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【防災備蓄】企業防災の備品・備蓄は何が必要?非常食のメンテナンス方法も紹介

「もう終わったかと思った」。

2011年3月11日金曜日、仙台の天気はにわか雪。驚くほど空気が冷たい日でした。

「14時46分。突然、トラックのエンジン音のような不気味な地鳴りがゴー……と響き、『これは何?』と不安に思ったのを覚えています。それからはあっという間で、最大震度7の地震が発生してからは立っていることができず、さまざまな物が棚から落ち、散乱し、どこからともなく『津波が来るぞ!』と悲痛な叫びが聞こえ、まるで地獄のようだと血の気が引きました。」

 

東北地方に未曾有の被害をもたらした東日本大震災。発生当時、被災地の各企業の防災対策について調査したところ、「ヘルメットを従業員に配布している」と答えた中小企業はわずかに3割程度*でした。このデータからもわかる通り、企業防災の対策は、日々の業務が優先されて後まわしになりがちです。

 

*出典:『ザイマックス総研【オフィスの防災アンケート調査2013】

もしも大きな災害があっても被害を最小限に抑えるためにできることは何か?今回は「今すぐにでも見直したい企業防災の備品・備蓄対策」についてまとめました。

どの備品・備蓄が何のために、どのくらい必要なのかをきちんと理解し、万が一のために備えましょう。

企業防災における備品・備蓄の考え方

企業防災の目的はふたつあります。ひとつは災害被害を最小化する「防災」。もうひとつは企業活動の維持と早期回復を目指す「事業継続(BC)」です。どちらの目的も達成するよう、備品・備蓄を揃える必要があります。

備品・備蓄の目安は、「発災後3日間」の間、従業員や来社中の取引先、顧客が困らないくらいの量が基本です。また、震災の影響は3日間のみであるとは限りません。可能であれば3日分以上の備蓄についても考え、用意しておくことが理想的です。

詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。

オフィスで必要な備品・備蓄とは

東京都防災ホームページによると、企業防災対策の対象となる従業員は「雇用の形態(正規、非正規)を問わず、事務所内で勤務する全従業員を対象とすべき」とあります。非常事態時に取引先や顧客が来社中の場合もありますので、その状況も想定しながら必要な人数の数を洗い出すといいでしょう。

本当に必要な物を知り、備蓄・備品を揃えましょう。

1. 生命の要「水と食糧」

・水は1人あたり1日3L
・主食は1人あたり1日3食

主食は「アルファ化米」「クラッカー」「乾パン」「カップ麺」などです。賞味期限に留意しつつ、必要な非常食を揃えましょう。最近はおしゃれで美味しい非常食が多くのメーカーから販売されています。ちなみに、2016年度の「日本非常食対象」美味しい部門でグランプリを飾ったのは杉田エース株式会社。非常食のなかで、ひとつでも好きな味があると、心がほっと和らぎますよ。

他にも美味しい非常食があるので、ぜひこちらの記事を参考に探してみてください。

2. 緊急用の薬

・胃腸薬
・解熱剤
・持病の処方薬

大地震で水が止まった時に助かるのが「胃腸薬」。被災すると、精神的にも肉体的にも疲労がたまり、さらに水が使えないことから十分な衛生な環境が確保できず、お腹を壊してしまう人が増えます。そんな時に、胃腸薬を用意しておけば安心です。

また喘息や糖尿病などの持病のある従業員に対しては、普段からしっかりと持ち歩くように声をかけるなど、個々へのアナウンスすることも大切です。

3. その他必要性の高い物資

・毛布やそれに類する保温シート
・簡易トイレ(非常用トイレ)
・衛生用品(トイレットペーパ等)
・敷物(ビニールシート等)
・携帯ラジオ
・懐中電灯
・乾電池
・救急セット(包帯・ガーゼ・絆創膏・消毒液など)
・マスク
・歯ブラシ
・生理用ナプキン
・非常用発電機
・工具類
・調理器具(携帯用ガスコンロ、鍋等)
・副食(缶詰等)
・ヘルメット
・ヘッドライト
・革の手袋
・自転車
・暖房用品、暖房器具
・地図
・新聞紙
・ポリ袋
・大判ハンカチ
・レインコート

