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3つの密とは
緊急事態宣言の解除後も、連日注目される”新型コロナウイルス対策”
東京都は、4月7日から開始した緊急事態宣言を5月25日に解除しました。
6月1日には、警戒レベルを「ステップ2」に移行し、幅広い業種の営業再開がを認められましたが、翌2日には、都内で新たに34人の感染が確認されたことを受け、「東京アラート」を発動しました。(6月12日に解除済)
東京都防災ホームページでは、「東京アラート」とは以下のように説明されています。
・「東京アラート」は、都内の感染状況を都民の皆様に的確にお知らせし、警戒を呼び掛けるものです。
・都民の皆様は、夜の繁華街など、3密のリスクが高い場所には十分ご注意ください。
・手洗いの徹底とマスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、「3つの密」を避けた行動など、「新しい日常」を徹底して実践してください。
・事業者の皆様には、都や各業界団体が策定するガイドライン等を踏まえて、適切な感染拡大防止対策の更なる徹底をお願いいたします。また、出勤に当たっては、テレワークや時差通勤の活用をお願いいたします。
3密(3つの密)は、国内における新型コロナウイルスの集団感染が起こった場所の共通点を表した用語です。
1.密閉空間
窓がなかったり換気ができなかったりする場所が該当します。部屋の広さとは関係なく、換気の程度が重要です。
2.密集場所
人がたくさん集まることが該当します。少人数であっても、近い距離で集まれば密集にあたります。
3.密接場面
互いに手が届く距離での会話や発声、運動などが該当します。
ひとりひとりが上記で紹介した3密を防止することが、新型コロナウイルスをはじめとした感染症対策の、ニュースタンダードと言えるでしょう。しかしながら、企業における3密対策は、個人レベルの対策と比べると非常に困難です。
企業の3密対策としてテレワークはもちろん有効ですが、業種によっては終息までテレワークを導入するというのが現実的でない場合も少なくありません。とは言ってもオフィスで集団感染が生じてしまうと、事業継続にも大きな支障を来します。
密集・密接の対策としては、出社する従業員の数を最低限にし、可能な限りテレワークを継続して密集を防止したり、対面での着席を避けて業務にあたるといった工夫が有効です。
では、密閉対策はどのように行えば良いのでしょうか。
前述しましたが、密閉空間とは部屋の広さとは関係がないため、単に出社従業員の数を減らすだけでは、密閉空間の対策にはなりません。本記事では、オフィスの適切な換気方法や、目安となる基準について解説します。
換気方法を確認する
適切な換気を行うための具体的な方法を確認しましょう。
効果的な窓の開け方
窓がある場合は、定期的に窓を開けて換気を行います。窓は2箇所開けることが理想です。外から入る空気と、部屋から出る空気の通り道をそれぞれ用意し、空気の通り道を確保します。部屋の対角線上に窓を開けるとより効果が高まります。
風の通りが悪く、空気の循環が十分でないと感じる場合は、外から入る空気の入り口を狭め、部屋から出る空気の出口を広くします。これは、出入りする空気の量が同じ場合、入り口が狭い方が空気がより勢いよく室内に流れ込むためです。窓が1つしかない場合は、ドアを開けて換気を行います。
オフィスの換気設備を確認する
日本では、換気に関する法律(建築基準法、建築物衛生法、労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則)において、室内の二酸化炭素濃度(容積比)を100万分の1000(1000ppm)以下になるよう空気を浄化しなければならないと定められています。
ビル管理法や事業所衛生基準規則にも同様の決まりがあるため、どのような建物においても、「換気ができない」という状況は起こりえません。設置されている換気設備がどこにあり、換気口がどこにあるかを把握することで、効果的な換気方法を検討しましょう。
換気方法は、従業員が自らリモコン操作を行い制御する方法と、ビルの管理者会社が制御している場合があります。前者の場合は、換気の実施を徹底し、後者の場合は、ビルの管理会社に問い合わせを行います。
会議室など、換気設備のない場合
会議室のように小規模で換気設備が十分でないスペースは、その部屋の周辺の天井にある換気口の位置を確認します。扇風機を用いることで、室内の空気と室外の空気を循環させることが可能です。
換気口が 部屋の外にある場合、ドアを開けて扇風機を部屋の外に向けて設置することで、室内の空気を外に送ります。対して換気口が部屋の中にある場合は、ドアを開けて扇風機を部屋の中に向けて設置します。
換気状況を確認する
換気状況を把握する上で指標となるのが、二酸化炭素濃度です。
前述した通り、日本では換気に関する法律が定められています。室内の二酸化炭素濃度が基準値である1,000ppm以下であれば、必要換気量が確保されており、密閉空間には該当しないと考えられるでしょう。
まずは、室内の二酸化炭素濃度を測定し、1,000ppmを超えている場合は換気方法の見直しを行いましょう。
その他、日本産業衛生学会の産業衛生技術部会からは、新型コロナウイルス対策として換気シミュレーターが公開されています。
その他の対策
喫煙所や社員食堂などの狭い共用スペースは、より一層「3密」のリスクが高まります。
換気の徹底に加え、以下のような点に注意することで、感染リスクを低減することが可能です。
・利用時間を分散させ、滞在時間に制限を設ける
・会話を最小限にする
・取っ手やドアなどのこまめな消毒
まとめ
これから夏が近づくにつれ、窓を閉め切って空調を使用する場面が多くなることが予想されます。
新型コロナウイルスの再拡大を防ぐために、個々人による心がけはもちろんのこと、企業として適切な換気方法を理解し、実施することは非常に重要です。
改めて企業としての具体的な対策を確立し、従業員に徹底することで、新型コロナイウルスの再拡大によるリスクを低減する必要があるでしょう。
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