学生の安否確認システムの重要性とは?システム構築の実例や確認点を解説
みんなのBCP編集部
日本は地震などの自然災害が多い国です。加えて、学生を狙った犯罪も少なくありません。そのため、学校や学習塾といった教育機関は、学生が安心して学業に励めるようにするためにも、非常時の安否確認システムを構築しておくことが重要です。
この記事では、安否確認システムを構築するうえでの注意点やシステムの実例といった基本的な情報や概要をご紹介していきます。
学生の安否確認システムを構築する重要性
安否確認システムを構築する重要性は、教育機関に通う学生の安全性を保証する点にあります。 たとえば、学校・学習塾などに通う児童は、行き帰りの行程で思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。事故や事件に巻き込まれる可能性も皆無とはいえませんし、通学・通塾時に体調不良を起こしたり、低学年であれば迷子になってしまったりする可能性もあります。特に学習塾の場合は、子どもが夜遅くまで学ぶこともあるため、通塾や帰宅に不安がついてまわります。 両親が塾や学校までついていければ安全ですが、近年は共働きの家庭も増えてきています。仕事を抱えている保護者の方では、日々の送り迎えはなかなか難しい面もあるでしょう。しかし、塾や学校が安否確認システムを構築していて、学生が来なかったとき速やかに保護者へ連絡や確認を行えるのならば、安心できるはずです。 仮に学生が何らかの事件や事故に巻き込まれていても、安否確認システムがあれば早期発見につながり、適切な処置を取ることができます。このような日常的な不安を払拭できる点で、安否確認システムの構築は重要だといえるでしょう。 また、自然災害が起きたとき、学生の安全確保や緊急連絡をする点でも、安否確認システムは重要です。大規模な災害が発生し、学校などの建物に被害があった場合、怪我人や行方不明者がどれくらいいて、探索しなくてはならない学生は誰なのかを速やかに確認する必要があります。そのようなときに、誰の安否が確認できていないのかをすぐに把握できる安否確認システムは、重要な役割を果たすといえるでしょう。 さらに、災害が発生して一定期間が経過すれば、教育機関としての使命を果たすために、授業などを再開しなくてはなりません。この再開のタイミングを決めるうえでも、安否確認は重要となってきます。 学生の多くが被災し、教育を受ける余裕がないときに授業を再開しても意味がありませんし、逆に学生の多くが安全を確保できているのに、授業を再開しないのも問題です。学生にとって適切なタイミングで授業を再開できるようにするためにも、安否確認をしっかりと行い、そのデータを教育機関全体で共有できるようにしておくことが重要になってきます。 参考: 名古屋大学情報連携基盤センターニュース 名古屋大学の安否確認システムについて NTT Data CyzoPHONE 社員や生徒・学生の安否確認を行いたい 早稲田育英ゼミナール日野教室 安否連絡システム「WHERE」の開発・導入 立正大学 「立正大学安否確認システム」について安否確認システムを構築するにあたり確認したいこと
安否確認システムを構築するといっても、学校や塾などで独自システムを開発するのは難しいものです。そのため、既に開発されているシステムなどを導入していく必要があるといえるでしょう。検討にあたっての確認点は、大きく分けて3つあります。1.個人情報保護の問題
安否確認システムは、いざというときに学生の保護者と連絡ができるよう、学生の氏名はもちろん、保護者の電話番号やメールアドレス、住所といった個人情報を登録しておく必要があります。仮にコンピュータがハッキングされたり、コンピュータが盗まれたりしたときに、それらの個人情報が漏洩するようなことがあってはなりません。学生の安全を保証するためのシステムが、逆に安全を阻害するようでは考えものです。 個人情報がきちんと暗号化できるかといったことや、コンピュータが人手にわたっても情報が漏洩しないようにできるシステムかどうかは、まず押さえておかなくてはならない点です。2.システムのインフラ
安否確認システムの構築は、Webやネットワーク情報システムを使用するのが一般的です。しかし、いざ災害が発生したとき、ネットワーク情報システムを使用する方法で構築された安否確認システムが、ライフラインの遮断などで使えなくなるおそれもあるのです。 さらに、いずれの方法でも安否確認ができなかった学生に対して、どのような問い合わせ措置を取るかもあらかじめ考えておく必要があるでしょう。3.利用費用
安否確認システムを導入する学校や学習塾は増えてきています。しかし、まだまだ安価にシステムを使用していくのは難しい部分があるのです。 安否確認システムを恒常的に使用する場合は、生徒の安全にしっかりと配慮しているということが、学習塾や学校の売りにもなります。しかし、その分だけコストもかかってきます。安否確認のためとはいえ、システム利用の費用が保護者や学生の負担になるのは問題です。予算と、学習塾や学校で最低限必要となる安否確認システムの機能、それに対してかかる費用を確認しておく必要があります。 参考: 早稲田育英ゼミナール日野教室 安否連絡システム「WHERE」の開発・導入 名古屋大学情報連携基盤センターニュース 名古屋大学の安否確認システムについて みんなのBCPでは、28の安否確認サービスの比較記事も公開しているので、未導入の方はこの機会に是非検討してみてください。教育機関や学習塾の安否確認システム実例
では、学校や学習塾など教育機関の安否確認システムの実例を確認していきましょう。まずは「独自の安否確認システム」と「カード」を使用した実例からご紹介します。これは、学習塾や学校など、教育機関に学生が無事到着しているかどうかを確認する安否確認システムとして導入されており、以下のような仕組みになっています。- あらかじめ学生の情報を登録したバーコード付きカードを作成する
- 学生が教育機関への到着した際、また帰宅時に専用機械にカード通しスキャンする
- カードがスキャンされると同時に、登録していた保護者のメールアドレスへ通知が届く
- あらかじめ学生の電話番号を登録しておく
- 安否確認が必要となったとき、オートコールシステムが稼働し、登録済みの電話番号に一斉に電話がかかる
- 事前に普段使用しているメールアドレスを学生がシステム上に登録する
- 災害などが起きた際、教育機関の管理者やサーバー管理センターなどから、登録アドレスへ一斉にメールが配信される
- メールを受け取った学生は、メール返信もしくはWeb上で、安否確認のため返信する