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安否確認システム導入は訓練ありきが大原則

地震などの自然災害やテロ攻撃などの事件を想定し、多くの企業や自治体が安否確認の手順などを含んだBCP(事業継続計画)を策定しています。しかし、策定したBCPを有効に活用するためには従業員とBCPについての知識を共有したうえで、定期的に訓練を行うことが必要です。

今回は、万が一の場合に、安否確認システムの効果的な利用や事業継続をスムーズに遂行するために知っておきたい訓練時の想定シナリオやポイントを解説します。

みんなのBCPでは、安否確認システムの必要性や選定のポイント、スケジュール例や比較など様々なコンテンツをご案内しています!

■安否確認システムの必要性
事業継続に必要不可欠?企業の事業継続に安否確認システムが「ある」場合と「ない」場合

 

■選定から導入までの流れ

安否確認システムの選定基準と導入フローを解説!

 

■安否確認システムの比較

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安否確認訓練をする重要性

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大規模地震などの災害が起こったときには、まず従業員の安否確認を早急に行う必要があります。東日本大震災のあと、BCP(事業継続計画)の一環として安否確認システムが多くの企業や自治体で導入されるようになりました。

最新の安否確認システムでは、従業員に加え取引先などを含めた関係者全員に一斉メールを送るなどの作業も、シンプルな操作でできるように設計されています。しかし、いざというとき確実に操作するためには、定期的な訓練の実施が不可欠です。そのほかにも、BCPに基づく訓練にはいくつかの目的があります。

1つには、BCPに盛り込んだ事項を実際に手順通り行ってみて、本当に災害時に内容が有効かを検証することが挙げられます。既存の内容の不備や欠陥の有無が、訓練で初めてわかる場合もあるでしょう。

計画の内容や手順を知っているだけで、緊急時に適切な行動をとれるとは限りません。ですから、従業員の対応能力向上のためには、防災に関する知識を共有したうえで災害時に必要なスキルの教育やそのスキルを実践することによって、計画の有効性を検証する訓練が求められるのです。

ただし、人は、緊急時に、平常時とはまったく異なる行動をとったり、通常では考えられないような思考に陥ったりするケースも多発します。そのため、訓練がスムーズに進んだとしても「実際に災害が起こっても我が社の従業員なら十分対応できる」と安易に結論づけるのは危険です。そういった観点から、安否確認といった比較的シンプルな作業でも、定期的に訓練を繰り返すことが重要です。

2つ目に、訓練を定期的に実施しておくと、災害時に従業員一人ひとりが何をすべきかが明確になることが挙げられます。あわせて自社の業務の流れも再確認でき、事業を継続するための臨機応変な対処がしやすくなります。

3つ目に、実現性の高い事業継続プランを示すことで、取引先や社会からの信頼を得る効果が挙げられます。安全な事業の継続は、災害下において企業のできる最大の社会貢献でもあります。これらの姿勢を明確に表明できれば、企業の社会的信用を一層高めることにも繋がります。形だけのBCP策定ではなく、訓練での実施事項や段取り、安否確認の方法などを随時詳細に見直し続けましょう。

参考:
TOKIO MARIN NICHIDO リスクマネジメント最前線 あらためて訓練実施の重要性を考える -企業における訓練の実施実態を受けて-
みんなのBCP 災害後の明暗がくっきり…今のBCP策定と安否確認サービスは大丈夫?
中小企業庁 中小企業BCP策定運用指針~緊急事態を生き抜くために~ BCP訓練を実施する
中小企業庁 中小企業BCP策定運用指針~緊急事態を生き抜くために~ BCP文化を定着させる
中小企業庁 中小企業BCP策定運用指針~緊急事態を生き抜くために~ 平常時におけるBCPの策定と運用(基本コース)
中小企業庁 中小企業BCP策定運用指針~緊急事態を生き抜くために~ 教育・訓練

安否確認訓練で想定するシナリオ

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もちろん、安否確認訓練はただ実施すればよいというものではありません。災害時には、平常時に予想できなかった事態に陥るケースも少なからずあります。2018年6月18日に発生した大阪北部地震は、地震発生が午前7時58分と通勤時間帯だったことが一層の混乱を招きました。

災害発生が営業時間内か時間外かによって、対処の方法は異なります。通勤時間帯も含めて営業時間外に災害が起きた場合は、災害時の体制の司令塔を務める担当者を集めることから始める必要があります。このように、災害が起きる時間帯に関しても複数のパターンを想定することが重要です。

また、地震、火災など災害の種類ごとに初動対応のポイントを決める必要があります。地震を想定する場合には、震源地、地震の規模、津波の有無、余震の状況、火災など二次災害の状況などをこまかく想定して対応策を設定しましょう。火災発生を想定する場合は、消防への連絡手順に加え、自分たちで消火作業を行うのか否か、行うならどういった方法でどの範囲で行うか、といった事柄も詳細に設定しましょう。

そして、避難指示のアナウンスや誘導要員の確保、避難経路、避難場所の選択など二次災害の防止措置をはかったうえで、逃げ遅れた人や負傷者がいないかなどの安否確認や被災状況の把握などの手順も想定しておきましょう。

