地震の原因・メカニズムは?企業の備えも紹介

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遠藤 香大(えんどう こうだい)

日本は世界でも有数の地震発生国として知られており、企業や自治体にとって地震対策は欠かせません。地震はどのようなメカニズムで発生するのでしょうか。この記事では、地震の発生メカニズムと地震の種類、発生リスクの高い地域について詳しく解説します。

また、地域によらず取り組むべき対策についても考察します企業の防災計画の策定やリスク管理に役立ててください。

地震の原因・メカニズム

地震は、岩盤(プレート)に大きな負荷がかかり、ずれが生じることで起こる現象です。

岩盤のずれで地震が起こる原因として、プレートテクトニクスと断層の動きが挙げられます。

プレートテクトニクスとは学説の一種で、プレート運動が地震や火山活動につながるとされる考え方です。厚さが数十kmにも及ぶプレートは1年に数cmのペースで動き続け、お互いに圧縮し、引っ張り合うことで、莫大な力が発生します。その力に耐えられず岩盤がずれると、衝撃で地震が発生します。

断層とは、地層や岩盤に力がかかって割れた面に生じたずれを指す言葉です。プレートが動き、断層に対して大きな負荷がかかると、振動が地面まで伝わって地震が発生します。

日本で地震が頻発する原因は、以下のプレート4つと国土が接するためです。

  • 太平洋プレート(海底)
  • フィリピン海プレート(海底)
  • 北米プレート(地下)
  • ユーラシアプレート(地下)

▲出典:気象庁「地震発生のしくみ」

地震の種類

地震にはいくつかの種類があります。我々の暮らしに大きな被害をもたらす地震は、主に海溝型地震と直下型地震の2種類に分けられます。それぞれの発生メカニズムや被害の特徴を、以下で確認しましょう。

海溝型地震

海溝型地震は、海洋プレートが大陸側のプレートに沈み込み、海溝でプレートにずれが生じることで起きる地震です。直下型地震と比べ、小さい揺れから始まり、数分間大きく横に揺さぶられるような状態になるのが特徴です。

海溝では長い年月をかけて、海洋プレートが陸側プレートの下部に潜り込む動きを続けます。海洋プレートの潜り込みに引きずられて、上部の陸側プレートは先端が徐々に沈む動きを見せ、ひずみが増大します。

変形し続けた陸側のプレートがひずみに耐えられなくなる瞬間が、地震の発生タイミングです。プレートがひずみに反発して先端が跳ね上がると、地面に衝撃が伝わります。

また、海溝型地震の危険性は津波のおそれがある点です。プレートの跳ね上がりが海溝上部の海洋にまで伝わると、津波の発生につながります。

日本における海溝型地震の具体例は、2011年の東日本大震災です。太平洋プレートと北米プレートの海溝で生じた衝撃が、震度7の大きな地震につながりました。同時に津波も発生し、各地に甚大な被害が生じました。

海外では、2004年のスマトラ沖地震が海溝型地震の代表例です。こちらも、地震とともに津波が発生して人々の生活に大規模な被害を与えました。

(参考:文部科学省地震調査研究推進本部事務局「海溝型地震」

▲出典:内閣府防災情報「我が国で発生する地震」

直下型地震

直下型地震は、地上の活断層が起こしたずれで衝撃が生まれる仕組みの地震です。溝型地震と比べ、震源地が浅く突然大きな揺れが来るため、建物などが倒壊しやすいことが挙げられます。

前述のとおり、岩盤の割れ目に大きな衝撃が加わって生じたものを断層と呼びます。なかでも、活動が繰り返され今後も活動すると予測される断層が、活断層です。日本国内では2,000箇所以上もの活断層が発見され、活動の頻度や被害の規模が大きいと考えられるものは、主要活断層帯として認定されています。

浅い震源で直下型地震が発生すると、地上の都市部に大きな被害を及ぼすおそれがあります。前述の海溝型地震よりも地表と震源の位置が近く、衝撃の伝わる速度が速いためです。

直下型地震の代表例として、1995年の阪神淡路大震災が挙げられます。阪神淡路大震災の発生原因は、近畿エリアの六甲・淡路島断層帯で生じた断層活動です。直下型地震が発生した際に十分な地震対策が取られていなければ、阪神淡路大震災のような被害を招くおそれがあります。

(参考:国土交通省国土地理院「活断層とは何か」

▲出典:地震調査研究推進本部事務局「主要活断層帯​​」

大規模地震が予測される地域

▲出典:地震調査研究推進本部「全国地震動予測地図2020年版 地震動予測地図を見てみよう」

地震の種類を踏まえた上で日本地図を確認すると、大規模な地震の発生確率を地域ごとに予測できます。地震調査研究推進本部事務局が作成した地震動予測地図によると、太平洋沿岸の地域では、今後30年程度のうちに高い確率で震度6弱以上の地震が発生すると示唆されています。

太平洋沿岸は海溝から距離が近く、揺れが伝わりやすいため地震の発生確率が高くなります。海溝型地震の際にプレートが跳ね上がる力は莫大で、直下型地震の原因である断層のずれで起こる力よりも規模が大きくなりやすい点も重要なポイントです。

また、海溝型地震は一般的に数十年〜百年ほどの頻度で発生します。とくに、前回の地震から70年ほどが経過した南海トラフは、今後30年以内での大規模な地震の発生が高確率で予想されるエリアです。

一方で、直下型地震の間隔は1,000年以上であるケースが多く、今後30年のうちに内陸部で大規模な地震が発生する確率は低いと予想されます。ただし、確率が低い地域でも地震が発生する可能性を考慮することが重要です。詳しくは後述します。

