急速なAIの発達や頻発する自然災害などによって、企業を取り巻くリスクは多様化しています。リスク発生の可能性があるにもかかわらず対策をしていないと、緊急時に事業継続が危ぶまれ、企業への信頼にも関わります。
そこで重要なのは、リスクマネジメントです。しかし、どのようにリスクマネジメントを行えばいいか分からない企業も多いでしょう。
この記事では、リスクマネジメントの基本的な方法や具体的なプロセスを解説します。災害時のリスクマネジメントにおすすめのサービスも紹介しているので、あわせて参考にしてください。
目次
リスクマネジメントとは
リスクマネジメントとは、企業で起こり得るリスクを把握し、その影響を事前に回避したり損失を最小限に抑えたりする取り組みです。
たとえば、従業員が情報セキュリティに関する知識を身につけていないと、個人情報をはじめとする機密情報の漏洩リスクが高まります。情報漏洩を回避するためには、情報セキュリティを学べる場の提供やマニュアル強化をして、リスクマネジメントする必要があります。
リスクマネジメントの正解は1つではありません。前述した情報漏洩のリスクに関しても、企業によってリスクの発生頻度や適した防止策が異なるケースもあります。そのため、企業に合ったリスクマネジメントを実行することが、何よりも重要です。
リスクマネジメントの目的
リスクマネジメントの主な目的は「問題が発生したときでも事業を継続すること」と「問題が発生したときの損害を最小限に抑えること」の2つです。
リスクマネジメントによって起こり得るリスクを把握しておくと、問題が生じたときに迅速な対応策を実行でき、事業を継続しやすくなります。また、迅速な初動が可能となれば、企業への損害も抑えられるでしょう。
このように、企業が生き残り続けるためには、リスクマネジメントが有効と言えます。
リスクマネジメントの具体的なプロセス
企業におけるリスクマネジメントの具体的なプロセスは、以下のとおりです。
- リスクマネジメントの必要性を再確認する
- リスクマネジメントの基準を設定する
- リスクを特定する
- リスクを分析する
- リスクを評価する
- リスク対応を行う
- モニタリングと改善を行う
それぞれのプロセスを解説します。
1.リスクマネジメントの必要性を再確認する
まず、リスクマネジメントの必要性を社内外の関係者を含めて再確認しましょう。一部の上層部だけがリスクマネジメントの必要性を感じていたとしても、有効な対策は実行できません。社内外にいる関係者と密なコミュニケーションを図り、リスクマネジメントの必要性を再確認すれば、有効な手段を見つけられます。
なお、企業に襲い掛かるリスクは日々変化しているため、常に関係者とコミュニケーションを図り、リスクマネジメントの必要性は継続的に確認することが大切です。
2.リスクマネジメントの基準を設定する
リスクマネジメントの必要性を再確認したら、基準を明らかにしておきましょう。具体的には、以下のような基準を設定しておくのがおすすめです。
- リスクの重要度はどのような基準にするか
- リスクマネジメントの適用に関連会社や子会社は含めるか
リスクマネジメントの基準は、企業や事業などによって左右されるため、自社の現状を見極めたうえで設定しましょう。
3.リスクを特定する
自社に悪影響を及ぼす恐れのあるリスクを特定して洗い出します。
上層部や現場で働く従業員などを集めて、あらゆる角度から発生し得るリスクを洗い出しましょう。リスクマネジメントの担当者だけでリスクの特定を行うと、偏った洗い出しになる危険性があります。そのため、できるだけ多くの人から意見をもらうのが理想的です。
なお、企業に起こり得る具体的なリスクは、主に以下の2つに分類できます。
概要 | 例 | |
---|---|---|
純粋リスク | 企業に損失だけをもたらすリスク | ・地震や火災などの自然災害 ・テロ ・ヒューマンエラー ・情報漏洩 ・事故 ・粉飾決算 |
投機的リスク | 企業に損失だけではなく利益ももたらすリスク | ・為替や金利の変動 ・新商品の開発 ・海外への進出 |
リスクマネジメントには、自社に関係するリスクを抜け漏れなく把握することが重要です。
4.リスクを分析する
洗い出したリスクの分析をします。リスクの分析とは、損害規模や発生頻度を分析・算定することです。
リスク分析には、リスクマップと呼ばれるフレームワークを活用しましょう。リスクマップとは、リスクの発生頻度や影響度を可視化するものです。縦軸に損害規模、横軸に発生頻度を位置づけて、それぞれのリスクを当てはめていき、洗い出したリスクを「損害大・高頻度」「損害大・低頻度」「損害小・高頻度」「損害小・低頻度」の4つに分類します。
なお、リスクを分析する際は、損害規模にだけ注目してはいけません。低損害ではあるものの、高頻度で起こり得るリスクに対しても対策が必要です。
5.リスクを評価する
分析結果に基づき、リスク対応の優先順位を決めます。
