

もしもの災害対策として簡易トイレを作成できるように準備しよう!

災害で自宅や会社が被災した場合、トイレが使えなくなることがあるでしょう。

食料が手に入らないことはある程度、我慢はできますが、排泄は我慢ができません。

その際に簡易トイレを作成して用が足せるように、あらかじめ準備しておくことがおすすめです。

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編集者:坂田健太(さかた けんた)

トヨクモ株式会社 マーケティング本部 プロモーショングループに所属。防災士。
2021年、トヨクモ株式会社に入社し、災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案やサポートに従事。現在は、BCP関連のセミナー講師やトヨクモが運営するメディア『みんなのBCP』運営を通して、BCPの重要性や災害対策、企業防災を啓蒙する。