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安否確認システムの使い方!発動基準や防災訓練での注意点も解説

安否確認システムの使い方!発動基準や防災訓練での注意点も解説

安否確認システムを導入するだけでは、緊急時の備えとして不十分です。きちんと使い方を把握し、非常時に活用できる状態にしてはじめて、導入メリットを得られます。

この記事では、安否確認システムの基本的な使い方や、発信基準、対象者について解説します。安否確認システムのメリットやデメリット、防災訓練の注意点についても説明しますので、安否確認システムの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

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監修者:木村 玲欧(きむら れお)

兵庫県立大学 環境人間学部・大学院環境人間学研究科 教授

早稲田大学卒業、京都大学大学院修了 博士(情報学)(京都大学)。名古屋大学大学院環境学研究科助手・助教等を経て現職。主な研究として、災害時の人間心理・行動、復旧・復興過程、歴史災害教訓、効果的な被災者支援、防災教育・地域防災力向上手法など「安全・安心な社会環境を実現するための心理・行動、社会システム研究」を行っている。
著書に『災害・防災の心理学-教訓を未来につなぐ防災教育の最前線』(北樹出版)、『超巨大地震がやってきた スマトラ沖地震津波に学べ』(時事通信社)、『戦争に隠された「震度7」-1944東南海地震・1945三河地震』(吉川弘文館)などがある。

安否確認システム14製品の比較表をダウンロードできます。個人情報の入力は必要ありません。 クリックするとファイルをダウンロードできますので、記事の内容と照らし合わせながら確認してみるといいでしょう。

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安否確認システムの使い方・流れ

安否確認システムの発動から運用までの以下の流れを解説します。

  • 安否確認システムの発動
  • 従業員からの状況報告
  • 回答内容の集計・共有
  • 管理者から従業員へ指示

運用までのフローを知っておくことにより、システム導入後の対応をより深く理解し、企業の規模にあわせて運用を進められるでしょう。さらに、従業員も安否確認の流れを知っておくと、緊急時に迷うことなく行動できます。

1.安否確認システムの発動

安否確認システムの発動基準を満たす災害が発生した際、自動で従業員に安否確認メッセージが通知されます。発動基準は「一定震度以上の地震の発生」や「台風、そのほかの災害の発生」など、任意で設定可能です。

安否確認メッセージの内容は、事前に内容を作成しておけるものが一般的です。多くの安否確認システムではテンプレートが用意されているため、メッセージを一から作成する手間を省けます。

2.従業員からの状況報告

安否確認メッセージを受け取った従業員は、自分の状況を回答し報告します。回答方法は空メールの送信やプルダウンメニューから回答を選択するなど、システムによって異なります。従業員が迷わず回答できるよう、簡単に回答できる安否確認システムを導入しましょう。

従業員全員から迅速に回答を得る必要がある一方で、被害状況によっては未回答の従業員が出てくるおそれもあります。このような場合には、未回答従業員を選択して回答を促す連絡を再送できるサービスを活用します。一定の時間内に回答がないと、自動的に再送されるように設定することもできます。

3.回答内容の集計・共有

従業員の回答内容は、即座に自動集計してシステムに反映されます。自動集計された内容は、円グラフや折れ線グラフなどグラフィカルに表示されるため、一目で回答結果を把握することが可能です。

安否確認においては、誰の回答が返ってきているか、誰がどのような状況にいるのかなどをなるべく早く知る必要があります。PCからだけではなく、スマートフォンや携帯電話からも集計結果が確認・共有できるシステムを選びましょう。

4.管理者から従業員へ指示

集計された回答結果をもとに、管理者は出社指示や自宅待機などの指示を出します。誰にどのような指示をするべきかを決定し、個人やグループなどのターゲットに対して指示しましょう。

たとえば、「出社可能」と回答した従業員に対しては、出社させるかどうか、出社させるとしたら場所と時間をどうするか決めて指示します。「出社不可」と回答した従業員には、その理由と状況を把握したあと、従業員自身や家族のケアを優先させるために自宅待機や在宅勤務などを指示するのが適切でしょう。

安否確認システムの発動基準

安否確認システムを発動すべきタイミングの判断基準は、各企業によって異なります。

気象庁から発信される緊急地震速報は、最大震度5弱以上の揺れが予想される場合に、震度4以上の揺れが予想される地域に速報を流すシステムです。このことから、耐震化されたオフィスビルに入居している企業や自社ビルなどであれば、「震度5弱以上」の場合に安否確認を発動させる基準とするケースが多くなっています。

