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「3秒、30秒、3分」が生存率を左右する!震災時の初動対応を学ぼう。

自然災害には、台風や大雪のように被害を受けるタイミングが事前にある程度把握できるものと、地震のように予測が困難な2種類に分けられます。

前者では、言うまでもなく事前の準備が重要である一方で、後者のような場合、災害時の「初動対応」がその後の明暗を大きく分けます。ここでは、そんな災害時の初動対応について学んでいきましょう。

時間の経過とともに変化する被災後の対応

地震や津波など、大規模な災害に遭遇した場合、刻一刻と変化する状況に合わせ、適切な対応をとれるか否かがその後の生存を大きく作用します。ここでは、理解しやすいよう「3」がつく意思決定のタイミングごとに、対応すべき内容についてまとめました。

3秒後までに行うべき対応:各人の安全確保を最優先に考え行動する

まず、被災直後のタイミングではまず何よりも自身の身を守ることを再優先に考えた行動が求められます。

東日本大震災の際の報道では、地震発生時に的確な判断ができず右往左往する人の姿が多く映し出されました。ある人は、棚を必死になって押さえていたものの、その棚の下敷きになりかける状況に遭遇していました。また、ある人は自身の安全が十分に確保できたと思ったのか、すぐに棚の倒壊や散乱した書類の片付けに注意が向いている人もいました。

しかし、ここで対応すべきは個々人の安全の確保が再優先であり、仮に室内にいる場合は「落下物から身を守るために机の下へ逃げる」「ヘルメットや座布団、鞄などで頭部を保護する」机など隠れられるものがない場合は、「太い柱や頑丈な壁の付近に逃げる」といった対応をとる必要があります。

また、屋外にいる場合は窓ガラスの破片やレンガの落下への注意が必要です。アメリカでは「犯罪から身を守るには、広い道路の真ん中を歩け」という教えがありますが、周囲の状況によっては建物には近寄らず、道路の中央に避難すべき状況も考えられます。

30秒後までに行うべき対応:周囲の人と協力し、安全確保のための行動を進める

大規模な地震の場合、揺れが原因となって火災や津波、建物の倒壊といった二次的な災害に繋がることが想定されます。そのため、企業や自治体では、そういった危険に対しての注意を促す「緊急時のアナウンス」が重要な役割を果たします。

災害時には各自、社内・館内向けのアナウンスに従い、地震の揺れに対応しながら安全を確保していきます。その際、例えば冬場であればストーブの火を消す、飲食店などであれば調理場の火元を止める、家庭の場合は漏電による火災を防ぐためにブレーカーを切るといった対応が求められます。

しかし、実際にはこういった状況に置かれた場合、冷静に対処するのは簡単ではありません。そのためには事前の訓練が必要になるのはもちろんのこと、パニックに陥ってしまった人のためにも、自動で館内に放送する仕組みを持つことも大切です。人によっては具体的な指示がないと、勝手な判断で行動してしまい、それが原因で防げたはずの危険に遭遇してしまうことにも繋がります。

また、特に都市部では、このタイミングで車を使った避難は絶対に避けなければなりません。以下のように、自身が危険にさらされるだけでなく、避難をする周囲の人間にとっての妨げになる恐れがあります。心に留めておきましょう。

1.道路が渋滞して避難することができなくなる
2.消防車や救護車、警察や自衛隊など、緊急車両の移動の妨げになる
3.ガソリンへの引火によって大火災に繋がる可能性がある
4.津波に遭遇した場合、車の中に閉じ込められる危険性がある
5.高台へ逃げる避難者の避難経路を奪う可能性がある
6.介護が必要な方や高齢者など、弱者の避難の障害となり得る

3分後までに行うべき対応:当面の避難から小規模集団を形成、次の安全確保へ

個人の安全確保が済むと、次は集団として何をすべきかを検討すべき段階に移ります。この際、注意すべきは最も気がかりであろう、家族の安否確認のための行動は避けなければならないという点にあります。ここでの個人的な行動は集団の避難を阻害することに繋がってしまう恐れがあります。

また、このタイミングでは、各種の緊急事項を小規模集団単位で決定し、お互いの安全を確保するための活動を行います。

例えば、建物の倒壊によって下敷きになってしまった被災者の救助です。倒壊が起きそうな環境には近くから頑丈な物を持ち寄り、その支えとします。また、出血を伴う負傷者が出た場合は緊急の救護が必要になるでしょう。

津波の危険があり通路の確保が難しい場合は、周囲の人と協力して逃げ道をつくることも重要になります。状況によって、現在地に留まる方が良いと判断した場合は、無線通信手段の確保と連絡担当者の設定、自分たちのいる場所の状況などを把握するために、ラジオやスマートフォンなどで状況を把握することも平行して行う必要があります。

音声や画像などから最新のニュースを取得し、それをもとにして対応策を考えることは重要な対策の一つです。

火災の場合は、場所と規模、風向きや逃げる方向、場所を知ることが不可欠です。津波の場合は、規模が避難の際に重要な判断材料となります。こういった情報を取得できるか否かによってその後の行動に大きな影響を及ぼすことは言うまでもありません。

その際、注意すべき点は、被害の大きな地域や問題が山積している地域ほどそういった最新のニュースを得にくいという側面があります。そのため、このことは事前に考慮してその後の行動に活かすようにしましょう。

30分後までに行うべき対応:小規模集団から大組織へ。「緊急災害対策本部設置」による災害対策活動へ

このタイミングでは小規模組織から大組織の指示統制へと移ります。その際、被害状況に応じて「緊急災害対策本部」設置による災害対策活動が開始となります。そこでは本部の指令に従い柔軟な対応が必要となります。

なお、対策本部における各担当者の役割については、以下の記事の「3.役割分担の明確化」も併せてご参照ください。

参考:巨大地震に備えよ!次の震災までに必要な「企業」の防災対策

3時間後以降に行うべき対応:避難後3日程度の生命の確保

最後に、3時間後以降に行うべき対応は以下の通りとなります。ここでは、被害状況に応じてその後3日程度、生命の安全が確保できるような体制を整えることが必要になります。

・引き続き安全な避難環境の確保へ向けた行動
・時間の経過とともに増大する火災や津波といった地震に伴う災害を避けるための対策
・避難場所や避難後3日程度の生命の確保、ケガによる生命の危機に至らない対策、疾病にかからないための対処
・その他、被災地で可能な限り快適性を満たす機器や道具などの確保

まとめ

一般的に、自然災害の多くのケースでは発生後3日程度で徐々に鎮静の方向へ向かいます。大切なのはそれまでの間、被災者同士が励まし合い、物質的な面でも精神的な面でもお互いを支えていくという点です。

刻々と変化する状況に対応し適切な行動が取れるよう、今回ご紹介した内容を踏まえ、しっかりと理解を深めておくようにしましょう。

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