確率が低い地域でも大地震は発生している

地震の発生確率が低いとされる地域でも、大地震は起こりうることを認識しましょう。前述の地震動予測地図は、あくまでも過去と現在における地震の発生間隔をもとに確率を算出したマップです。従って、確率が高い地域でも今後30年間で地震が起こらない可能性はあります。同時に確率が極めて低い地域でも、地震が発生するリスクは存在します。

具体例が、2024年1月の能登半島地震です。地震動予測地図に記されていたとおり、能登半島で大規模な地震が発生する確率は低いとされていました。一方で、能登半島地震では震度7を記録し人々の暮らしに甚大な被害を及ぼしました。

海溝と活断層が数多く存在する日本では、どの地域にも大規模な地震が起こる可能性はあるため、発生確率の低い地域であっても地震への対策は重要です。地震の確率が低い地域は安全であると捉えるのは危険といえます。地域に関わらず企業は万が一の地震対策を行いましょう。

事業の迅速な復旧に必要なもの

大規模な地震に限らず、災害が発生すると会社が被害を受け、事業を止めなければならない事態が起こり得ます。事業停止から迅速な復旧を図るには、どのような準備をする必要があるのでしょうか。

災害に強い企業づくりでは、被害を未然に防ぐ「予防力」、臨機応変に対応する「順応力」、対策の方針を切り替える「転換力」の3点が重要です。なかでも、事業停止から素早く復旧するには、災害に適応する「順応力」がもっとも役に立つといえます。

非常時の避難行動や安否確認には、「順応力」が不可欠です。道路の被災状況に応じて最適な避難ルートを選択することや、オフィス外にいる従業員と家族の安否を迅速に確認することは、被害の拡大防止や従業員の安心につながります。

また、事業を再開させるには、稼働できる従業員を確保する必要があります。災害直後に従業員の安否がいち早く確認できれば、復旧作業に割ける人員の目処が立ち、迅速な事業の復旧につながります。人員が足りないケースであっても、現状を踏まえて復旧の方針を変更できるため、災害直後の安否確認には大きなメリットがあります。

「予防力」「順応力」「転換力」については、以下の記事も参考にしてください。

災害直後の安否確認にはトヨクモの安否確認サービス2がおすすめ

災害が発生したときに、従業員の安否確認を実施する際には、トヨクモ安否確認サービス2をおすすめします。

企業によっては、担当者が安否確認を従業員1人ずつに電話やメールで行うケースもあるでしょう。しかし、この方法は時間がかかる上に効率が悪く、連絡を行う担当者に大きな負担がかかります。また、災害時は通信網が安定しないリスクもあり、安否確認がスムーズに進まない可能性が十分に考えられます。

トヨクモ安否確認サービス2は、システムの事前設定によって、非常時のスムーズな安否確認に役立ちます。安否確認の自動送信によって、確認担当者自身が被災者の立場で余裕がないときにも、登録してある従業員全員に安否確認の連絡が可能です。また、スピーディな送信と返信によって従業員の無事が確認できれば、事業の復旧を迅速に実現できる可能性が高まります。

安否確認サービス2の利用は、単純な安否確認メールの送信にとどまらず、掲示板機能や個別メッセージへの活用も可能です。例えば、地震対策や事業再開の方針を限定したメンバー間でやり取りしたり、具体的な指示を従業員へ素早く知らせるなど、安否確認以外のさまざまなシステム活用によって事業の迅速な再開に寄与します。

日本柔道整復師会の事例

▲出典:公益社団法人 日本柔道整復師会HP

公益社団法人日本柔道整復師会は、国内に13,686名(2024年3月末現在)の会員数を誇り、47都道府県に事務所を有しています。大規模災害が発生した場合、従来は電話やFAXなどを利用して人力で安否を確認していましたが、「電話が通じない」「初動対応が遅くなる」などの課題を抱えていました。そこで安否確認を含めた初動対応を迅速に進めるため、「安否確認サービス2」を導入しました。

令和6年能登半島地震では、石川県を中心に震度5以上を記録する余震が続きました。安否確認サービス2はその度に安否確認通知を自動送信・回答結果を自動集計し、日本柔道整復師会はスムーズに該当地域にいる会員の安否確認を進めることができました。

(参考:安否確認サービス2 事例一覧 公益社団法人 日本柔道整復師会

地震の原因を知った上で、自社に必要な対策を進めよう

海溝型地震や直下型地震が発生した際には、日本国内で大規模な被害を招くおそれがあります。

海溝型地震は沿岸部の地域で被害が大きくなり、直下型地震は内陸部や都市圏での被害が想定されます。地震が起こる頻度や被害の特徴はそれぞれで異なるため、自社の所在地に応じた地震対策を講じることが重要です。

万が一、地震が発生して自社の事業が止まったときは、迅速な復旧を目指す必要があります。対策をあらかじめ講じた上で、想定以上の被害が生じたとしても、状況に適応しながらその都度新たな方針を決める姿勢が大切です。

とくに、従業員の安否確認が円滑に進むと、稼働できる人員が想定でき、事業の復旧計画が立てやすくなります。トヨクモ安否確認サービスは、災害の発生時に安否確認メールを従業員に一斉送信できるツールです。回答の集計も自動化できるため、連絡担当者にかかる負担を大きく削減できます。社内方針の議論や指示出しも可能で、事業の復旧をサポートします。巨大地震の対策として、ぜひ導入をご検討ください。

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