防災・BCP・リスクマネジメントが分かるメディア

【BCP】SNSでは不十分!安否確認サービスで社員の安否を確認するメリットとは

全国各地で自然災害が相次ぐ今日、災害時の連絡手段の確保は、どの企業にとっても向き合うべき課題となっています。

東日本大震災で多くの人が経験したように、大地震や集中豪雨といった災害が起きると電話機能は麻痺するおそれがあります。

一方で、2016年の熊本地震や2018年6月の大阪北部地震では、SNSで家族や友人と連絡を取り合うケースが増えたことが明らかになりました。

しかし、SNSを従業員との連絡手段として用いるにあたっては、「個人のアカウントを勤務先に知らせたくない」という感情も強く、企業の利用率は2割程度にとどまっています。そのため、安否確認サービスの導入を検討している企業も多いかと思われます。

ここでは、安否確認サービスがBCPの中で占める位置づけと導入のメリットについて、解説します。

参考:トヨクモ安否確認サービス2 機能一覧
備える.jp

災害時の安否確認にSNSを使うメリット・デメリットとは

災害時の安否確認にSNSを使う利点は何か、使用事例とともに見てみましょう。

総務省によると、LINEやFacebookといったSNSの利用率は2016年に71.2%と、12年の41.4%から大幅に伸びています。

2016年の熊本地震では、被災者の4割がLINEを使用して、家族間の安否確認を行いました。

また、2018年6月に発生した大阪北部地震でも、通信回線が混乱して1万2800件の電話がつながらなくなったのに対し、地震発生直後のLINE送信数は通常の約5倍に及びました。

このように、SNSは災害時の新たな安否確認手段として期待を寄せられています。

■SNSのメリット

【LINEの場合】
既読表示機能があるため、相手からメッセージが返ってこない場合や自分がメッセージを返さない場合でも、とりあえずの安否確認・報告ができます。家族、近所のコミュニティなどでグループチャットを作ると、本当に必要な人とだけ情報を共有できるといった利点もあります。
【Facebookの場合】
Facebook上の知人と安否情報をやりとりする「災害情報センター」機能が利用できます。 この場合、災害の影響範囲内にいる利用者に、Facebookから安否を確認する通知が届きます。「自分の無事を報告」というボタンをタップすることで、わざわざ個人間で連絡をとりあうことなくFacebook上のつながりで安否が報告されるというメリットがあります。

■SNSのデメリット

SNSの特徴である、迅速かつ大量の情報発信・収集は便利な反面、悪質なデマや誤った情報の発信・収集や拡散の危険と隣り合わせです。
また、職場とプライベートを混同したくない人にとっては、プライベートなやり取りや投稿に使用することの多いLINEアカウントやFacebookアカウントを勤務先に知らせることを億劫に感じる方もいます。

参考:大阪地震 SNS利用急増 LINEは5倍に
大阪北部地震で電話不通の中「SNS」が威力「家族に無事伝えられた」安否確認に重宝も
熊本地震 やっぱりLINEか SNSが安否確認で活躍
災害時に役立つLINEの活用方法
災害時情報センターのご案内

BCPにおける安否確認サービスの重要性と選び方


企業がBCP(事業継続計画)を実行する上で重要なのが、従業員の安否確認です。事業の仮復旧を行う際の人員配置計画を立てるためには、迅速かつ正確な安否情報が必要となります。いわば、災害後の初動対応における要なのです。

NTTレゾナント株式会社の調査によれば、2017年8月時点で、社員数1,000人以上の企業の74%が安否確認システムを導入している一方、規模の小さい(社員数1-99人)企業では、電話での安否確認が50%を超えました。しかし、電話回線が繋がらない場合の確認手段を決めている企業(規模小)は50%に満たないとの結果が明らかになっています。


参考:NTTレゾナント、企業の防災担当者に対し企業の防災意識と取り組みに関するアンケート調査結果を発表

安否確認サービスを選ぶときに気をつけること


安否確認の提供サービス内容は多岐にわたります。使いこなしやすさや費用など、選ぶ際の切り口はさまざまです。ここでは、安否確認サービスに搭載されている基本的な機能をご紹介します。自社に必要な機能や、使える費用と照らし合わせてみてください。