災害の具体的な内容をシミュレートする際に役に立つのが、国や地方自治体が公表しているハザードマップや震度分布図、ライフラインの想定復旧日数などの情報です。事業の継続や再開に欠かせない電気や上下水道、ガスなどの生活インフラ、電話やインターネットなどの通信インフラ、道路・鉄道・空港・港湾といった交通インフラなどの想定復旧日数をチェックし、災害対策と訓練案を講じましょう。

実際の災害はさまざまな形で起こり、時間の経過とともに刻々と状況が変化していきます。時系列に沿って自社や得意先の被害を想定し、どのタイミングで何をすべきかを指示する進行表を作成することも有効です。

訓練にもいくつかの形があります。避難訓練など実際に体を動かして学ぶ訓練や、電話連絡網の運用と安否確認システムの動作運転を行って従業員に連絡が行きわたるかどうか検証する訓練もあります。策定したBCPの手順に従って災害対策担当者たちが議論形式で状況を想定してメンバーごとの役割を検討する訓練は、災害対策本部の運用確認のために多くの企業や団体で取り入れられています。

BCP全体を通しで行う総合訓練もあります。参加型の訓練なら従業員に臨場感をもたせやすく、机上での議論では見えなかった欠落している部分や改善点が明確になるため、BCPの見直しに大きく役立ちます。

いずれにしても、安否確認訓練は自社の立地や営業状況、従業員の居住地の分布状況、得意先との業務上の連携など、さまざまな事柄をよりリアルに、より具体的に想定して行うことが必須です。もちろん、あらゆるシナリオをこまかく想定して策定したBCPは、運用サイクルの一環として平常時に予習しておくことも大切です。従業員全員のために習熟度に応じた勉強会を開くとよいでしょう。

参考:
リスク対策.com おかしくないか? 日本の防災対策 第3回 企業よ、急いで安否確認をするな
堺市消防局 訓練の企画の方法は?
中小企業庁 中小企業BCP策定運用指針~緊急事態を生き抜くために~ 緊急時におけるBCPの発動

安否確認実施におけるポイント

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最後に、安否確認訓練を実施する手順とポイントを紹介します。実際の災害時に最初に行うべき安否確認は、従業員一人ひとりが自分自身で回答するものです。このとき、適切に回答するためには自分の状況を正確に把握していることが大切です。そのためには災害時の行動基準を遵守し、チェックリストなどを用いて状況確認を的確に行う必要があります。

災害時の行動基準には以下のようなものが挙げられます。

自身の安全確保

ケガを防ぐためにヘルメットなどで頭部を覆う、落下物から身を守るために机の下などへ隠れる。

自身の状況の確認

ケガや出血などがないか、めまいなどがなく立っていられるか、歩行は可能かなどを確認する。

周りの人の安全確保

ケガなどがないか、意識があるかなどを声かけして確認する。負傷している場合は応急処置を行う。

自宅、職場、工場、倉庫などの建物の安全確認

建物の破損や倒壊などの被害状況、エレベーターなどの稼働状況、火災発生や危険物などがないかを確認して、危険区域への立ち入り制限を表示する。

責任者への報告

自身や同僚の状況、職場や工場や倉庫などの状況が確認できたら責任者に報告する。

こうした個々の従業員からの報告をふまえて、どのような対策を講じるかを災害対策担当者たちが決定する流れになります。そのため、安否確認訓練でも必ず確認と報告を素早く真剣に行うことが重要です。もちろん、情報を集約する責任者役の選定や連絡網の順番組みなど、訓練の進行に欠かせない事項は事前に決めておきましょう。

これらの安否確認訓練は前もって日時を告知して行う方法のほか、抜き打ち訓練も欠かせません。より緊張感をもって繰り返し訓練を実施することで問題点がどんどん明確化され、最適な訓練へと進化していくのです。

しかしながら、実際に災害が起きた際には、必ずしもスムーズに安否確認がとれるとは限りません。社内ネットワークを使って安否確認システムを構築している場合は、停電で使用不能になることもあります。

また、災害が甚大でインフラ復旧までの時間が長引けば、携帯電話の電池切れも起こりますから、連絡網が機能しなくなります。そういった具体的なケースを詳細に思慮深く想定して、安否確認がしづらくなったときの対応策を決め、従業員に周知しておくことも必要です。

たとえば、トヨクモの「安否確認サービス2」では、回数制限なく一斉送信を行うことが可能です。宛先を自由に選択できることは勿論、設問の内容も状況に合わせて自由に作成できます。予約送信機能もあり、休日に災害が起こることを想定した訓練に役立てることもできます。こうした安否確認サービスの運用や安否確認メールの配信方法も視野に入れ、緊急時のスムーズな行動に向けたあらゆるシナリオを想定して定期的に訓練しましょう。

参考:
緊急連絡網・安否確認システム オクレンジャー 安否確認…行っていますか?
リスク対策.com 知っておきたい安否確認のポイント 1つのシステムに依存しない
トヨクモ 安否確認サービス2 緊急時の議論や指示までできるトヨクモの次世代型安否確認システム

まとめ

災害発生時の状況を事前に想定したうえでさまざまな事項を決め、それに基づいた訓練の実施がBCP遂行では重要です。平常時の定期的な訓練が緊急時の冷静な行動に繋がり、従業員の安全確保やスムーズな事業継続を実現できるのです。チェックリストに沿って繰り返し訓練を行う計画を立て、反省点や改善策を従業員と共有しておくことも大切です。安否確認も滞りなく進められるかどうか訓練で検証しましょう。

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