自然災害の多い日本では、例年多くの台風被害が起こっており、台風の対策は不可欠なものとして認識されつつあります。
しかし、台風対策の必要性が認知される一方で、実際に効果的な対策を取り入れているケースはまだ少数。どのように対策すれば良いのか分からないまま、危機感だけを抱いている人が多いのです。
そこで今回は、企業・一般家庭における台風対策の方法を解説し、どのような対策用品を揃えるべきなのかご説明します。
目次
■目次■
どのように台風対策をすれば良いの?
近年、大型の台風が発生する傾向は強くなっており、令和元年には「令和元年台風第19号」が襲来しました。
東日本に記録的な豪雨をもたらし、6万棟以上の建物が浸水。同年11月時点で100人近くの人が命を失っています。
こうした自然災害が相次ぐなか、効果的に台風対策を講じられている企業・一般家庭は、まだまだ多いとはいえません。令和元年の大きな被害をきっかけに、私たちは「台風被害を抑える対策」を改めて考え直す局面に立たされているといえます。
台風がもたらす被害は4種類
台風によりもたらされる被害は、以下の4種類が挙げられます。
- 暴風
- 豪雨
- 高潮
- 土砂崩れ
いずれも、容易に人命を奪う被害であることから、これらの被害が発生すると予想されたとき、いち早く対処できるよう備えておかなければなりません。
そして、被害を効果的に対策するためには、仕事やプライベートの時間を過ごすエリアが、どういった被害に襲われる可能性が高いのか把握する必要があります。
そのため、事前に国土交通省や自治体が公表する「ハザードマップ」等を利用し、被害発生のリスクを調べておきましょう。
企業が台風接近までに取るべき対策
近年、台風が接近するにもかかわらず従業員を出社させる企業に対して、世間から厳しい視線が集まっています。一方で、企業は事業継続の観点から、完全に業務を停止することが難しいことも事実。
そのため、安全配慮義務と事業継続の両立が強く求められているのです。具体案の1つとして、たとえば多くの業種でパソコン業務が増えつつある現在、非常時におけるリモートワークの導入は大きな効果を発揮します。
こういった諸条件を踏まえて、企業が最初に検討すべき対策はつぎのようなものです。
企業が台風接近までに取るべき対策の一例 |
---|
発災時におけるリモートワークの検討 |
時差出勤・一部時間帯の休業 |
社内にいる従業員が利用する防災グッズの用意 |
業務を維持するための電力を確保する予備電源 |
リモートワークと聞けば「情報漏えい」を想起するものの、最近ではデバイスを一元管理できるサービスが充実しており、リモートワークの体制構築は現実的です。また、台風は進行状況が予想しやすいため、時差出勤や早期終業などの対策も可能でしょう。
一方、出退勤の調整だけでは対応できない場合を想定し、社内における台風対策の充実を図る必要もあります。帰宅困難となるケースを想定した防災関連グッズの用意、パソコンをはじめとするオフィス機器の電源確保は、すぐにでも取り組める対策です。
みんなのBCPでは、事業継続の観点から企業に求められる対応についても詳しく解説しています。
参考:
@人事「台風19号、3連休に関東直撃の恐れ 台風時に企業が取るべき対策は?」
一般家庭が台風接近までに取るべき対策
一般家庭が備えるべき項目としては、以下のような対策が挙げられます。
一般家庭が台風接近までに取るべき対策の一例 |
---|
飛散物の飛来を防ぐため、雨戸・シャッターを閉める |
窓ガラスを板で覆う・ダンボールを全面に貼り付ける |
屋外に置いている物を固定、もしくは屋内に取り込む |
発災時に利用する防災グッズを用意する |
買い物へ行けない期間を考慮し、早々に必要物を購入する |
台風によって暴風が起こるエリアでは、飛散物による被害が懸念されます。瓦や太陽光パネルが飛来するケースもあるため、雨戸を閉めたり窓ガラスが粉砕しないよう補強したり、外から屋内に被害が及ばないよう対策が必要です。
なお、ガラス飛散の対策として、窓ガラスへ米の字を描くようにテープを貼り付ける方法が広まっているものの、これでは破片が大きくなり大怪我を招く危険性があると指摘されています。ガラスの強度自体も向上はせず、対策として効果的ではないため注意してください。
そのほか、台風前は食料品や生活用品を買い溜めする世帯が増えるため、近場のスーパーマーケットから商品を購入できなくなる恐れがあります。あらかじめ発災時に備えて必要物を準備しておくことはもちろん、安全なあいだに買い物を済ませておくことが重要です。
参考:
Yahoo! JAPAN「窓ガラスに養生テープ・ガムテープは破片が大きくなることで大怪我のリスクも」
台風に備えて持っておくべき対策用品について
台風に備えて持っておくべき対策用品は、台風の発生を確認してから用意するのではなく、常日頃からオフィスや自宅に設置しておくべきです。
ここでは、被災時に必要となる基本的な対策用品をご紹介していきます。まだ準備できていない防災グッズがあれば、早急に用意することを強く推奨します。
対策用品1:防災セット
防災セットは、台風に限らずあらゆる非常時に役立つ万能アイテムです。保存水や非常食、簡易トイレなどの防災グッズが一通り揃っているため、はじめに防災セットを購入してから不足している必要物を購入していけば、素早く無駄を省いて準備を進められます。
なお、防災セットは倉庫や物置に保管するのではなく、すぐに持ち出せるように社内ならオフィスの隅、自宅ならリビングや寝室に設置することをおすすめします。
対策用品2:レインコート
台風の接近時、避難が必要となる場合は徒歩移動をすることになります。このとき、強い風雨にさらされて濡れてしまえば体力を著しく消耗するため、全身を雨から守るレインコートは必須です。
なお、レインコートの着用を面倒に思ったとしても、傘一本で外出すべきではありません。台風が近付き強風が吹き荒れるなか、片手を塞がれた状態のまま移動するのは危険だからです。くわえて、傘では全身を風雨から守れないため、体が濡れて体温が奪われかねません。
こういった理由から、レインコートは台風対策グッズとして不可欠です。
対策用品3:予備電源・モバイルバッテリー
大規模な台風が接近した際、停電が発生するケースは珍しくありません。停電が起こればパソコンやモバイル端末の給電ができないため、オフィス業務がストップするといった弊害が生じます。
こういったとき、予備電源やモバイルバッテリーの存在が事業継続の生命線です。また、自宅であっても、スマートフォンの充電ができない状況は「連絡手段を絶たれる」という不安が付きまとうもの。
オフィスには、事業継続のサポートになる大型の予備電源を用意し、一般家庭も家族全員のスマートフォンを充電できる程度のモバイルバッテリーを備えておきたいところです。
まとめ
台風被害は一向に減る様子がなく、毎年のように死傷者が出ています。これは、台風の危険性は認知していても、実際に十分な対策を講じられていないというのが、理由の1つであることに違いありません。
事実、日本に接近する「令和元年台風第19号」が危険だと報道されていたにもかかわらず、従業員に出社を求める企業があったこと、避難することなく住民が危険エリアにとどまったことから、いまだ危機感が実際の行動に反映されていないことは明らかです。
特に企業は、台風接近時におけるガイドラインを用意していないのであれば、明確な行動基準を決めたマニュアルを早急に作成し、被害を最小化するための準備をはじめてください。