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企業がとるべき火災対策一覧|火災が起きたときの行動や対策グッズを紹介

もし社内で火災が起きてしまったら、一体、何をすればよいのでしょう。燃えさかる炎を見て頭が真っ白になったり、焦ったりしないためには普段から火災に対する予防方法や対策を全員が理解し、訓練しておくことが大切です。

本記事では、企業としてとるべき火災対策と火災の原因、起きた際の行動、火災対策に効果がある備品について解説します。

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監修者:木村 玲欧(きむら れお)

兵庫県立大学 環境人間学部・大学院環境人間学研究科 教授

早稲田大学卒業、京都大学大学院修了 博士(情報学)(京都大学)。名古屋大学大学院環境学研究科助手・助教等を経て現職。主な研究として、災害時の人間心理・行動、復旧・復興過程、歴史災害教訓、効果的な被災者支援、防災教育・地域防災力向上手法など「安全・安心な社会環境を実現するための心理・行動、社会システム研究」を行っている。
著書に『災害・防災の心理学-教訓を未来につなぐ防災教育の最前線』(北樹出版)、『超巨大地震がやってきた スマトラ沖地震津波に学べ』(時事通信社)、『戦争に隠された「震度7」-1944東南海地震・1945三河地震』(吉川弘文館)などがある。

企業のとるべき火災対策

企業の火災対策について解説します。対策を知り、実施することで火災予防につながります。身近にできる対策を掲載していますので、できるところから始めてみてください。前もって行動しておくことが大切です。

配線周りを整理する

コンセント周りの配線を整理することは火災対策につながります。とくに電源プラグに溜まったほこりは、「トラッキング火災」を引き起こす原因です。配線を整理し、定期的に掃除をしておくことで予防できます。

また、コードが破損していると漏電やショートする可能性があるため、ねじれや切れがないかの確認を行いましょう。

日頃からこまめに掃除を行い、コードの破損具合を確認し、可燃物を近くに置かないように気をつけることが大切です。

エアダスターの使用に注意する

エアダスターとは、PCや精密機器のほこりを吹き飛ばすためのスプレー缶です。シュレッダーの紙詰まりを解消する目的で使用した場合に、火災の原因になることが分かっています。

スプレーに充填されているガスの多くは「可燃性」です。紙詰まりを解消するために噴射し、ガスが残っている状態でスイッチを入れるとモーターの火花に引火してしまいます。

使用されるガスは空気よりも重いため、下に溜まりやすい性質もあわさって火災の事故につながります。

エアダスターを使用する際は、使用上の注意をよく読み、精密機器の内部への使用は控えましょう。

避難経路を確認する

避難経路をあらかじめ確認しておくと、火災が起こった際も的確に避難できます。

また、避難経路に物を置いてしまうと、いざというときにケガや逃げ遅れに関わります。物を置くことがないように定期的な点検を行ったり、避難経路にはテープで線を引いて避難経路だと分かるようにしておくとよいでしょう。

従業員が避難経路を確認するためには、定期的な避難訓練が効果的です。避難訓練を行う際は毎回同じ内容にはせず、訓練の時間帯や条件(一部の避難経路が使えない、ケガ人が倒れている、煙が充満しているなど)を変えてみることや消防署に協力を仰いで行ってみることなどが有効です。

防火機器を備える

万が一の火災に備え、防火機器を備えることも火災対策のひとつです。防火機器とは、火災報知器、スプリンクラー設備、消火器などを指します。

設備を設置するだけでなく、定期的に作動するかどうかの確認をすることも、防火予防の一環です。火災がもし起こっても、防災機器によって初期消火を行えれば火災の拡大を防げます。

初期消火のやり方がわからなければ、本番の時に対処ができません。定期的な訓練・研修で初期消火の方法を身につけましょう。

また、壁や天井まで火災がまわってしまった場合には、防火機器による初期消火はもはや困難です。

過信はせず、速やかに避難しながら119番をするなどして消防を待ちましょう。

建築物の火災対策を確認する

オフィスがある建築物の耐火性能を確認しておくことで、避難に必要な時間や適切な避難経路を割り出せます。建築物の耐火性能は、設計仕様書や設計図面などから確かめられます。

耐火性能とは、建築基準法や建築基準法政令などに則って、火災に対して建物の倒壊と延焼を防ぐために、建物の自体やパーツに求める性能です。性能の高さの順に、耐火構造、準耐火構造と呼ばれ、建築基準法第2条第7号に定められています。性能が高ければ高いほど火災が起こった際に、避難する時間を確保できると期待できます。

