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保育園でBCP計画が努力義務化!策定方法やひな形を確認しよう

2023年4月から保育園を含む児童福祉施設等でのBCP策定が努力義務化されました。

BCP(事業継続計画)とは、自然災害やパンデミックなど、いつ、どこで発生するかわからない緊急事態に備える計画のことです。

今回は、保育園におけるBCP策定の手順とポイント、ひな形をご紹介します。

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監修者:堀越 昌和(ほりこし まさかず)

福山平成大学 経営学部 教授

東北大学大学院経済学研究科博士課程後期修了 博士(経営学)。中小企業金融公庫(現.日本政策金融公庫)などを経て現職。
関西大学経済・政治研究所委嘱研究員ほか兼務。専門は、中小企業のリスクマネジメント。主に、BCPや事業承継、経営者の健康問題に関する調査研究に取り組んでいる。
著書に『中小企業の事業承継―規模の制約とその克服に向けた課題-』(文眞堂)などがある。

保育園でBCP計画が義務化?

災害拠点病院など一部の事業ではBCPが義務化されています。保育園はその対象なのでしょうか。

記事の最初に、保育園におけるBCP策定の必要性とその概要をご紹介します。

2023年度から努力義務化

2023年4月1日から、保育園を含む児童福祉施設等でのBCP策定、研修、訓練が努力義務化されました。なお、努力義務とは、積極的に努力することが義務付けられているものの、法的拘束力や罰則はないもののことです。

近年の日本は共働き世帯が増え、保育園を利用する人が増えています。自然災害や感染症蔓延の発生時にも保育園の事業継続が求められることが努力義務化の背景にあります。

保育園でのBCP策定の必要性

保育園でのBCP策定は、努力義務の有無にかかわらず必要不可欠なものです。なぜなら、緊急事態時の対応が不十分だと子供の命や健康が脅かされるためです。大切な子供の命を預かっている保育園が、子供の命を守るための対策をすることは不可欠と言えます。

また、緊急事態の発生によって保育園が閉鎖してしまうと、保護者が仕事を休まなければならなくなります。共働き世帯にとって、保育施設が閉鎖することは大きな痛手となるでしょう。

そもそもBCPとは

BCPとは、「Business Continuity Plan」の頭文字を取った言葉で、日本語では「事業継続計画」と訳されます。事業継続計画とは、自然災害やパンデミックなどの緊急事態が発生した際、被害を最小限に抑え、事業の早期復旧を行うための計画です。

実際、新型コロナウイルスが蔓延した際には多くの企業が廃業しました。いつ、どこで起こるかわからない緊急事態に備えて、従業員の命と事業を守るために策定するものがBCPです。

(参考:東京商工リサーチ コロナ関連破たん 2023年の累計は9月までで2,429件、2022年の年間件数を上回る )

保育園のBCP計画の策定手順

保育園でBCPを策定する際は、以下の手順で行いましょう。

①自園における優先すべき業務の把握

②必要な資源の洗い出し

③リスクや被害の想定

④復旧時間の目標を設定する

ここからは、それぞれについて詳しく解説します。

①自園における優先すべき業務を把握する

まずは、自園における優先すべき業務を把握しましょう。

保育園にはさまざまな業務があります。しかし、自然災害などによって通勤できない従業員が出たりライフラインが停止すると、業務が遂行できなくなる可能性があります。そこで、緊急事態が発生した際にも運営を継続できるように優先すべき業務を決めておくことが求められます。

子供の数や年齢に応じて優先すべき業務は変わります。自園の現状を確認し、業務に優先順位を決めましょう。

②必要な資源を洗い出す

次に、必要な資源を洗い出します。

保育園における必要な資源は、人材・データ・資金・施設などです。たとえば、緊急事態が発生した際に何人で対応するのか、データをバックアップしているか、ライフライン停止時に必要な電力を供給する施設はあるかなどを確認しましょう。

また、必要な備品の数や量も確認します。足りない場合は備蓄計画を立て、多めに確保しておきましょう。近くの保育園と日頃から連携を図っておくことで、緊急事態が発生した際にお互いに助け合えます。

③リスクや被害を想定する

緊急事態によるリスクや被害も想定しましょう。保育園に関係する緊急事態としては自然災害やパンデミックなどが挙げられます。

自然災害の場合は建物や設備への影響、インフラへの影響などを想定します。感染症の場合は、子どもや家族の影響、従業員への影響などを想定しましょう。

ゼロからリスクや被害を想定することは難しい作業です。過去のデータをもとに、リスクや被害を想定するとよいでしょう。

④復旧時間の目標を設定する

最後に、復旧時間の目標を設定します。復旧時間の目標設定は、復旧遅延の防止や保育園存続のために重要です。

BCPは、事業継続のための早期復旧を目的に行います。緊急事態発生からライフラインが復旧するまでの時間や、必要な数の従業員が揃うまでの時間など、具体的な目標を設定しましょう。

保育園でBCPを策定する際のポイント

保育園でBCPを策定する際は、以下のポイントを意識しましょう。

  • BCP策定の目的は明確にする
  • 発動基準を明確に設定しておく
  • 被害予想を具体的に設定する
  • 業務の優先順位をつける
  • 人員確保や連絡方法を決めておく
  • 役割を明確にする
  • 地域や家庭と連携をする
  • 定期的な見直しをする

