災害時の電源確保手段として有用なものに蓄電池が挙げられます。今回の記事では、企業が蓄電池を導入するメリットや防災用蓄電池の種類について解説します。
目次
蓄電池の導入で得られる効果
蓄電池の導入により、災害対策の観点からどのような効果が期待できるのでしょうか。ここでは蓄電池を導入した場合に得られる4つの効果を解説します。導入検討時に参考にしてください。
大規模停電時も社内インフラを維持できる
蓄電池は、災害時の非常用電源になります。
非常用電源があれば、大規模停電時でも社内インフラを維持し、連絡、通信、情報収集の手段を確保できるでしょう。復旧活動に向けて迅速な対応ができるため、BCP対策(事業継続)の観点からも有効と言えます。
省エネ、エコを実現できる
太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせて使用すると、電力の自家消費が可能になり、環境配慮型の経営を実現できます。
近年、SDGsへの取り組みが重要視されており、環境に配慮して事業を進めているかどうかが企業のイメージに影響します。クリーンなエネルギーの活用は企業ブランドの向上につながるでしょう。
電気料金削減効果によりコストを削減できる
容量の大きい蓄電池を導入すると、電力が安い時間に蓄電しておくことで電力を削減できます。
電気料金は、深夜のほうが安くなります。
夜間料金の安い時間帯別プランを活用し、夜間に充電し日中に自家消費することで、電気料金を削減できるでしょう。
蓄電池を前提とした事業計画が立てられる
蓄電池の確保は、BCP(事業継続計画)にも役立ちます。
非常用電源がある前提でBCPを策定できるため、幅広い行動ができるでしょう。たとえば、非常用電源があれば、停電対策ができるだけでなく、地域住民の安全確保や支援にも役立ちます。
企業に蓄電池が必要な理由
東日本大震災をきっかけに、非常時への備えとして蓄電池を設置する企業が増えています。ここからは、企業に蓄電池が必要な理由を解説します。
情報、連絡手段の確保
災害発生時、企業には社員とその家族の安否確認を行う責任があります。また、取引先との連携や顧客への被害状況の報告も欠かせません。情報獲得にはテレビやラジオ、スマートフォンなどが必要で、それらの稼働のためにも電源や電力が必要なのです。
蓄電池に電気を溜めておけば、停電時も機器を使えます。災害発生時に必要な情報を集めたり、連絡を取ったりできるように、非常用電源として蓄電池を設置しましょう。
安全の確保と復旧活動
企業にとって、電気のない状況になることは死活問題です。夜間における対策本部の運営や復旧活動には電気が不可欠です。
また、社内のインフラを維持するうえでも電力は必要です。帰宅が困難な従業員の安全を確保するためにも、オフィスに非常用電源を確保しておきましょう。
そのほか、非常時に業務を継続する、あるいは短時間で復旧するためにも、蓄電池の設置は重要です。
地域住民への支援
災害時には地域で協力し合うことが大切です。
近年、企業に対して災害時における企業施設の開放や救援物資の支援などの取り組みが期待されています。
自社を避難場所とし、用意しておいた電力や物資を提供できる体制を整えておくことで、周辺住民を支援できるようにしましょう。
防災用蓄電池の種類
防災用蓄電池には、ポータブル系蓄電池と定置型蓄電池の2種類があります。
ポータブル系蓄電池とは、持ち運び可能な小型の蓄電池です。主にレジャーやアウトドアなどに利用されますが、災害時における電力確保にも使用できます。
ただし、蓄電容量が小さい点に注意しましょう。小規模の事務所や連絡所であれば問題ありませんが、太陽光発電システムと連携して使用したり、オフィスすべての電力を賄ったりすることはできません。
また、ポータブル系蓄電池には、コンセントからの充電だけでなくペダルやソーラーパネルで充電できるものもあります。
定置型蓄電池とは、住居で使用することを想定した大型の蓄電池です。先に紹介したポータブル蓄電池と比べて蓄電容量が大きい点が特徴です。冷暖房や家電の稼働にも使用でき、充電しておけばオフィス全体の消費電力を賄えます。太陽光発電システムと連動させて使用可能なものもあり、災害時の活用はもちろん、光熱費削減効果も期待できます。