自治体の火災対策を活用する

各自治体で発行されている防災マップには、さまざまな災害に対応するための情報やハザードマップが記載されています。活用することで、自社での災害対策に役立てられるでしょう。

また、自治体では全国火災予防運動を始め、防災を目的とするイベントや訓練などが実施されています。

BCP(事業継続計画)対策の策定、安否確認システムの導入

BCPの策定や安否確認システムの導入は、災害後に事業を継続・復旧させるために重要です。

BCPとは「Business Continuity Plan」の略称で、事業継続計画を意味する言葉です。企業が自然災害やテロなど緊急事態が起こった際に、事業の継続、速やかな復旧を行うための考え方、社内構成、手順などを事前にまとめた計画です。

また、従業員の安否確認はBCPにおいて重要な項目の一つです。安否確認システムを導入することで、従業員の安否確認が迅速に行えるようになり、事業を継続するための行動へとスムーズに移れます。

安否確認サービス2の製品サイトに遷移します。

BCPで想定する火災の原因

火災の原因にはさまざまなものがあります。ここでは、BCPで想定する火災の原因として、4つのものを紹介します

会社内で、火災発生の原因になりそうな場所を再度確認し、危険因子を取り除くよう心掛けましょう。

地震

地震によって停電が発生すると、電化製品が倒れたりします。この時にブレーカーを落として避難しないと、電気が復旧したときに、倒れたままの電化製品に電源が入ります。

すると、近くの可燃物に燃え移ったり、破損した配線がショートしてそこから発火したりするのです。これが通電火災です。

地震によって停電が発生すると、電化製品が倒れたりします。この時にブレーカーを落として避難しないと、電気が復旧したときに、倒れたままの電化製品に電源が入ります。すると、近くの可燃物に燃え移ったり、破損した配線がショートしてそこから発火したりするのです。これが通電火災です。

地震の揺れを感知して自動でブレーカーを落とす「感震ブレーカー」を取り付けておくことも、通電火災の予防策として有効です。

火の不始末

タバコ、コンロ、ストーブなどの火の不始末は、火災の代表的な原因の一つです。小さな火であっても「放置する」「忘れる」「過熱する」「ガス類へ引火する」などによって大きな火災へと発展してしまいます。

火の不始末による火災の予防方法としては、安全装置が付いている機器を揃えることや社員への教育を徹底することなどが挙げられます。また、定期的な設備のメンテナンスと掃除をあわせて行うことも、火災を防ぐための重要な対策です。

トラッキング火災

トラッキング火災とは、コンセントとプラグの間に溜まったほこりが湿気を帯びて通電することで、火花が発生して火災に発展するものです。

トラッキング火災は、電化製品の電源がOFFになっていても、プラグがコンセントに挿してある状態であれば発生する可能性があります。もっとも簡単な予防方法は、使用するとき以外はプラグをコンセントから抜いておくことです。また、差したままにしなければならないプラグがある場合、乾いた布でほこりを定期的にふき取ったり、トラッキング防止できるコンセントを使用したりすることで火災の予防が可能です。

電流の容量オーバーによる火災

コンセントの数がプラグより少ない場合、延長コードなどを使った「タコ足配線」によって電源を確保するケースがあります。ただし、延長コードの電流容量を超えると、ブレーカーが落ちたり、発熱による火災につながったりする可能性があります。

また、タコ足配線になるとコンセントの接続部分が増えるために、トラッキング現象も起きやすくなります。できるだけタコ足配線をやめるようにするか、どうしてもタコ足配線を用いる際には、プラグの定格容量である15Aをオーバーしないように気をつけましょう。

火災が起きた際の行動

火災による被害をなるべく最小限に抑えるためには、火災に気づいてからどのように行動をするのかが重要です。事前に行動の手順を知り訓練しておくことで、万が一の事態に備えられます。

ここでは、火災時にとるべき行動を発生から避難まで順番に解説します。

初期消火をする

火災が発生してしまった場合でも、初期消火をすることで被害を小さく抑えられる可能性があります。ただし、初期消火が有効となるケースは、発見した火が小さい場合のみです。