事務所や工場の場合は、自社の耐震性などをもとに発動基準を決めましょう。

安否確認システムの対象者

安否確認システムの対象者は、自社の企業活動に関わる従業員全員です。正従業員だけではなく、派遣従業員も含みます。

労働基準法などでは、派遣従業員の安否確認の義務を負っているのは、派遣元の企業と定めています。しかし、実務は自社で行っているため、派遣元と協力して派遣従業員の安否確認を行う必要があります。
(参考:厚生労働省 第8 労働基準法等の適用に関する特例等

安否確認システムを導入するメリット

安否確認システムを導入するメリットは、以下のとおりです。

  • 安否確認通知の自動化
  • 災害時の迅速な状況把握
  • セキュリティの担保
  • 従業員の状況に合わせた細やかな設定

災害発生時に安否確認メッセージを自動で送信し、回答結果も自動で集計されるため、災害時の迅速な状況判断に役立ちます。また、さまざまなセキュリティ対策が実施されており、不正アクセスから従業員の個人情報を保護できる点もメリットです。

さらに、外国人従業者に合わせてメッセージを翻訳するなど、従業員の状況に合わせた細やかな設定を行えるため、メールや電話よりも効率的に安否確認を実施できます。

安否確認システムの導入のポイント

安否確認システムの導入では、以下がポイントになります。

  • 導入・運用コストがかかる
  • 訓練を実施する必要がある

安否確認システムの導入には、初期費用や月額費用が発生します。災害が発生していない月にも継続的に月額費用を払う必要があるため、無理なく継続的に利用できる安否確認システムを選びましょう。

また、安否確認システムを導入するだけでは、効果は発揮されません。緊急時にきちんと活用することにより、導入効果を得られます。使用しない期間が長くなると、緊急時に使い方が分からないと従業員の安否がすみやかに確認できない恐れがあるため、定期的に訓練を実施して使い方を確認しておくことも重要です。

安否確認システムを防災訓練で使用する際の注意点

災害は業務時間以外にも発生する可能性があるため、そのような場合を想定して休日に防災訓練を行いたいと考えている企業もあるでしょう。業務時間外の防災訓練に違法性はありませんが、強制できない点には注意が必要です。

業務時間外の防災訓練に参加するように、従業員に要請すること自体はできますが、強制はできません。参加を強制した場合、業務時間外の防災訓練は業務と判断されて賃金が発生します。

そのため、安否確認システムを使用して休日に防災訓練を実施する場合は、防災訓練の重要性を説明したうえで、従業員に協力を求めましょう。

安否確認システムの使い方は事前に確認しておこう

災害が発生した際にきちんと安否確認を行えるように、平時から安否確認システムの使い方を確認しておくことが重要です。安否確認システムの発信基準は任意で設定できるため、自社の耐震性などを考慮して、発信基準を決めておきましょう。

安否確認システムの使い方を覚えるのは、管理者だけではありません。従業員も回答方法について慣れておくことにより、緊急時にも迷うことなく回答できます。定期的に防災訓練を実施し、管理者・従業員ともに安否確認のやり方を理解しておきましょう。

トヨクモが提供している『安否確認サービス2』は、外部システムと連携できる安否確認システムです。SmartHRやfreee人事労務、cybozu.comなどで人事情報を管理している場合、1クリックでユーザーの情報を登録できます。そのため、導入の手間を抑えて利用を開始できます。

また、自社の防災意識を確認できる点もポイントです。定期的に一斉訓練を実施しており、訓練後には社内の回答率の時間推移や訓練全体の平均回答時間などのレポートを送付します。全体のデータと比較することにより、自社の防災意識を確認できます。

安否確認サービス2では、30日間の無料お試し期間が設けられています。興味がある方はぜひお問合せください。

安否確認サービス2の製品サイトに遷移します。
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監修者:木村 玲欧(きむら れお)

兵庫県立大学 環境人間学部・大学院環境人間学研究科 教授

早稲田大学卒業、京都大学大学院修了 博士(情報学)(京都大学)。名古屋大学大学院環境学研究科助手・助教等を経て現職。主な研究として、災害時の人間心理・行動、復旧・復興過程、歴史災害教訓、効果的な被災者支援、防災教育・地域防災力向上手法など「安全・安心な社会環境を実現するための心理・行動、社会システム研究」を行っている。
著書に『災害・防災の心理学-教訓を未来につなぐ防災教育の最前線』(北樹出版)、『超巨大地震がやってきた スマトラ沖地震津波に学べ』(時事通信社)、『戦争に隠された「震度7」-1944東南海地震・1945三河地震』(吉川弘文館)などがある。

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編集者:坂田健太(さかた けんた)

トヨクモ株式会社 マーケティング本部 プロモーショングループに所属。防災士。
2021年、トヨクモ株式会社に入社し、災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案やサポートに従事。現在は、BCP関連のセミナー講師やトヨクモが運営するメディア『みんなのBCP』運営を通して、BCPの重要性や災害対策、企業防災を啓蒙する。