自動送信システム
大規模な災害は平日の勤務時間内に生じるとは限りません。朝7時台に発生した大阪北部地震のように、社員がそれぞれ通勤途中でバラバラの場所にいる可能性も大いにあります。あらかじめ、送信する相手や文面などを考えたうえで自動送信機能を設定しておけば、スムーズに安否確認のメールを送ることができます。

複数端末でのアクセス
災害の影響で停電が生じた場合や、オフィス以外の場所で被災した場合、使用できる端末が限定されることが大いにあり得ます。そのため、安否確認サービスは複数端末で利用できる必要があるでしょう。

携帯電話、スマートフォン、パソコンといったマルチデバイスで複数登録できるもの、災害時の通信にも強いTwitterのアカウントを連絡先として登録できるものを選び、アクセスの可能性を広げておくことが大事です。

「安否」確認にとどまらないコミュニケーション機能
従業員の出社が可能か、負傷や二次災害に遭っていないかなど、従業員の状況をつぶさに把握し、状況に応じた指示を送ることが災害時には必要です。

従業員の家族の安否確認
東日本大震災では、従業員が自分の家族の安否確認を行えない場合、帰宅しようとする傾向が明らかになりました。災害直後の無理な帰宅は二次災害を招く恐れがあります。従業員が帰宅困難者にならないように、帰宅させるかオフィスに留まらせるべきか、という判断は企業に委ねられています。

また、事業の仮復旧に必要な人材を中心に従業員を職場に留まらせる必要もあります。従業員が安心して仮復旧にあたるためにも、従業員の家族の安否確認を行うための仕組みが重要となります。

データ自動集計機能
各従業員から迅速に情報が寄せられても、集計や確認に担当者が手間取ってしまうと、その後のBCPの流れに水をさすことになります。自動集計機能はもちろんのこと、従業員からの連絡状況を一覧表で確認できたり、設問に対する大人数の回答結果の集計をCSVファイル形式でダウンロードできるといった機能も、災害後の迅速な対応には必要です。

対策指示機能
経営陣やマネージャーを中心とする主要メンバーが対策を議論する機能(メッセージ)、議論の途中経過を知らせる機能(掲示板)、といったコミュニケーション機能があると、互いのプライベート連絡先を知らなくても、すべての従業員が情報の輪に加わることができ、勤務先の現況を把握できる安心感と一体感が生まれます。

参考:安否確認システムとは?システム導入のメリットから解説します!
トヨクモ 安否確認サービス機能一覧
今後の大地震に関する情報

安否確認サービス導入の前にやるべきBCP策定


安否確認サービスは豊富な機能を備えていますが、有効に活用するにはBCPを策定し、災害復旧のプロセスの中で、どのようにサービスを活用するかを明確にする必要があります。

ここでは、BCP策定の要点をお伝えします。

■災害時に優先的に復旧すべき業務の決定
災害により、オフィスの機能に障害が発生することや、従業員が普段通りに出社できない可能性があります。あらかじめ、非常時にどの業務を優先的に行うのかを決定し、共有しておきましょう。

安否確認サービスを導入することで、復旧業務に必要な従業員の出社が可能かどうか明確になり、そうでない場合に迅速対な応を取ることができます。

■出社困難な従業員への対応
出社前の時間に被災した場合、従業員がオフィスまでたどり着くのが困難な場合があります。
家で対応できる業務はどのようなものか、出社できない人員を補う方法はあるか、などあらかじめ想定できる問題の対策を考えておきましょう。

■事業復旧体制の確立
企業の災害対応チームのメンバーは、安否確認サービスのメッセージ機能を用いて事業復旧体制を確立することができます。また、災害状況や指示事項については、掲示板機能によって、従業員に伝達し、事業再開に向けて企業全体で動き出すことができるのです。

参考:事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)とは(東京防災ホームページ)
【はじめてのBCP】チェックリスト付き!BCPの基礎知識と策定の手順・方法を紹介

【まとめ】

南海トラフ地震等の発生確率上昇が指摘される一方、九州や西日本では予想外の大雨や地震により被害を受けた企業も現れるなど、BCPの発動は他人事ではなくなっています。

安否確認はBCPの初動体制として重要だからこそ、万全にしておきたいもの。事業継続を確実なものにするためにも、SNSに過剰に頼らず安否確認サービスを導入してみませんか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です