管理台帳とは?目的や作り方、運用方法などを紹介!
遠藤 香大(えんどう こうだい)
管理台帳とは、ばらばらになっている情報や備品を管理するためのものです。一般的に、データベースや帳票などを用いて管理します。
管理台帳はなぜ必要なのか、どのように作成し運用するのか、その方法をご紹介します。
目次
管理台帳とは
企業で使用する情報や備品は管理しなければなりません。これらの管理に用いる帳票やデータベースを管理台帳と呼びます。
備品管理には、保管状況や使用状況などをまとめることによって紛失を防ぐという効果があります。情報を管理すると、必要であれば迅速に得たい情報を引き出せるため、滞りなく業務が行えるようになるでしょう。
情報や備品が整理されると、企業の状況が目に見えるようになり、組織の透明性を高める効果も得られます。
管理台帳の代表例
管理台帳には、さまざまな種類があります。企業で管理する情報はとても多く、ひとつの台帳だけでは足りません。ここでは代表的な管理台帳をいくつか例に挙げて紹介します。
社内備品の管理台帳
企業が保有する資産を管理するための管理台帳です。主に備品の管理をする際に作成されます。
使用している備品をそれぞれ管理することで、利用期限や現在の使用者などを把握できます。また、使用を開始した時期も記載されているため、メンテナンスや買い替えなどがスムーズに行えるでしょう。
使用していない不要な備品も確認できます。さらには、使用者が判別できるということはセキュリティ対策にも役立つでしょう。
契約管理台帳
契約に関する情報を管理する管理台帳です。誰と何を契約したのか、情報をまとめて把握しやすくしています。契約後に問題が発生した場合、すぐに契約内容の見直しが可能です。
また、契約書は重要な書類ですから、見落としや紛失も防げることもメリットのひとつと言えます。
文書管理台帳
企業が所有するさまざまな文書を管理するための管理台帳です。紙をファイリングして作成することが一般的ですが、昨今ではデジタルデータでの保存が多くなってきました。
台帳を見れば、文書を保存している場所がすぐ分かります。重要文書や機密文書の紛失を防ぐ効果も得られるため、法令等で保存期間が定められている文書についても、保管が容易となるでしょう。
固定資産管理台帳
企業が所有する固定資産を管理するための管理台帳です。この台帳はExcelのような表計算ソフトで管理されることが多いです。
所有している固定資産の管理者、保管場所、状態などについて、詳細な情報を把握しやすくします。会計処理や税務処理などを行う際にも使用されます。
個人情報管理台帳
個人情報を管理するための管理台帳です。
個人情報とは従業員や取引先・顧客のフルネームや生年月日などが該当します。個人情報を適切に管理することは、情報漏洩といった信用失墜につながる事態を防ぐうえで重要です。
管理台帳を作成する目的
管理台帳を作成するとさまざまなメリットが得られます。ここでは、どのようなメリットがあるのかについてひとつずつ紹介します。
備品の管理
管理台帳を作成することで、備品がいつからどのように管理され、誰に使用されているのかの把握が可能です。
利用期限が一目瞭然なのでメンテナンス、廃棄、買い替えの時期も判断できます。また、普段使用している備品のみならず、防災備品の管理にも最適です。
費用削減
不要な備品や使用されていない資産などを記載し確認することで、費用削減を図ることができます。
使われていない備品が必要となった場合を考えましょう。管理台帳があると、誤って同じ資産を再購入してしまったり、新しく不要な資産を購入してしまったりするミスを防げます。
セキュリティ対策
各種デバイスなどのIT資産について保管場所や利用状況などを管理することで、これらIT資産を盗難から守れます。
ソフトのアップデート情報や脆弱性についても記載が可能ですので、不正アクセスなどのセキュリティリスクの早期発見・防止にも役立ちます。
業務効率化
管理台帳を作成することで、必要な情報へのアクセスが迅速に行えるでしょう。
探したい情報に関する管理台帳を開けば、データがすぐ確認できるため、探す手間が省けて、業務の効率化につながります。
それぞれの情報を管理する際は、管理台帳を作成する目的に関して、社内で話し合うようにしてください。
管理台帳の作り方と運用方法
単にデータをまとめるだけでは優れた管理台帳と言えません。適切な方法での作成、運用ルールの制定、このふたつが重要です。
ここでは、適切な台帳作成と運用方法について解説します。
記載する項目を決める
管理台帳を作成するとき、最初に決めるのは記載項目です。管理するデータによって必要な項目は異なります。
一般的な備品管理であっても、下記の項目は最低限記載しておきましょう。
- 管理番号
- 備品名
- 種別
- 保管場所
- 購入日
- 利用状況
- 利用者名
備品の管理番号や種別など、自由に決められる項目については、会社側であらかじめ振り分けておきましょう。どのような情報が必要かは会社ごとにさまざまです。
また、備品自体を管理する項目のほかに、台帳を管理するための項目も記載しましょう。項目例を以下に示します。
- 登録日時
- 登録者
- 更新日時
- 更新者