一般的に炎が天井に届いている時には、初期消火は困難であると言われています。

初期消火を行う際は、火事の第一発見者が周囲に知らせたあと、そのまま消火器や水を使って消火にあたります。

消火器が近くに見当たらない場合には、水で濡らしたタオルや布などで空気を遮断することを目的に掛けると、燃え広がりを防げます。

電流による火災の場合、配電盤に水がかかるとショートしてしまうため、ブレーカーは落としておきましょう。

周囲に知らせる

火災の第一発見者は、周囲に情報を共有しながら、最寄りの消防署(119番)へ通報します。小さな火事であったり、鎮火できた場合であったりしても、消防署へ必ず連絡することが重要です。

初期消火と消防署への連絡は、同時進行で進める必要があります。企業においては従業員が火災時に円滑な行動を取れるように、日頃から訓練を行っておきましょう。

避難する

初期消火が間にあわない場合は、すぐに避難します。初期消火の目的は鎮火ではなく、延焼を防いで被害を最小限にすることです。消火活動のみに気を取られてしまうと、そのまま逃げ遅れてしまう可能性があります。

社内の従業員や周囲の人と協力して、深追いせず、避難をするようにしましょう。消防署への連絡も、その場所にとどまるのは危険なので、避難しながら連絡しましょう。

なお、初期消火で鎮火できたとしても、わずかな火種から再度火災が発生するケースもあります。気を抜かず、避難を最優先に行うことが重要です。

火災対策に効果がある備品

ここからは、企業で準備しておくといざというとき効果的な火災対策の備品を紹介します。定期的なメンテナンスや使用のための訓練を欠かさないようにしましょう。

火災予防安全タップ

火災予防安全タップは、ほこり・ゴミの混入を防ぐシャッターやプラグの絶縁キャップによって、コンセントとプラグの間に起こる火災を防止する商品です。トラッキング火災の予防が期待できます。

コンセントを挿したままにせずに定期的なプラグの掃除を行うことが、トラッキング火災の基本的な予防方法です。ただし、稼働時間が長くて抜き差しのタイミングがないような機器の場合、火災予防安全タップを使うことが有効といえます。

タップアクセサリ

タップアクセサリとは、プラグカバーやコンセントキャップなどのグッズを指します。コンセントの穴にシャッターが付いていない場合には、コンセントキャップを使用することでトランキング火災の予防ができます。

プラグカバーは、コンセントとプラグの間にほこりが溜まらないようにするグッズで、挿したままになりやすいPCやその周辺機器のプラグに用います。

消火器

消火器は、初期消火で一般的に使われます。消火器には『住宅用消火器』と『エアゾール式簡易消火具』などが存在します。企業の場合、エアゾール式簡易消火具の設置がおすすめです。

エアゾール式簡易消火具は、消火するための薬剤を、液化ガスもしくは圧縮ガスの圧力によって放射して消火します。女性でも扱える重さで取り扱いしやすい点が特徴です。

訓練の際に社員全員が初期消火および消火器の使い方を知っておくことで、火災になっても迷わず対応でき、初期消火に貢献できます。

平時から研修・訓練を実施し、火災に備えよう

企業の火災対策としては、コンセント周りの注意から防火機器の備えまでさまざまなものが挙げられます。火災が起きないように常日頃から注意しておくと同時に、火災が起きた際に適切な行動を取れるように、平時から研修・訓練をしておくことが大切です。

また、火災が起きたあとにも迅速に復旧を行い、事業を継続することが企業には求められます。後悔がないように、平時のうちに、火災に対するBCPも作成しておきましょう。

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監修者:木村 玲欧(きむら れお)

兵庫県立大学 環境人間学部・大学院環境人間学研究科 教授

早稲田大学卒業、京都大学大学院修了 博士(情報学)(京都大学)。名古屋大学大学院環境学研究科助手・助教等を経て現職。主な研究として、災害時の人間心理・行動、復旧・復興過程、歴史災害教訓、効果的な被災者支援、防災教育・地域防災力向上手法など「安全・安心な社会環境を実現するための心理・行動、社会システム研究」を行っている。
著書に『災害・防災の心理学-教訓を未来につなぐ防災教育の最前線』(北樹出版)、『超巨大地震がやってきた スマトラ沖地震津波に学べ』(時事通信社)、『戦争に隠された「震度7」-1944東南海地震・1945三河地震』(吉川弘文館)などがある。

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編集者:坂田健太(さかた けんた)

トヨクモ株式会社 マーケティング本部 プロモーショングループに所属。防災士。
2021年、トヨクモ株式会社に入社し、災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案やサポートに従事。現在は、BCP関連のセミナー講師やトヨクモが運営するメディア『みんなのBCP』運営を通して、BCPの重要性や災害対策、企業防災を啓蒙する。