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大手企業も続々認定…自社のブラック企業化を防ぐ「時間」に関するチェックポイント

ブラック企業」という言葉は2013年の流行語大賞のベスト10に選ばれるなど、今や一般的な言葉として世間に定着しています。

11月29日に行われたブラック企業大賞2015では、セブンイレブン・ジャパンがブラック企業大賞に選ばれるなど、世間の注目を大きく集めました。

労働者にとって、この“ブラック企業認定”は企業の内情を知るための一つの指標となる一方で、企業にとっては社会的評価を著しく損なう大きなリスクともいえます。

あらゆる企業が避けなければならない、このブラック企業化の問題について、ここでは「時間」という観点から、労働環境の悪化を食い止める方法について考えていきたいと思います。

そもそもブラック企業の定義とは?

現在、大きな社会問題ともなっている、このブラック企業の実態については、2013年9月に厚労省が実態調査を実施し、その内容を公表しています。

その中で、ブラック企業として疑わしいとされる基準を以下の2点に定めています。

(1)3年以内の離職率が企業別の平均離職率より高い企業
(2)労働基準監督署やハローワークに複数の苦情や相談が入っている企業

この基準から、調査対象となった5111の事業所のうち、82%にあたる4189の事業所で労働基準関係法令の違反があったと報告されています。また、労働基準監督署の電話無料相談に寄せられた相談1044件の内容をまとめると、

・賃金の不払い・残業 53.6%
・長時間・過重労働  39.8%
・パワハラ      15.6%

となっており、「残業」や「長時間労働」といった業務における「時間」の観点でのマネジメントが問題の大部分を占めることがわかります。

ブラック企業化を防止する、労働時間に関するチェックポイント

企業は世間から「ブラックである」との烙印を押されることで、世間からは冷ややかな視線を集め、評価は急落します。では、どのようにして自社のブラック企業を防げばよいのでしょうか?ここでは「時間」に関する6つのポイントにまとめました。

社長や役員が率先して時間外労働抑制に取り組んでいるか

労働時間の削減を宣言したものの、結果として成果を上げられない企業の例は数え切れないほど存在します。その最たる例が、社長や役員自らが率先して時間外労働の抑制に繋がる活動に積極的ではない企業です。そうではなく企業全体として、一週間の中に「ノー残業デー」を設定し徹底するなど、上司が明確な意思を社員に明示する必要があります。

管理職が部下の作業の質や量を把握できているか

企業によっては、管理職の人間が原因で「ブラック企業化」してしまう例もあります。つまり、上司が的確に部下全体のタスクや作業量をしっかりと把握することができておらず、部下が疲弊して悪循環に陥ってしまうという例です。上司と部下とのコミュニケーションが上手く取れていない企業が陥りがちです。

社員自身が1か月あたりの時間外労働を常時把握できているか

あまりにも多くの仕事を抱える企業では、社員ひとりひとりが目の前の仕事をこなすことに意識が集中してしまい、1週間、1ヶ月あたりでの時間外労働を認識しにくくなってしまいます。結果、こちらのパターンでも社員が疲弊してしまい悪循環に陥ってしまいます。

残業代を目的に帰社時間を遅らせていないか

残業代を受け取ることを目的とした残業は、言うまでもなく企業にとって害でしかありません。社員は残業代が前提の働き方をしてしまい、例えその日の仕事が終わったとしても居残り続けるという、最悪の状態を生んでしまいます。一人でもそういった社員がいると、部署全体、そして企業全体に残業があたり前の雰囲気を作り上げてしまいます。

時間外労働は事前申請・許可方式にしているか

企業によっては、時間外労働を行う場合は事前に申請、あるいは上司の許可が必要であるというルールを設けているところもあります。これにより、残業が前提の働き方ではなく、明確に就業時間内で終わらせるという意識を職場に植え付けることができます。それでもうまく機能しない場合は、一定のペナルティーを導入することも検討に入れる必要があるでしょう。

労働時間調整が可能か

ブラック企業の多くは、時間外での労働が常態化し従業員が体調を崩しがちです。そういった状況を少しでも緩和するためにも、遅くまで働いた翌日は出勤時間を遅らせることを許可するなど、柔軟な勤務体制を認めることも重要です。

まとめ

どんなに社会貢献に繋がる事業をしていても、社員の労働環境が悪く「ブラック企業」と名指しされれば、社会的信用は無くなります。就職活動する学生も減り、転職して出て行く社員も多くなります。

こうした傾向が続くと、企業の生産能力が減退し、事業持続が困難になりかねません。まずは、社員の不満、不平を管理者側が吸収し、徐々に体質を変えていきましょう。企業の“ブラック化”は企業全体で問題解決にあたれば、決して解決できない問題ではありません。

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