普段何気なく使っているオフィスの棚やロッカー。実は、きちんと棚の転倒防止対策をしないと、地震などの災害が発生したときに事業継続の危機に陥るかもしれないことをご存知でしょうか。
大型の家具や什器を床、壁に固定しないでおくと、有事の際に従業員が負傷するだけでなく、データサーバーやPCが故障し、重要なデータが消失する事態に陥ることがあります。
今回は、災害発生後の事業継続に大きく関わる棚の転倒防止グッズをご紹介。さらに、オフィス家具の最適な配置方法についてもご紹介します。
目次
家具の種類と転倒防止グッズの組み合わせを知ろう
転倒対策を行うにあたって、確認することは3つです。
1. 家具の大きさや重量を把握する
2. 転倒防止グッズの特徴を理解する
3. 家具を置く場所を工夫する
それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
転倒防止対策を行う必要のあるオフィス家具類には次のようなものがあります。
・棚やロッカーなどの収納家具
・デスク
・コピー機、サーバーラックなどの電子機器
・パーテーション
東京都が行ったオフィス家具の耐震テストにおいて、震度6相当の揺れを起こすと、棚やロッカー、パーテーションなど背の高い家具の大半が転倒しました。その他にも、デスクの引き出しが飛び出した、棚に収納していた備品が落下した、といった状況も見られています。オフィス家具の固定は安全のために必須なのです。
家具を壁や床に固定する転倒防止グッズを適切に使って、被害を防ぎましょう。
転倒防止グッズは「上」と「下」の組み合わせが有力!
オフィスにある家具は、棚のような背が高いものからデスクのような背の低いものまでさまざま。どの家具にどういった転倒防止グッズを使えばよいのか、悩んでしまうと思います。
東京都が行ったオフィス家具の耐震テストによると、1つのグッズだけを使用しても転倒をほぼ防げないことがわかりました。「震度7でも大丈夫」といった趣旨の広告がつけられている商品でも、実際には震度6相当の振動で家具が転倒する結果が出たのです。
家具の上下を転倒防止グッズで支えるのが、家具の転倒を防ぐ有効な方法。オフィスでも使える転倒防止グッズをご紹介します。
1. 【L型金具】棚やロッカーの上部を壁、柱と連結する金具
棚やロッカーの上部と壁、柱を連結して固定する金具です。ネジやボルトによって固定するタイプが多いのですが、中には粘着剤を使用しているものもあります。壁や家具を傷つけずに固定したい方やオフィスが賃貸で、壁に穴を開けられないという方にオススメです。
床固定金具と組み合わせて併用すると固定の効果が大きくなります。
ロッカーや棚など高さ120cmを超える家具が複数並列している場合は連結金具を使い、連結、固定するといった工夫を行いましょう。連結金具のボルトは直径6mm以上のものがおすすめです。
2. 【床固定金具】棚やロッカーの下部を床に固定する金具
オフィス家具を床に固定する金具です。ロッカーや棚、デスクなど定位置が決まっている家具は、床に固定することで地震時の転倒を防ぐことができます。L型金具など壁固定ができるツールと併用しましょう。
3. 【突っ張り棒】家具と天井の間に設置する棒状の器具
家具の上部と天井の間に設置して、家具の転倒を押さえる棒状の器具です。壁や家具を傷つけず、お手軽に設置できるのが特徴。
天井と家具の強度が弱いと効果が見込めないため、設置する前に必ず強度を確認してください。
マットやプレートと組み合わせて使うと転倒防止に有効です。設置の際は、一つの家具の左右に一本ずつ垂直に立てることを徹底してください。
天井や家具に接している面が大きいものほど耐震性があるので、購入の際はそういったタイプのものを選びましょう。
4. 【耐震マット】家具の底面と床を接着させる粘着性のゲル
ゲル状のマットを切り取り、テレビや置物など軽量、小型の家具の底面に貼り付けて、モノの落下を防止します。マットの大きさは家具の大きさと比例させるのがポイント。有効期限に注意して使用しましょう。
L型金具、突っ張り棒との併用が有効です。
参考:防災士がおすすめする耐震マット17選|家具の転倒防止に!
5.【ストッパー】家具の下に敷いて転倒を防ぐ器具
アイリスオーヤマが発売している「家具転倒防止プレート」は、テープ状のプレートを家具の下に敷いて倒れにくくする、ストッパーの役割をもつもの。
半透明の合成樹脂でできており、粘着剤を使用していないため、床や家具に傷がつきにくいのが特徴です。
ハサミやカッターで好きな長さにカットできるので、家具の大きさにあわせて自在に調整が可能。無駄なく転倒防止対策をしたい方におすすめです。
販売価格: ¥760(税抜)
家具転倒防止プレート(1枚入り) JTP-60(幅4.5×奥行60×高さ1cm)
販売価格: ¥933(税抜)
家具転倒防止プレート(1枚入り) JTP-90(幅4.5×奥行90×高さ1cm)
販売価格: ¥1,219(税抜)
家具転倒防止プレート(1枚入り) JTP-120(幅4.5×奥行120×高さ1cm) 販売価格: ¥1,409(税抜)
6.【番外編】物の落下を防ぐ3つのコツ
災害時の家具の転倒はもちろん危険ですが、棚に置いていた物の落下も従業員の負傷や物の損壊を招く原因になります。ついつい棚に置きっぱなしにしている状態をこの機会に見直してみましょう。見直しポイントは3つです!
1.棚の上を段ボールや備品を置く場所にしていないか
2.ファイルや本など、災害時に飛び出す危険のあるものは戸のついた棚にしまっているか
3.電子レンジやポットなど、棚に置いている小型電化製品はきちんと固定されているか
物の落下は、災害時だけでなく普段の勤務中にも十分起こりえることです。しっかりと対策を行い、オフィスでの事故を防ぎましょう。
避難経路をふさがない家具の配置を知ろう
家具の転倒は、災害の際に避難経路をふせぐ原因にもなります。しっかり固定をする前に、家具が避難の妨げにならない場所に配置されているか確認しましょう。確認ポイントは2つです。
1.棚やロッカーなど大型の家具は、出入り口付近に置いていないか
2.家具は、設置後に通路が120cm以上確保される場所に設置しているか
自分のオフィスの大型家具はどのような配置になっているか、確かめてみてください。災害時に通路や出入り口をふさいでしまう場所に家具がある場合は、他の場所に移動させる、小さめのものに買い替えるなどと工夫をしましょう。
まとめ
東京都が2012年に都内の約1200の事業所を対象に行った調査では、家具の転倒防止対策を行っていなかった事業所は「棚が倒れてくるとは考えていなかった」「転倒対策に時間やコストをかけたくなかった」ことを理由に対策を行っていないことが明らかになりました。
しかし、東日本大震災が発生した際に調査対象の20%の事業所で家具の転倒、落下が起こり、3%のオフィスでは負傷者も発生しています。
「自分のオフィスだけは大丈夫」と油断すると、いざというときに従業員の生命や企業の社会的信用を失う事態を引き起こしかねません。
手間やコストを惜しまずにオフィス家具の転倒防止対策を行い、従業員や顧客から信頼されるオフィス環境を作りましょう。
参考資料:東京消防庁『家具の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック』
(http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-bousaika/kaguten/handbook/all.pdf)
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