これらすべてを揃えるのはなかなか難しいように思えるかもしれません。しかし、個人のデスクに最低限備えておいたり、代替品を探しておくなど考えておくと安心です。

NHKの「そなえる防災」では、軍手よりも「革の手袋」、懐中電灯より「ヘッドライト」が有用だと紹介されました。そのほかにも新聞紙、ポリ袋、大判ハンカチ、レインコートなどの具体的な使い方が書かれているので、ぜひ参考にしてみてください。

また、東日本大震災後、災害や事故など、事業拠点であるメインオフィスが被災した場合の代替オフィスとして「バックアップオフィス」を構えることを検討する企業が増えています。

セキュリティの観点から、企業の保有するさまざまな情報をデータセンターに預けることは珍しくありません。ですが、事業拠点が被災してしまうと、そもそもパソコンがなく従業員が働ける状況にない場合があります。そんな時、机や電話、複合機など、業務に必要な設備がそろうバックアップオフィスがあるととても安心です。

備蓄・備品をメンテナンスするために役立つ2つの方法

従業員の非常食や水、薬は、いずれ消費期限・賞味期限が過ぎてしまうもの。いざという時に確認したら「消費期限が切れていた……」なんてことのないように、備蓄・備品のメンテナンスを定期的に行うことも、防災担当の大切な役割です。メンテナンスや管理というと少し面倒に聞こえるかもしれませんが、やってみたら拍子抜けするほど簡単な方法があります。備蓄・備品を管理するための2つのポイントを紹介しましょう。

方法1:月に1度「非常食ご飯の日」!食べて備える「ローリングストック法」

非常食や水を備えておく際「3年や5年など長くもつ商品をまとめ買い」という考え方が一般的かもしれません。でも、購入して倉庫にしまい込んで満足するのは「待った」!いつの間にか消費期限を迎えてしまっている場合があります。そうなれば、最悪の場合、大量廃棄をすることになり、コストもかかってしまいます。

そういった非常食の大量消費や大量廃棄を防ぐための方法として、「ローリングストック法」というものがあります。

ローリングストック法では、まずベースとなる3日分の非常食を揃えます。

1. ベースとなる3日分(9食分)の非常食を用意する
2. もう1日分多めに用意する。(計12食分)
3. 1ヶ月に1度のペースで非常食1食分を食べる。その分を買い足して補充する
4. ちょうど1年で最初に用意した4日分はすべて消費! 買い足した12食分、そっくり入れ替わる

このように非常食・水を順次入れ替えしていくことで、常に新しい備蓄・備品を保存することができるのです。

方法2:処理しきれない非常食は「フードバンク」へ

フードバンクとは「食料銀行」を意味する社会福祉活動です。一方に余っている食べ物があり、他方で食べ物に困っている人がいる時に、仲介して食料を繋ぐ役割を担っています。1960年代のアメリカ合衆国で始まった運動で、当時はスーパーなど小売店から廃棄される商品、また農家から出た余剰生産食糧を、地元の境界に寄付する形で貧しい人や路上生活者へ配布していました。

日本では、東日本大震災などの災害発生時や子どもの貧困、食品廃棄が問題となり脚光を浴びています。フードバンクに協力する企業側のメリットは、廃棄コストや環境負荷の削減ができることのほか、社会貢献活動の実施にも繋がることが挙げられます。

多くのフードバンクでは缶詰などの加工食品や野菜、果物などの生鮮食品、米やパンなどの穀物などの寄付を受け付けています。もし防災備蓄品などが余ってしまう場合は、各地域のフードバンクを検索し、寄贈の検討をしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

災害が発生した際、従業員の安全確保が第一。企業の防災担当者は従業員を守ることが必要になってきます。そういった場合、やはり普段からいかに備えられているかが重要です。安全な場所の確保、そして水や食糧、薬などの必需品を必ず手配しておきましょう。また、万が一への備蓄としてだけではなく、防災を通した社会貢献に取り組むことも大切です。

災害はいつ発生するかはわかりません。「やっておけばよかった」と後悔することのないように、企業防災の備品・備蓄チェックは定期的に行うなど、日頃から防災意識を高めましょう。

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