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避難勧告等に関するガイドラインの改定と企業における防災

避難勧告等に関するガイドライン改定

「避難勧告等に関するガイドライン」が改定されたことをご存じでしょうか。何となく聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、具体的に何が改定されたのか、どのような特徴があるのかについてご存じの方は少ないかもしれません。そこで、ここでは「避難勧告等に関するガイドライン」の改定ポイント、特徴や企業がとるべき対策などについてご紹介します。

避難勧告等に関するガイドラインとは

避難勧告等に関するガイドライン
「避難勧告等に関するガイドライン」は平成31年の3月に改定されました。これは平成30年に発生した7月の豪雨被害が教訓になっています。西日本を中心にさまざまな災害が起こり、多くの死者や行方不明者を出すことになった7月豪雨。ライフラインにも多大な影響を与え、停電や断水なども引き起こしました。

このとき、気象庁や自治体からはさまざまな災害に関する情報が発信されました。しかし、それが住民に正しく伝わっておらず、理解されていなかったという課題があったのです。

こうした問題を改善するため、洪水による河川の氾濫や土砂災害、高潮に際した避難に関して、内容の追加と充実が行われたわけです。ガイドラインが改定されたもっとも大きなポイントは、自分の判断で避難行動をとる方針が示されたことです。「自らの命は自らが守る」という意識をもって自らの判断で避難行動をとり、行政がそれを全力で支援するという「住民主体」の防災対策へと根本的な方向性の見直しがされました。
それには、住民が災害リスクを正しく理解するよう促進することや、自治体から発令される情報が、住民にとって「とるべき避難行動」として理解しやすいものにするといった改善が必要でした。

実際、改定後は気象庁や自治体からの災害情報を5段階の警戒レベル別に分け、とるべき行動が警戒レベルごとに明確にされています。

参考:
国土交通省気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」
内閣府防災情報のページ みんなで減災「避難勧告等に関するガイドラインの改定(平成31年3月29日)」
みんなのBCP「企業が水害対策をしないリスクと必要性とは」
内閣府(防災担当)「避難勧告に関するガイドラインの改定~警戒レベルの運用等について~」

警戒レベルごとのとるべき対応

災害が起きたときにさまざまな情報が発信されても、今どのような行動をとるべきかわからないという方は少なくありません。特に水害が発生しているときは、迅速に判断して行動を起こす必要があります。気持ちだけ焦って躊躇しているうちに足元まで水が迫ってくる、といったことは十分ありえます。しかし、ガイドラインで警戒レベルごとに具体的な行動を示したことで、スピーディーな対応が可能になると考えられます。

まず、警戒レベルの内容を段階ごとに説明していきます。

警戒レベル1

避難情報として、気象庁から「早期注意情報」が発表されます。この段階では、災害による直接的なリスクは低い状況です。ただ、これから災害の危険度が高まる可能性は十分あるため、心構えを強くしておくことが大切です。ニュースなどで防災情報を確認する、気象庁のホームページを閲覧するなどして、刻一刻と変化する状況を把握しましょう。

警戒レベル2

気象庁から「大雨注意報」や「洪水注意報」などが発表されます。災害による危険度が少しずつ高まっている状況なので、十分注意しなくてはなりません。ハザードマップを利用し、災害の被害に遭う可能性のあるエリアや避難経路などをチェックします。いつ避難するかなど、行動を起こすタイミングについてもこの段階では考えなくてはなりません。

警戒レベル3

市町村から「避難準備・高齢者等避難開始」が発令されます。避難するのに時間を要する障害のある方や高齢者、乳幼児などと、その支援者の避難が必要な段階です。また、水位が急激に上がりやすい河川の近くや、土砂による災害に遭いそうなところに住んでいる方も避難したほうがよいタイミングでしょう。そのほかの人は避難の準備をするようにします。

警戒レベル4

市町村から「避難勧告、場合によっては避難指示(緊急)」が発令されます。全員を対象とした避難勧告になります。災害が発生する可能性が極めて高い状況なので、至急避難先へ移動しなくてはなりません。指定された公共の避難場所へ移動することになりますが、移動がかえって命に危険を及ぼしかねないと自分で判断する場合は、近くの安全と思われる場所や、建物内の少しでもより安全な場所に避難します。

