社員旅行、ボウリング大会、バーベキュー……。このような社内行事を企画するのも、総務の仕事のひとつ。成功させることができれば、社内のコミュニケーションを活性化させることができるでしょう。
しかしながらこの社内行事、休日を使って開催されることもあり、ときとして従業員の不満を呼ぶこともあります。
この記事では、社内行事の企画のポイントについて、実際にヒアリングした3つの失敗事例をもとに、解説します。
社内企画の目的をまず洗い出そう
なにを始めるにも、最初の目的がぶれてしまっていてはいいものはできません。まずは、社内行事を企画する目的について明確にしておきましょう。
2014年、人事労務部門の情報機関である産労総合研究所がその会員である企業を対象に実施した調査によると、社内イベントの実施の目的について多かった回答は、「連体感や一体感の醸成」「コミュニケーションの促進」など。会社の規模別に見ると、とくに1000人を超える大きな会社では「コミュニケーションの促進」、300人未満の小さな会社では「連体感や一体感の醸成」を目的とする企業が多かったようです。
同調査ではそのほかにも、「企業帰属意識の向上」や「モチベーションの向上」、「組織力の強化」などが社内イベントの目的としてあげられています。では、あなたの会社では何が課題となり、社内行事を企画するのでしょうか?
縦割りの組織で部門間・事業所間でのコミュニケーションが足りていないから?それとも、チームのことを考えられない社員が多く、一体感を醸成したいからでしょうか。あるいは、高い退職率を下げるために帰属意識を向上させたいからかもしれませんね。
手始めに、「なぜ」社内行事を企画する必要があるのか、その目的を洗い出すことから始めてみましょう。
失敗から学べ!社内企画、3つの失敗例
さて、社内行事の目的については理解いただいたかと思いますが、ここで、社内行事を実際に立てるにあたって“反面教師”とすべき失敗事例をご紹介します
まずは、これから立てる、あるいは今まで立てた企画がこの例に当てはまっていないか、一度確認してみましょう。
事例1 社長の趣味に付き合わされ……
社長の趣味である社交ダンスを社員に広めようという意図があったと思うのですが、そもそも社交ダンスを経験した人が一人もいませんでした。社長のみが社交ダンスのステップやムーブメントを知っている状態だったのです。
結局、社長以外は「何をどうやって踊れば良いのか分からない状態」のまま、都内での社交ダンス大会に参加。「社長の社交ダンスのお披露目会に社員全員が付き合わされた」形となったため、終始しらけムードでした。
社長としては社員も楽しんでくれるだろうと思い企画した行事でしょうが、社員としては迷惑に感じるかもしれませんね。小さい会社で、社長の権力が強い企業では、このような社内行事になることもあるのではないでしょうか。
事例2 派閥争いが解消されるどころか……
Bさん(元保険外交員・43歳)
イベント:生命保険の外交員の親睦を深めるための、熱海温泉への社内旅行
その当時、外交員の間で派閥があり、常に対立しているような険悪な雰囲気がありました。そこで支店長が立ち上がり、半ば無理やり熱海温泉旅行を企画したのです。社内行事としては初めてのことでした。
ただ、その結果、外交員の女性職員たちの反感を買ってしまい、35人の外交員のうち15名しか参加しないという大失敗に終わってしまいました。結局、そんな社内旅行ぐらいで、一度こじれた人間関係や派閥同士の争いは解決できるわけではなかったのです。
初めての社内イベントにもかかわらず、半分以下の人数しか参加しなかった事例です。参加率が悪ければ、本来盛り上がる企画であっても失敗に終わってしまいます。
事例3 本来の楽しみをする時間が……
Cさん(製造業職員・34歳)
イベント:毎年恒例だった花見&バーベキューに、パークゴルフ大会を加えた
毎年4月、お昼から集まって桜を見ながらバーベキューをしていたのですが、その年は朝からパークゴルフ大会をしてからバーベキューをすることになりました。ただ、パークゴルフ大会を企画した人が、素人の目線で考えてなかったため、1ホールに異常に時間が掛かってしまい、午後からのバーベキューの時間が少なくなってしまったのです。進行が2人しかいなかったのも、時間がかかった原因だと思います。
すでに浸透している社内行事に、飽きを越させないためのマイナーチェンジを加えることもあるでしょう。ただ、それで本来の楽しみが失われてしまっては、本末転倒です。
社内企画を成功させるための3つのポイント
では、以上の3つの事例を反面教師として、社内行事の企画で重要となる3つのポイントを紹介していきましょう。
ポイント1.“押し付け”にしない。できれば従業員から企画を募る
社内行事を企画するときは、社長ら上層部や、総務部のなかで決定することが多いかと思いますが、できればほかの従業員からも意見を募るようにしましょう。仮に経営層の満場一致で決まったとしても、事例の“社交ダンス”のように、社員にとっては乗り気になれないことも。もし可能なら、社員に何がやりたいか意見を求めてみたり、あるいは現場の社員の誰かに企画担当を任せてみてもよいでしょう。
きっと、総務部や経営層だけで決めるよりもリアルな意見が反映されるはずです。
ポイント2.少しずつ段階を踏んで企画する
事例2のBさんの場合、もともと従業員どうし仲が悪かったため、半分以下の出席率となりました。もちろんその対立を解消するのも社内行事の目的ではあるのですが、ただ、この事例のようにいきなり遠方に行くというのはハードルが高いもの。「無理に仲良くさせようとしている」と反発も生まれてしまうでしょう。
例えば、最初はお花見や宴会、少し仲が深まってきたら旅行とすれば、参加率も上がるのではないでしょうか。とくにこれまで社内行事を企画したことがない会社では、従業員同士の関係性を見ながら、段階を踏んで慎重におこないましょう。そうしなければ、逆に従業員どうしの関係を悪化させてしまうことになるでしょう。
ポイント3.当日の計画はしっかり検証しよう
3つ目のパークゴルフの事例では、事前の計画段階での甘さが問題となっています。行事にどのくらいの時間がかかるか、人員がどれだけいればスムーズに進行できるのか。その正確な見通しができていなかったため、時間が押してしまいました。社内行事の計画を立てたら、多くの人に目を通してもらい、その計画が妥当か確認してもらいましょう。
また、計画の入念なチェックをおこなうことで、もし計画通りいかなかったとしても、その反省を次に十分活かせるというメリットがあります。
「自己満足」で終わる社内行事をなくすために
以上、社内行事を企画する段階で総務が気をつけるべきポイントを失敗事例を踏まえて紹介してきました。
今回紹介した3事例以外にも、「部署間の壁を取り払うための立食パーティーで、結局部署どうしで固まってしまった」「社員旅行が強制参加で、経営層以外はいやいや参加していた」などの意見もありました。
もちろん、従業員全員を満足させるのは難しいですが、総務だけ、経営層だけが盛り上がるのではなく、より多くの従業員が満足できるような社内行事を目指しましょう。