企業におけるリスクはさまざま考えられるため、思いつく順番で対応策を考えるのではなく、優先順位の高いものから対応していくとリスクへの影響を最小限に抑えられます。
たとえば、先ほどリスクマップで「高損害・高頻度」と分類されたリスクは、優先してリスクマネジメントする必要があります。反対に「低損害・低頻度」のリスクへの対策は、優先度の高いリスクへの対応策を準備してから取り掛かるべきでしょう。
6.リスクへの対応策を立案・実施
リスクマネジメントの優先順位を明らかにしたら、各リスクに対しての具体的な対策を講じます。
リスク対応の方法は、発生前の備えである「リスクコントロール」と発生後の備えである「リスクファイナンシング」の2つに大別できます。それぞれどのようなものかを、以下にまとめているのでチェックしてください。
手段 | 概要 | |
---|---|---|
リスクコントロール | 回避 | リスクを伴う活動自体を中止して、リスクを回避する |
損失防止 | 損失発生を回避して、リスクの発生頻度を減らす | |
損失削減 | 損失規模を抑えるための対策 | |
分離・分散 | リスクを一ヵ所に集中させず、分離・分散させる | |
リスクファイナンシング | 移転 | 第三者からの損失補填を受ける |
保有 | 自己負担によって損失をカバーする |
(参考:2016年版 中小企業白書)
これらの手段をうまく組み合わせると、効果的なリスクマネジメントができます。
7.モニタリングと改善を行う
リスクマネジメントの効果を検証して、状況に応じた改善を行います。リスクマネジメントは、リスクへの対応策を策定したら終わりではなく、定期的な振り返りが必要です。特定したリスクの発生状況や対応策の有効性などを確認して、必要に応じた改善策を考えます。すると、自社の状況に応じたリスクマネジメントを実施でき、リスクが発生した際の損失もより抑えることができます。
リスクマネジメントにはトヨクモの『BCP策定支援サービス(ライト版)』がおすすめ
リスクマネジメントを実施するうえで、BCPを策定するのも有効な手段です。
BCP(事業継続計画)とは、地震や情報漏洩といった緊急事態が発生したときの対策や防止策をまとめた計画のことです。地震をはじめとする緊急事態が発生したときは、従業員も混乱した状況にあり、冷静な判断ができないケースも珍しくありません。事前にBCP策定を行っていれば緊急事態時の行動や企業の方針が明確になっているため、次の一手を出しやすくなります。迅速な初動を行うには、BCPの策定は不可欠といえるでしょう。
BCP策定には、トヨクモが提供する『BCP策定支援サービス(ライト版)』の活用がおすすめです。通常、BCPコンサルティングは数十〜数百万円ほどしますが、BCP策定支援サービス(ライト版)であれば1ヵ月15万円(税抜)で策定できます。「金銭的な負担を軽減したい」「手間をかけずにBCPを策定したい」とお考えの企業におすすめです。BCP策定がお済みでない企業は、ぜひ利用をご検討ください。
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※BCP策定支援サービス(ライト版)は株式会社大塚商会が代理店として販売しています。
リスクマネジメントのプロセスを理解しよう!
リスクマネジメントとは、企業で起こり得るリスクを把握して、必要に応じた対策を行うことです。企業はあらゆるリスク発生の可能性があるため、事前に対策を講じなければ損害も大きなものとなるでしょう。企業の損失を最小限にしつつ、事業を継続していくためにはリスクマネジメントが欠かせません。今回紹介したプロセスを参考にしながら、ぜひリスクマネジメントを実施してください。
災害時のリスクマネジメントにはトヨクモ『「安否確認サービス2』」の活用がおすすめ
2021年に一般社団法人 日本損害保険協会によって行われた調査によると、企業が事業活動を行ううえで増えたリスクとしてもっとも多く挙げられたのは自然災害でした。
(参考:中小企業のリスク意識・対策実態調査2021 調査結果報告書)
どの企業にとっても災害時のリスクマネジメントは必須であり、その対策は急務と言えます。災害時は従業員の安否確認に加え、今後の事業継続についても話し合う必要があり、迅速な初動は必須でしょう。
そのような自然災害へのリスクマネジメントに有効なのがトヨクモの『安否確認サービス2』です。これは、気象庁の情報と連動して自動で安否確認を行えるサービスです。災害時には設定した安否確認メールが送られ、従業員から集まった回答結果を自動で分析するため、安否確認にかかるコストを大幅に減少できます。
また、メッセージ機能を活用すると、今後の事業継続についての話し合いも可能です。設定した範囲の従業員同士が議論できるため、出勤している従業員から現場の状況を聞き上司が指示を出したり、出社が難しい社員に変わり誰が現場対応をするかを社員同士で相談できたりします。
災害時のリスクマネジメントを検討している方は、安否確認サービス2の導入をぜひご検討ください。