警戒レベル5

市町村から「災害発生情報」が発令されます。自分の生命を守るために一番よいと考えられる行動をとるべき状況です。災害がすでに起こっていて、非常に危険なエリアなどもあります。この段階では避難がもはや難しくなっていることもあるため、周りの人たちとの協力、連携も欠かせません。できることなら、警戒レベル5になるまで待たず、レベル3や4の段階で安全を確保するべきでしょう。

これらの情報は、インターネットやテレビ、ラジオなどのメディアのほか、防災行政無線でも発信されます。災害が起きそうなときや起きる可能性が考えられるときは、できるだけこまめに情報をチェックする必要があります。自治体によっては広報車を使用して情報を発信するケースもあります。

いざというときにスムーズな避難ができるよう、日頃からハザードマップで最寄りの避難場所を確認しておくのが大切です。自分の暮らしているエリアにはどのような災害の危険があるのかも調べておくと、災害時に適切な行動がとりやすくなります。

国土交通省が運営している「ハザードマップポータルサイト」があります。現在、身近でどのような災害が起きているのかを調べられるほか、「わがまちハザードマップ」では都道府県や市区町村を選ぶと情報を確認できます。覚えておくと、いざというときに役に立つでしょう。

参考:
国土交通省気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」
政府広報オンライン「「警戒レベル4」で全員避難です!防災情報の伝え方が5段階に」
内閣府(防災担当)「避難勧告等に関するガイドライン①(避難行動・情報伝達編)」
国土交通省「ハザードマップポータルサイト~身のまわりの災害リスクを調べる~」

警戒レベルに合わせた企業がとるべき対策方法

災害時に企業が取るべき対策
水害の恐ろしさは、実際に被害に遭ったことがある方でないとわからないかもしれません。洪水による河川の氾濫や高潮、津波などさまざまな事象があり、いずれにしても、ときに甚大な被害をもたらします。一般家庭やインフラに与える影響が大きいのはもちろん、企業にもさまざまな影響を及ぼしてしまうのです。

現在では、多くの企業が防災に力を入れています。災害によって企業が多大なダメージを受けるのは決して珍しくなく、事業にも大きな影を落としてしまうことになります。

実際に災害が起きたとき、起こる可能性のあるときに企業がとるべき対策は、何をおいても人命の最優先です。企業にとって優秀な人材を失うのは大きな損失であり、まずとるべき動きは従業員の安全を確保することです。そのためには、少しでも危険だと判断したときには速やかに避難する、もしくは従業員へ帰宅の指示を出さなくてはなりません。

また、災害後に速やかな事業復旧をしなくてはなりません。いつまでも事業を再開できないと、大きな機会損失を招きます。取引先やクライアントに迷惑をかけることになり、企業としての信頼性を失墜させてしまうかもしれません。早期に事業を復旧させるためにも、従業員が集結できるかの安否確認が重要な課題となります。

そのため、現在では多くの企業が安否確認のサービスを導入しています。

たとえば「トヨクモ安否確認サービス2」は、特別警報にも対応したサービスです。4つのプランを設けているため、利用したい機能にマッチしたプランを選べるのが特徴です。緊急時に安否確認のメールを一斉送信したり、特別警報に連動した自動一斉送信をしたりといった機能も備わっています。

安否確認のみにとどまらず、その後の指示やユーザー同士のやりとりも行うことが可能となっており、災害時に一貫した運用ができるのも魅力のひとつです。

同社の安否確認サービスは、無料のトライアルも可能です。30日間無料でサービスを利用できるため、気になる企業の防災担当者の方は検討してみてはいかがでしょうか。

実際に画面を見ながら機能説明を行う無料セミナーも開催しています。便利で優れたサービスでも、使いこなせなくては意味がありません。説明会に参加することで、同社の安否確認サービスをより有効に活用できるでしょう。

参考:
朝日新聞DIGITAL「西日本豪雨1年、企業の防災対策は 操業停止や高台移転」
政府広報オンライン「「警戒レベル4」で全員避難です!防災情報の伝え方が5段階に」
みんなのBCP「災害情報を聞き逃さないために……「特別警報」を受信できる安否確認サービス紹介」トヨクモ安否確認サービス2「機能一覧表」

まとめ

改定後の避難勧告等に関するガイドラインでは、警戒レベルごとにとるべき具体的な行動が示されました。企業でも、災害発生時や起きる可能性のあるときは、速やかに適切な行動を起こし従業員の生命を守らなくてはなりません。そのためには、安否確認サービスの導入もぜひ検討してみましょう。従業員の命を守るだけでなく、速やかな事業復旧にも役立ちます。