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

BCP策定の目的は明確にする

BCPを策定する前に、目的を明確にしておきましょう。目的を明確化することで方針が決まり、従業員にBCPが浸透しやすくなります。

BCPを策定する目的はさまざまですが、保育園では以下の目的で行うことが多いと言えます。

  • 利用者や従業員及びその家族の命を守ることを最優先とすること
  • 社会的インフラであることを認識すること
  • 地域や保護者と連携し業務を継続すること

発動基準を明確に設定しておく

次に、BCPを発動する基準を明確に設定しましょう。発動をするかどうかの基準が明確でなければ、判断の遅れや被害の拡大に繋がります。

緊急事態が発生するとパニックになって冷静な判断ができなくなったり、動揺して適切な動きができなくなる恐れがあります。発動基準を明確にしておけば、緊急事態発生時であっても適切な判断ができ、被害の拡大を防ぐことが可能です。

被害予想を具体的に設定する

被害予想を具体的に設定しておくことも大切です。なぜなら、被害予想が抽象的だとBCPを的確に策定できないためです。

地震であれば施設への影響度、火災であれば出火場所と規模、台風であれば雨量や交通機関の影響、あるいは感染症の影響などを具体的に設定します。

被害を予測できない場合は、過去の事例を参考にしましょう。

業務の優先順位をつける

業務の優先順位付けもポイントです。

緊急事態発生時は全ての業務を通常通り行うことは困難と言えます。緊急事態発生時に保育園として機能するには、利用者や従業員とその家族の安全確保に関わる業務が最優先されます。

人員確保や連絡方法を決めておく

人員確保の方法や連絡手段も決めておきましょう。緊急事態時は人手不足が問題となります。

自然災害が発生すると公共の交通機関が動かなくなり、出勤ができなくなる従業員が出るかもしれません。緊急事態時の出勤ルールを決めて、安否確認と共に出勤の可否も確認するようにしましょう。

緊急事態時は、利用者やその家族だけでなく従業員の安否確認も重要です。安否確認は、安否確認サービスを活用することで管理も情報収集もスムーズになります。

安否確認サービスを活用する際は、BCPの機能が多数搭載されていて使いやすい安否確認サービス2がおすすめです。

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役割を明確にする

緊急時には個々人の役割を明確にしておく必要があります。役割を明確にしておくことで以下のメリットが得られます。

  • BCP発動の起点が分かる
  • 新人従業員も行動しやすくなる
  • 指示待ちにならない
  • 素早く行動できる

役割を明確にして、緊急事態発生時にそれぞれが適切に行動できれば早期の復旧につながります。

地域や家庭と連携をする

地域や家庭と連携を図りましょう。緊急事態時には地域・家庭・学校・自治体などとの協力が不可欠です。緊急事態に備えて、普段から自治会や町会、防災市民組織と対応の話し合いを行いましょう。

緊急事態発生時も心強い存在としていられるように、普段から地域や家庭と連携をしましょう。

定期的な見直しをする

BCPは策定して終わりではなく、定期的な見直しが必要です。社会情勢や法改正に伴って求められるBCPは変化します。定期的に見直して、実効性の高いBCPに更新しましょう。

また、定期的な見直しが必要な理由の例として、従業員の入れ替わりが挙げられます。従業員が入れ替わると、決めていた役割分担も変わるため、定期的に見直しをしましょう。

保育園のBCP計画のひな形一覧

保育園のBCP計画は自園で一から作ることもできます。

その際は、厚生労働省が配布している「児童福祉施設等における業務継続計画のひな形」の活用がおすすめです。ひな型をもとに、想定するリスクや目的を含めた総則、事前対策、発動時の対策を記載することでBCPを策定することができます。

保育園で重要なBCP対策を行い、子供や施設を守ろう!

前述のとおり、保育園でのBCP策定は2023年度から努力義務化されました。

ご紹介したBCP策定のポイントや、「児童福祉施設等における業務継続計画のひな形」を参考にしながらBCP策定に取り組みましょう。

なお、従業員と利用者やその家族の安否確認は安否確認サービス2の導入がおすすめです。まずは、30日間の無料体験で使いやすさや機能性を実感してください。

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監修者:堀越 昌和(ほりこし まさかず)

福山平成大学 経営学部 教授

東北大学大学院経済学研究科博士課程後期修了 博士(経営学)。中小企業金融公庫(現.日本政策金融公庫)などを経て現職。
関西大学経済・政治研究所委嘱研究員ほか兼務。専門は、中小企業のリスクマネジメント。主に、BCPや事業承継、経営者の健康問題に関する調査研究に取り組んでいる。
著書に『中小企業の事業承継―規模の制約とその克服に向けた課題-』(文眞堂)などがある。

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編集者:坂田健太(さかた けんた)

トヨクモ株式会社 マーケティング本部 プロモーショングループに所属。防災士。
2021年、トヨクモ株式会社に入社し、災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案やサポートに従事。現在は、BCP関連のセミナー講師やトヨクモが運営するメディア『みんなのBCP』運営を通して、BCPの重要性や災害対策、企業防災を啓蒙する。