災害時も普段どおりに電力を使用したい場合は、定置型蓄電池の活用がおすすめです。
蓄電池を選ぶポイント
蓄電池を選ぶ際のポイントは「利用目的を想定すること」と「接続する電子機器を決めること」の二点です。
停電時に必要な電力量を把握しましょう。消費電力量は、各家電製品や電気機器の消費電力(W)×使用時間で求められます。3日から1週間ほど電気が止まることを想定して蓄電容量を確認してください。
また、災害時に使用したい機器を整理し、それぞれ1日に何時間程度使用するかをシミュレーションしましょう。
停電時に給電できる電源の種類は蓄電池により異なります。設備や家電製品のなかには、200V電源でのみ稼働する製品もあり、蓄電池が200Vに対応していることを購入前に確認することが重要です。
蓄電池導入に使える補助金
蓄電池の設置に、補助金を適用できる可能性があります。ここからは、蓄電池の導入時に使える補助金を4つ紹介します。
DR補助金
DR補助金とは、再生可能エネルギーの導入およびディマンドリスポンス対応ができる蓄電池の普及を目的とした補助事業です。
補助金を受けられる対象は、補助事業により導入する補助対象設備の所有者や、蓄電池アグリゲーターおよび導入する蓄電システムに関わるDR契約を締結できる者などです。
「初期実効容量3.2万円/kWh」「機器工事費の3分の1」「60万円」のうち、もっとも低い金額が補助されます。
参考:https://sii.or.jp/DRchikudenchi04r/uploads/R4r_dr_ess_kouboyouryou.pdf
DER補助金
DER補助金とは、DERの更なる普及を進めて、カーボンニュートラル達成への貢献を目的とした事業です。
補助金を受けられる対象は、補助事業により導入する補助対象設備の所有者や、導入するDER等を収集するアグリゲーターと実証事業に関係する契約を締結できる者などです。
「初期実効容量3.7万円/kWh」「V2H充放電設備の場合設備費75万円/台」「工事費40万円/台」「蓄電池の場合商品」「工事にかかる費用の1/3以内」「HEMS 5万円」などが補助されます。
参考:https://sii.or.jp/DERaggregation04/uploads/R4DER_kouboyouryou.pdf
民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業は、地域との共生を前提とした上での新たな手法による太陽光発電の導入・価格低減を促進する事業です。
本事業では、太陽光発電設備・蓄電池の導入支援を通じて、蓄電池を導入したほうが有益な状態の達成を目指します。太陽光発電と併用する形で蓄電池を導入する際に支援を得られます。
参考:https://www.env.go.jp/content/000156332.pdf#page=3
需要家主導太陽光発電導入促進事業
需要家主導太陽光発電導入促進事業は、民間事業者等が太陽光発電設備および再生可能エネルギー併設型蓄電池を導入する際、機器購入の費用を補助する事業です。
経済産業省主導の促進事業であり、全体の電力需給バランスに応じて行動変容を促せるFIP認定発電設備への蓄電池導入を通じ、ピークシフトを促します。民間事業者が蓄電池を導入するときに補助が受けられます。
参考:https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2024/pr/en/shoshin_taka_28.pdf
蓄電池を設置してもしもの災害に備えよう
今回は、防災における蓄電池のメリットや種類、受けられる補助金などを紹介しました。
災害発生時において、企業は社員の安否確認をしなくてはいけません。安否確認や情報収集に必要な電力を確保するためにも、蓄電池を設置しましょう。安否確認においては、トヨクモの安否確認システムの導入をおすすめします。導入検討の際はぜひご相談ください。