誰がいつ登録、更新をしたのかについて詳しく記載しておきましょう。これによって、情報の重複や更新ミスを防げます。また問い合わせが必要になったときに、誰に尋ねればよいかが明確になります。
フォーマットを作成する
管理台帳に記載する項目を決めたら、それを元にフォーマットを作成します。フォーマットの作成は、Excelやスプレッドシートなどの表計算ツールを用いるのがおすすめです。
情報が不足していると管理ができませんが、情報を過剰に記載しても更新の手間となります。効率的に情報を管理するため、過不足のないフォーマットを作成しましょう。
このほか、各項目に絞り込み検索機能を付けておくと便利です。
備品の場合は管理ラベルを付ける
たとえばPCを数十台管理したい場合、それぞれのPCを判別する必要があります。したがって管理番号を制定し、どれがどの備品なのか把握できるようにしましょう。
さらに、管理ラベルを作成し、備品に取り付けましょう。管理ラベルに簡単な記入欄を設けておくことで、備品管理の効率を上げることも可能です。
運用ルールを決める
備品を管理するために、ルールを策定しておきましょう。ルールがないと混乱を生み、作業効率は上がりません。
とくに重要なルールの1つ、入力方法についての表記の統一のルールが挙げられます。たとえば椅子を管理する際、表記が「椅子」「チェア」「腰掛け」のように異なっていては、同一備品として管理できません。
もちろん入力方法以外にも、入力時期のルールを決めて登録漏れをなくしたり、台帳の格納場所(キャビネットやデータフォルダ)などの運用ルールを決定し、社内に周知させることが大切です。
棚卸しや見直しを定期的に実施する
年に1回から2回は、棚卸しや備品の見直しを行いましょう。
データ上だけでの管理では、記載漏れや備品の実際の状況などが把握しきれません。
廃棄や買い替えの必要なものがあれば、その旨を管理台帳に入力しましょう。管理台帳との相違があれば、データに反映させることが重要です。
管理台帳作成時のポイント
ここからは、管理台帳を作成するときに意識した方がいいポイントをご紹介します。
情報漏洩に備える
管理台帳には企業の情報が保管されています。そのため、情報漏洩には備えておく必要があります。
とくに情報がデジタルの場合には、ウイルス感染・不正アクセスによるものが考えられます。したがって、高いセキュリティ機能があるツールを選びましょう。
また、情報セキュリティの責任者を決めておくこと、従業員のセキュリティ意識を高めることなども重要です。
検索しやすいように工夫する
管理台帳には膨大なデータが管理されます。そのため、項目ごとに検索しやすくする工夫が大切です。
データに番号を割り振ること、これを採番と言います。採番の際に基準を設定しておくことで、検索が容易になるでしょう。
誰もが使いやすいツールにする
管理台帳をデジタルデータで作成するときに、使用するツール(システム・ソフトウェア・アプリ等)は、誰もが使いやすいものを選びましょう。
確かに機能の多いITツールは便利ですが、複雑なプログラムが使用されていると、一部の従業員しか利用できない可能性があります。複雑化すると入力ミスも増え、情報の管理が滞るかもしれません。
従業員のITリテラシーとマッチした、使いやすいツールを選ぶことが重要です。
管理業務の自動化を目指す
手作業で台帳の管理を行うと、人為的なミスが発生しやすくなります。それを防ぐためにも、管理業務の自動化を目指しましょう。
膨大な量の備品を管理する際は、物品管理システムの導入がおすすめです。物品管理システムとは、ビーコンやRFIDなどの機器を使用し、備品の使用状況や所在を管理するシステムのことです。
しかし、いきなりすべてをシステムベースにしてしまうと、使い慣れたツールを変更するのは難しいでしょう。ストレスなく自動化を行いたければ、使い慣れたツールとシステムを連携させるといいでしょう。
災害を想定しておく
管理台帳は企業の情報を管理する台帳です。したがって、災害時に管理台帳を守ることもまた、BCP(事業継続計画)対策と言えます。災害が発生しても喪失しない保存方法を選びましょう。
BCPとは、Business Continuity Planの略で、日本語では「事業継続計画」などと訳されます。自然災害やテロ、感染症などに対して、被害を最小に抑えるとともに、たとえ被害・影響が出てしまったとしても、適切な対応で速やかに事業活動を復旧・継続させることを目的とした計画です。
紙の文書は津波に弱く、情報を復活させるのも困難です。情報を電子化し、社内のPCに保存するのはもちろん、クラウドシステムでの保存もおすすめです。
クラウドシステムに保存されていれば、社内のシステムが停止しても、外部から情報を引き出せます。
また社員の個人情報を『SmartHR』や『freee人事労務』などで管理している場合は、連携できる安否確認システムが便利です。
管理台帳を効果的に活用しよう!
ここまで、管理台帳を作る目的、作成方法、利用方法などを紹介しました。
管理台帳が紙でまとめられている場合、電子化を検討してみましょう。データの管理台帳を利用している際は、外部ツールなどと連携することをおすすめします。自社なりの方法で管理台帳を作成しましょう。